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文芸春秋9月号の木村俊雄氏論文について=⑭炉蒸気の漏れ口が新たに出来た [東電核災害の検証]

新潟県の技術委員会で木村氏の主張が取り上げらた。新潟県の技術委員会では、福島事故検証課題別ディスカッションの【地震動による重要機器の影響】で、1号機非常用復水器(IC)の小破口LOCAの可能性を論じている。田中三彦委員から問題提起された。


蒸気ベントライの割れ目の他に、新たな炉水蒸気・水素ガス・気体性放射能が炉心・原子炉圧力容器から漏れる・噴出口が15時40分ころに出来たことがはっきりしている。
15時34分には、IC非常用復水器への炉水蒸気の流入はA系とB系でも止まっている。IC蒸気ベントライ系の割れ目からの吹き出しだけが、炉水蒸気の流出炉である。口の面積が200~400㎟の噴出だけだ。ICは15時19分に炉圧6Mpaメガパスカル約60気圧で停止させ7Mpa約70気圧に騰がった24分・5分間後にA系のみ再起動。炉圧6Mpaに下がった26分に再停止させ32分7Mpaに騰がった6分間後にA系のみ再起動させ6Mpaに下がった34分に再停止させてる。炉圧が上昇していく。順調なら7分間後の41分には7Mpaに騰がるだろう。その時刻前の37分頃には津波来襲で配電盤や電源盤が海水に没して弁のコントロール電流や弁駆動電流が流れなくなった。だから、IC非常用復水器を再起動できない。炉圧が上昇続ける。


こんな時に備えて、圧力容器・原子炉炉圧が高くなり過ぎて原子炉・圧力容器が破損する過圧破損を避ける為に
、 ある炉圧・圧力に達すると開く弁を付けてある。名はSRV主蒸気逃がし安全弁:Safety Relief Valve。弁が開くと、原子炉内に溜まっていた高温高圧の蒸気が一気に圧力容器を納めてある格納容器内や排気管に噴出する。それで、圧力は低下する。過圧を避けれる。
水蒸気は最終的に格納容器の「サプレッションチェンバー」(圧力抑制室)内に貯えられている大量の水の中へ導かれて凝縮し、温水になる。原子炉圧力がある程度低下すると弁は自動的に閉じるが、崩壊熱により原子炉圧力がふたたび上昇するので、再び 弁は開く。
弁を開ける機構には「逃がし弁機構」(電気が必要)と「安全弁機構」(バネ式。電気不要)がある。今回は、配電盤が海水に没し電気はないので、電気不要の安全弁機構の仕組みを示す。図

no2資料No.2 1号機逃がし安全弁(SRV)左.jpg

スプリングによる弁を閉じる圧力に原子炉・炉水蒸気圧力が打ち勝って弁体を押し上げる機械的仕組みだ。これの故障は考えにくいが、1号機には、スプリングの押圧力で4種類の弁が付いていた。7.64Mpaメガパスカルが2弁、7.71Mpaの2弁、8.51Mpaで2弁、と8.62Mpaで1弁である。どれか一つが開けば、原子炉は圧両破裂しない設計である。
1号機が1Mpa上がるには約7分掛かってる。6Mpaで時刻34分に上昇開始し始めたから、約12分後には7.64Mpaに達する。時刻は15時46分。しかし、SRV主蒸気逃がし安全弁が作動し、水蒸気が轟音を立てて排気管を通り圧力抑制室内に噴き出る音がしない。「2号機では運転員が地鳴りのような作動音を聞いている。3号機でも作動音が確認されて」いる(中間まとめ)2号機、3号機には、動作した記録もある。しかし1号機では、動作した記録がないし、作動音を聞いたという証言もない。

どこかに、炉蒸気の漏れ口が新たに出来た、これまでにあったIC蒸気ベントライの割れ目の他に出来たのだろう。

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