3/30の緊急安全対策では、周辺住民の被曝、地域の汚染を小さくするものではない [AM-非常用電源]
地震で電気がなくなったら、隣の原子炉から電気をもらう? [AM-非常用電源]
地震で電気がなくなったら、隣の原子炉から電気をもらう?
今回は、地震とそれによる津波で外部電源と非常用発電機が失われました。それで電源供給機能の強化を見てみます。
原子炉の電源は、発電所外の電力系統や主発電機からの電力の外部電源
非常用ディーゼル発電機などの非常用交流電源
バッテリ(蓄電池)などの非常用直流電源に大別されます。
平成13年3月29日付けの安全委員会の安全設計審査指針では、
指針27.電源喪失に対する設計上の考慮として「原子炉施設は、短時間の全交流動力電源喪失に対して、原子炉を安全に停止し、かつ、停止後の冷却を確保できる設計であること。」を求めています。
今回、問題になっている原子炉の冷却での電源喪失に対する設計上の考慮は「長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待できるので考慮する必要はない。
非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくことなど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。」
送電線の復旧又は非常用交流電源設備が短時間で修復するというハッピー・アサンプション/おめでたい仮定がおかれています。
アクシデントマネジメント・AMでは、どのような対策が採られたでしょうか?
整備されたAMでは「複数基立地のメリットを活かして隣接原子炉施設間に低圧の交流電源 (460v又は480v)のタイラインを設置し、電源融通を可能にすることで、電源供給能力を向上させる」
地震に襲われたら、原子力発電所内の全ての原子炉が損傷するのではないでしょうか?隣の原子炉の非常用発電機が無事で、電力を融通できるというのは、お祈り思考やハッピー・アサンプション/おめでたい仮定といわざるを得ない。
福島第一原発では、津波で14~15m浸水しています。5、6号機の敷地の高さは13mで作られていました。そして6号機の空冷式非常用発電機が生き残り、5号機に供給しています。ですから、まったくの無駄ではありませんでしたが、事前の準備、アクシデントマネジメント・AMとしては欠陥品の対策です。斑目流の「非常用発電機が失われることを考慮したら原発は運転できないから、考えない」というお祈り思考です。
このお祈り思考、おめでたい仮定で作られたアクシデントマネジメント・AMの結果は? 続く
日本のアクシデントマネジト・AMは絵空事 [AM-非常用電源]
それは原子力安全委員会の勧告、「日本の原子力発電所が現在の安全対策によって十分に確保されており、これらの諸対策によってシビアアクシデントは工学的には現実に起こるとは考えられないほど発生の可能性は十分小さいものとなっており、さらなる安全規制は必要ないことを認めたうえで、さらに事故に対するリスクを低減させる電力会社は自主的な努力を強く奨励」を受けてだされたものです。
この安全委員会の勧告には、考えたくない最悪の事態「シビアアクシデント」(過酷事故)を「ないことにする」ようなお祈り思考やハッピー・アサンプション/おめでたい仮定が色濃くあります。
この点は、2009年に「将来的な課題としては、大地震(火災、溢水)など外的事象による影響も考慮したAMの検討が必要であろう。」として安全委員会は認識していました。
今回は、地震とそれによる津波で外部電源と非常用発電機が失われました。それで電源供給機能の強化を見てみます。 続く