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原子力「航空機衝突影響評価に関する審査ガイド」パブコメ [原子力規制委員会、指針・基準]

本施設は、ポンプ、フィルター、発電機、燃料タンク、緊急時制御室等で構成される大型施設であり、かつ耐震クラスS、原子炉建屋近傍の施設には故意による航空機衝突への頑健性が要求されています。審査ガイドの制定を予定しています。つきましては、下記のとおり、広く国民の皆様の御意見を募集いたします。締切2014年9月5日
意見の趣旨
空想的、夢想的な想定をやめ、衝突地点の周辺に被害が広がることを想定すべきである。
実用発電用原子炉に係る航空機衝突影響評価に関する審査ガイド(案)の「7 判断基準」は変更を求める。
「航空機衝突により、(1)評価対象設備の必要な機能が喪失しないことと(2)必要な離隔距離(例えば100m 以上)のない設備等の機能が相当期間喪失しても過酷事故に至らない事」
意見の詳細
航空機衝突影響評価に関する審査ガイド(案)の航空機衝突時のイメージが空想的、夢想的である。

図4.jpg図2.エンジン等の衝突による局部的損傷のイメージや図4.航空機全体衝突による全体的損傷のイメージでは、航空機が水平に衝突している。この衝突はテロリズムなど故意の衝突も含めている。建屋では、天井が最も厚みなど強度が低いことは衆知である。東電核災害での水素爆発でも建屋天井は全面崩落しているが、横壁の鉄筋、構造は残っている。こうした事はテロリストたちも当然知っている。
 であるから、テロリストたちが比較的強固な建屋横壁に水平衝突してくるという想定は、余りに空想的である。旧日本海軍における急降下爆撃の降下角度は50~ 60度の間であった。 一般に急降下爆撃というのは降下角度が30度以上になるものを言うようである。旅客機が滑走路へ近づく際の適正な進入降下角は、「どの機種でも、だいたい3度」である。(日本航空 月刊誌AGORAの「Captain 103 滑走路への降下」より)建屋で比較的に弱い天井に、ある程度の降下角度をもって落下してくると想定すべきである。
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また、ボーイング777-300は全幅約60m、全長約70m。成田発ニューヨーク行ボーイング777-300ERは大体17万リットル・137トン分程度のケロシン系ジェット燃料を積んでいる。それの燃焼エネルギーも加えてダメージ計算する必要がある。周辺プラントはほぼ壊滅と考える。

 こうした衝突地点の周辺に被害が広がることへの配慮が足りない。特定重大事故等対処施設に関する審査ガイド(案)では、「原子炉建屋及び特定重大事故等対処施設が同時に破損することを防ぐために必要な離隔距離(例えば100m 以上)を確保すること」とあるが、他の周辺プラントが見落とされている。航空機衝突影響評価に関する審査ガイド(案)では、衝突された建屋の損傷を評価審査するようになっているが、評価対象建屋等の屋外におけるエンジンや車輪(着陸装置)等による損傷や火災は考慮が不十分である。

 例えば、周辺に配置してある移動式大容量ポンプ車、大容量空冷式発電機などの代替機器はエンジンや車輪(着陸装置)等によって直接破壊されたり燃えて壊滅することがありうる。そのほか、建屋に接近する道路が破損し通れないとか、繋ぎ込みなどの作業ができないなどの要因で全て長期間使用できない事は想定されていない。その想定の上で、既に建屋内に設置してある諸設備で、冷温停止できるかを審査する必要がある。

 ところが、先日、意見公募にかかった九州電力株式会社の川内原発の審査書(案)では、そうなっていない。全交流電源喪失・SBOに陥っても、約35分から1時間で大容量空冷式発電機を繋ぎ込んで交流電源が回復するとする九州電力の主張をそのまま認めている。川内原発の審査書(案)でSBOに陥って、周辺に配置してある移動式大容量ポンプ車、大容量空冷式発電機などの代替機器が長期間使用できない場合を評価、審査していない。従って、川内原発の審査書(案)はやり直すべきである。
実用発電用原子炉に係る航空機衝突影響評価に関する審査ガイド(案)の「7 判断基準」は変更を求める。
「航空機衝突により、評価対象設備の必要な機能が喪失しないこと。」から
「航空機衝突により、(1)評価対象設備の必要な機能が喪失しないことと(2)必要な離隔距離(例えば100m 以上)のない設備等の機能が相当期間喪失しても過酷事故に至らない事」

日本の原発の安全目標・1万炉年に1回程度は、自動車事故の実績・1万台年当りの0.74人死よりも緩い [原子力規制委員会、指針・基準]

 
原発事故の論議では自動車の交通事故が引き合いに出される事が多い。原発・核発電所の事故の確率は炉年、延べ運転年数単位で表されています。例えば、1.0×10-9(回/炉・年)とは、ひとつの原子炉を109(10億)年運転した場合に、 一回程度発生することを表します。

原子力規制員会は目標として、「原子炉の事故は炉心損傷頻度(CDF)は1万炉年に1回程度、格納容器機能喪失頻度(CFF)は10万炉年に1回程度に、Cs137 の放出量が100T(テラ・兆)Bq を超えるような事故の発生頻度は、100万炉年に1回程度を超えないように抑制されるべきである(テロ等によるものを除く)」をかがげています。
 
 原状回復が不可能という点で、自動車による死亡交通事故が、原発の過酷事故に比較には適していると思います。
内閣府の交通安全白書によると http://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/index-t.html
1万台・年あたりの死亡者数(人)
2006年・・ 0.98
2007年・・ 0.89
2008年・・ 0.81
2009年・・ 0.78
2010年・・ 0.78
2011年・・ 0.74
 
 交通事故30日.png
原発の台数、炉数の絶対値が小さいため、その過酷事故は「極めて希な事象」という印象を持ちます。しかし延べ数に物差しを合わせると、このように日本の原発・核発電所の安全目標にしている発生頻度は、 死亡自動車事故の実績よりも緩いものになっています。原状回復が不可能な損害を起こす頻度では、安全目標を達成した原発でも死亡自動車事故よりも高いだろうことが明確になります。
 

白書での死亡は 30日以内死者、「警察庁では、交通事故発生後24時間以内に死亡した者(24時間死者)の数について昭和21年から集計しているが、国際的な比較を行うため、交通事故発生から30日以内に死亡する者(30日以内死者)の統計が必要となったことから、平成5年からは、24時間死者に交通事故発生から24時間経過後30日以内に死亡した者(30日死者)を加えた『30日以内死者』の集計を行っている」です。

国内公表の24時間死者との関係は、平成25年版の交通安全白書によれば
1 24時間死者数と30日以内死者数の比較
⑴30日以内死者数は5,237人で、12年連続の減少となるとともに、平成5年から統計を開始して以来、最も少なかった昨年を更に下回った。
 30日以内死者数に占める24時間死者数の割合をみると、近年は、漸減傾向で推移している(第1表)。
 
⑵30日以内死者数を交通事故発生から死亡までの経過日数別(発生日を初日とし計算)にみると、交通事故発生から24時間以内に死亡した者が全体の84.2%(4,411人)を占めている。
 その後は、3日以内で全体の約9割を占め(4,634人、累積構成率88.5%)、10日以内で累積構成率は95.8%(5,016人)に達している



安全目標は羊頭狗肉(下)、田中・原子力規制委・委員長7/17③ [原子力規制委員会、指針・基準]

原子力規制委員会が原子力施設の規制を進めていく上で達成を目指す目標として、「原子炉の事故は炉心損傷頻度(CDF)は1万炉年に1回程度、格納容器機能喪失頻度(CFF)は10万炉年に1回程度に、Cs137 の放出量が100T(テラ・兆)Bq を超えるような事故の発生頻度は、100万炉年に1回程度を超えないように抑制されるべきである(テロ等によるものを除く)」をかがげています。100T(テラ・兆)Bq以下なら、原発敷地内に深刻な汚染は限られ、「帰還困難区域」を作らずに済むと試算されています。新安全基準はこの安全目標を達成するための手段です。

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この安全目標を、原子炉プラントの1基ごとで適用するのか、核発電所・サイト全体で適用するのかという問題は「今後とも引き続き検討を進めていく」としています。日本の核発電所・サイトは2~4基、柏崎刈羽は7基ありますから、サイト全体で適用するなら、100T(テラ・兆)Bqは1基当りではその分小さくするなどが必要になります。その問題検討は先送りしました。

しかし、新規制基準での安全審査とではこの問題に直面することになります。それで、7/17の原子力規制委・田中委員長の記者会見で質疑がありました。  参照 安全目標は羊頭狗肉(上)

複数立地

原子力規制委・田中委員長7/17
「アメリカもこれまでは3基だったのだけれども、4基目を作っているところがありますので、必ずしも世界の標準から見ると、多いわけではない。福島第一は6基ですから多いですけれどもね。柏崎刈羽もそうです。」

田中委員長が米国を上げているので、米国の原発をみると全部で64サイト・発電所のうち1基が28サイト、2基は33サイト、3基は3サイトで平均で1.6基です。(下のATOMIC資料)


また3・4基目の建設許可を得ているジョージア州のアルビン・W・ボーグルのサイトでは、3基目の建設が進められていますが、4基目は着工されていません。この建設には資金が集まらず、2010年に米連邦政府による83.3億ドルの融資保証がついて建設が始まっています。
この2基の建設総コストは140億ドルと想定されていますから、2010年の連邦政府の融資保証枠外の60億ドルが集まらなければ、4基目の建設はできません。これまでの原発建設では、最初の想定より建設費が高くなります。安全規制が強化・追加され、それで建設費が膨れるのです。140億ドルは最小の建設コストです。民間から調達しなければならない投資金額は、60億プラスαになります。そして3.11東電核災害後は原発への民間投資資金の流入が事実上途絶えています。

2009年末現在で26基の建設・運転許可申請が出され、3基目、3・4基目の建設許可を申請しているところがありますが、許可が出ていません。しかも許可が出ても原発への投資資金流入が3.11東電核災害後は事実上途絶えているので建設資金が集まらない=建設しない可能性が高いのです。

3基目を申請していたメリーランド州のカルバートクリフス原発は、米コンステ社が原発の採算見通しの悪さを懸念して合弁から撤退し、仏電力公社単独の子会社となりました。米国は原子力エネルギー法で、外国人が単独で原発を保有することを禁じています。それで、仏電力公社は米国内の新たな合弁相手・51%以上の株に出資する投資家を探しましたが、原発のコスト高から出資に応じる投資会社が現れませんでした。その結果、2003年3月11日、3.11東電核災害から2年後に建設許可を出さないと米政府が決定しています。

米連邦政府による原発への融資保証枠は185億ドルとエネルギー政策法で決まっています。既に、83億ドルは使っています。公的資金では26基の建設費を賄えません。民間からも建設資金が集まらないので、米国の核発電所・サイトの複数基化は進展しないと見込まれます。


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日本は17サイトで1基が2サイト、2基は4サイト、3基は5サイト、4基が4サイト、6基が1サイト、7基が1サイトで平均3.2基です。(2009年末現在)
米国が平均1.6基ですから、日本は約2倍です。韓国、中国、インドなどには4~6基のサイト・発電所がありますから、日本だけが多数の複数立地しているのでは有りませんが、「世界の標準から見ると多い」複数立地です。

1979年の米国のTMIの核災害では、2号機はメルトダウンしましたが1号機の機器は破損していません。旧ソ連の1986年のチェルノブイリ4号機の核災害では、同じサイトにある1、2、3号機は運転を継続しています。3.11東電核災害では、同じ地震、津波によって同じサイトにあった6基で機器が破損しています。

天災の多い日本では地震など共通の外部要因で同じサイトの複数の機器が破損するので、複数立地は他国より重要な問題です。そして、サイトの原子炉数が米国に比べ約2倍ですから、リスクが顕在化しやすい。それを、誤った印象付けで誤魔化しています。

集中立地

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図の出元


そして、日本には地震・津波という危険が諸外国に比べて高い。上の図は1568年以降に記録された米国の震源と原発の地図です。これを見ると、米国の原発の地震対策は、地震が起きない所に建設する立地と離して建てる立地が基本だとわかります。日本ではそうは行かない。

原発サイトが複数、半数以上が3基の原発がありますから、地震で全て基原子炉が影響を受ける。さらに近接する複数の原発サイトがある。集中立地している。3.11の東北大震災で青森の東通原発、宮城の女川原発、福島の東電福島第一と第二、茨城の東海第二が影響を受けました。東海第二は地震直前に防潮堤の嵩上げ工事がおわっていた、福島第二は外部からの電力が1系統残ったなどで、幸い2サイトで発災にまで至りませんでした。この近接する複数の原発サイトの集中立地は、福井県で特に問題です。防災計画のUPZ(30km圏)が重なり合っています。

7/17の規制委・田中委員長の会見では、前半で田中委員長は集中立地が問題である事を認めています。しかし、後半になると次のように答えています。

○記者 (朝日新聞のオオムタ)
直ぐにということを必ずしも言っているわけではないのですが、例えば、福井県で言えば、10基以上の原発があるわけですね。そうすると、同じように1炉について、シビアアクシデントの確率を100万年に1回以下というふうに抑えたとしても、10基あれば10倍になるわけですね。10基もし動けば、あるいはそこに存在することによって、アクシデントの確率が上がるかもしれないと考えると、他の1基しか動かさない原発が仮にあったとしますね。そこに比べると、10倍のリスクを福井県の県民は、10基動けばですよ、それでもやむを得ないということになるのかということをお尋ねしたいのです。

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○田中委員長
若干お話にトリックがあるような気がして答えにくいのですが、福井県というふうになぜ地域を限ったかというところがあるのですね。世界全体で、地球全体で幾らとか、そういうこともあるわけで、アメリカは100基もありますしね。日本でも今、50基あるわけですね。ですから、そういうことを含めて考えていかなければいけないのだと思いますけれども、算術の問題ではないと私は思います。

このように、福井県⇒日本全体⇒米国⇒世界全体で、地球全体と、膨らませて「幾らとか」と考えさせる、「お話にトリック」を仕掛けて誤魔化しています。今の確率論的リスク評価(PRA)という理論的道具は集中立地のリスク評価に使えない段階だとしても、「お話にトリック」を仕掛けて記者さんを煙に巻いても、集中立地のリスクは消えません。

サイト・発電所に複数立地する問題と近接して多数ある集中立地の問題は、安全を達成していく上で重要な問題です。しかしこのように正面から立ち向かわず、誤魔化しています。

責任放棄・・規制委は羊頭狗肉

「新規であれば、距離が近いとか、何基ならいいのかという問題は、今後いろいろと検討すべきところがあるかもしれませんけれども、(既設炉を審査する)今の状態で、それについて明確に答えを出すというか、複数立地のよしあしを、我々の立場で言える状況ではない。」

新設よりも既設に安全目標を適用しないと優遇しています。既設炉にも新たな規制を遡って適用するバックフィット規制の導入の趣旨は、一見厳しい措置に見え住民などの不安を抑えるが、「既存の原発は止めない、廃炉にしない」ということが明らかになりました。

「我々の立場で言える状況ではない。」・・・原子力規制委員会のほかに、安全目標を論議検討して答えを出す立場の人々、機関はあるでしょうか?責任放棄です。

田中委員長は日本に多い地震などの天災を考慮し世界で一番厳しい規制基準になったと自負していますが、規制基準を統括する安全目標でそれらを考慮していないのでは、羊頭狗肉の安全行政です。

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安全目標は羊頭狗肉(上)、田中・原子力規制委・委員長7/17② [原子力規制委員会、指針・基準]

新安全基準は、安全目標として「事故時のセシウムCs137の放出量が 100T(テラ・兆)Bq を超えるような事故の発生頻度は、100 万炉年に1回程度を超えないように抑制されるべきである」を掲げています。100T(テラ・兆)Bq以下なら、原発敷地内に深刻な汚染は限られ、「帰還困難区域」を作らずに済むと試算されています。しかし、これは7機ある柏崎刈羽原発のような複数機ある原子力発電所では、守られことのない羊頭狗肉の安全目標であると7月17日に規制委の田中委員長の記者会見で明らかになりました。

原子力規制委は原発の安全目標を本年2013年2月20日の会議から議論を始めています。新基準の検討の論議の中で「安全目標を決めないで、安全規制がどうのという話があり、御意見もちょっと気にはしていたんです。(田中委員長)」旧原子力安全委員会での2006年までの論議、結局、規制には取り入れられなかった論議を踏まえて、始まりました。

安全目標をめぐる主な論点として
1. 安全目標の位置付け(「基準」ではなく「目標」)
2. 放射性物質による環境への汚染に関するリスクの取扱い
3. 複数基の発電炉が立地するサイトの取扱い
4. 新設炉と既設炉で目標値を分けるべきか否か
5.核燃料サイクル施設等の取扱い
を挙げていました。5回、検討の場がありました。4月10日のまとめでは

1の安全目標の位置付けは、「原子力規制委員会が原子力施設の規制を進めていく上で達成を目指す目標」。

4の新設炉と既設炉を分けるべきかは、「バックフィット規制の導入の趣旨に鑑み、現状では安全目標は全ての発電用原子炉に区別無く適用するべきもの」

2の放射性物質による環境への汚染に関するリスクの取扱いは「放射性物質による環境への汚染の視点も安全目標の中に取り込み、万一の事故の場合でも環境への影響をできるだけ小さくとどめる必要がある。」

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「具体的には、世界各国の例も参考に、発電用原子炉については、・事故時のCs137 の放出量が100TBq を超えるような事故の発生頻度は、100万炉年に1回程度を超えないように抑制されるべきである(テロ等によるものを除く)ことを、(安全委員会のH18の見解、炉心損傷頻度(CDF)は1万炉年に1回程度、格納容器機能喪失頻度(CFF)は10万炉年に1回程度に)追加するべきである」

5の使用済核燃料の再処理施設など核燃料サイクル施設等の取扱いと3の複数基の発電炉が立地するサイトの取扱いは、先送り。
「残された論点に関する議論を含め、安全目標に関する議論は、継続的な安全性向上を目指す原子力規制委員会として、今後とも引き続き検討を進めていく」

ところが、3の複数基の発電炉が立地するサイトの取扱いは、新規制基準に基づく審査と同時に直面することになります。
日本の17ヶ所(福島第一を入れて)の原子力発電所で1基だけは青森の東北電力・東通原発と茨城の日本原子力発電・東海第二原発だけです。
2基が福井県の敦賀原発、石川県の志賀原発、島根県の島根原発、鹿児島県の川内原発。
3基が北海道の泊原発、宮城県の女川原発、静岡県の浜岡原発、福井県の美浜原発、愛媛県の伊方原発、
4基は福島県の福島第二原発、福井県の大飯原発、高浜原発、佐賀県の玄海原発。柏崎刈羽原発が7基です。福島第一原発が6基でした。

3の複数基の発電炉が立地するサイトの取扱い問題に、安全審査と同時に直面することになります。

1基ごとの安全目標なら、柏崎刈羽原発は7基・機あるから、1基で100TBqならプラント・発電所全体では「放出量が700TBq」。発生頻度は、100万炉年に1回程度が7回程度になる。
プラント全体での安全目標・100TBqなら柏崎刈羽原発の1から7の各号機の安全目標は約14TBqと他のプラントの号機より厳しくなる。発生頻度は、100万炉年に1回程度が7分の一の約1000万炉年に1回程度になる。

その点が7月17日の記者会見で質疑されました。

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○記者朝日新聞のオオムタです。
新規制基準に基づく審査が始まりました。それに当たって、弊紙の社説にも書いてありましたけれども、集中立地あるいは複数基が稼働することのリスクをどのように規制委として考えているのか。

例えば泊の1~3号機の全部を動かして、同一の原因で3基が一遍にシビアアクシデントに近い状況になるとか、そういうことになった時に、対応がとれるのかとか、あるいは1基がシビアアクシデントを起こした場合、別の2基の対応はとれるのか。更に言えば、大飯と高浜のように、別のサイトであっても、15kmも離れていないところで、複数基が稼働することに対して、それでもいいのかどうなのか。

個々の原発の規制基準というのは、もちろんできているわけですが、福島第一原発の事故の教訓からいうと、複数立地、集中立地の怖さをまざまざと我々は感じたわけですけれども、そこのところを規制委員会としてどう考えるか。国民に対しての説明がそこでなされているかということに関していうと、疑問があります。今後、何か御検討されることを考えておられるかどうか、その辺りを教えてください。

○田中委員長 
御指摘の点は、既存の原子炉が建っているわけですから、そういうことも含めて、答えが非常に難しいところがあるのです。これから建てるということであれば、いろんな配慮もあるかも知れませんけれども、今あるものについては、昨日の議論でもあったように、北電の答えだと、泊1~3が同時にそういう状況になっても、対応できるように考えていますということで答えがあったと思うし、規制サイドとしては、今、そういうことを要求しているということです。

距離が近いとか、何基ならいいのかという問題は、新規であれば、今後いろいろと検討すべきところがあるかもしれませんけれども、今の状態で、それについて明確に答えを出すというか、複数立地のよしあしを、我々の立場で言える状況ではない。

ただ、前にも申し上げましたが、アメリカもこれまでは3基だったのだけれども、4基目を作っているところがありますので、必ずしも世界の標準から見ると、多いわけではない。福島第一は6基ですから多いですけれどもね。柏崎刈羽もそうです。

今、御指摘の気持ちは分かりますけれども、すぐには答えが出ない。だから、複数立地に対しても、対応できるような規制、対応を求めていくというのが、今の私たちのスタンスです。

○記者 
つまり新設なら考えるけれども、既設についてはということでいうと、正にバックフィットしてこなかった、過去の規制と似通っているような気がします。安全に対しては、既設であろうが、新設であろうが、関係ないはずです。今、安全という知見、安全を確保するという観点から見た時に、複数稼働がどうなのか、どういうふうにこれは考えているんだ、これはこう考えるべきだということは、規制委として当然示さないと、福島第一のあの事故の教訓を生かした規制とは考えられません。

例えば同時に動かすのは、1サイト1基ということも、選択としては考えられます。事業者にとってどうかということは別にして、規制サイドとして、そこのところはどう考えるのか。国民に対して、複数立地、複数稼働、あるいは集中立地という問題については、規制委員会はこう考えるんだというものを出さないと、国民の負託に応えられないのではないかと思います。

○田中委員長 
そういうお考えもあるでしょう。先程の繰り返しですけれども、今は複数基が建っているという現実を踏まえて、それに対して、きちっとした対応をしていただくことが、私たちの答えです。個人の意見としては、拝聴しておきます。規制委員長として、個人の意見として拝聴しておくことに、とどめておきたいと思います。

○記者 
規制委員会の議題として、そういったものについて、取り上げることはしないということでよろしいですか。

○田中委員長 
御要望のような趣旨では、取り上げません。ただ、更田委員会の中でも、複数立地の問題は議論しているわけです。ずっとフォローしておられるのがどうか分かりませんけれども、そういうことです。



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○記者 
先程の質問に補足して伺います。まだ確率論的リスク評価を取り入れておられませんけれども、集中立地というのは、いわば卵を沢山、1つのかごに入れるようなもので、そのときのリスクという形で見たら、これは明らかに大きくなるわけですね。そうすると、1個1個、同じリスクに考えていいのかと。一つ一つの炉についてですね。つまり、絶対論的リスク評価ではなくて、確率論的リスク評価をもしとれば、集中立地というのはやはり大きな論点として考えなければいけないことになるのではないかと考えるのですけれども、そこの所はいかがお考えでしょうか。

○田中委員長 
1個より3個の方が壊れるリスクが高いというのは、普通に考えればそうですね。だからといって、それがだめかというふうには、一概には言えないわけです。

だから、いろいろな技術がありますね。車もほとんど走らないで、1時間に1本ぐらいしか走らなければ安全性は高いと思いますけれども、そうもいかないし、都内のJRだって、3分置き、5分置きに走っていますけれども、田舎に行けば、1日に何本しか走っていないというのもあるわけで、だから、そういうお考えは分からないことはないけれども、確率論的リスク評価というのは、そういうふうに使うものではないのだと思うのですよ。安全の目標というのを私ども、一応、議論したのですが、そういうこととの兼ね合いもありますので、PRA(確率論的リスク評価)自身は今後導入して、きちっとそういうことを踏まえたバックフィットの仕組みも作っていこうということで、今、検討しています。

ただ、全部一遍にはできないところもありますので、そういう方向では行きますけれども、御指摘は分かるけれども、直ぐに、はい、そうですかと、全てアグリーできるようなところでもないというところですね。

○記者 
直ぐにということを必ずしも言っているわけではないのですが、例えば、福井県で言えば、10基以上の原発があるわけですね。そうすると、同じように1炉について、シビアアクシデントの確率を100万年に1回以下というふうに抑えたとしても、10基あれば10倍になるわけですね。10基もし動けば、あるいはそこに存在することによって、アクシデントの確率が上がるかもしれないと考えると、他の1基しか動かさない原発が仮にあったとしますね。そこに比べると、10倍のリスクを福井県の県民は、10基動けばですよ、それでもやむを得ないということになるのかということをお尋ねしたいのです。

○田中委員長 
若干お話にトリックがあるような気がして答えにくいのですが、福井県というふうになぜ地域を限ったかというところがあるのですね。世界全体で、地球全体で幾らとか、そういうこともあるわけで、アメリカは100基もありますしね。日本でも今、50基あるわけですね。ですから、そういうことを含めて考えていかなければいけないのだと思いますけれども、算術の問題ではないと私は思います。

○記者 
そこで、なぜ算術の問題でないのかというのが私は理解できないのです。つまり、10基あれば、当然10倍のリスクになるであろうと。そうすると、許容されるリスクはさらにその10分の1にすべきとか、例えば、そういうことだって考えられるのではないか。つまり、1炉1炉だけで考えていって、それで十分なのですかということをお尋ねしているのですね。

○田中委員長 
個々の炉だけを考えているわけではないのですね。だから、そういったものが同時に起こる、福島でそういうのが起こりましたから、そういうことも当然考えてはいますけれども、そう単純に、そういうことで判断しているわけではないということです。

○司会すみません、御質問、最後でお願いします。

○記者 
ですから、規制委員会がそういった問題をどう考えているのかということを見えるように議論をしていただきたいということを御要望として申し上げておきます。



安全委員会では規制に取り込めなかった安全目標を、規制委では正式に取り上げたのは良いことですが、羊頭狗肉ではないでしょうか? 続く

原発の安全目標・・基礎資料 [原子力規制委員会、指針・基準]

原子力安全委員会

平成15年版 原子力安全白書 第3章 安全目標について 



安全目標専門部会 議事次第/速記録
2001~2006年 22回開催

安全目標専門部会 性能目標検討分科会 議事次第/速記録 
性能目標・・炉心損傷頻度や放出放射能量などの数値的目標
2004~2006年 12回開催


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ガンや他殺などは実際に起きている件数から出された客観的な根拠のある数値
原発の安全目標は、想定から算出された想定値


原子力規制委員会

平成25年2月20日 第30回 議事録の17ページから

議事録【PDF】
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/h24fy/data/20130220-kisei.pdf

平成25年2月27日 第31回  


資料8-1安全目標に関する調査審議状況の中間とりまとめ 平成15年12月 原子力安全委員会安全目標専門部会【PDF:288KB】
資料8-2発電用軽水型原子炉施設の性能目標について-安全目標案に対応する性能目標について- 平成18年3月28日 原子力安全委員会安全目標専門部会【PDF:207KB】
資料8-3安全目標・性能目標について(国内の検討経緯の概要)【PDF:365KB】
資料8-4安全目標・性能目標について(海外の主な制度の概要)【PDF:136KB】

議事録 30ページから


平成 25年3月6日 第32回

資料6-1安全目標をめぐる主な論点【PDF:38KB】
資料6-2安全目標を参照した原子力安全の持続的な向上の取組について【PDF:136KB】
資料6-3各国のLRF, LERF の目標値の一覧(暫定)【PDF:120KB】
資料7緊急事態対応能力の強化に向けて【PDF:113KB】

議事録 19ページから


1374257139.jpg


平成25年4月3日 第1回

資料6-1安全目標に関する原子力委員会近藤委員長への訪問の結果について【PDF:80.2KB】
資料6-2放射性物質放出量と発生頻度との関係(概念図)【PDF:75.5KB】

議事録 31ページから



平成25年4月10日 第2回

資料5安全目標に関し前回委員会(平成25年4月3日)までに議論された主な事項【PDF:66KB】

議事録 18ページから



作成 2013/07


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