九州電力の玄海原発三号機 海外から燃料調達できず プルサーマル発電休止へ [使用済核燃料、再処理、廃棄]
九州電力の玄海原発三号機 海外から燃料調達できず プルサーマル発電休止へ
長州新聞第9102号より
九州電力は4月12日、玄海原発三号機でのプルサーマル発電を休止すると発表した。海外に委託しているウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料が調達できなくなっているためで、再開は二〇二七年度以降としている。発電は通常のウラン燃料を使って続ける。
MOX燃料は便用済み核燃料からとり出したプルトニウムとウランを混ぜて製造する。九電はフランスの燃料加工事業者と契約を給んで現地で製造していたが、フランスに保有するプルトニウムかなく製造できなくなり、昨年十一月に始めた定期検査での燃料交換プルサーマル発電を止めた。
今月一日、イギリスに別途、保有するプルトニウムと、原発が稼働していない東北電力などがフランスに保有するプルトニウムを交換して確保したが、加工や輸送に時間がかかるため、再開には少なくとも三年程度かかると見込んでいる。
世界のプルトニウム燃料製造施設は、過去にはフランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、ベルギー、ロシア、インド、などで運転されていたが、現在、アメリカ、ベルギー、ドイツは製造を中止している。これまでにドイツ・シーメンス社・八ナウのプラント、フランス・コジェマ社・カダラッシュのプラント、イギリス・BNFL社・セラフィールドのMDFプラントに加えてベルギー・ベルゴニュークリア社・デッセルのプラントが閉鎖された。
MOX燃料製造は、過去には高速炉用燃料が主体であったが、西欧諸国の高速炉のあいつぐ停止により、日本でも供給が滞っている。
そのためヽ電気事業連合会は今年二月十六日、電力大手が原発の燃料として海外に保管しているプルトニウムを、各社間で帳簿上交換する契約を締結したと発表した。原発が再稼働していない社の保有分を、すでに動いている社の保有分と交換することで、早めに燃料として消費し削減できるようにするというものだ。この時点で交換するのは九電、四電の二社がイギリスに保管する計一・七トンと、東北電力、東京電力ホールディングス、中部電力、北陸電力、日本原子力発電の五社かフランスに保管する計一・七トンだった。
今回、九電と四電は、東北電などが保有するプルトニウムと帳簿上交換したうえで、フランスで処理されたMOX燃料を輸入する。九電は、フランスにはMOX燃料に加工できるプルトニウムを保有していないが、既に閉鎖しているイギリスの加工工場には保有している。そのため事業者間で融通し合うことができる枠組みを便つて、他の事業者がフランスに保有しているプルトニウムを使うとしている。
『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~高レベル放射性廃棄物の行方~』北海道放送ー参 [使用済核燃料、再処理、廃棄]
南鳥島の特徴 尾池和夫 (京都の地球科学(304/305)より )
続き
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2016年12月25日のNHKニュースで、放射性廃棄物を地下5000mで処分することを南鳥島で調査研究を海洋研究開発機構(JAMSTEC)が検討しているというニュースがあった。国は地下300メートルより深い安定した地層に処分する地層処分と呼ばれる計画で候補地を探す作業が続けられている。海洋研究開発機構が、この計画とは異なる深さ5000メートル規模の地下に処分する、新たな技術の可能性を探る基礎的な調査研究を検討している、「これについて、国の原子力委員会の元委員で、核のごみの問題に詳しい長崎大学の鈴木達治郎教授は『技術的に確立しておらず、すぐに議論ができるレベルではないが、将来的な選択肢を広げる基礎研究として意味があるのではないか』」という報道だった。
この島は白亜紀から新生代初期、今から一億年前から数千万年前のマグマ活動の火山活動で生まれたがマグマの活動は終わっている。世界で最も安定した海洋プレート上にある日本唯一の国土である。
念のために地球内部からの熱流量は実測しておくことが必要である。海底から、あるいは島の地上からのボーリングによる実測によって地温勾配を測り、物性を測って、熱流量を実測し、地下のマグマ活動の状態を知るべきである。
阪神淡路大震災の後に大きく進んだ地震計による日本列島の観測網は、とくに陸域の浅い地震はマグニチュード0や1.0の地震も見逃すことなく検知している。この地震計観測網によって海域の地震もマグニチュードのある程度大きなものは見逃さずに検知している。それで、伊豆ー小笠原の北緯三〇度付近の浅い地震では、マグニチュード3程度までは検知できている。南鳥島付近では地震がまったく起こっていないとわかっている。火山の噴火、活断層の活動による地震の発生、地すべりなどがないことがわかっている。これらの直下に起こる現象による災害は発生しない。ただし、太平洋が沈み込んでいる海溝で発生する大規模地震で津波が起こると、それが海を伝わって南鳥島にも到達するから、その予測と対策はもちろん必要である.
太平洋プレートを、そこに在る島を処理場として選ぶことは、大地の安定という条件から見て、変動帯の日本列島を国土とする日本国にとって、唯一の期待できる選択であることはまちがいない。また、一般の市民がいない島であって、政界の誘致運動などから距離を置くことができることも重要な点である。
了
『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~高レベル放射性廃棄物の行方~』北海道放送ー弐 [使用済核燃料、再処理、廃棄]
南鳥島の特徴 尾池和夫
(京都の地球科学(304/305)より http://catfish-kazu.la.coocan.jp/himindex.html )
(京都の地球科学(304/305)より http://catfish-kazu.la.coocan.jp/himindex.html )
いわゆる「核ゴミ」の処分場として、日本の国土の中では唯一、日本最東端の東京都小笠原村の南鳥島が安定した場所である。そこしか「核ゴミ」の処分に適している場所はないであろうと私、尾池和夫は考えている。
国際的に、放射性廃棄物の地層処分で検討条件は地下300m・メートルより深いという条件である。海洋研究開発機構(国立研究開発法人、JAMSTEC ジャムステック)によって南鳥島地下5000mでの処分が検討されている。多くの地球科学の研究者は、地層処分に適した安定した大地が日本列島に「広く存在する」とは、科学者は思っていない。国土の中でたった一か所、南鳥島に安定した大地があるという認識が、海洋研究開発機構(JAMSTEC ジャムステック)の考え方の基本となる。
南鳥島には施設を持つ海上自衛隊と気象庁の職員のみが上陸可能であり、それ以外は工事関係者などに限って特別な許可のもとに上陸する。
南鳥島の本州から約1800km離れた坂本崎(北緯24度16分59秒、東経153度59分12秒)は日本最東端で、島の気象は熱帯気候と亜熱帯気候の推移帯の気象で、行政上は東京都小笠原村に属している。
この南鳥島は海洋プレートの太平洋プレートに、地球表面に沿って延々と移動して来た海底に載っている島である。白亜紀から新生代初期の、今から一億年前から数千万年前のマグマ活動で太平洋プレートに生まれた火山であるが、マグマの活動はすでに終わっている。
今の南北アメリカ大陸に近いタヒチ近くの海嶺で生まれた太平洋プレートは、マントル対流で海嶺に上昇してきた物質から成り、地球の表面に沿って海嶺から両側・東西にゆっくりと水平移動しながら冷却され、厚さを増して冷たく重い硬い岩の板=岩盤になる。西の方向には年間10cmセンチメートルはど移動して来た太平洋プレートの端は日本列島の下に沈み込み、マントルにもぐり込んで、沈み込んで消滅する。南鳥島の今の位置は、太平洋プレートが生まれて約一億五千万年経過している場所で、十分冷えていると同時に100km以上の厚い玄武岩質の岩板となっている。
太平洋プレートの移動とともに、プレートが重くなって沈んで行くから、島も海中に徐々に徐々に沈んで行く。そして、その玄武岩質の岩板上に珊瑚礁が発達し、火山体の上にしだいに厚く表層の石灰岩の地層を形成した。今、1~1.5kmの厚さの石灰岩の層となっている。そして島は、裾野の直径約50kmで海底からの比高約5000mという独立した島の形となっている。
今後も太平洋プレートとともに移動して、フィリピン海プレートの下へ沈み込む。現在の南鳥島の位置から、太平洋プレートがもぐり込む伊豆小笠原海溝から約1000kmある。太平洋プレートの移動は年間10cmセンチメートル=0.1mの移動は、急に変わることがないであろうから、南鳥島が海溝からもぐり込むのは約100万年後である。それから、やがて日本列島の下に沈み込んで消滅する。
続く
『ネアンデルタール人は核の夢を見るか~高レベル放射性廃棄物の行方~』北海道放送HBCテレビ2021年5月29日放送の今日ドキッ!報道スペシャルー壱 [使用済核燃料、再処理、廃棄]
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分場選定にむけた文献調査が進む北海道寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村。4月に「対話の場」が始まった。神恵内村は大きな混乱はなかったが、寿都町では会の目的や人選などで参加者から異論が噴出し、波乱のスタートとなった。両町村には国から最大20億円の交付金がそれぞれ出るが、寿都町の住民のなかには国や町の決め方に対する根強い不信がある。
核のごみは地下300メートルより深い場所に埋める地層処分を行う。だが人体に影響がないレベルに下がるのは10万年後とされる。いまから10万年前はネアンデルタール人の時代だ。最初に花を愛でたとされる人々は核の問題を想像できただろうか。そんな途方もない時間と私たちは向き合っている。
番組では寿都町の動きを主に追う。住民から反対意見が出るのを承知しながら応じた町長の狙い。核のごみの調査応募に賛否がわかれ分断されていく町民たち。そんななか自身の人生において大きな決断をくだしたある住民とその家族の姿を描く。
また、核のごみの処分の原点にさかのぼり、1980年代に秘密裏に行われた旧動燃の全国88ヶ所を「適正地区」とした調査や元動燃主任研究員「土井和巳」証言、2004年頃に通商産業省(現経済産業省)資源エネルギー庁の官僚・伊原智人氏らが書き出回った文書「19兆円の請求書 止まらない核燃料サイクル」、http://kakujoho.net/rokkasho/19chou040317.pdf 、
2020令和2年3月発行の『學士會会報』に「東京都小笠原村南鳥島に放射性廃棄物の最終処分場を」と書いた尾池和夫氏(地質学者、静岡県立大学・学長、元京都大学総長)の提案などを伝えるとともに、最終処分場の適地をめぐる新たな動きも伝える。
地質の専門家・岡村聡北海道教育大学名誉教授は語気を強め訴える。
「10万年先に科学者は責任を持てない。いまの科学はそんなに万能ではない」
10万年後の世界をいったい誰が想像できるのか。10万年後まで責任をもって核のごみを処分できるのか。その安全は誰が保障するのか。処分地の決め方はどうあるべきなのか。議論が混迷する高レベル放射性廃棄物の行方を追った。
続く
MA-T計画・奄美徳之島再処理工場計画ー弐 [使用済核燃料、再処理、廃棄]
石油備蓄基地建設と使用済み核燃料の再処理工場・徳之島のMA-T計画を2大テーマにした本が『奄美 日本を求め、ヤマトに抗う島』である。出版社: 南方新社から2019年3月に出された。
斎藤 憲 (著), 樫本 喜一 (著)
出版社: 南方新社; 1版 (2019/3/15)
判型A5判/ 320頁
ISBN-13: 978-4861243882
発売日: 2019/3/15
販価;¥ 4,104=本体3800円+税
出版社: 南方新社; 1版 (2019/3/15)
判型A5判/ 320頁
ISBN-13: 978-4861243882
発売日: 2019/3/15
販価;¥ 4,104=本体3800円+税
目次
はじめに
第一章 同盟休校
第二章 枝手久島石油基地計画
第三章 核と奄美群島
第四章 企業誘致をめぐる瀬戸内町の軌跡(上)
第五章 企業誘致をめぐる瀬戸内町の軌跡(下)
第六章 枝手久島石油基地計画と瀬戸内町
第七章 奄美群島の現代史をどう捉えるか
あとがき
はじめに
第一章 同盟休校
第二章 枝手久島石油基地計画
第三章 核と奄美群島
第四章 企業誘致をめぐる瀬戸内町の軌跡(上)
第五章 企業誘致をめぐる瀬戸内町の軌跡(下)
第六章 枝手久島石油基地計画と瀬戸内町
第七章 奄美群島の現代史をどう捉えるか
あとがき
著者について
斎藤 憲(さいとう けん)
1958年生まれ。大阪府立大学名誉教授。理学博士。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。千葉大学助教授、大阪府立大学助教授、准教授、教授を経る。合併、改組、また合併と組織変更が絶えない大学の状況に見切りをつけ、2018年3月に定年を繰り上げて退職。専門はギリシャ数学史であるが、2009年の奄美・琉球への薩摩侵攻400年を機に奄美群島に関心を持ち、復帰後の現代史、とりわけ大規模な開発計画に対する推進・反対運動を調査してきた。
斎藤 憲(さいとう けん)
1958年生まれ。大阪府立大学名誉教授。理学博士。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。千葉大学助教授、大阪府立大学助教授、准教授、教授を経る。合併、改組、また合併と組織変更が絶えない大学の状況に見切りをつけ、2018年3月に定年を繰り上げて退職。専門はギリシャ数学史であるが、2009年の奄美・琉球への薩摩侵攻400年を機に奄美群島に関心を持ち、復帰後の現代史、とりわけ大規模な開発計画に対する推進・反対運動を調査してきた。
樫本喜一(かしもと よしかず)
1964年生まれ。大阪府立大学客員研究員。博士(人間科学)。大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士課程修了。関西大学社会学部卒業後、10年余りの団体職員勤務を経て、歴史研究の道に入る。専門は日本近現代史、特に戦後日本の核・原子力問題の歴史の解明に取り組む。
また「徳之島は使用済核燃科再処理工場の建設に最適地」との動きに抗し「死の灰から生命を守る町民会議」が徳之島にある三町村では、それぞれ結成されたと伝える『奄美戦後史: 揺れる奄美、変容の諸相』も、南方新社が2005年9月に刊行した。
単行本: 379ページ
ISBN-13: 978-4861240591
発売日: 2005/9/20
購入は南方新社
http://www.nanpou.com/?mode=f3
1964年生まれ。大阪府立大学客員研究員。博士(人間科学)。大阪府立大学大学院人間社会学研究科博士課程修了。関西大学社会学部卒業後、10年余りの団体職員勤務を経て、歴史研究の道に入る。専門は日本近現代史、特に戦後日本の核・原子力問題の歴史の解明に取り組む。
また「徳之島は使用済核燃科再処理工場の建設に最適地」との動きに抗し「死の灰から生命を守る町民会議」が徳之島にある三町村では、それぞれ結成されたと伝える『奄美戦後史: 揺れる奄美、変容の諸相』も、南方新社が2005年9月に刊行した。
単行本: 379ページ
ISBN-13: 978-4861240591
発売日: 2005/9/20
購入は南方新社
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タグ:再処理工場