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北朝鮮 ICBM--2023 [日々の雑感]

平壌-目安時間 Google マップ.jpg
今年2023年に入って北朝鮮がICBMを打ち上げたのは、日本時間12月18日で5回目になる。
 今回のICBMは固体燃料型。従来の液体燃料式に必要だった燃料注入などの作業が不要だから、ミサイル保管や移動が簡便で、迅速に発射したとみられる。
午前8時24分ごろ首都平壌付近から北東の方向へ発射し、高角度で打ち上げる「ロフテッド軌道」をとり、最高高度6000キロ超に達し73分後に約1000キロ先の北海道西方の奥尻島の北西の日本海に落下
弾頭の打ち上げ角度を浅くし、射程を最も長くする「ミニマムエナジー」軌道を採れば、米本土全体を射程に収められたとみられてる。
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ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) – ノート⑪ [日々の雑感]

ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) ノート⑤


第六章 東側の原子力 
4 燃料サイクル
州都のトムスクTomsk市から北西に15kmの地に、ソ連政府は核分裂爆弾用の高濃縮ウランとプルトニウムを生産する軍事工場の建設を1949年3月に決定した。工場は1953年に稼働開始し、ウラン濃縮やプルトニウム生産用軽水冷却黒鉛減速炉の運転、炉から発生する使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す再処理などを行い始めた。1956年に都市としてセヴェルスク(Се́верск, Seversk)名で登録された。しかし軍事工場であったから、秘密都市とされ、郵便番号であるトムスク-7という名で呼ばれていた。(ソ連が崩壊し、現在はセベルスク Severskと呼ばれる。ただし市に入るのは許可が必要。)核弾頭を生産し1958年に核兵器工場 (AES-1) になった。
 山の内部に何キロメートルもトンネルを掘り、三基のプルトニウム生産用軽水冷却黒鉛減速炉(Ivan1、Ivan2、ADE-3)と複雑な放射化学地下工場を設置した。ATOMICA資料に依ると炉は、天然ウランつまり核分裂性のウラン235がウランの0.75%の鉱石を核燃料とした黒鉛減速炉だ。
 プルトニウムは、陽子数・原子番号94だ。天然ウラン鉱石中のウラン238(陽子92ケ中性子146)に中性子が衝突・捕獲されるとウラン239(陽子92ケ中性子147)となる。原子炉では、ウラン235の核分裂で発生する中性子が供給される。ウラン239は半減期23.45分で、中性子が陽子とβ線を出し崩壊(β-崩壊)しネプツニウムNp239(陽子93ケ中性子146)になり、さらにβ-崩壊(半減期2.355日)しプルトニウムPu239(陽子94ケ中性子145)となる。プルトニウムPu239は、半減期は2万4,110年、高い核分裂性を有する。その特性から、核分裂爆弾に用いられる。
 ただし、更に再度、プルトニウムPu239(陽子94ケ中性子145)に中性子が衝突・捕獲すると、62%から73%は核分裂を起こし、残りがプルトニウムPu240に変化する。プルトニウムPu240は、高い確率で自発核分裂(415,000分裂/秒-kg)を起こす【Pu239の確率は10分裂/秒-kgと小さい】それで中性子が放出・発生する。それにより取り扱いが困難であり、PU239などが核分裂を起こすことがある。核分裂爆弾には適しいていない。爆弾用・兵器級には、7%未満が望ましい。原子炉に長く留まっているほど、燃料中のプルトニウム240の相対割合は大きくなる。爆弾用・兵器級には、90日間程度使用した核燃料で得られる。
 ソ連・ロシアのプルトニウム生産用軽水冷却黒鉛減速炉は燃料チャンネルと呼ぶ圧力管が集まった構造をしており、炉全体は稼働したままでも圧力管ごとに稼働を停止、発動できる。それで、90日程度稼働した圧力容器・燃料を停止させ、核燃料を取り出し・交換できる。取り出した使用済み核燃料からプルトニウムを採り出す処理(再処理)をし、兵器級7%未満のプルトニウムが得られる。
 ソ連時代、核爆弾が盛んに製造した時期は発熱≒発電・熱供給よりも、プルトニウム生産が優先した原子炉運用がされた。軽水冷却黒鉛減速炉は、含まれるウラン−235が0.4%、プルトニウム−239が0.25%になるまで核燃料が使える。日本で用いる軽水炉では、ウラン−235が約1%で停止、交換されてる。  【この項目を続きます】
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1991年にソビエト連邦大統領ゴルバチョフが辞任しソ連が崩壊した。そして、ロシアは1992年に環境保護法を制定。第50条で、旧ソ連・東欧諸国の旧ソ連製原子炉(黒鉛チャンネル炉とロシア型加圧水型原子炉)の使用済核燃料以外の、放射性廃棄物及び核物質の輸入が禁じた。2001年7月に、諸外国からの使用済核燃料を一時貯蔵ないし再処理の目的で輸入可能とする同法及び原子力法改正案が成立した。これで、フランスのアレバAREVA社 のラ・アーグ使用済核燃料再処理工場からの、再処理後の劣化ウランをロシアは一時貯蔵などの名目で、引き受けているのだろう。
続く

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ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) – ノート⑩ [日々の雑感]

ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) ノート⑤


第六章 東側の原子力 
4 燃料サイクル
  フランスのアレバAREVA社 のラ・アーグ使用済核燃料再処理工場は、再処理後にでるウラン235の割合が天然ウランより少なく0.75%以下の固体の劣化ウランはロシア・西シベリア南部でバイカル湖西部付近へ送っている。露・トムスク州と契約し、シベリア化学コンビナート (Siberian Chemical Combine、SCC) に送っている。
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濃縮の施設に輸送された大半がそのままコンテナに入れられ、無防備に野ざらし状態で保管されていると指摘されている。大陸性気候で,平均気温は1月-21~-19℃,7月 17~18℃。年降水量 400~550mm。(世界平均は880mm、日本は年平均1718mm)だから、野ざらしなのだろうか。
⇩グーグルマップで確認できる広大な敷地に野積されている核廃棄物コンテナ群 

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州都のトムスクTomsk市から北西に15kmの地に、ソ連政府は核分裂爆弾用の高濃縮ウランとプルトニウムを生産する軍事工場の建設を1949年3月に決定した。工場は1953年に稼働開始し、ウラン濃縮やプルトニウム生産用軽水冷却黒鉛減速炉の運転、炉から発生する使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す再処理などを行い始めた。1956年に都市としてセヴェルスク(Се́верск, Seversk)名で登録された。しかし軍事工場であったから、秘密都市とされ、郵便番号であるトムスク-7という名で呼ばれていた。(ソ連が崩壊し、現在はセベルスク Severskと呼ばれる)
核弾頭を生産し1958年に核兵器工場 (AES-1) になった。山の内部に何キロメートルにも及ぶトンネルを掘り、三基のプルトニウム生産用軽水冷却黒鉛減速炉と複雑な放射化学地下工場を設置した。
続く


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ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) – ノート➂ [日々の雑感]

ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) ノート➂


第五章 原子力発電の夢 ―経済停滞とエネルギー危機のなかで  
2 発電所用軽水炉開発  
 ノヴォ・ヴォロネジ原発一号炉 /沸騰水型軽水炉開発の蹉跌 / «ББЭ P  —  1000 »型・ブブエル-ティースィチャ
軽水炉において、(軽)水は、核分裂によって生じる中性子に速度(エネルギー)を制御することで連鎖反応を促進する減速材と、炉で生じる熱を運ぶ冷却材の二つの役割を兼ねているが、水の加熱によって生じる蒸気の水疱は十分な冷却能を持っていない。
蒸気の発生を抑えるため、あらかじめ水を加圧して沸点を高めておくタイプの軽水炉を加圧水型と呼ぶ。
炉では「1次冷却水」の熱水をつくり、これを蒸気発生器に送って別の水(2次冷却水)を沸騰させて蒸気をつくり発電。
ロシア型加圧水型原子炉(ロシア語: ВВЭР , ラテン文字転写:  VVER,  英:WWER)
ソ連の加圧水型は、100気圧に加圧し約300℃ [日本は約157気圧をかけて、320℃]

図5-2.jpg
一次冷却水系が高圧状態にあるため原子炉壁の脆化が起こりやすい。
脆化(ぜいか、英語:embrittlement)とは、金属やプラスチックなどが壊れずに変形する性質の展延性や外力によって破壊されにくい、粘り強さの性質・靱性(じんせい)を失い、脆(もろ)く壊れやすくなること。
二次系の蒸気発生に伴う振動、熱的なひずみ等から蒸気発生器には非常な無理がかかっていて、損傷の進み方が激しい。
ソ連では、こうした点よりも、軽水炉は燃料交換時に完全停止しなければならないから運転効率が悪い、黒鉛チャンネル炉は核分裂反応が進んだ核燃料を内包する作業チャンネル(圧力管)を随時に、炉自身は継続使用し随時交換。それと二次冷却水回路が必要から熱効率が悪い。こうした効率が問題視された。
ロシア型加圧水型原子炉VVERの話が続く

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ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) – ノート➁ [日々の雑感]

ソ連核開発全史 (ちくま新書 1694) ノート➁


第五章 原子力発電の夢 ―経済停滞とエネルギー危機のなかで  
1 黒鉛チャンネル炉  
 ベロヤルスク原発一号炉 /ジェジェルン博士の警告 / «РБМ Қ - 1000型 ・るぶむく-ティースィチャ/その普及
「チャンネル型大出力炉」イニシャルРБМ Қ エルベーエムカー
その出力の大きさ、コストの相対的安さだけでなく、
格納容器が不要で、燃料交換がしやすく、作業チャンネルが蒸気発生にも蒸気過熱にも使えて必要な熱量を得やすく容積に占める水の割合が小さいので核分裂反応に水が及ぼす影響が低く抑えられ、黒鉛の土台の大型化とチャンネルの増設によって容易にスケールアップが可能が利点。
黒鉛チャンネル炉は、核分裂反応が進んだ核燃料を内包する作業チャンネルを随時に、炉自身は継続使用し随時交換。
ソ連の原子力発電に占める黒鉛チャンネル炉は66%
ソ連の原子炉専門家の間では「黒鉛チャンネル炉は出来が悪いもの」
汽水混合体を冷却に利用するこのРБМ Қ炉では、何らかの理由で蒸気量が増えると水への中性子の吸収が減り、核分裂反応が促進されるという「正のボイド反応度係数」である。このため暴走の危険性が指摘された。
暴走・・チェルノブイリ原発
図5-3.jpg
ATOMICA より
黒鉛減速沸騰軽水圧力管型原子炉(RBMK 英語呼称はLWGR))
は、原子炉冷却材には軽水を、中性子減速材には黒鉛を、燃料には低濃縮ウランの二酸化ウランを採用している発電用原子炉である。燃料集合体を圧力管(燃料チャンネル)の中に置き、この圧力管中に軽水を流して燃料から熱を採るしくみである。圧力管中で沸騰した軽水は気水分離器(蒸気ドラム)に送られ、蒸気として分離されタービン発電機に送られ発電を行う。
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