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使用済み核燃料プールの損傷による漏水、溢水 2017KKパブコメ④ [KKパブコメ]

水があふれ出ることを「いっ すい・溢水」という。国土交通省では、川などの水があふれ出ること全般に「溢水」。堤防のあるところでは「越水・えっすい」を使い、堤防がないところでは「溢水」を使っておりやや混乱している。原発では、津波など施設建屋外部からを外部溢水、施設内からを内部溢水と使い分けることがある。審査書(案)で「Ⅲ-7 溢水による損傷の防止等(第9条関係)」で扱い、109頁からの118頁に記載してある。審査対象に「5.溢水防護区画を内包する建屋外で発生した溢水に対する流入防止に関する設計方針」を挙げているから、内外区別していない。
法的には「施設内における溢水が発生した場合においても安全施設の安全機能が損なわれないように設計することを要求」「施設内の放射性物質を含む液体を内包する容器又は配管の破損によって当該容器又は配管から放射性物質を含む液体があふれ出た場合において、当該液体が管理区域外へ漏えいしないように設計することを要求」(審査書(案)109頁)とある。
溢水による損傷の防止する安全施設は「原子炉の高温停止、低温停止を達成し、これを維持するために必要な設備、放射性物質の閉じ込め機能を維持するために必要な設備並びに使用済燃料プールの冷却機能及び給水機能を維持するために必要な設備」を挙げている。(審査書(案)109頁)
そして溢水を4分類している。溢水として、(1)破損による溢水、(2)消火水等の放水による溢水、(3)地震による溢水及び(4)その他の要因による溢水である。
故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾による原子炉建屋の使用済燃料プール自体の損傷での漏水・溢水は、字面から(1)破損による溢水に当たり、常設の消火系ポンプや消防車など代替注水系による注水の漏水・溢水は、(2)消火水等の放水による溢水に当たると考えられる。
事業者・東京電力は(1)破損による溢水は、溢水源として配管の破損箇所をあげている。弁閉鎖などでの漏水箇所の隔離までに必要な時間「隔離時間」に、配管の破損形状を考慮した流出流量を乗じて溢水量を算出している。(2)消火水等の放水による溢水は、単位時間当たりの放水量と最長3時間の放水時間から溢水量を設定している。溢水する時間は、消火栓からの放水時間の3時間に設定されている。規制委員会はこれで良しとしている・。
故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾によるプールの壁面や底面の損傷は検討の対象外である。それらに穴・破損口が空き、漏水・溢水は考えられていない。プールの壁面や底面の損傷口の大きさは、予測不能である。しかし、プールへの注水に用いるポンプ毎にある注水上限量を目安に区分けして、対応を検討できる。
6、7号機はMUWC復水補給水系ポンプの注水量300立方メートル/時間が最上限、消火系ポンプの177立方メートル/時間が次上限、A-1ポンプ規格消防車の168立方メートル/時間が次々上限、A-2ポンプ規格消防車の120立方メートル/時間が最下の上限となる。損傷口からの漏水・溢水量が300立方メートル/時間を超えるならば、いずれのポンプを用いてもプール水位の低下は緩和するだけである。300立方メートル/時間ならば、MUWC復水補給水系ポンプを用いられれば停止する。それ以外のポンプしか使えないならば、低下を緩和するだけである。
漏水・溢水量が300~177立方メートル/時間ならば、MUWCポンプを用いられれば水位は回復。MUWC以外ならば水位の低下は緩和。177立方メートル/時間ならば、MUWCポンプでは水位は回復。消火系ポンプで水位低下は停止、消防車なら緩和。漏水・溢水量が177~168立方メートル/時間ならば、MUWCポンプと消火系ポンプでは水位は回復。消防車では緩和。168立方メートル/時間ならば、MUWCポンプと消火系ポンプでは水位は回復。A-1ポンプ規格消防車で水位低下は停止、A-2ポンプ規格消防車なら緩和。168~120立方メートル/時間ならば、MUWCポンプと消火系ポンプとA-1ポンプ規格消防車では水位は回復。A-2ポンプ規格消防車では緩和。120立方メートル/時間より小さければ、いずれのポンプも水位は回復する。
このように、使用済み核燃料を包むプール水位低下は使用できる注水ポンプによって緩和、停止、回復の何れかの経過をたどるが、漏水・溢水はどの場合も続く。使用済燃料プール自体の損傷が修復されない限り、続く。

事業者・東京電力は修復のために、ステンレス鋼板、シール材、接着剤及び吊り降ろしロープを用意して、漏えい部へのそれら鋼板の設置等を行う方針を立ている。その効果は「不確実性はあるものの、大量の水の漏えいを緩和する手段となり得る。」と事業者・東京電力自ら認めている。(審査書(案)406頁)つまりその設置に成功し、損傷口の例え9割を閉鎖し大量の水の漏えいを緩和えたとしても残る1割の損傷口からの漏水・溢水は止まらない。永続的に続く。

消火系ポンプや消防車などによるプール注水でプール水位の低下は緩和、停止、回復するが、事業者・東京電力自ら認めているように水位の低下は緩和、停止、回復するが、鋼板の設置等しても損傷口から漏水・溢水は止まらない。この溢水は、床ドレン、開口部、扉等を経路として安全施設のある溢水防護区画に流入することになる。

その漏水・溢水には、使用済み核燃料の使用済み燃料ペレットやその破片が、つまり放射能が含まれると考えられる。故意に衝突した大型航空機やその破片部品、着弾した弾道ミサイル弾頭やその破片は、プールの壁面や底面に損傷を与える際に中にある使用済み核燃料棒を破損するだろうからである。破損した燃料棒から使用済み燃料ペレットやその破片が出るだろう。それが漏水・溢水に混じっている。第9条第2項で管理区域外へ漏えいしないよう要求している、放射性物質を含む液体である。この溢水は、床ドレン、開口部、扉等を経路として安全施設のある溢水防護区画に流入することになる。

流入する漏水・溢水で溢水防護区画は、溜まる水で水位が上がり続ける。プール破損口から漏水・溢水が永続的に続くから、水位は上がり続ける。防護対象の安全設備の機能が損なわれるおそれがある高さ「機能喪失高さ」を、やがて上回ることになる。設備は没水する。事業者・東京電力は防護対象設備の周囲に浸水防護堰を設置する等の個別的策や、多重性又は多様性を有する防護対象安全設備は同時に没水により機能が損なわれない別区画に設置するなどの策を、没水にたいして採るとしている。(審査書(案)114頁)しかし、使用済み核燃料プールは4階にあるからプールの壁面や底面の損傷口は、安全施設のある溢水防護区画よりも上にある。そこからの漏水・溢水は永続的に続くから、いずれ浸水防護堰は越水されるし、多重性又は多様性を有する防護対象安全設備を設置した別区画にいずれ流入し、安全設備は没水することになる。建屋内の区画が、全て没水して区画外に流れ出来るのではないか?その水には、破損した燃料棒から使用済み燃料ペレットやその破片が、放射性物質が含まれている。第9条第2項で管理区域外へ漏えいしないよう要求している、放射性物質を含む液体・水である。

審査書(案)の「5 大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応」では、使用済み核燃料プールの損傷による溢水を論議、検討し審査が全く無い。
審査不足であり、やり直しを求める。

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柏崎刈羽原発の使用済み核燃料 2017KKパブコメ③ [KKパブコメ]

故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾では、原子炉建屋の使用済燃料プール自体が損傷することが想定される。その損傷によりプール保有水の漏洩がおこり、消防車など代替注水系の注水量より多いとプール水位が低下する。使用済み核燃料の有効根量頂部よりも低くなると、燃料溶融メルトダウンが起こりうる。

使用済み核燃料の有効長頂部までの保有水は、6号機約1597立方メートル、7号機約1673立方メートル。(第207回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合提出資料1-3-1 000100445.pdfの添4.1.1-2頁の記述より)
損傷による漏水口の大きさが約53平方cm(プール総底床面積の約0.002%)で漏水量が300立方メートル/時間なら、代替注水系による注水がなければ6号機は約5時間20分後、7号機は約5時間35分後には使用済み核燃料が頭を出す。MUWC復水補給水系の電動ポンプ2台で300立方メートル/時間の注水なら、注水開始の時点の水位に保たれる。しかし消火系ポンプの177立方メートル/時間ならば漏水量は123立方メートル/時間に減り、その速さが40%に、A-1ポンプ規格消防車で168立方メートル/時間注水なら速さ44%に、A-2ポンプ規格消防車で120立方メートル/時間の注水なら速さが60%に落ちるが続き、使用済み核燃料は頭を出し徐々に露呈長が長くなる。水上に出た露呈部分は崩壊熱で高温化し燃料溶融メルトダウンにむかう。(代替注水系の注水量は、提出資料1-3-2 000100442.pdfの136頁の記述より)


このように、代替注水を一刻も早く行う必要がある。故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾で原子炉建屋の使用済燃料プール自体が損傷する事が想定される事態では、建屋内に人が入って、ポンプ類機器類の操作、修復、燃料補給や修復ができないことが想定される。注水口のある原子炉建屋の最上階のオペフロ・オペレーションフロアまで人がいけないことも想定される。外部から持ち込まれる消防車や放水砲に頼ることになる。消防車は建屋壁にある接続口付近にまで近接しなければならない。放水砲は原子炉建屋から約82mの範囲内で仰角50度以上で設置しないと建屋トップ(屋根トラス)まで放水できない。直状放射で放水しても建屋での到着点では霧状になっていると東京電力は言っているので、放水量の内どれ位がプールに入り注水量になるか不明である。(放水砲については、第288回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合の配布資料1 000128013.pdf の添付資料2.1.13より)
消防車などの原子炉建屋接近に、故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾する状況では、航空機の燃料などによる大規模火災、不発弾頭や散布されるであろう時限信管をつけた子爆弾の処理といった特有の困難が考えられる。


大規模火災の消火に掛かる時間や爆弾処理に掛かる時間(自衛隊など処理を行える部隊の発電所到来の時間、処理作業の時間など)により予想される消防車などによる注水開始予想時刻、注水量と、プール漏水量によって、水位と注水開始後の水位経過が決まる。漏水量が先程の300立方メートル/時間なら、先程のタイムテーブルで事態が進む。消火作業や爆弾処理がとても短くて済み約12~24時間後に注水開始の見通しだとする。注水はプール全体、使用済み核燃料全体を冷ますために、スプレイ散水だろう。


6号機のプール保有水の総量は2085.14立方メートル、7号機は2214立方メートルだから、保有水が全く無くなっている。使用済み核燃料の頂部は6時間半~18時間も露呈して、高温化している。東電の想定では、約3240体の使用済み核燃料集合体がプ-ル中にある。その内の870体が10日間水冷却されたが崩壊熱の多い(約16トンの水を1時間で蒸発させる熱量)定期検査時取出し燃料。その頂部は特に高温だ。(資料1-3-1 000100445.pdfの添4.1.1-4頁の記述より)そこに冷水がスプレイ散水されるから、サーマルショックなどで燃料被覆管が破れる破損が起こる。そして使用済みの核燃料ペレットやその破片が出て飛び散ることになる。それらは、放射能の塊だ。そして使用済み核燃料プールの損傷口から、注水された水とともに原子炉建屋内に流れ出ることになる。TMI-2事故炉で事故炉配管で起きたことが、原子炉建屋全体、6、7号機R/B全域で再現される。TMI-2では燃料の98.9%は回収されたが、約1100キロは回収できず、嵩でミカン箱で11個くらい分の使用済み核燃料ペレットが、蒸気発生器や一次冷却水の配管の中にある。(烏賀陽 弘道 著、原発事故 未完の収支報告書 フクシマ2046 より)それに似た状況が建屋内に再現する。そうなれば、ポンプ類など機器類や弁の操作、修復、燃料補給などに建屋内に人が入ることが事実上できなくなる。
対策としては、3サイクル・約49か月間水冷却をした使用済み燃料1420体をプールから取出し、離れた場所に建設する乾式保管・空冷保管の施設に移す。空いた場所を利用し崩壊熱の多い定期検査時取出し燃料を保管する2重の容器を設置するといったことが考えられる。
こうした、故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾などで起こるであろう事態を論議し審査していない。対策していない。
審査をやり直すべきである。

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柏崎刈羽原発のテロ・弾道ミサイルによる使用済み核燃料プールの損傷対策 2017KKパブコメ② [KKパブコメ]

審査書(案)の477から481頁に、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応の審査結果が記載してある。審査対象には「使用済燃料貯蔵槽の水位を確保するための対策」があげられている(477頁)。以降の各項目についての審査内容の記述では、この対策は出てこない。これは397から407頁の「Ⅳ-4.11 使用済燃料貯蔵槽の冷却等のための設備及び手順等」に記載している審査が
、テロリズムへの対応としての審査としても十分であると規制委員会は判断していると理解する。(使用済燃料貯蔵槽は、使用済燃料プールとも記される。)

その「4-4.11」では、「使用済燃料プールの冷却機能又は注水機能が喪失(以下「想定事故1」という。)し、又は使用済燃料プールからの水の漏えいその他の要因(以下「想定事故2」という。)により当該使用済燃料プールの水位が低下した場合において貯蔵槽内燃料体等を冷却し、放射線を遮蔽し、及び臨界を防止するために必要な設備及び手順等を整備することを要求している。(398頁)」とある。
第207回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合の配布資料「柏崎刈羽原子力発電所6号及び7号炉 重大事故等対策の有効性評価について」とその補足説明資料の記述によれば、想定事故1は使用済燃料プールの冷却機能又は注水機能の喪失により崩壊熱でプール水温が上昇し蒸発により水位が低下する事故である。想定事故2はプールからの水の漏洩により、水位が低下する事故である。
東京電力の事故想定では、事故想定1の崩壊熱での蒸発は事故発生から約7.5時間後から始まり約19立方メートル/時間、事故想定2の水位プールからの水の漏洩は、漏洩口面積は総底床面積約252万平方cmの0.0005%の約12.3平方cmで、量は約70立方メートル/時間である。
故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾では、原子炉建屋の使用済燃料プール自体が損傷する事が想定される。その損壊によりプールのヒビや破損口や、配管の切断が生じ、それらの漏洩口が約630平方cm、漏洩量が約70立方メートル/時間であるとは限らない。プールの保有水は、使用済み核燃料の有効長頂部まで6号機約1597立方メートル、7号機約1673立方メートルであり、それこまで抜けたら、その後は使用済み核燃料は水面上に出る。崩壊熱で燃料溶融メルトダウンへ向かう。保有水の総量は6号機約2085立方メートル、7号機約2214立方メートルである。
むろん、代替注水系によるプールへの注水の手順が定められている。常設のMUWC復水補給水系の電動ポンプ2台で300立方メートル/時間か、消火系ポンプの177立方メートル/時間か、A-1ポンプ規格消防車の168立方メートル/時間か、A-2ポンプ規格消防車の120立方メートル/時間の注水の何れかが可能である。また外部から放水、放水銃による放水を行うと東電はしている。(この方針は第288回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合の配布資料「柏崎刈羽原子力発電所 6 号及び7 号炉 大規模な自然災害又は故意による大型航空機の衝突その他テロリズムへの対応について」 000128013.pdfの2.1-8頁記述より、代替注水系の注水量は、提出資料1-3-2 000100442.pdfの136頁の記述より)

原子炉建屋の使用済燃料プール自体が損傷する事が想定される事態では、原子炉建屋の最上階のオペフロ・オペレーションフロアまで人がいけないことも想定される。建屋内に入って、ポンプ類への燃料補給や修復ができないことが想定される。プール損傷口からの漏水は原子炉建屋の内部溢水になるから、その溢水による非常用発電機などの機器の故障も想定される。外部から持ち込まれる消防車や放水銃に頼ることになる。

消防車などの原子炉建屋接近に、故意による大型航空機の衝突、弾道ミサイル弾頭の着弾する状況では、特有の困難が考えられる。一つは航空機の燃料などによる大規模火災、一つは不発弾頭や散布されるであろう時限信管をつけた子爆弾の処理があげられる。大規模火災対策は、審査されている。爆弾処理は、事業者・東京電力の手に余ることは、もとより明白である。自衛隊などの政府機関に連絡通報し、任さざるを得ない。しかし、処理作業終了し消防車などが接近できるまでの間の使用済み核燃料プールの水位低下には、事業者・東京電力が対処できる技術的能力を有しており、対処すべきである。これは、審査されていない。
審査をやり直すべきである。

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柏崎刈羽原発のテロ・弾道ミサイル対策 2017KKパブコメ①追記 [KKパブコメ]

審査書(案)の477から481頁に、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムへの対応の審査結果が記載してある。それには、重大な審査漏れがある。9.11のように大型航空機の衝突が予測される場合の対応策が審査されていない。数分後に衝突する航路をとる大型航空機などが発見された場合には、大規模損壊が発生する前に、原子炉のスクラム緊急停止が必要である。Jアラートのように、弾道ミサイルにより、東日本など広域への弾頭や破片の落下が予測される場合も、同様に原子炉のスクラム緊急停止が必要である。このように、大型航空機の衝突などで大規模損壊が発生が予測される場合には、損壊する前に原子炉のスクラム緊急停止が必要である。
その手順の有効性を審査していない。

Jアラートでスクラム緊急停止せよ

例えば、射程約1000~5500kmの中距離弾道ミサイルは発射から約10~20分飛行し、弾頭の再突入速度はマッハ約9~21と言われる。射程約 1000km以下の短距離弾道ミサイルは発射から約5~10分飛行し、弾頭の再突入速度はマッハ約3~6と言われる。(防衛省の「弾道ミサイル防衛」平成20年3月 より)ちなみに、戦艦大和の主砲の弾頭(徹甲弾)は1460kg、距離2万mでの砲撃での落下速度(撃速)は522m/秒・マッハ約1.5と言われている。この主砲の弾頭(徹甲弾)のE運動エネルギーを1とすると、ミサイルの着弾する弾頭のE運動エネルギーは次のように見積もられる。E運動エネルギーは質量×速度の二乗だから、速度の比から短距離ミサイルでは4~16倍、中距離弾道ミサイルでは36~196倍される。次にミサイル弾頭の質量の違いの比率分の違いがかけ加えられる。例えば500kgなら0.34、1000kgなら0.68、2000kgなら1.34倍される。弾頭が500kgで再突入速度が約マッハ3の短距離ミサイルなら、Eは大和の主砲の弾頭1.3発分。弾頭が1000kgで再突入速度が約マッハ9の中距離ミサイルでE≒24.5発分、弾頭が2000kgで再突入速度が約マッハ21の中距離ミサイルでE≒262.6発分になる。大和の主砲の弾頭は徹甲弾であるため単純な金属の固まりであるが、ミサイル弾頭は詰められた炸薬が爆発し、その爆発エネルギーが、E運動エネルギーに加わる。時限信管の子爆弾などの散乱も起こりうる。

また、時限信管を付けた子爆弾が散布されることも考えられる。爆撃終了後に爆発するよう時限信管を設定した爆弾は、復旧を遅らせる目的で、先の大戦で米国によって多用された。落下する弾道ミサイルには日本のミサイル防衛で軌道を変えられた弾頭や、部品も考えられるが、ここでは飽和攻撃による着弾で検討する。飽和攻撃とは、防御側が一時に対処できる量(防御能力)を上回る攻撃を一時に加えることによって、防御能力が飽和してしまった状態を作り出し、必ず相手に打撃を与える戦術である。使用されるミサイルの命中率が100%ではないので、必ず複数のミサイルを使うから、複数着弾を想定する。 青字は追加個所


審査書(案)では、着弾による加えられる運動エネルギー、爆発エネルギーによる「大規模損壊によって発電用原子炉施設が受ける被害範囲は不確定性が大きく、あらかじめシナリオを設定した対応操作は困難であると考えられることなどから、環境への放射性物質の放出低減を最優先に考えた対応を行う」と記載している(478頁)。確かに、「施設が受ける被害範囲は不確定性が大きく、あらかじめシナリオを設定した対応操作は困難である」が、大規模損傷発生前の着弾の際に原子炉が運転中では、制御棒の挿入が行えなかったりして反応度事故、原子炉暴走に至る蓋然性がある。原子炉が停止していれば、反応度事故、原子炉暴走の懸念は大幅に減少し、杞憂にすることができる。大型航空機の衝突なども、同様である。したがって、Jアラートなどで日本政府から警報が発令された場合に、可及的迅速にスクラム緊急停止の対応操作が必要である。


2017年08月29日 06時02分に発令されたJアラートは、5時57-58分ごろ発射された弾道ミサイルを対象とした。2017年09月15日 07時01分の発令は6時57分ごろ発射された弾道ミサイルを対象としている。現状では、Jアラートはミサイル発射から約5分後に発令されてる。だから、短距離弾道ミサイルの約5~10分、中距離弾道ミサイルの約10~20分の飛行時間から検討すれば、Jアラートが発令されたらJアラートを受信し、発令が誤報か否か、スクラムの必要性を何れかの部署が判断し、中央操作室・所の運転員にスクラム緊急停止を指示し、運転員が原子炉をスクラムさせ核燃料を高温停止状態にもっていく対応操作を、警報発令から3~4分以内に終える手順等を整備する事が、事業者の東京電力には求められている。短距離の約5分で着弾する弾道ミサイルの場合には間に合わないが、警報発令から3~4分以内に終える手順等を整備が求められる。

原子力規制委員会は、そうした手順等の整備状況、整備された手順書を審査していない。
審査をやり直しをもとめる。

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