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2020年12月22日、第15回避難方法検証委員会❺感染症流行との複合災害時Ⓐ [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


議事と資料 
(6)新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護について 
資料 No.8で委員長案が示された。
虹屋オヤジの感想
新型コロナウイルスに限らず新規感染症への政府対応策は、内閣官房の新型インフルエンザ等対策室 が纏めている。https://www.cas.go.jp/jp/influenza/
その「過去の新型インフルエンザ対策行動計画」では 、最も早いのは、2005平成17年11月15日に出た【新型インフルエンザ対策行動計画」の概要について】である。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku_archive.html
その全体版には、《新型インフルエンザに対する国際的な取組としては、世界保健機関(WHO)が。2005年(平成17年)5月に「WHO Global Influenza Preparedness Plan(WHO世界インフルエンザ事前対策計画)」を公表し、各国がこれを基準として自国の国民を守るための行動計画の策定を進めている。我が国においても、今般、それに準じて「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定する。》とある。
WHOの計画和訳 http://idsc.nih.go.jp/disease/influenza/05pandemic/EAResponse05.pdf  

策定された2005
平成17年「新型インフルエンザ対策行動計画」より、覚え書きする。それには、最新版・2017平成29年9月12日版で加わった部分・変更部分を《追記》する。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/keikaku/pdf/h29_koudou.pdf
背景として【 20世紀では、1918年(大正7年)に発生したスペインインフルエンザ大流行が最大で、世界中で約4千万人が死亡したと推定されており、我が国でも約39万人が死亡している。また、1957年(昭和32年)にはアジアインフルエンザ、1968年(昭和43年)には香港インフルエンザがそれぞれ大流行を引き起こして記録されている。
近年、高病原性鳥インフルエンザの発生が依然として拡大・流行が継続しており、ヒトからヒトへ感染する新型インフルエンザの発生の危険性が高まっている。 】
 【 新型インフルエンザは、およそ10年から40年の周期で発生する。毎年流行を繰り返してきたウイルスとは表面の抗原性が全く異なり、ほとんどの人が新型のウイルスに対する免疫を持っていないため、世界的な大流行(パンデミック)となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらす。
《追記 また、未知の感染症である新感染症の中でその感染力 の強さから新型インフルエンザと同様に社会的影響が大きいものが発生する可能性がある。これらが発生した場合には、国家の危機管理として対応する必要がある。》
流行規模の想定 より
【 この推計は、米国疾病管理センター(CDC)により示された推計モデル(FluAid 2.0 著者Meltzerら、2000年7月)を用いて、我が国の状況をそのまま当てはめて行ったものである。
推計の結果、全人口の25%が新型インフルエンザに罹患すると想定した場合に医療機関を受診する患者数は、約1,300万人~約2,500万人(中間値約1,700万人)と推計されている。
上限値の約2,500万人を基に、過去に世界で起こったアジアインフルエンザ等を中等度(致死率0.53%)、スペインインフルエンザを重度(致死率2%)として推計した。
その上限値は、中等度の場合では入院患者数は約53万人、死亡者数は約17万人。
重度の場合では入院患者数は約200万人、死亡者数は約64万人と推定。
流行が8週間続くという条件・仮定での入院患者の発生分布の試算では、中等度の場合での1日当たりの最大入院患者数は、流行発生から5週目に10万1千人。重度の場合には、1日当たりの最大入院患者数も増大すると推定される。】
新型インフルエンザ等対策ガイドライン(平成30年6月21日 一部改定)p68_図b.jpg
53~55 頁、資料 No.8 新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護(委員長案)
続く

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バイデン次期米大統領と日本・菅政権のエネルギー政策(壱) [エネルギー基本計画]

原子力産業新聞 2020年12月号
国際社会を象徴するバイデン次期米大統領のエネルギー政策  市川眞一 イチカワしんいち
覚書
トランプ大統領とバイデン氏の政策には、いくつかの点で大きな違いがあり、目立つのは経済政策である。
バイデン氏は、米国の社会が分断圧力に晒されている要因を経済格差の拡大とし、選挙では政府による所得の再分配強化を主張してきた。つまりは伝統的な「大きな政府」だ。その財源として大型の増税を公約しており、対象はキャピタルゲイン、企業、そして高額所得者層とされている。
バイデン次期大統領は、地球温暖化対策の強化を打ち出し、それを米国経済の成長に結び付けるよう主張している。
バイデン次期大統領の地球温暖化に関する政策は、次の5つの点に集約できるだろう。
⑴遅くとも2050年までに100%クリーンエネルギー化し、ゼロエミッションを達成する
⑵温暖化抑止技術の開発、インフラ整備に10年間で1兆7千億ドルを支出、5兆ドルの民間投資を誘発する
⑶EVの普及を促進する
⑷パリ協定に再加入し、他国の温暖化対策を後押しする
⑸政権1年目で具体策を立案し法律を制定する
政策が際立っているのは、米国において伝統的に強い政治力を持つとされてきた石油業界、そして自動車業界と激しく対立する可能性がある。
主張しながらバイデン氏が当選を確実にしたのは、2つの背景があったのではないか。まず第1には、自然災害の頻発だ。2005年8月のハリケーン・カトリーナ。2012〜17年の5年間に渡り、カリフォルニア州が「千年に1度」と言われる大旱魃に襲われた。そのカリフォルニアに加え、州境を接するオレゴンでも、今年に入って大規模な山林火災が続いている。1970年代に12.9万キロ平方メートルだった野火による国土の消失面積は、2010年代には27.7万キロ平方メートルになっている。
温暖化対策に舵を切ろうとした第2の理由として考えられるは、人口構成の変化だ。第2次大戦直後から高度経済成長期、即ち1947~64年に生まれた「ベビーブーマー」は、長く米国において最も人口比率の高い世代だった。しかし、2017年には、1981~96年に生まれた「ミレニアル世代(ジェネレーションY)」がベビーブーマーの人口を上回っている(図表2)。このミレニアル世代は、一般に政治に対する関心が高く、リベラル色が強いとされ、環境問題への関心も高いようだ。民主党はミレニアル世代を中心的な支持層として重視しており、政策的にリベラル色を強め、且つ地球温暖化対策などへ従来以上に踏み込んだ姿勢を見せているのではないか。
図表2、、.jpg
共和党が連邦上院で過半数を維持する見込みとなり、バイデン次期大統領は少なくとも同党から2名程度の上院議員の賛成を得なければ、法案を通すことはできないだろう。従って、選挙の公約通りの「大きな政府」が実現する可能性は低下した。一方、共和党に対して譲歩を重ねれば、リベラル系有権者の支持を失うことになりかねない。そうしたなかで、環境・地球温暖化問題は、相対的に見て共和党議員の支持を得やすい政策と言える。パリ協定への復帰を含め、大統領に就任後、バイデン大統領は早い段階でこの分野の施策の具体化を目指すのではないか。
従来、気候変動抑止の対策は、企業にとっても国にとってもコストと考えられていたのではないか。もちろん、それは一面において間違っていない。ただし、年金基金などがESG(環境・社会性・企業統治)を重視、温室効果ガスの排出削減に真摯に取り組まない企業への投資を避けるようになった。結果として、温室効果ガス削減は従来の努力目標から”must”の責任へと地位を向上させ、そこには巨大な市場が生まれようとしている。国家レベルで見た場合、積極的に温室効果ガス削減を進め、その国が技術的な優位性を逸早く獲得できれば、企業も国もその恩恵を享受できる可能性が高まった。つまり、地球温暖化対策は、政策的に見てコスト以上に成長戦略としての認識が深まっている。バイデン次期米大統領やジョンソン英首相の狙いもそこにあるだろう。
このバイデン氏の政策は、12年前に元ネタがあり、その焼き直しとも言える。元ネタとは、2008年11月の大統領選挙においてバラク・オバマ候補が主要政策に据えた『グリーン・ニューディール』だ。オバマ陣営の公約には、「新たなエネルギー開発に10年間で1,500億ドルを投資し、500万人の雇用を創出する」と書かれていた。
しかしながら、このグリーン・ニューディール政策の結果が悲惨なものであった。エネルギー省は太陽光パネルメーカー大手などに巨額の金融支援を実施したものの、中国系企業の安値攻勢に晒され、急激に競争力を失ったので、企業が相次いで破綻、公的資金は回収不能に追い込まれた。
続ける

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2020令和2年12月25日、年度第7回・原発の安全管理の技術委員会が開催① [新潟県原発の安全管理に関する技術委員会]

2020令和2年12月25日、年度第7回新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会が下記のとおり開催された。


3 議題
 柏崎刈羽原子力発電所の安全対策の確認について
(1)柏崎刈羽原子力発電所の安全対策について
 ・格納容器の破損防止対策
 ・水素爆発対策
 ・自然災害への対策(火山対策・竜巻対策)
 ・その他
(2)柏崎刈羽原子力発電所の安全対策の確認事項と議論の状況の整理等について
参考資料No.1 前回技術委員会資料No.3 「柏崎刈羽原子力発電所の安全対策について」(東京電力Hd)[61頁・PDF・13.75MB]
続く

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2020年12月22日、第15回避難方法に関する検証委員会➍ [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


50~52 頁 
資料 No.7 テロリズムと避難(委員長案)   色付は虹屋オヤジ
テロリズムと避難について、検証する。以下、令和2年 11月16日 第14回委員会での議論の論点を整理する。 
(1)役割分担 
・県は、県民の保護、県民の避難を担う。テロ等への対処は国が指揮をとり実動部隊(警察、海上保安庁、自衛隊)が実施する。 
・設計基礎脅威 Design Basis Threat (DBT)などを含めて、核セキュリティの議論そのものは国で議論すべき事柄である。 
(2)武力攻撃原子力災害時のシナリオについて 
・事故進展が著しく短く、放射性物質の放出まで極端に時間が短い場合が考えられる。
・原子力発電所が破壊・攻撃された場合は、その後の放射性物質放出量及び放射線量も膨大となる。 
・希ガス自体の放出のみならば、放射線量が上昇するが、飛んでいけば残らないので、放射線量はすぐに下がり、大きなリスクにはならない。 
またスクラムができない可能性も低いであろう。だが燃料プールの破壊等はリスクがある 
(3)武力攻撃原子力災害時の避難について 
・時間の想定や線量の上昇に応じた UPZの段階的避難などが困難であろう。いち早く広域避難させる必要がある。 
・武力攻撃原子力災害の兆候を発見したとき、また武力攻撃原子力災害が発生したとき、着上陸侵攻など市街地において武力攻撃、ゲリラ戦の可能性を考える必要がある。この場合は武力攻撃に対する屋内退避が実施され、各戸に対して救助が行われる。避難はそう簡単には実施できない可能性もある。 
・武力攻撃自体がケースバイケースだとするならば、対応もケースバイケースになる。 
※米国では核攻撃なども含めて、シェルターなどの整備がなされているところもある。テロについての海外の想定ケース、テロを前提とした避難想定のケーススタディについては佐々木委員から資料が提供される予定である。
(4)武力攻撃原子力災害時の線量限度について 
・武力攻撃原子力事態においては、事故ではなく武力攻撃を原因とするものなのでその進展は当然、想定不能である(もちろん初期段階において脅威が去った場合は別であろうが、それ自体も確認する方法はない)。よって OILなどの線量限度を踏まえて避難等をするといった段階的避難はそもそもなじまない。いち早く多くの人を広域に避難させる(救助する)必要がある。 
・事故想定の進展にかかわらず、線量によらず避難しなければならない場合もある。
・武力攻撃事態においては、線量が想定されないので、オフサイトにおけるファーストレスポンダー(自衛隊、警察、消防⼠、公務員、福祉事務所職員、教員、運転士等)の線量限度の問題も同様に存在する。 
なお、テロの議論は、原子力災害対策特別措置法の範囲外の国民保護法上の話である。内閣府(原子力防災)としては「国民保護法、国民の保護に関する基本指針、また、各自治体の国民保護計画のもと対応する」以上の説明は行えない、武力攻撃原子力災害について説明する資料は不存在であるという。 
本委員会では武力攻撃原子力災害にかかる避難(防護措置)に絞って、議論、検証した。 
原子力発電所に関連するテロリズムは重要な課題であるが、国民保護そのものや自衛隊が行う侵害排除活動等については、国が実施すべきことであり県・本委員会の所管外であること、検証すべき文書も法令や地域防災計画、国民保護計画以上のものは現在、存在しないことを確認する。 
以上 
続く

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2020年12月22日、第15回避難方法に関する検証委員会③ [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


50~52 頁 
資料 No.7 テロリズムと避難(委員長案)   色付は虹屋オヤジ
テロリズムと避難について、検証する。
国内の原子力発電所自体に関するテロリズムの脅威に対する対応についての議論や対応は十分ではない。テロを原因とした原子力発電所に由来する原子力災害は、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)上の「武力攻撃原子力災害」という 。
※① ※①原子爆弾、ダーティボムなど核攻撃に由来する NBC災害は本委員会の所掌ではない。

また、原子力規制委員会は本体施設等に係る工事計画認可から 5年以内に特定重⼤事故等対処施設の設置が求められていることからテロは放射線防護措置として考慮すべき対象ともなっている。※➁
※➁特定重大事故等対処施設は,故意による⼤型航空機の衝突やその他のテロリズムにより、炉心の損傷が発生するおそれがある場合などに対し,放射性物質の放出を抑制するための施設。緊急時制御室,注水設備,電源設備,通信連絡設備などを要するもので、本体施設等に係る工事計画認可から 5年以内の設置を求められている。

なお、IAEAでも、設計基礎脅威 Design Basis Threat (DBT)※③を導入するように勧告している。
 ※③ ③IAEAでは、Objective and Essential Elements of a State's Nuclear Security Regime (NSS No. 20)、 Nuclear Security Recommendations on Radioactive  Material and Associated  Facilities (NSS No. 14)、 Nuclear Security Recommendations on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities(INFCIRC/225/Revision 5) (NSS No.13)など、IAEA Nuclear Security Seriesに記述がある。
IAEA(1999)The Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities(INFCIRC/225/Rev.4)によれば、「核物質の不法移転又は妨害破壊行為を企てるおそれのある潜在的内部者及び/又は外部からの敵の属性及び性格。これに対して核物質防護システムが設計され、評価される」である。その具体的内容のイメージは、①仮想敵(テロリスト、不満を持つ従業員等)、②人数、③戦術(偽りの証明証を用いて警備システムを突破する偽計等)、④不法行為(警備システムを突破する公然とした実力行使等)、⑤隠密(検知システムを破って密かに 施設に侵入等)、⑥能力(防護システム等に関する知識、襲撃のスピード、武器・爆薬・道具等の所持等)等。
事業者が核物質防護システムを構築する際の設計の基礎となることから「設計基礎脅威(DBT)」と呼ばれる。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2004/siryo43/siryo12.pdf) 

武力攻撃原子力災害については、政府としては、「国民保護法」、「国民の保護に関する基本指針」に基づき、防災基本計画(原子力災害対策編)の定めと同様の措置を講ずることが原則とされている。地方自治体においても、国民保護計画に基づき対応される。武力攻撃原子力災害については、地域防災計画(原子力災害対策編)に準じることとなる。※④。 
※④内閣府(原子力防災)からの回答による。なお、武力攻撃原子力災害について説明する資料は存在しないとの回答。

基本的には原子力災害の対応をそのまま引き継ぎ、国民保護法においては武力攻撃事態あるいはそれに準ずるものとして緊急対処事態というものが設定される。 なお、米国においても、オフサイト緊急時対応は連邦緊急事態管理庁(FEMA)が所管している。妥当性評価も NRCと FEMAが評価する。 
以下、令和2年 11月16日 第14回委員会での議論の論点を整理する。 
続く

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