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2020年12月22日、第15回避難方法に関する検証委員会➍ [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


50~52 頁 
資料 No.7 テロリズムと避難(委員長案)   色付は虹屋オヤジ
テロリズムと避難について、検証する。以下、令和2年 11月16日 第14回委員会での議論の論点を整理する。 
(1)役割分担 
・県は、県民の保護、県民の避難を担う。テロ等への対処は国が指揮をとり実動部隊(警察、海上保安庁、自衛隊)が実施する。 
・設計基礎脅威 Design Basis Threat (DBT)などを含めて、核セキュリティの議論そのものは国で議論すべき事柄である。 
(2)武力攻撃原子力災害時のシナリオについて 
・事故進展が著しく短く、放射性物質の放出まで極端に時間が短い場合が考えられる。
・原子力発電所が破壊・攻撃された場合は、その後の放射性物質放出量及び放射線量も膨大となる。 
・希ガス自体の放出のみならば、放射線量が上昇するが、飛んでいけば残らないので、放射線量はすぐに下がり、大きなリスクにはならない。 
またスクラムができない可能性も低いであろう。だが燃料プールの破壊等はリスクがある 
(3)武力攻撃原子力災害時の避難について 
・時間の想定や線量の上昇に応じた UPZの段階的避難などが困難であろう。いち早く広域避難させる必要がある。 
・武力攻撃原子力災害の兆候を発見したとき、また武力攻撃原子力災害が発生したとき、着上陸侵攻など市街地において武力攻撃、ゲリラ戦の可能性を考える必要がある。この場合は武力攻撃に対する屋内退避が実施され、各戸に対して救助が行われる。避難はそう簡単には実施できない可能性もある。 
・武力攻撃自体がケースバイケースだとするならば、対応もケースバイケースになる。 
※米国では核攻撃なども含めて、シェルターなどの整備がなされているところもある。テロについての海外の想定ケース、テロを前提とした避難想定のケーススタディについては佐々木委員から資料が提供される予定である。
(4)武力攻撃原子力災害時の線量限度について 
・武力攻撃原子力事態においては、事故ではなく武力攻撃を原因とするものなのでその進展は当然、想定不能である(もちろん初期段階において脅威が去った場合は別であろうが、それ自体も確認する方法はない)。よって OILなどの線量限度を踏まえて避難等をするといった段階的避難はそもそもなじまない。いち早く多くの人を広域に避難させる(救助する)必要がある。 
・事故想定の進展にかかわらず、線量によらず避難しなければならない場合もある。
・武力攻撃事態においては、線量が想定されないので、オフサイトにおけるファーストレスポンダー(自衛隊、警察、消防⼠、公務員、福祉事務所職員、教員、運転士等)の線量限度の問題も同様に存在する。 
なお、テロの議論は、原子力災害対策特別措置法の範囲外の国民保護法上の話である。内閣府(原子力防災)としては「国民保護法、国民の保護に関する基本指針、また、各自治体の国民保護計画のもと対応する」以上の説明は行えない、武力攻撃原子力災害について説明する資料は不存在であるという。 
本委員会では武力攻撃原子力災害にかかる避難(防護措置)に絞って、議論、検証した。 
原子力発電所に関連するテロリズムは重要な課題であるが、国民保護そのものや自衛隊が行う侵害排除活動等については、国が実施すべきことであり県・本委員会の所管外であること、検証すべき文書も法令や地域防災計画、国民保護計画以上のものは現在、存在しないことを確認する。 
以上 
続く

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2020年12月22日、第15回避難方法に関する検証委員会③ [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


50~52 頁 
資料 No.7 テロリズムと避難(委員長案)   色付は虹屋オヤジ
テロリズムと避難について、検証する。
国内の原子力発電所自体に関するテロリズムの脅威に対する対応についての議論や対応は十分ではない。テロを原因とした原子力発電所に由来する原子力災害は、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)上の「武力攻撃原子力災害」という 。
※① ※①原子爆弾、ダーティボムなど核攻撃に由来する NBC災害は本委員会の所掌ではない。

また、原子力規制委員会は本体施設等に係る工事計画認可から 5年以内に特定重⼤事故等対処施設の設置が求められていることからテロは放射線防護措置として考慮すべき対象ともなっている。※➁
※➁特定重大事故等対処施設は,故意による⼤型航空機の衝突やその他のテロリズムにより、炉心の損傷が発生するおそれがある場合などに対し,放射性物質の放出を抑制するための施設。緊急時制御室,注水設備,電源設備,通信連絡設備などを要するもので、本体施設等に係る工事計画認可から 5年以内の設置を求められている。

なお、IAEAでも、設計基礎脅威 Design Basis Threat (DBT)※③を導入するように勧告している。
 ※③ ③IAEAでは、Objective and Essential Elements of a State's Nuclear Security Regime (NSS No. 20)、 Nuclear Security Recommendations on Radioactive  Material and Associated  Facilities (NSS No. 14)、 Nuclear Security Recommendations on Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities(INFCIRC/225/Revision 5) (NSS No.13)など、IAEA Nuclear Security Seriesに記述がある。
IAEA(1999)The Physical Protection of Nuclear Material and Nuclear Facilities(INFCIRC/225/Rev.4)によれば、「核物質の不法移転又は妨害破壊行為を企てるおそれのある潜在的内部者及び/又は外部からの敵の属性及び性格。これに対して核物質防護システムが設計され、評価される」である。その具体的内容のイメージは、①仮想敵(テロリスト、不満を持つ従業員等)、②人数、③戦術(偽りの証明証を用いて警備システムを突破する偽計等)、④不法行為(警備システムを突破する公然とした実力行使等)、⑤隠密(検知システムを破って密かに 施設に侵入等)、⑥能力(防護システム等に関する知識、襲撃のスピード、武器・爆薬・道具等の所持等)等。
事業者が核物質防護システムを構築する際の設計の基礎となることから「設計基礎脅威(DBT)」と呼ばれる。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2004/siryo43/siryo12.pdf) 

武力攻撃原子力災害については、政府としては、「国民保護法」、「国民の保護に関する基本指針」に基づき、防災基本計画(原子力災害対策編)の定めと同様の措置を講ずることが原則とされている。地方自治体においても、国民保護計画に基づき対応される。武力攻撃原子力災害については、地域防災計画(原子力災害対策編)に準じることとなる。※④。 
※④内閣府(原子力防災)からの回答による。なお、武力攻撃原子力災害について説明する資料は存在しないとの回答。

基本的には原子力災害の対応をそのまま引き継ぎ、国民保護法においては武力攻撃事態あるいはそれに準ずるものとして緊急対処事態というものが設定される。 なお、米国においても、オフサイト緊急時対応は連邦緊急事態管理庁(FEMA)が所管している。妥当性評価も NRCと FEMAが評価する。 
以下、令和2年 11月16日 第14回委員会での議論の論点を整理する。 
続く

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