SSブログ

2020年12月22日、第15回避難方法に関する検証委員会➋ [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


議事と資料 
(6)新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護について 
資料 No.8
10.追加課題② 新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護 (委員長案)
現在、あらゆる災害時の避難に共通する課題の問題として、新型コロナウイルス感染拡⼤下の避難が課題となっている。これについて、政府等の対策の現状、および令和2年 8 ⽉ 11⽇第 11回委員会での議論の論点を整理する。 
(1)新型コロナウイルス感染拡大下の避難対策
現在、あらゆる災害時の避難に共通する課題の問題として、新型コロナウイルス感染拡大下の避難が課題となっている。令和2年4月28日に、内閣府(防災)・消防庁・厚生労働省・観光庁「新型コロナウイルス感染症対策としての災害時の避難所としてのホテル・旅館等の活用に向けた準備について」、令和2年9月7日に「新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン(第 2版)」が発出されている。 
また、原子力防災に特化した通知としては、令和2年6月2日に、内閣府政策統括官(原子力防災担当)「新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の基本的な考え方について」が発出された。 
その後、令和2年 11月2日に、内閣府(原子力防災担当)より、専問家を含めて検討した「新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の実施ガイドラインについて」が道府県原子力防災担当部局の長宛に出されている。 
ここでは、感染症等の流⾏下における各種防護措置の具体化として、 
①感染者とそれ以外の者との分離、濃厚接触者、発熱・咳等のある者の分離 
②避難車両における対応(避難車両を増やすこと) 
③一時集合場所、安定ヨウ素剤の緊急配布場所、退域時検査場所及び簡易除染所での感染拡大防止
(距離を保つこと) 
④屋内退避時及び避難所における対応(換気を行わず、放射線防護を優先させること) 
などが記されている。
(2)本委員会での議論 
これについて、本委員会においては、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、現段階で議論をする材料は不足しているものの、議論をし、課題としては下記があげられた。 
・屋内退避について、原則換気を行わないのは妥当か、強い懸念がある 
・感染者とそれ以外の者との分離、濃厚接触者、発熱・咳等のある者の分離は可能なのか。 
・スペースのある避難所を多数確保していかなければならないが、十分かどうかということは、今後の感染症の広がりによる。十分、確保可能かを検討する必要がある。 
・新型コロナウイルス感染拡大の状況で医療体制がひっ迫している中で避難が可能なのか、懸念がある。 
・新型コロナ感染拡大の状況においては、車両運転手の確保に懸念がある。 
・避難所での3密 (密閉・密集・密接)を避けるためにも、ホテル・旅館等の活用を含め、一般に避難所、避難先を多く確保することが必要である。東京電力福島第一原子力発電所事故における避難ではホテル、親戚や知人宅への避難は広域避難においては、避難所よりも多くの方(約半数)が、直系親族、親戚、知人の家に避難しており☆、3密を避けるために、個人単位での避難が多くなることは容易に想定可能であろう。よって避難の状況は変わる可能性もある。 
 ☆関谷⾕直也,2019,「東京電⼒福島第⼀原原子力発電所事故における緊急避難と原子力防災」『ふくしま原子力災害からの複線型復興一人ひとりの生活再建と「尊厳」の回復に向けて』
数%から数十%の避難率の自然然災害と、100%避難をさせなければならないという原子力の避難を同様に考えることはできない。帰省も許されないような状況下で広域避難、福島第一原子力発電所事故において最も多かった直系親族や親戚をたよって避難する縁故避難などが実現できるか、社会的に許容される避難なのかどうかは考える必要がある。 
・そもそも災害時の避難において自然災害のリスクと感染症のリスクを比べるという場合、生命の安全確保という意味で感染症のリスクよりも、自然災害から身をまもるということを優先する選択するという原則がある(よって感染蔓延地域において、自分の家が安全であるという状況において、避難しないという選択肢も出てくる)。
だが、被ばくリスクと感染症リスクを比べた場合、高齢者等において感染症にり患した場合の死亡リスクが極めて高い以上は、感染リスクを最小化させる方を優先すべきであり、必ずしも自然災害と同様に被ばくリスクをさけることを優先すべき、というものではないのではないか。リスクの比較の妥当性に疑念がある。 
 また、この新型コロナウイルス感染症でについての議論の進め方においても二つの方向性で議論があったところである。
 
・避難所以外への避難、自然災害における大規模災害時の広域避難の考え方が出されていない段階で、(そもそもコロナ終息前に原子力発電所の再稼働することが前提となっていない段階で)原子力災害の広域避難を議論することは時期尚早である。
・国が対応をしなかったとしても、県として検討はすべきである。 
  は虹屋オヤジの注目箇所
hiwazaki.jpg
(3)第 11回委員会後の「新型コロナウイルス感染拡大下の避難対策」の状況 
委員会の議論の後の新型コロナウイルス感染拡大下の避難対策については、先に記したように、令和2年 11月2日に、内閣府(原子力防災担当)より、「新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の実施ガイドラインについて」が道府県原子力防災担当部局の長宛に出され、一定の方針がだされたところである。 
なお、巨大災害と感染症が同時に発生するような複合災害への対応については、令和2年12月18日に、小此木大臣記者会見によれば「事前災害・複合災害ワーキンググループ」において、令和2年 7月豪雨による熊本県人吉市および球磨村の避難状況などの検証もふまえて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、感染症と巨大災害が同時に起きるような「複合災害」への対応が検討されることとなった。6月を目途に取りまとめられる予定である。 
また、ワクチンの開発・服⽤の状況の推移にも注視する必要がある。令和2年 12月19日付の各社報道によれば、ファイザー社のワクチンは年度内に承認、日本では6月末までに 6000万人分の供給を受けるという。過渡期においてはワクチンの服用(場合によって優先服用)などを考える必要もあるが、ワクチン普及後には特段対策をとる必要がなくなる可能性もある。けだし、これらの議論は、ワクチンの効果を判断することであり、新潟県新型コロナウイルス感染症対策本部会議および新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の所掌である。 
新潟県が具体的に新型コロナウイルス感染拡⼤下の広域避難・放射線防護措置に関する対策を検討するか否かは、上記2点の状況をみながらの対応となる。 
上記2点の状況が明確になる前に議論するのは時期尚早である。なお、避難というより、コロナ感染の可能性についての検証の場合には感染症の専門家を要する。 ママ着色
以上 
53~55 頁、資料 No.8 新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護(委員長案)
続く


nice!(0)  コメント(237) 

2020年12月22日、第15回避難方法に関する検証委員会① [東電核災害検証・避難県委員会]

2020令和2年12月22日(火)、第15回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 があった。


議事と資料 
(1)スクリーニング及び避難退域時検査における論点整理について 
   資料 No.1
(2)安定ヨウ素剤の配布・服用における論点整理について 
資料 No.2
(3)屋内退避及び段階的避難における論点整理について 
資料 No.3
(4)PAZ・UPZ内の要配慮者の避難・防護措置における論点整理等について 
資料 No.4、5、6
(5)テロリズムと避難について 
資料 No.7
(6)新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護について 
資料 No.8
(7)新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会における議論の状況と今後の進め方について 
資料 No.9、10
 その他 
大河委員提出資料  特別養護老人ホーム「にしかりの里」での入所者の搬送訓練
大河委員提出資料 スクリーニング・簡易除染、安定ヨウ素剤配布訓練
Kashiwazaki.jpg
第15回 次第・一覧資料 [71ページ/PDF・3MB]
次第 01~03
資料 No.1 スクリーニング及び避難退域時検査における論点整理(委員長案)
04~13 頁
資料 No.2 安定ヨウ素剤の配布・服用における論点整理(委員長案)
14~30 頁
資料 No.3 屋内退避及び段階的避難における論点整理(委員長案) 
31~40 頁
資料 No.4 PAZ・UPZ内の要配慮者の避難・防護措置における論点整理(委員長案)
41~44 頁
資料 No.5 管理下の児童・生徒の避難・防護措置における論点整理(委員長案)
45~46 頁
資料 No.6 PAZ・UPZ内の住民の避難・防護措置における一般的な課題に関する論点整理(委員長案)
47~49 頁
資料 No.7 テロリズムと避難(委員長案)
50~52
資料 No.8 新型コロナウイルス感染拡大下における広域避難・放射線防護(委員長案)
53~55 頁
資料 No.9 新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会 これまでの検証の確認 (県事務局)
56 頁
資料 No.10 新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会における議論の状況と今後の進め方 (県事務局)
57 頁
大河委員提出資料  特別養護老人ホーム「にしかりの里」での入所者の搬送訓練
58~61 頁
大河委員提出資料 スクリーニング・簡易除染、安定ヨウ素剤配布訓練
62~71 頁
続く


nice!(0)  コメント(0)