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長期エネルギー需給見通し(案)の検討①、パブコメ2015/7/1締切 [エネルギー基本計画]

全原発の再稼働を前提に織り込んだ「長期エネルギー需給見通し 2015」の策定に向けた御意見の募集、パブリックコメントが7月1日締切で行われている。それにかかっている需給見通し(案)を検討する。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620215004&Mode=0

 ①省エネルギー
蓄電池の利用が欠けている。
家庭用蓄電池、産業用蓄電池の普及。高い時間帯の電力料金の代替、震災などによる被災時の非常用電源としての活用、産業用として現在も一定普及している。太陽光発電システムとの連携によって、停電時や外部電力に依らなくも安定した電力を長時間維持することができる家庭、小規模オフィスや店舗用蓄電池も販売された。その蓄電池の価格も下がっている。価格は右肩下り傾向である。
参照 http://www.kankyo-business.jp/news/010683.php

この蓄電池とBEMS・HEMSというエネルギー管理システムと家庭、小規模オフィスや店舗用の太陽光発電や風力発電と連携一体化して使用すれば、エネルギー使用量を省く、削減するだけでなく、太陽光発電や風力発電を家庭、小規模オフィスや店舗という小規模であるがエネルギーを国内で自給することができる。

②再生可能エネルギー
長期エネルギー需給見通し(案)には「各電源の個性に応じた最大限の導入拡大と国民負担の抑制を両立する。」とある。

太陽光モジュール03_.jpg太陽光発電の発電コスト
再生可能エネルギーの電力は、国民に負担を求めていると記してある。世界的には、再生可能エネルギー発電、風力や太陽光の発電価格が下がっている。「太陽光パネルは2009年以来価格が80%下落し性能は40%向上した。この結果最低でも60か国では太陽光は他の電源よりも安くなっていてこれが2009年のコペンハーゲンの交渉の失敗から世界が立ち直り、パリに向けて協議が進捗している理由だ」(フィゲレス国連気候変動事務局長 May 7, 2015.)

確かに、発電コスト検証ワーキンググループの「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」では米国、ドイツ、イタリアでは2013年で約三分の一に太陽光パネル・モジュールの価格はなっている。2014、2015年の価格はさらに下がっているだろう。これに対して日本の価格は2013年で約6割に下っているだけだ。日本国民は世界的なパネル価格低下の恩恵を受けていない。

取り残された日本国民
 Jim Yong Kim 世界銀行総裁は論文(“Tackling Climate Change”March 27, 2015、http://www.huffingtonpost.com/jim-yong-kim/tackling-climate-change-f_b_6957686.html)で「世界の大部分の地域で再エネは従来型火力発電に対して価格競争力を持っている」と述べている。
 日本では石炭火力が12.3円/kWh、ガス火力は13.7円/kWhなのに対して風力(陸上)21.6円/kWh、太陽光(住宅)29.4円/kWhである。従来型火力発電に対して価格的に完敗している。太陽光(住宅)は設備費23.3円、廃棄費用0.6円、運転維持費 3.4円、政策経費2.1円から成る。これは一般的な家庭用電気料の約24~26円/kWh(従量電灯BC、120kWh-300kWh)よりも高い。

送電網から外れる「オフグリッド」
 しかし世界的な世界的なパネル価格低下が日本でも起きて設備費が6割に減っていたら、20.3円/kWhである。住宅の顧客にとって従来型火力発電の電気を電力会社から買うよりも、太陽光(住宅)電力が安くなる。昼夜別料金の契約、例えば東京電力の半日お得プランでは昼の太陽光発電の時間帯は、28.3~43.7円であり価格差はもっと広がる。昼の太陽光発電の時間帯は、電力会社の送電網から外れる「オフグリッド」状態でなるべく過ごす。電気を東京電力から買わなければならない夜間は、12.5円で買える。太陽光(住宅)発電を設置した者の得べかりし利益が大きくなる。国民負担は極めて数ないであろう。

 設置者が利益を得るだけではない。太陽光(住宅)発電とBEMS・HEMS(住宅用エネルギー管理システム)、家庭用蓄電池との連携一体化して使用すれば、オフグリッドやオングリッド、蓄電するか電池を使うかなどをシステムが自動で判断する。家庭、小規模オフィスや店舗という、小規模であるがエネルギーを国内で自給することができる。発電量と自家消費量との兼ね合いもあるが、この太陽光発電の電力を売電する場合はこの一体化システムでは家庭用蓄電池がバッファー(緩衝)となるので、天候などによる瞬時の発電量の変動を吸収し安定的な売電が可能である。

なぜ日本は世界的なパネル価格低下から取り残されたのか。

続く

タグ:需給見通し