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日本の海上浮揚式原子力発電所 [日々の雑感]

日本の海上浮揚式原子力発電所についてATOMICAの〔海上立地浮体式原子力発電所 (03-04-11-07)〕から纏める。【】内は私の感想。
日本の浮体式原子力発電所の鳥瞰図12.jpg
陸地は高度に利用されており、また住民運動の高まりもあって、新たな立地場所を探すことは困難な情況にある。海上での立地が可能であれば、日本は周辺を海に囲まれているから立地選択の自由度が大きくなり、また立地の電力需要地近接が図りやすくなる。
海上立地方式は、着底式と浮体式に大別される。海上に浮体式構造物(プラットフォーム)を浮揚させその上に原子力発電所を設置する浮体式海上立地発電所は、1)埋め立てによる土地造成が必要ない、2)原子力発電施設とプラットフォームが工場で一貫して建造できコストダウンが期待できる、3)原子力発電施設とプラットフォームの建造および海上立地サイトの工事が並行してできるので工事期間を短縮できる、4)大型プラットフォーム(メガフロートなど)の建設経験を活用できる、5)免震性、設計標準化など多くの長所を有している.
日本原子力研究所(当時、現日本原子力研究開発機構)が浮体式海上立地原子力発電所の概念の検討および安全設計の検討を2000年に実施した。
検討した浮体式原子力発電所の基本概念を以下に述べる。
(1)設置海域
 立地の拡大と公衆との隔離に対するバランスから沿岸地域、外洋に面した沖合1〜2kmを想定。。
防波堤を設置し静穏にする。築堤の経済性バランスから水深は、浮体構造物の喫水12.4mを考慮して20mを想定。
この想定当時の原発事故対策を立案する対策地域が、原発から半径10kmで設定されていたから、沖合1~2kmが、汚染対策、公衆防護策としては不十分な距離である。3.11東電核災害で実証された。それは、設置立地に反対する住民運動があっても、自由に立地選択できる利点からなのだろう。
(2)浮体構造物(プラットフォーム)
 浮体構造物は浮上式プラットフォームとし、洋上での溶接作業量を低減するため造船所ドック内で建造する。
(3)浮体式原子力発電施設
 浮体構造物に搭載する原子力発電施設(搭載原子力発電施設」)としては、100MWe・10万KWe級の加圧水型原子炉施設を対象とする。低重心化、合理的設計などの観点から、浮上式プラットフォームと原子炉建家とに共有する部分があるが、構造的には各々独立した強度を有するものとする。
(4)係留装置
搭載原子力発電所の健全性確保の観点から、立地地点の自然条件(風、波浪、地震、津波、高潮など)などに際して極力揺れの少ない係留装置を考える。複数の独立した着底構造物に浮体構造物を係留して、浮体構造物の横移動を軽減する固定係留・ドルフィン係留を想定。
(5)浮体式原子力発電所の基本概念
 以上の基本概念を有する浮体式原子力発電所の基本イメージ鳥瞰図が上図、断面図は下図
浮体式原子力発電所の基本イメージ、.jpg
関連 「原産協会メールマガジン」 2020年3月号(2020.3.25発行)   https://www.jaif.or.jp/mailmagazine/2020-03
ロシアが開発した海上浮揚式原子力発電所が12月に発電・送電開始した。その原発「アカデミック・ロモノソフ」概要紹介の記事が掲載されている。全12ペ-ジの大半が年会費(1口13万円)を支払っている会員<限定>公開。

タグ:海上原発
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