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長期避難や移住・移転を被災地の人々が選択でき、実行するための支援策をきちんと策定して下さい。 「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対するパブコメ [防災ー中長期的避難、移住]

9月11日提出分

長期避難や移住・移転を被災地の人々が選択でき、実行するための支援策をきちんと策定して下さい。

被曝防護は、被曝時間の短縮、遮へいの設置、放射線源から距離をとるが3原則です。十分な時間短縮や遮へい、距離がとれない場合には長期避難や移住・移転が防護措置となります。

東電核災害前の50mSvという避難の基準の被曝線量は、何の遮へいもない状態での被爆量です。旧EPZの10km圏内、柏崎刈羽原発では柏崎市や刈羽村には、遮へい効果の高い建物、公共施設を、避難場所として整備してきました。しかしこうした遮へい効果のある建物などに避難できるか、避難しているかは個々人によって違いますから、安全側に考えて何の遮へいもない状態で被爆量を見積もっています。

しかし東電核災害では、放射線は40%に減る遮へいの効果のある住居で1日の16時間は過ごすとして被爆量を見積もっています。この方式での1mSv/年は、安全側での遮へい効果無しのやり方では1.66mSv/年になります。国の除染事業は16時間遮へい有りで1mSv/年以上を基準に行われています。したがって、安全側での遮へい効果無しで1から1.66mSv/年の地域は除染事業すら行われません。

東電核災害被災地域の家屋が全て放射線は40%に減る遮へいの効果のある訳ではありません。必ず、低い家屋があり、そこに居住する人々がいます。また農業など仕事や遊び盛りの子供らなど生活形態によっては遮へいのない時間が8時間を越える人々がいます。

除染に因って放射線源を集め、地域外に搬出し、放射線源と距離をとる被曝防護は、除染事業が行われない地域ではありません。除染事業が行われていても、除染事業は1mSv/年を長期的に達成するものですから、現時点では放射線源との距離を十分にとれていません。

発災から2年経過していますからセシウム134は崩壊で半減しており、現時点での放射線源は主にセシウム137です。除染を終えて、被曝減衰が放射能の崩壊によるものになった地域で現時点で2.1mSv/年の地域は、あと5年、発災から7年後にならないと1mSv/年以下になりません。現時点で6.2mSv/年の地域は、あと38年、発災から40年後にならないと1mSv/年になりません。

こうした地域の人々中には十分に遮へいや被曝時間の短縮、放射線源から距離をとることが出来ないので、長期避難や移住・移転が被曝防護措置となる人々がいます。

こうした東電核災害による被爆が1mSv/年以上の人々には、東電核災害被災地以外の地域の人々と同じ権利、追加被爆が1mSv/年未満にするように国に求める権利が、憲法の法の下の平等の原則からあります。長期避難や移住・移転という被曝防護措置を国に求める権利があります。国にはそのための手段をこうじる責務、選択肢として提供する義務があります。

今回の案では、こうした長期避難や移住・移転という被曝防護措置を被災地の人々が選択でき、実行するための支援策が殆どありません。

災害救助法に基づく住宅支援の延長は2015年3月までです。セシウム137の半減期30年を考慮するとこれでは、短すぎます。発災から2年経過していますからセシウム134は崩壊で半減しており、現時点での放射線源は主にセシウム137です。除染を終えて、被曝減衰が放射能の崩壊によるものになった地域で現時点で2.1mSv/年の地域は、あと5年、発災から7年後にならないと1mSv/年以下になりません。現時点で6.2mSv/年の地域は、あと38年、発災から40年後にならないと1mSv/年になりません。除染に期待して、2年だけ避難生活を選んだ人や被災地で居住を継続した人々から、さらなる長期の避難生活を余儀なく選択する人々や移住・移転を選択する人々が出てきます。

しかし住宅支援は2015年3月までです。新規受付はすでに打ち切られています。長期避難や移住・移転という被曝防護措置を被災地の人々が選択でき、実行するための支援策をきちんと策定して下さい。

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憲法違反のフクシア差別の案である 「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対するパブコメ [防災ー中長期的避難、移住]

9月11日提出分

憲法違反のフクシア差別の案である

私は柏崎刈羽原発から約60km地点に居住しています。柏崎刈羽原発が核災害・nuclear disaster を起こせば、福島の人々の立場になります。

その視点で、今回の案を見ると一番異様な点は、支援の対象地域を東電核災害で放出された放射能で年間に1mSv(ミリシーべト)以上の被曝を強いられている地域ではないことです。今時点で、大学、病院や検査機関など不手際、管理ミスで放射能が私の身近に来て、年間に1mSv(ミリシーべト)以上の被曝になる事態になれば、国はその放射能能を取り除くなど防護措置をとります。私にはそれを求めることが出来ます。それによる健康への影響チェックや仕事や生活への補償を求めます。1mSv/年以上が長期化するなら避難や移住という防護措置を国は実施する義務があるし、私たち国民にはそれを求める権利があります。支援策は、この防護措置の一部です。

 この案では、原発の核災害になると、柏崎刈羽原発の核災害に因って年間に1mSv(ミリシーべト)以上の被曝を強いられる状況になると、そうした国の防護義務や国民の防護請求権が消失しています。支援策は、被曝防護措置の一部です。しかし選定基準が不明なまま、いわば国が恣意的に定めた「支援対象地域」「準支援対象地域」という枠組みの中で国は防護義務の一部しか果さないし、国民が万全の防護措置請求権もありません。

これは、核災害被災地域の人々を国が恣意的に差別する、被災地域以外の国民とで国が採る防護措置を恣意的に変えるという差別です。明らかに憲法に反します。

東電核災害の被災地域の人々の意見を聞き、法の下の平等を踏まえた案に作り変えて下さい。

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法に明記された「御用聞き」をしたのか?  「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に対するパブコメ [防災ー中長期的避難、移住]

9月10日提出

この法律は東電核災害・「東京電力原子力事故」の「被災者の生活を守り支えるための被災者生活支援等施策を推進し、もって被災者の不安の解消及び安定した生活の実現に寄与することを目的とする。」の法律である。被災者の要望を聞いたのか?「御用聞き」をしたのか?

法は昨年6月に成立しているが、当時の参事官の「懸案が一つ解決。白黒つけずに曖昧なままにしておくことに関係者が同意」と発言がしめしているように復興庁は1年以上、店晒しして放置していた。
第五条3項には「政府は、基本方針を策定しようとするときは、あらかじめ、その内容に東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」と規定されている。この規定にある「必要な措置」は行われたのか。

このパブリックコメントの受付期間は、「任意の行政手続きであるため」なんと2週間しか設けられていない。任意なのだから第五条3項に明記された「必要な措置」ではないのである。
基本方針の策定作業が、適法に行われていない。被災当事者の意見を聞く公聴会などを実施し、意見を反映させる事からやり直すべきである。

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核防災計画の50km圏の外側に広がる暮らせない地帯 核災害 [防災ー中長期的避難、移住]

新しい原発防災指針(案)では、復興など中長期的な視点でも防災を案を検討するとしています。
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 現行の防災指針で着目している放出核種は、希ガス類とヨウ素です。希ガスは化学的に活性が低く地表に沈着することなく、放出後24時間もすれば大気中に拡散します。ヨウ素は地表に沈着し放射線源になり被爆しても、半減期が約8日で、30日後には8%に減り、60日後は0.5%、半年後には1千万分の一以下になります。ですから、年単位の中長期的な対策はありません。

 しかし、東電フクイチ核事故のような核燃料が熔ける過酷事故では、セシウムなど半減期が長い放射能が放出されます。そのため、地表に沈着したそれらが放射線源になり被爆が長期間、年単位で続きます。復旧・復興期では、住民の被曝が法定受忍上限の1mSv/年を超える地帯は、除染、避難、移転・移住などの放射線防護策が必要な地帯です。

 核事故発生初期の「直ちに顕れる影響」を避ける退避や避難は、防護対策指標では外部被曝の実効線量10mSv/日やIAEAの100mSv/7日が目安になります。この目安の値に較べセシウムなどによる1mSv/年は、0.003mSv/日と遥かに小さい値です。核事故発生初期に退避や避難が想定される地帯の外側に、こうした地帯が有ると考えられます。東電フクイチ核事故の汚染地図をみると、200km以上離れてもこうした地域が見られます。

除染の効果 10-20%減少

 高橋史明(日本原子力研究開発機構)さんがまとめられた、チェルノブイリでの除染の効果をみると、住宅地・都市部では年間の外部被ばく線量が平均10-20%減少です。1986-89年に、旧ソ連3ヵ国(ベラルーシ、ウクライナ、ロシア)の約1000の集落、6万以上の家屋・建物で実施で行われました。土、道路(アスファルト、コンクリート)表面、建物の表面などに、表面の細孔の中まで放射性物質が付着。そうした土の除去、道路や壁や屋根の表面の削り取りなどした結果です。

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 農作物の汚染は、放射性物質の沈着レベルだけでなく、土壌の種類や管理の実施、生態系のタイプにより影響を受け、一律の対策はありません。1990年代半ばに経済的問題から対策が減り、作物中の放射能濃度が増加したそうです。

 日本での除染実験でも、同様の結果が出ています。政府の除染方針では、除染による純粋な低減効果を10-20%と見込んでいます。放射性セシウムの汚染地帯では、自分から半径約10m内にあるセシウムからのβ線とγ線、その外側の半径約600mにあるセシウムからのγ線を被曝しています。半径約10mの円は、半径約600mの約3600分の一の面積。それでも近いから被曝線量に占める割合は大きく、除染で近辺のセシウム量を減らせば被曝量は大きく減り、平均10-20%減少です。

 チェルノブイリでは、除染後の再汚染・2次汚染は見られなかったそうですが、日本では裏山から雨水などで運ばれて元の木阿弥になる例が出ています。従って、除染を繰り返し、繰り返し行われなければならないことを覚悟しなければならないと思います。

除染の費用

 チェルノブイリでの住宅地・都市部での除染、砂を吹きつけるサンド・ブラストで表面を削り取る、屋根を取り替えるなどの除染法が取られました。表面がツルツルしていると高圧放水で落とせますが、アスファルト、コンクリートは細孔があり内部に入っているので、削るしかないのです。これは、専門的技能が必要で手間がかかり高価です。そのため広い面積を除染するのは無理というのチェルノブイリでの結論で、移住が放射線防護の選択肢になっています。

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 南相馬市の住宅 一戸あたりの除染費用の見積もり560万円。南相馬市には4万世帯。つまり2300億円かかると見込まれています。さらに道路のアスファルトの粉砕除去と張り直しなど公共の施設の除染費用が加わります。そして、市の中でも山に近い地域では、山からの雨水などで放射能が運ばれてくるので、再汚染しますから1回ではすみません。

 また表土や道路表面、建物の表面を削り取れば、目に見えない放射性物質の微粒子が空中に舞い上がります。飯舘村近辺での表土3センチほどはく離する除染試験で地表面の線量は下がりましたが、地上1mの空間線量が舞い上がった微粒子で1.5倍になっています。剥がされた放射性物質の微粒子を除染作業者や周辺の住民が吸い込み内部被曝の恐れがあります。ですから、除染地域から期間中は住民の一時避難が求めら、その費用も加算されます。

除染ボランティアは特攻隊?

 日本政府の被曝防護策は、専ら除染です。除染実施の具体的な目標は、被曝線量を2年後までに放射性物質の物理的減衰で38%減、風雨など運び出しの自然要因による減衰で2%減、除染で10%減(学校、公園などは20%)で50%減少(子供は60%減)です。物理的減衰で3年後には49%減、4年後には57%減になりますから、除染で1~2年早める格好です。

 そして、除染後の被曝線量の目標値がありません。子供たちを産み育てる地域社会を営める被曝環境、線量を考えていないのです。
国は年間20mSv以上の地域を国の手で除染するとしています。30mSvの地域では、除染後には大人15、子供12mSv。新潟で私たちは、大人も子供も1mSv以下で暮らしています。福島の大人も子供も放射線被曝に異常に強いのでしょうか?福島県民は移住しなくても大丈夫な特異的体質?

 20~1mSvの地域は、住民やボランティアが除染する方針です。除染中も人が住んでいるのですから、除染ででる放射性微粒子による内部被曝を日本政府は無視しています。

 政府は除染ボランティアも被爆に強いと考えているようです。20mSv以上の地域は、国が業者に発注して除染を行います。業者は法に従って、作業員に放射能や放射線、被曝防護の教育を行い、放射線特殊健康診断を受けさせて、防塵マスクや防護服を貸与し、個人線量計で被曝線量を管理します。定期的に内部被曝線量をはかり放射線特殊健康診断です。被爆量は国のセンターや手元の放射線作業管理手帳に記録します。そして白血病などになり、労災と認められれば補償があります。これまでの5mSv程度の被曝で認められています。

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 除染ボランティアの環境省の募集案内を見ると、被曝防護の教育は、資料のコピー代や送料は自己負担。健康診断無し、防塵マスクなども自前でそろえ、線量計=被爆量管理もなし、内部被爆の測定もなし。「ボランティア保険の補償の範囲(通常、放射線被ばくは保険の対象外)や保険費用を踏まえて、ご加入・ご更新をお願いします(原則、自己負担です)。」 
この処遇は、住民が自ら行う住民ボランティアの除染でも同じです。ボランティア=志願なのだから、不全な防護でも良いという考えは、特攻隊と同じです。

事前に、本当のことを知りたい
政府は原発事故コスト試算で除染費用を約1兆円計上。それでの原発の発電コストは、火力より0.6円・約10%高くなります。放射線から防護する除染や移住に手を尽くし費用が1兆円増えるごとに、コストが0.32円上積みされ、火力に負けます。ボランティアは志願した云々と理由をつけ、被曝の負担を住民らに押し付けるほど、原発は火力に張り合って生き残れます。本当の発電コストを知りたい。

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 虹屋は東電・柏崎刈羽原発から約60km。もし核事故が起きたら、翌朝、政府の口先三寸で、どれ位の被曝にも大丈夫な体に変身するのか、知りたいと思います。核防災計画の30km圏、50km圏の外側に年間1mSv以上の地域があります。どれ位の離れた地帯が、放射能沈着で何mSvになるか試算し、公表すべきです。
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除染メモ [防災ー中長期的避難、移住]

国が8月26日に決定した放射能の除染方針では、「効果的な除染を実施し、推定年間被ばく線量が1ミリシーベルトに近づくことを目指します。」となっています。

年間1mSv・ミリシーベルトの被曝の健康影響について、原子力安全委員会は「線量限度、年間1mSv を生涯被ばくし続けた場合、及び、放射線業務従事者の線量限度、平均値として年間20mSv(5 年間で100mSv かつどの1 年間でも50mSv)であり、18 歳から65 歳まで被ばくし続けた場合では、ICRP1990 年勧告によれば、確率的影響に関して寄与生涯致死確率(放射線によって加算される確率)がそれぞれ0.4%及び3.6%と予測されます。これらの値は、今日の全死因に占めるがん死亡の割合31%と比べて十分に小さいといえます。

確定的影響に関しては、1 回の被ばくで現れる影響が対象となりますが、これらの線量限度は、知られている全ての確定的影響の現れる線量(例えばもっとも低い線量で現れる確定的影響としては、男性の一時的不妊の150mSv のしきい値が知られています。)に対しても十分に低いものです。」としています。
(討論会「私たちの健康と放射線被ばく-低線量の放射線影響を考える」において寄せられた質問に対する回答について、2003年9月11日)

0.4%が小さいかは、考えが様々あると思いますが、それ以上の影響を与えないように日本国民を護る義務と責任を日本国は負っています。我々国民は、0.4%までの影響を我慢する義務とそれ以上の影響を受けないように放射線被曝からの防護を国に求める権利があります。

 東電フクイチ核事故によって福島県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県、山形県、宮城県などの地域の多数の国民が、1mSv/年以上の外部被曝を強いられる状況になっています。食物などによる内部被曝は、規制の基準が暫定的にセシウムで5mSvなどで設定されて、これも線量限度1mSv/年が守られない、国民が十分に防護されない状況になっています。

 何を考えたか、国は国内の被曝(ひばく)線量の基準を検討する文部科学省の放射線審議会を使って”専門家”に「年間1~20ミリシーベルト」を線量限度にするという方針を出させようとしています。仮に20mSvになれば放射線被曝によって加算される癌による生涯致死確率が0.4%から8%に、発ガンは16%になり、それを我慢するよう強いられる。国は除染等の費用を節約できます。

 この件や放射能の除染方針には、姑息な問題のすり替えと全体がバラバラに立案されている様に見られます。
20mSv引き上げを国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年勧告Pub103の国内導入の一環として行おうとしてます。この2007年勧告では、原発の核事故での被曝状況を、放射線や死の灰(放射性物質)の放出が制御不能で現在・将来の被曝線量が不確かな緊急時被ばく状況とその後の長期に被ばく管理が必要な現存被ばく状況にわけて考察、アドバイスしています。

勧告の国内導入は2008年から手がつけられています。この春1月までの検討では、事故時には「現行の法令の『緊急作業に係る線量限度(実効線量で100 mSv)』は、ICRP の主勧告やIAEA のBSS (実効線量で500 mSv)を参考に、緊急性の程度に応じた段階的な線量の制限値とすることが適切である。」など、今回の原発作業員に適用された見解が出されています。

 20ミリシーベルト引き上げは、8月22日の第39回会合で文科省から諮問され、8月30日に4時間余り審議し、10月6日の午前に2時間余り事務局作成案の文面を審議して答申されています。現状を「追加的な汚染がない状況」の現存被ばく状況としています。毎時2億ベクレルの放射性セシウムが出ているにもかかわらず、追加的な汚染がない状況というのは肯けません。

 文科省は、フクイチからの放出量が放射性ヨウ素で1時間に兆(テラ)単位で、放射性セシウムは千億ベクレル単位で出ていた4月に非常事態収束後だとして、20mSv/年上限で福島の学校を再開した前歴があります。学校再開が先に決定されていて、後付の小理屈に非常事態収束後を持ち出しました。

 核災害時に「屋内退避及び避難等に関する指標」では、放射性物質又は放射線の放出期間中、屋外に居続け、なんらの措置も講じなければ受ける線量(外部被曝の予測線量)で、屋内退避や避難といった被曝防護措置を講じることになっています

 ところが学校閉鎖による子供の被曝防御や除染では、原子力安全委員会算出式という被曝線量が小さく出る方法を使っています。それでは木造家屋内では遮蔽効果で被曝が60%低減し、一日のうち16時間は遮蔽効果60%のある屋内にいると仮定します。それで、予測線量から約40%小さくなります。そして自然放射線量が毎時0.05μSv、年間約0.44mSvあるとします。

 木造家屋での遮蔽効果が福島の現状と会わないのです。そもそも、60%遮蔽が従来の知見からして過大なのです。日本保健物理学会は国際原子力機関(IAEA)の調査を引用して、外部被ばくに対しては、木造家屋では約10%、大きなコンクリート建物では約80%以上低減できるとしています。γ線は、50%遮蔽するのに通常のコンクリートでが厚さ5cm、木材では20cm必要なことが1979年に放射線医学総合研究所から発表されています。これからは、5cmの材木の遮蔽効果は約30%。

 神戸大学の山内知也教授の福島市での調査では、
「学童保育が行われている建物の内部で、床面よりもはりの高さで、また天井の高さで、高くなればなるほど線量が高くなるという傾向が確認された。
・・玄関での線量は室内よりも低いことが認められた。敷地外部の土壌汚染による線量増強以外の効果が作用していると考えられた。屋根の直上と庇の下の線量を計測すると屋根の線量がより高くなっており、コンクリート製の瓦の表面に付着した放射性セシウムが室内の線量増強をもたらしていることが確認された。
屋根は面積が広く当然のこととして室内を覆っているために汚染の程度が相対的に低くても大きな効果を及ぼす。この屋根は高圧水洗浄をしたもの」「住宅の内部で天井に近いところで、あるいは 1 階よりも 2 階のほうが空間線量の高いケースが認められたが、これらはコンクリート瓦等の屋根材料の表面に放射性セシウムが強く付着し、高圧水洗浄等では取れなくなっていることに起因することが判明した。」
 つまり、一面に放射能が降下し瓦等の屋根材料の表面に放射性セシウムが高圧水洗浄等では取れないくらい強く付着し、家屋の遮蔽効果が低くなっているのです。

飯舘村を3月末に踏査した京都大学の今中哲二氏らは、「車、建物等よる放射線遮の効果(放射線量率の透過係数)は、車で約 0.8、木造家屋で約0.4、コンクリート建物で約 0.1 と見積もられた。」と報告しています。

 そもそも、どれだけ屋外にいるか、家屋にいる時間は何時間か、その建物の遮蔽効果が
どれ位かは、個々バラバラです。政府が金科玉条の聖典のごとく扱っているICRPの勧告では、「被曝レベルは主に個人の行動に拠って決定されるため、一般に非均質な被ばくの分布が生じ、結果として『平均的個人』を使うことは、汚染地域の被ばく管理にとって適切ではない」としています。

 ですから空間線量をそのまま被曝する被曝線量、家屋などの遮蔽効果を除いた被曝線量の予測線量を目安に学校閉鎖や除染などの防護措置を行うべきです。

 除染方針や20ミリシーベルト引き上げ案を見て、もっとも問題だと思うのは、除染などで目指す被ばく状況が明確にされていないことです。長期的に1ミリシーベルトを目指すとしています。それは、5年後でしょうか10年後でしょうか?それが不明です。

 被ばくがもたらす害と関連する経済的、社会的要素とのバランスを考慮して決めるとしていますが、被ばくがもたらす害には、安心して子供らを産み育てられないことが入っているでしょうか?
「汚染レベルが持続可能な人間活動を妨げるほど高くはない場合、当局は人々に汚染地域を放棄させるのではなく、人々が汚染地域に住み続けることができるようにするために必要なすべての防護対策を実施しようとするであろう」としています。子供らが産まれ育っていることは、地域に住み続ける持続可能な人間活動には不可欠ではないでしょうか?

 1ミリシーベルトが、一般に受け入れられている我慢できる被ばく環境ではないでしょうか?
除染方針では「本部が実施した試算によれば、・・2年を経過した時点における子どもの推定年間被ばく線量は、現時点での推定年間被ばく線量と比較して約40%減少します。
今後、学校、公園など子どもの生活環境を徹底的に除染することによって、(少なくとも約20%を削減することで)2 年後までに、子どもの推定年間被ばく線量がおおむね60%減少した状態を実現することを目指す」としています。
2年後に現在20mSvのところを8mSv、現在10mSvのところを4mSvです。これで、安心して子供らを産み育てられるでしょうか?持続可能な地域社会でしょうか?

「(除染方針の子どもの年間被ばく線量)目標が年間1ミリシーベルト以下という記述と学校・保育所・公園などで、線量の低減が確認できない施設については、一時的な使用の中止または施設の撤去も検討(との実施ガイドライン)がリンクした場合に、非常に大変なことになるのではないかなと思う。」(大野和子 京都医療科学大学 医療科学部 教授)
親、地域住民にとって大変になると心配しているのでしょうか?国・中央政府や自治体・地方政府にとって大変になると心配しているのでしょうか?
 東電フクイチ核事故では、放射性セシウムがほとんどで、その核種組成から「最初の段階で、50パーセント、60パーセント減らすというのはいいと思うが、これはセシウム134が減衰するから比較的容易である。あとは、セシウム137が(半減期が30年と長いから)なかなか減っていかないが、その次の段階の方策として、何か考えはあるのか。・・地元の住民の人に、ロードマップを示しながら、『どうしても技術的に2年後にはこれだけにしかならない、しかし、何年か先にはこうしていく。それは技術的にも可能である。』といった説明と説得をしながら進めることが非常に大事。【石榑委員】」
 これに政府は、対策本部の原子力被災者生活支援チームは、「当面は、住宅地を中心に除染を2年間行いながらということになる。」と、行き当たりばったりでロードマップ・道筋を示せないことを告白しています。
 20mSvでも18mSvが放射性ヨウ素、2mSvが放射性セシウムなら、ヨウ素は物理的半減期が8日ですから、180日半年も経てば放射性ヨウ素は崩壊してほとんど無くなっています。こうした汚染状況なら、復旧、復興期の現存被ばく状況での被ばく量目安が20mSvもありだと思います。
 しかし東電フクイチ核事故では、放射性セシウムがほとんどで、その核種組成から20mSv地帯は10年後の2021年には約4.6の予測線量になりますが、この後は、ほとんどセシウム137になるため減らなくなります。地域一帯が1mSvになるのは約80年後です。

 「除染に係る作業に関して、国が責任を持つのは業務として除染に係る者であり、そのような者は作業者として線量を把握していくことになるのは外せないことである。住民の方々がボランティアとして作業するかどうかは、住民の方々で考えていくことになる。おそらく自主的に線量を測定していくと思う。」と情けの無い会長(甲斐倫明 大分県立看護科学大学 教授)が牛耳る審議会。


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