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福島県外地域での検診と「当面の施策の方向性を・パブコメ③ 加筆① [被曝影響、特に甲状腺]

 また、専門家会議では他にも、実態に即さない観念的な論議が行われている。放射能が県境を越えているにも拘らず、「放射能は、離れて行くほど低くなる、これが常識的知識」といった非科学的な論議が見られた。放射能などの線源から出る放射線による被曝量は、線源からの距離に応じて低減する。しかし、放射能の量は、放出源との距離だけでは低減しない。ブルームの方向や気象条件など様々な要因が絡む。このことはチェルノブイリ事故ではホットスポットとして観測されている。東電核災害でも福島県外でホットスポットが発見されている。この科学的常識に反する「常識的知識」を披露した専門家会議委員と科学的常識をもった傍聴者とのやり取りで、第13回の会議は一時中断している。

 この科学的常識に反する「常識的知識」が罷り通っている。冒頭に述べたように、現時点では
プルームや短半減期核種のデータが限られているが、徐々に放射性物質が県境を越えて各地に飛散していることを示しているデータは増えており、今後解明が期待できる。食品の汚染測定の指示が出されたのは2011年3月18日であり、それ以前の汚染食品がどのように流通し摂取されたかまったくわかっていない。厚労省の初期データ(3月18日~20日頃)によれば、福島県産品よりも茨城県や栃木県産品の野菜類にヨウ素131の高い濃度が示されている。18日以前の汚染食品の流通・摂取の状況は不明であり、福島県においても近隣県においても、被ばく量を推測できていない。 が、これも徐々に被ばく量の推測値がでてきている。

 ところが中間取りまとめでは、「放射性ヨウ素による被ばくについては、福島県内よりも福島近隣県の方が多かったということを積極的に示唆するデータは認められていない」と断定している。上記の事実からもこのように決めつけることは決してできない。

 このように「データは認められていない」と断定して、中間取りまとめでは、福島県外における甲状腺検査の必要性を否定している。2巡目の検診で見つかった4人のうち3人では外部実効線量(県民健康調査基本調査による推定)が1mSv未満から2.1mSvと評価されている。近隣県でも同等の外部線量が推定される例もあり、甲状腺被ばく量が不明であるため、福島県外でも甲状腺癌のリスクがあることを意味している。初期のヨウ素については、事故後初期に民間で母乳や尿検査を実施した例もある。初期のデータの収集を広く呼びかけ線量の再構築に努めることが重要であり、安易な楽観的線量評価での断定は慎むべきである。

 現時点で一律に県外の被ばく量は低いとして、健診の必要性を切り捨てることは非科学的である。そして野田市、松戸市、佐倉市、柏市、流山市、我孫子市、鎌ケ谷市、印西市、白井市の9市、千葉県内の汚染状況重点調査地域の指定を受けた9市連名により平成26年11月14日付でだされた緊急要望書にあるように、福島県外での検診の要求は強いものがある。緊急要望書は「専門家会議において具体案の論議がなされる」に求めているが、そうした論議は行われていない。論議を経て不要というのではなく、非科学的に一律に県外の被ばく量は低いとして、健康診断・調査の必要性を切り捨てている。
 専門家会議の論議は不十分であり、子ども・被災者支援法の健康被害の未然防止という点では乖離した非科学的な議論がなされている。専門家会議に設置の趣旨を徹底して、再度の論議を行うべきである。その上で、当面の施策の方向性を再考すべきである。
再度の専門家会議では外部・内部の累積線量の低減を中心とした議論を行い、高線量地域からの避難、(特に累積被ばく量の多い集団の)食品による摂取の制限、治療費や対策費用の具体的な議論を行い、健康被害の予防につながる施策を早急に打ち出すことを望む。
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タグ:パブコメ
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