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リスクコミュニケーションで発癌リスクは低減するのか・パブコメ④ [被曝影響、特に甲状腺]

 「(4)リスクコミュニケーション事業の継続・充実」について
専門家会議の「中間とりまとめ」では、東電核災害による「放射線被曝による生物学的影響」と「避難などに伴う心身の影響」に分けている。そして前者には医療で対応し、後者には個人線量計の活用などリスクコミュニケーション・相談で対応する枠組みになっている。これを受けて、環境省はリスクコミュニケーション事業の継続・充実をはかるとしている。

 これは間違っている。津波をあびて直接的な力で生じた生物学的影響=怪我、負傷と、体験や経験によって怪我など負わなくても生じたPTSD(Post Traumatic Stress Disorder :心的外傷後ストレス障害)の心身影響を共に津波の被害と我々は考えている。そして、ともに医療が中心となって対応している。だから東電核災害による放射線被曝の影響を生物学的影響の癌のみに限ること、それのみを医療の対象とするすることは異様である。癌以外の影響を医療の対象外とすることは、医療の知見や療法を活用して併用して被災の害を癒し、軽減する道を閉ざすことになる。これはネグレクトである。

 津波は一過性であるが、東電核災害による放射線被曝は違う。東電核災害で出た放射能・放射性物質がある場所にいる限り、継続的永続的に被曝は続く。個人線量計の活用して年間7.5ミリシ-ベルトの実効線量を生後の14年間被曝したと判ったとしよう。この中学3年生、高校1年生の積み重なった累積線量は105ミリシーベルトになる。「中間とりまとめ」では100ミリシーベルト以上は発癌するリスクが高くなるエビデンス・証拠が得られている。この中3、高1の人の高い発癌リスクはリスクコミュニケーション・相談で下げることができるか。
 

 累積線量は人様々な量になるが、それに被曝による発癌は確率的影響だから、この人が発癌するか否かは誰も断定できない。言えるにのは、そのままでは累積線量が一層上がってリスクがより高くなることである。個人線量計で被曝線量を知り、リスクコミュニケーション・相談で低減する策を考えることはできる。その策を実行して増加を逓減することもあろう。しかし、高くなったリスク、高くなる発癌リスクをリスクコミュニケーション・相談で下げるのは無理である。ジリジリと命が火に炙られる様なストレスに、リスクコミュニケーション・相談は有効だろうか。

 「子ども・被災者支援法」の十三条に「国は・・子どもである間に一定の基準以上の放射線量が計測される地域に居住したことがある者(胎児である間にその母が当該地域に居住していた者を含む。)及びこれに準ずる者に係る健康診断については、それらの者の生涯にわたって実施されることとなるよう必要な措置が講ぜられるものとする。」とあるのは、こうした高くなったリスク、高くなるリスクを東電核災害で持たされた国民に対して国が当然に負う国の責務、医療の提供である。そして専門家会議はその国の施策を検討するために設けられた。

 ところが、専門家会議は対象の基準となる放射線量を議論していない。先に提出した201501210000329048で述べたように非科学的な理由で一律に県外の被ばく量は低いとしている。そして医療提供を福島県に限定して、それ以外の行政地域には医療ではなくリスクコミュニケーション・相談の提供で基本的良いとしている。先に述べた「子ども・被災者支援法」の基本理念や13条の趣旨を全く無視・neglectしている。この専門家会議を踏まえた環境省の「当面の施策の方向性(案)」も、(4)で「リスクコミュニケーション事業の継続・充実」を謳っている。これは行政の被災者へのネグレクトになっている。

  専門家会議では、長瀧座長は参考資料として提出された11万人の初期体表面スクリーニングの評価結果を「あくまでも参考」などと根拠なく軽視したり、ヒアリングに招いた専門家に対し「非常にユニークな方」などと人格を否定する一方、「放射能は、離れて行くほど低くなる、これが常識的知識」といった非科学的議論をする丹羽委員を放置するなど座長として極めて恣意的な運営が見られた。専門家会議の設置の趣旨を理解しているとは言えない運営をした。長瀧座長や丹羽委員を交代して、会議の設置の趣旨を徹底して、会議を再招集して再度の論議を行うべきである。その上で、当面の施策の方向性を再考すべきである。

 その会議では外部・内部の累積線量の抑制を目指した議論を行い、高線量地域からの避難、(特に累積被ばく量の多い集団の)食品による摂取の制限、治療費や対策費用の予算化などについて具体的な議論を行い、健康被害の予防につながる施策を早急に打ち出すことを望む。
↓当面の施策(案)2/2
01-2015環境省、当面の方針25690-002.jpg

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