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「原発依存度低減に向けて廃炉を円滑に進めるための会計関連制度について(案)」にパブコメ 2/22締切  [電気料金制度・稼働率]

 「電気事業会計規則等の一部を改正する省令について(案)」及び「原発依存度低減に向けて廃炉を円滑に進めるための会計関連制度について(案)」に対する意見募集について
電気事業会計規則等の一部を改正する省令について(案)PDF
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000123049
原発依存度低減に向けて廃炉を円滑に進めるための会計関連制度について(案) 
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000123050
 送ったパブコメ
「モラルハザードとなることのないようにすべき」とあるが、国際的なIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)のやり方と著しく乖離したこれまでの廃炉費用の計上・回収制度への反省と責任分担が明確にされていない。この廃炉に係る会計制度検証ワーキンググループの案では「経営を間違った企業は倒産する」という原則を破壊し、モラルハザードを引き起こすものである。やり直しを求める。
 IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)は120カ国以上で採用(強制適用や容認)されている。米国はUSGAAP(米国会計基準)の中身をIFRSに置き換え、最終的にIFRSに同一化すること方向である。日本も強制適用の目処を2017年頃をおいて、2002年から徐々に取り入れられている。
 その中に、工場やビルなど有形固定資産を取得・建設・開発した際に、将来その固定資産を除去する際にかかる除去や環境浄化の費用をあらかじめ債務・負債として計上する、資産除去債務・AROとして可視化する考えがあります。原子力発電所では廃炉の費用は正にこれにあたる。

 その資産除去債務・AROの負債を固定資産の耐用年数(減価償却期間)に基づき各年度に費用配分して、償却し積み立ておく。一般的な生産設備は、減価償却期間をこえて生産設備が用いられる事が多々あるが、技術革新などで陳腐化し、設計で想定した稼動期間よりも短い期間で稼動を停止する、廃棄することも多々ある。こうしたことから、固定資産の耐用年数(減価償却期間)を用いている。
 電力会社の会計基準も、2011年度から資産除去債務・AROを取り入れたことになっている。しかし、質的に資産除去債務・AROではない。実態としては、1989平成元年から施行されている原子力発電施設解体引当金を引き継いだものであり、引当金制度の持っていたAROと相いれない特徴をそのまま引き継いでいる。それは、一つは、本来は資産の耐用年数に基づき各年度に費用配分を用いるべきところを発電電力量で行っている。一つは、配分期間が異様に長い。一つは、除去費用見積額が明白に過小である。
 1989・平成元年に設けられた原子力発電施設解体引当金制度は、原発などの体・除去や環境浄化の費用をあらかじめ算定して、その90%を、設備利用率が76%で40年間運転するとして1KWhあたり発電原価に算入し、電気料金で回収して、発電所一基毎の発電実績に応じて積み立てる制度であった。2011年度から変更は、費用の90%を100%に変えるだけである。
 原発は耐用年数を約40年と見て設計されている。しかし、一般的な生産設備でも、技術革新などで陳腐化し、設計で想定した稼動期間よりも短い期間で稼動を停止する、廃棄することも多々ある。それで原発の減価償却期間は15年とされている。ところが、資産除去債務・ARO=廃炉費用は、約40年とされている。米国、フランス、ドイツ、英国では40年を採っているから妥当との見解もあるが、日本は地震大国、天災の多い地域である。地震などで設計想定の40年間稼動ができなく確率は諸外国より高いのだから、諸外国と同じでは不適切である。予め、費用不足状態を内包した枠組みである。
 特に敦賀1号機(運転開始1970年11月)、美浜1号機(運転開始1970年11月)・2号機(運転開始1972年7月)、高浜1号機(運転開始1974年11月)・2号機(運転開始1975年11月)、島根1号機(運転開始1974年3月)、玄海1号機(運転開始1975年10月)など、引当金制度開始時点で設計想定耐用年数をかなり過ぎ1988年から更に40年間運転するとは思えないものは、予め、施設解体引当金不足が予見された。それにも拘わらず、何の手も打たれていない。

 設備利用率が76%というの点は、余りにも実態からかけ離れている。引当金制度が始まった1989平成元年度から2010年平成22年度までに、日本の原発の設備利用率が総合平均で76%を超えたのは、8年間しかなく、22年間全体では73%です。PWR・加圧型は79.2%と達しているが、BWR・沸騰水型は69%と1割も低い。
 されに細かく会社別、プラント別に設備利用率が低下した理由を見てみると、老朽化にともなうひび割れや配管破断などの機器トラブルで停止、事故炉の点検や機器の交換で長期停止。地震後の点検で機器トラブルが見つかり長期停止。それが他の原子炉での点検や予防的交換を招き、定期点検の長期化し低下している。
 
 老朽化原発ほど利用率は低くなる、解体時期が近いほど利用率が低くなり解体費用の積み立て、引当金額が小さくなる。解体費用が不足するという構造的欠陥を引当金制度は内包している。

「敦賀1号機、美浜1号機・2号機、高浜1号機・2号機、島根1号機、玄海1号機は1基あたり210億円程度の費用が一括して発生することになる。」とある。しかし1989平成元年からIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の資産除去債務・AROのやり方、主な原発設備の法定耐用年数・15年に基づく償却期間を前提として、将来時点の解体する費用額を費用配分するやり方で1989平成元年から原子力発電施設解体引当金制度を運用していたら、2010年には解体・廃炉費用は積みあがっていた。「資産の残存簿価、核燃料の解体費用等、廃炉に伴って一括して費用計上する必要のあるものについては、」引当金が積んである状態であった。
 原子力発電施設解体引当金制度が「巨額の損失が一括して生じる制度」であった。それで財務・会計的に「廃炉もできない」。この政策と経営の失敗のツケを、安易に会計基準を変更・「技術的修正」をして、投資家に消費者に回す姿勢は、モラルハザードそのものである。「モラルハザードとなることのないようにすべき」なのだから、先ずこの点を、政策と経営の失敗の責任を明確にしてから論議が始められる。やり直しを求める。
 以上
参照
電事連の求める「新たな国策民営のあり方」とは? 、 廃炉費用の計上 加筆2014/05 
http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2013-10-06

タグ:廃炉会計
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