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7月29日吉田調書、(6)3号機、2号機の爆発への道どり 13-14頁 [東電核災害検証、吉田調書]

 吉田 昌郎 2011年7月29日付 事故時の状況とその対応について  (PDF:7,170KB)
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/051_koukai.pdf


1号機の爆発(12日15時36分)について
3頁
●事故調質問 最後におっしゃった格納容器の方から水素が漏れて建屋の上部の方に充満して、このような爆発が起こったんではないかと。そんな話というのは、いつごろから出始めたんですか。

◎吉田回答 これは、その日のうちではあるんですけれども、しばらく経ってから、いろんな意見があり ました。現場にいた人間が、どうもタービン建屋から火花がいっているみたいな話が最初の段階で入ってきましたね、現場の近くにいた人聞が、ターピンということは、発電機の水素か何か、そっちの側を疑われたんですけれども、だったらターピン建屋が壊れていないのはおかしいなと、何でということで、本店とも話をしている中で格納容器から漏れた水素ではないかと、 2 時間ぐらい経って、その可能性が高いというようなことになったかと思います。
 その時間感覚はあれですけれども、少なくともその日のうちには、一番可能性が高いのは、格納容器から出た水素による爆発だろうというのが大体見えてきた。 

13-14頁

●事故調質問 それから、この爆発に関しては、いろんな原因について議論をされて、どうも格納容器から水素が漏れて、建屋上部の方に充満して、それで爆発に至ったんではないかというのが、数時間以内には、そういうのが有力な説としてとなえられたとして、では、そういった原因の可能性が高いとなった場合に、各号機、1号、2号、3号、4ないし6号とありますけれども、それらに対して、今後、そういったことが起こることを防ぐために、何かする手立てはないかというような、そういう検討というのはされたんですか。

◎吉田回答 同時にします。

●事故調質問 例えば、どういう議論がそのときには。

◎吉田回答 まず、本当に原子炉建屋のプローアウトパネルというのがありまして、原子炉建屋の圧力がある程度上がると、このブローアウトパネルが外側に破れて、圧力を逃がすような構造になっています。
 ところが、これが平成19年の柏崎の地震のときに、地震力で圧力が上がっていないのに、ブローアウトパネルが完全に聞いた事例が何例かありまして、そのブローアウトパネルは、ちょっと開きづらく
するような改良といいますか、今から思うと改悪なんですけれども、するようになっていまして、各号機のブローアウトパネルが開きづらいということがありました。

 それで、2号、3号も当然のことながらこの事象が起こるということは、私も頭の中にありましたし、本店も同じ意識で共有して、まず、どうしょうかと、それで、プローアウトパネルを開けるにしても、今、原子炉建屋の中にも入れないような状態で、外からも聞けられないと。

 それで、いろんなことを考えて、もう一つは、作業に伴って、もう既にどれくらい水素が浮いているかわからない、作業に行くのも危ないわけですね。作業によって、例えば火花で発火するということもあり得るので、いろいろ検討したんですけれども、例えば外側から何かウォータージェットみたいなもので開ければ、要するに水で開けるので火花が出ないからウォータージェットはできないかとか、そんな単時間で穴を開けるような工具もないですし、いろんな検討をしました。
 人間が入ってできないかとか、いろんなことは考えたんですが、少なくともすぐにできるような状況ではないということで、並行して考えてはいたんですけれども、そんな状態が続いていた。ですから、検討をずっと継続していた。
それで、たまたま2号機が、現場に行った人聞がプローアウトパネルが開いているぞと、何でだということで、多分あれは1号機の爆発の圧力か何かによるんだと思うんです。それにしても解せないのは、海側にブローアウトパネルがあって、1号機はこっちから爆発しているので、よくこのブローアウトパネルが開いたなと思っているんですけれども、いずれにしても、2号機はプローアウトパネルが聞いているから、何とか逃げそうだということでほっとしたので、3号をどうするか、こういう話で、3号機を重点的にやって、そのブローアウトパネル、もしくはブローアウトパネル以外でもいいんですけれども、開けられないかと、極端なことを言うと、自衛隊のジェット機か何か来て、機関銃か何かで穴を開けてくれないかくらいのことも考えたわけなんですけれども。

吉田陳述の整理

12日15時36分頃 1号機の爆発

12日中、水素の経路と対策の検討
「2時間ぐらい経って、」19時頃?、「少なくともその日のうちには」
「格納容器から漏れた水素ではないかと 」「一番可能性が高いのは、格納容器から出た水素による爆発だろうというのが大体見えてきた。」
同時並行で、そういったことが起こることを防ぐために、何かする手立てはないかと検討

傍証 「3月12日の1号機爆発後、早い段階から、本店対策本部原子力復旧班では爆発の原因として水素が疑わしいと考え、原子炉建屋にたまる水素を抜く方法として、『ブローアウトパネルの開放』、『原子炉建屋天井の穴開け』、『ウォータージェットによる原子炉建屋壁への穴開け』などの方法について検討を開始した。
 検討の過程においては、滞留している水素に引火させないよう、工法の選定には最大限留意することとした。機械ドリルによる穴開けは、火花が出て引火する可能性が高いことおよび現場が高線量で接近作業が困難であることから、『ウォータージェット』を主軸に検討を進め、3月14日0時頃、プラントメーカーへウォータージェット装置を発注した。
 3月14日、ウォータージェット装置は、メーカー工場からメーカー関係企業のいわき市四倉工場へ、その後、小名浜コールセンター経由で発電所へ納入する計画であったが、11時01分に3号機において爆発が発生したことから、装置の搬送は四倉工場までで中断され、発電所までは搬入されなかった。」

平成23年12月22日付の東京電力の「福島第一原子力発電所事故の初動対応について」29頁(以下、初動対応と略記)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111222o.pdf

反証
 「13 日9:40 頃,爆発原因が水素によるものと断定できないものの,同様な爆発を引き起こさないことが重要であることが発電所長より示され,本店対策本部とともにその防止策についての検討が開始された。」

「・ 13 日午後,官邸では官房長官が3 号機の状況についてプレス会見を行い,水素爆発が起こる可能性があることを発表。
・ その後,原子炉建屋の水素を抜く方法として,『ブローアウトパネルの開放』,『原子炉建屋天井の穴開け』,『ウォータージェットによる原子炉建屋壁への穴開け』などの方法について提案がなされたが,ウォータージェット』以外は,穴開けにより火花が散り爆発を誘発する可能性高いことや現場が高放射線量であること等により実現に至らなかった。」
「・ 「ウォータージェット」を主軸に検討を進め,装置の手配を行った。」

「福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における対応状況について(平成23 年12 月版)」(以後、H23/12対応状況に略記)の74頁
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111222p.pdf


14日14時以降の本店発話 「ウォータージェットは念のために2号の横壁に穴をあけるという算段。工具一式は東京にある。1時間前にそちらへ向かうよう指示を出した。」

東電テレビ会議・公開動画の本40-2 YouTube リスト No.130の後半の発話
http://photo.tepco.co.jp/date/2012/201210-j/121005-01j.html

13日 2時42分 HPCI手動停止、炉注水が停止、メルトダウンへ

13日?? 2号機はプローアウトパネルが聞いているとの報告

事実確認 1号機が爆発した後で3号機爆発14日11時の前の状況、13日のGMT18:54、日本時間で14日の03時54分付の記事の写真

13日2号機b.jpg

発見日の反証 

「・ 14 日13:17,発電所長は2 号機のブローアウトパネルの開放,或いは原子炉建屋に穴を開けるための対応を急ぐよう本店対策本部に依頼。
・ 14 日14:50,2 号機の海側のブローアウトパネルが開いていることが報告される。
(その後の調査で,1 号機爆発の影響により開いたことが確認された)」
H23/12対応状況の77頁

東電テレビ会議・公開動画 
http://photo.tepco.co.jp/date/2012/201210-j/121005-01j.html
 本40-2 YouTube リスト No.130
   ●「ブローアウトパネルは開いてる」「ラッキー」「3号機も外そうと考えたが入れない」

14日11時01分 3号機の爆発

3号機は13日09時30分まで建屋に入って作業可能 

 
吉田所長は、3号機の水素爆発を防ぐために水素を逃す措置、ブローアウトパネルの開放が行われかった理由を二点、放射能で「原子炉建屋の中にも入れない」「もう既にどれくらい水素が浮いているかわからない、・・作業によって、例えば火花で発火するということもあり得る」を挙げている。しかし、その条件がなく建屋にはいれる時間帯はあった。

 3号機では12日の20時36分に計測用電源の喪失により原子炉水位が不明となり、その復旧作業が対策本部復旧班と当直運転員で行われている。21時過ぎからベントライン、手順の確認作業が行われている。13日5時頃には、建屋内トーラス室へ立ち入ってS/C ベント弁(AO 弁)大弁の状態を確認している。漏れた放射能で「原子炉建屋の中にも入れない」という状態ではない。それは水素ガスも漏れ出ていないことだから、作業の火花で着火、爆発することもない。
 ベント実施後、13日9時半頃「原子炉建屋1階は,霧が充満したようにモヤモヤと白くなり,線量計の数値が上昇して来たため,現場から退避」(H23/12対応状況の80頁、http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111222p.pdf

このように、3号機は12日深夜から13日9時頃までは、ブローアウトパネルの開放や穴あけ作業を行えた。2号機も13日10時40分頃に原子炉建屋の1F、2Fに行って計器を確認している。2号も3号もこの時間帯は作業可能。ところが、そうした報告はない。
 この時間帯での作業を見ると、もっぱらベントラインの構成である。1号の水素爆発解明と同時並行で行われていた建屋内水素爆発を防ぐ手立ての検討の結果は、ベントで水素ガスを放出することになったのだろう。炉への注水を確保してメルトダウンを防いでも、大量の水素ガス発生での水素爆発は防げるが、そちらではなくベントが優先されてたようである。

中越沖地震の以降のブローアウトパネルの「ちょっと開きづらくするような改良」というのは、作業に約9時間かけても開放できないと始める前からわかる位、大変な改良だったのだろうか。

まず、ブローアウトパネルの開放やドリルなどによる穴あけ作業について検討してみる。 続く


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