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吉田調書から、3号機のベントについて、新潟県技術委員会検証に関する質問・意見 [東電核災害の検証・新潟県技術委]

新潟「県では現在、技術委員会(新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会)において、福島第一原子力発電所事故に関する検証作業を進めています。検証に関するご意見・ご質問などがございましたら、下記の要領でお寄せください。
 県民の皆様からお寄せいただいたご質問・ご意見は、技術委員会事務局(県原子力安全対策課)で整理した上で、今後の技術委員会の議論に反映させていただきます。」
http://www.pref.niigata.lg.jp/genshiryoku/opinion-reception.html

泉田知事は9月18日記者会見で「吉田調書については、今、分析するよう指示しています。」と発言。
http://chiji.pref.niigata.jp/2014/09/post-44bd.html

それで、吉田調書から東京電力に問い質し、技術委員会の議論に反映させて欲しいし事項をおくった。

課題2、Ⅱ.ベントの意思決定に問題はなかったのか。に関連して

東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(以下は事故調と略記)による
東京電力福島第一原子力発電所長(当時)吉田 国郎氏への聴取の記録、いわゆる吉田調書の平成23年7月29日聴取の26、27頁に次の記載があります。

●事故調質問 それで、淡水注入が(3号機に13日)9時20分に開始されるまでの間に、時系列の30ページのところに、7時39分、ちょうど海水注入の2時間弱前のころに、格納容器スプレーを開始と書いてあるんですが、
これはどういった思惑というか。

◎吉田回答 これは、やはり格納容器の圧力が上がっていますから、何とか下げられないかと、要するにベントもあるんですけれども、1つは、冷却することができないかといったら、できるという当直の方から、そういう話もありまして、当直の方からも、運転の方からも下げるためには、1回働かせた方がいいんじゃないかという話がありましたので、いいんじゃないかと、やってみろという話はしましたね。

●事故調質問 この格納容器スプレーというのは、この水源というのは。

◎吉田回答 これは、私もそのときはよく覚えていないです。ちょっと彼らに聞いてください。できるという話を聞いたので、ではやってみろという話をした。

●事故調質問 それで、その後、これはどうなったんですか、ずっと。

◎吉田回答 いや、逆に圧力を下げると、ベントに逆に、要するに、実際にベントするときに、圧力が落ちているとベントしづらくなってしまうから、逆に本店の方からスプレーをやめろという話だったと思うんです。それで、結局、それに折れてというか、ではやめろという話をしたと思います。

m_130677021v5.jpg ここの操作は、書いていないゾーンですから、いいか、悪いかなんでわからないんですよ。要するに、
発電からすると、圧力が上がっているんだから、落とすためにスプレーして冷やしてやれば、落ちるだろうと、こう単純に思っているんですけれども、どうも本店の方では、落ちてしまうと、圧力が落ちてしまって、ベントが阻害されてしまうから、不要だという判断をしたんだと思うんですけれども、何かそういうやりとりがあったような気がします。

●事故調質問 その点なんですけれども、ちょっとよくわからないのは、ベントというのは、格納容器の圧力を抜いて、格納容器が壊れるのを守るということなんだったら、そのメリットがある反面、大気中に放射性物質なんかが拡散されるということがあるんだったら、無理にベントで圧力を下げなくても。

◎吉田回答 格納容器がスプレーできるといったって、ほんのちょっとだと思うんですよ、大した水源があるわけじゃないですから、これをよく確認してほしいんですけれども、そんなに長時間格納容器スプレーができるような、通常の格納容器スプレーライン、普通は3号機ですから、RHR系にホンテンメットスプレーモードというのがあって、格納容器をスプレーするようなラインが引かれていて、そのラインを生かせば、格納容器に噴水みたいに水が出て、圧力を下げるという機能があるんですよ、これがそのラインで生きているんではなくて、何か流用してスプレーを生かせるラインができそうだという話があってやったんだと思いますが、これがコンスタントにそれで冷却ができれば、それはそれで、1つ結構なんですけれども、そんな恒久的に圧力を下げられるようなものではないと、これはちょっと発電斑長に、その辺は当直者に聞いていただいた方がいいと思うんですけれども、その辺のラインがどういうラインで、どう入れたか、もう記憶にはないですけれども、ちょっとでも下げられるのなら、下げてみたらという、一連の操作の中でも応用操作みたいなものですから。

●事故調質問  その後、これもずっとやっていたわけではなくて、本店の方からもいろいろ意見もあって、途中でそれはやめて。

◎吉田回答 やめました。

●事故調質問 FPIで淡水注入を開始というころには、もうやめているんですか。

◎吉田回答 やめていたと思いますね。ちょっとベントとの絡みになってくるので、それは注水とのタイミングでの議論が、今、頭の中でぼやけているので、そこは担当の方に確認してください。

 引用終わり

ベントには「格納容器の圧力を抜いて、格納容器が壊れるのを守るということなんだったら、そのメリットがある反面、大気中に放射性物質なんかが拡散されるということがある」(事故調質問)。だから放射能を浴びせ掛けられる側からすれば格納容器スプレイで圧力が下がるなら「無理にベントで圧力を下げなくても。」という判断は当然です。シビアアクシデントマネジメント・AMのフェーズⅡ、被曝量を抑制するAMの考え方からも格納容器スプレイは当然行われるべきと考えます。

ところが吉田氏によれば「本店の方では、落ちてしまうと、圧力が落ちてしまって、ベントが阻害されてしまうから、不要だという判断」「圧力を下げると、ベントに逆に、要するに、実際にベントするときに、圧力が落ちているとベントしづらくなってしまうから、逆に本店の方からスプレーをやめろという話」があったとなっています。

東電に問い質していただきたい事項(以下は、東電質問と略記)
東電質問(01) この格納容器スプレイをやめろと発電所に指示した人物は、本店の誰ですか。本店の緊急時対策本部の誰ですか。その役職等を明らかにしてください。

東電質問(02)その理由は吉田氏が言うように「圧力が落ちてしまって、ベントが阻害されてしまう」という理由ですか。

事故時手順書の兆候ベースとシビアアクシデントには、格納容器PCVスプレイの項目があります。兆候ベース手順書では、「4.格納容器制御」で格納容器PCV減圧・圧力調整の手段はPCVスプレイです。3号機は13日の午前2時42分にHPCIによる原子炉圧力容器RPVへの注水が終えています。3時51分には水位が有効燃料棒頂部・TAF以下にある事を示す水位計値が計測されています。メルトダウン後に使われる事故時手順書(シビアアクシデント)では、PCVスプレイによってメルトスルー前にペデスタルに蓄水する、メルトスルーで溶融核燃料・デブリが落下してくるペデスタルに冷却水を予め張っておく「注水-3a RPV破損前のペデスタル初期注水」があります。3号機では70立方㍍を蓄水する。消火系・FPを使う代替スプレイの手順も定められています。

東電質問(03) 東京電力の事故時手順書では、格納容器PCVスプレイはPCV圧力制御(減圧)の手法、第一選択の手順に位置付けられていると考えるが、この理解で正しいか。

東電質問(04) 消火系・FPを使う代替PCVスプレイの手順も定められているから、吉田氏の「一連の操作の中でも応用操作みたいなもの」という評価は誤っていると考えます。東京電力は、吉田氏の評価は手順書からみて正当な評価と考えますか。

事故調が問うているDDFP による代替D/W スプレイは7時39分開始、8時40分から9時10分の間に停止させたとされています。スプレイの間、格納容器の圧力は上昇を抑えられている。D/W圧力で約0.48MPa、使用最高圧約0.4MPaを超えているがベントの目安の使用最高圧2倍のはるか下の値です。停止直後にSRV・逃し安全弁が開かれ、PRVから圧力が格納容器側に出され、約0.65MPaまで上昇しています。
参照・・東京電力「福島原子力事故における未確認・未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告~」の添付資料3
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu14_j/images/140806j0106.pdf

3号機圧力PCV.jpg


東電質問(05)
 この代替D/W スプレイによってペデスタルにどれ位の水が溜まったと評価していますか。初期注水の70立方㍍を蓄水出来たのですか。

東電質問(06) DDFPか消防車ポンプによる代替D/W スプレイを継続していたら、格納容器の圧力は約0.48MPa程度に保たれたのではないでしょうか。
吉田氏はPCVスプレイは「そんな恒久的に圧力を下げられるようなものではない」と評価していますが、東京電力は、D/W スプレイによる減圧効果を3.11発災前はどのように評価していたのですか。
 2013年6月の第18回動力・エネルギー技術シンポジウム で日立GEニュークリア・エネジー㈱、㈱東芝電力システム社、三菱重工業㈱が発表した「 格納容器破損防止対策とフィルタードベント. 設置の考え方」を参照すると、約24時間は最高使用圧力の2倍に達しなかったのではないかと考えます。東京電力は現時点でD/W スプレイによる減圧効果をどのように評価していますか。

参照・・http://www.jsme.or.jp/pes/Research/A-TS08-08/03/13hitachi-toshiba-mitsubishi.pdf

 3号機は13日の3時51分には水位が有効燃料棒頂部・TAF以下にある事を示す水位計値が計測されています。それ以降は核燃料損傷やメルトダウンが発生し、格納容器内には水素ガス、希ガス類、放射性ヨウ素などがPRVから移行していると考えられます。
 東京電力は5時50分にベントに関する発表を行い、7時35分にはベントを実施した場合の周辺への被曝評価結果を官庁等に連絡しています。しかし、格納容器の圧力はベント実施の目安となる最高使用圧力の2倍に達していません。6時頃までは最高使用圧力0.4MPa以下で、急激に上昇するが7時39分開始した代替D/W スプレイによって、約0.48MPaに抑えられています。

東電質問(07)13日の8~9時台は、格納容器ベントは圧力の点では必要のない状況です。その不要なベントを実施すれば、格納容器内の水素ガス、希ガス類、放射性ヨウ素などを周辺にまき散らすことになります。
 吉田調書では本店が不要で有害なベント実施にご執心ととれますが、東京電力本店の緊急時対策本部はどのような理由でこの時刻の不要で有害なベント実施を推進したのですか。

代替注水b.jpg

IC・非常用復水器の稼働経験 

課題別ディスカッションの課題と議論の整理の
課題2 海水注水等の重要事項の意思決定のⅢ-2-②では
「非常用復水器の機能の細部を理解する者は、ICの大気放出ベント管からどの程度の蒸気が噴出するのかについては、営業運転開始前の系統試験を見たことのある方から、伝えられて知らされていました。」とある。

「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」による吉田所長の聴取結果書が先日開示された。平成23年22日の聴取結果書の16頁には「IC・非常用復水器が平成3年頃、海水系の埋設配管漏洩、それで電源が塞がって、それに近いようなような事象があって、その時、ICを廻したと聞いている。記録からいうと、ICをそのときに動かした。」とある。

次の点を東京電力に問いだして、開示を求めて欲しい。
(A)この平成13年頃の事象の記録はあるのか。
(B)その記録を開示してほしい。
(C)この件は東京電力で継承されたのか?運転員はこの時のICの挙動は教えられているのか?

以上 2014年9月14日


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