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川内原発パブコメ(6) 長期のSBOに備え消火系・FPのデーゼルポンプを代替注水に使えるようにすべきである。 [核のガバナンス・パブコメ]

「Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注水機能喪失」、「Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再循環機能喪失」、「Ⅳ-1.2.1.8 格納容器バイパス、」、「Ⅳ-1.2.4.2 全交流電源喪失、」、「Ⅳ-4.2 原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時に発電用原子炉を冷却するための設備及び手順等」、「Ⅳ-4.4  原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための設備及び手順等」と「Ⅳ-4.6 原子炉格納容器内の冷却等のための設備及び手順等」での、全交流電源喪失・SBO条件での代替注水系について

意見の要旨 長期のSBOに備え消火系・FPのデーゼルポンプを代替注水に使えるようにすべきである。

審査書案(以下審査書)では、全交流電源喪失・SBOになっても例えば「事象発生から35分後に大容量空冷式発電機が利用可能になり」(221頁)と約35分で可搬の大容量発電機、つまり電源車で交流電源で回復となっている。東電核災害前にはSBO・全交流電源喪失は30分以上は続かないと、原子力保安院・安全委員会は評価していた。30分を5分延長し35分にしただけである。
 原子力安全委員会・保安院の評価もそれなりのエビデンスがあったが、現実の東電福島第一原発はそうではなかった。35分もそれなりのエビデンスがあるが、これが100%確実ではない。35分でSBOは終わると評価して、審査するだけでは東電核災害の経験を生かしていない。馬鹿げている。全交流電源喪失・SBOが長期化する場合の対応策も、検討、審査すべきである。第3世代+の原子炉は、72時間はモーターなどの動力に頼ることなく、原子炉崩壊熱除去能力を保つ設計がされている。これに倣って、72時間のSBOでも原子炉崩壊熱除去能力を保つことを基準に審査してはどうか。

川内原発では、全交流電源喪失・SBO条件での、炉心、格納容器への注水手段に消火系・FPの規格A-1級の消防用デーゼルポンプを使えるように提案する。BWRで既に採用されているAMを取り入れることを提案する。デーゼルポンプだから、SBO時にも使える。消防用ポンプのA-1級は、高圧放水使用の圧力は1.4MPa(直列並列切換え型のポンプは、1.7MPa)で2.0㎥/分以上(直列並列切換え型のポンプは、1.4㎥/分以上)、規格放水使用の圧力は0.85MPaで2.8㎥/分以上である。原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧、低圧時、格納容器内の冷却等のために使用可能であり、水量もある。審査書案(以下審査書)では、「系統構成、消火ポンプなどの起動、炉心への注水を計3名により、約20分で実施する」(300頁)とあり、約20分後に注水可能である。

また、ESBWR(高経済性単純化沸騰水型原子炉)のGDCS(重力駆動冷却系)、約10メートルの高度差を利用して原子炉に注水するシステムに倣って、宮山池(淡水)から高度差、落差を生かした非能動的注水を炉や格納容器に可能にする整備を提案する。

意見

2014年8月6日付で公表された東京電力の「福島原子力事故における未確認・未解明事項の調査・検討結果~第2回進捗報告~」をみると、SBO条件下で原子炉圧力がHPCIやRCICの設計条件の1MPa付近まで低下した時に原子炉・圧力容器に注水できる手段が全くなかったことが、冷却水途絶になり、核燃料の溶融と溶融貫通を招いている。事故時の手順書(事象ベース)では、交流電源が回復した場合はRHRをCR・炉心スプレイモードで起動しHPCIやRCICと併用する。そのCRによって原子炉・圧力容器に十分な注水が可能であることを確認し、炉圧が0.98MPa以下に、HPCIやRCICの設計条件の1MPa以下まで低下したらHPCIやRCICを停止する手順になっている。

東電核災害では全交流電源喪失・SBOが続き、交流電源が回復しなかった。SBO条件では準備されていた代替注水系のなかで、消火系・FPの消防用デーゼルポンプが使用可能であった。しかし、これはポンプの性能から原子炉圧が0.69MPa以下で使用となっていた。(手順書シビアアクシデントベース)つまり炉圧が1から0.69MPaの間は、炉への注水はSBO条件では用意されていなかった。

仮にFPの消防用デーゼルポンプがA-1級、A-2級、B-1級の規格性能であれば、炉圧1.4MPa以下で使用可能でそれなりの注水量があったであろう。炉圧1.4MPaは、東電福島第一3号機ではTAF・有効燃料頂部より4m上に水位があった時点である。その時に注水操作を開始すれば、注水の一部が他系統へ流れ込んで漏れていないか点検も可能であったろう。燃料溶融は避けれたと思える。
 2号機は、BAF・有効燃料下端付近に水位があった時点である。3月14日の18時頃である。実際には2号機は消防車で注水が行われ、燃料切れなどにより注水が約90分中断している。それが一因となって溶融貫通に至っている。常設のFPの消防用デーゼルポンプが使えれば、ポンプ2台体制を組めて長時間の中断は起こらなかったろう。

さて東電核災害を顧みれば、全交流電源喪失・SBOの長期間した場合の対策が必要である。第3世代+の原子炉は、72時間はモーターなどの動力に頼ることなく、原子炉崩壊熱除去能力を保つ設計がされている。これに倣って、72時間のSBOでも原子炉崩壊熱除去能力を保つことを基準に審査してはどうか。
 川内原発では、全交流電源喪失・SBOの長期間化はどのように考慮されているだろうか。炉心や格納容器に冷却水を注水する交流電力を使わない能動的代替注水系、受動的注水系を準備されているだろうか。BWRの東電福島第一原発のECCS・非常用炉心冷却設備では、炉圧が1MPa以上の高圧時にはHPCIやRCICが用意されていた。1から0.69MPaの間は、炉への注水はSBO条件では用意されていなかった。そうした欠陥はあるだろうか。

PWRのECCS・非常用炉心冷却設備は、蓄圧注入系、高圧注入系、低圧注入系および燃料取替用水タンクで構成される。
 蓄圧注入系は蓄圧タンク(ホウ酸水)、逆止弁などで構成されている。一次冷却材の喪失などで、一次冷却系の圧力が蓄圧タンクの保持圧力以下に低下すると、逆止弁が自動的に開きホウ酸水が炉心に注入される。外部電源等の駆動源は必要としない。川内原発では、最低保持圧力は4.04MPaであり、炉(1次冷却水)の圧力が約1.7MPaで注入を停止操作する。この停止圧力は蓄圧タンクの窒素ガスが炉(1次冷却系)に流入する圧力の1.2MPaに操作余裕を考慮し設定されている。
 逆に低圧側では炉(1次冷却水)の圧力が約0.7MPaから常設電動注入ポンプでの注水が開始される。SBOでは、このポンプは使えません。「Ⅳ-4.4  原子炉冷却材圧力バウンダリ低圧時に発電用原子炉を冷却するための設備及び手順等」で用意されているのは、消防車のような可搬式デーゼルポンプを繋ぎ込みである。このように、炉の圧力が約1.7MPa以下で約0.7MPa以上の間は、SBO条件では炉(1次冷却水)の冷却水注水手段は準備されていない。

「Ⅳ-1.2.1.6 ECCS 注水機能喪失」では1次冷却系の配管に中破断、直径約5~15cm.の穴が開いて1次冷却水(炉水)が漏れ出た場合の対策を検討している。「Ⅳ-1.2.1.7 ECCS 再循環機能喪失」では1次冷却系の配管に大破断、管が真っ二つに切れる破断がおきた場合、「Ⅳ-1.2.1.8 格納容器バイパス」では、1次冷却系の配管に直径約4cm.の穴が開いて1次冷却水(炉水)が漏れ出た(インターフェースシステムLOCA)場合の対策を検討している。
 その検討では外部から交流電源喪失を条件想定している。つまり常設の非常用発電機が生きており、その発電機の電力で電動ポンプが注水して事故は収束する結果になっている。東電核災害では非常用発電機が使えない、死んだ状態であった。全交流電源喪失・SBOの状況である。そのSBO条件では例えば「事象発生から35分後に大容量空冷式発電機が利用可能になり、常設電動ポンプによる炉心注水操作開始は50分後」(221頁)と約35分で可搬の大容量発電機、つまり電源車で交流電源で回復となっている。その発電機の電力で電動ポンプが注水して事故は収束する結果になっている。東電核災害の経験から見れば、35分で電力回復は楽観的希望的条件の想定である。そうして点で川内原発の審査書は「希望的観測」の陳列である。

審査書ではSBO条件では可搬式ディーゼル注水ポンプ、消防車を使った注水も対応策に挙げられている。例えば「可搬型ホース、可搬型ディーゼル注入ポンプの運搬及び接続作業を、復水タンクを水源とする場合は計15名により約8時間」(280頁)とある。8時間なら35分て大容量空冷式発電機を使えるようにし、その電力を常設電動ポンプに繋ぎ込んで50分後に注水開始を選択することは合理的である。
 しかし常設されているディーゼル消防ポンプでは更に短時間で注水が可能になっている。「系統構成、消火ポンプなどの起動、炉心への注水を計3名により、約20分で実施する」(300頁)「系統構成、ディーゼル消防ポンプ等の起動等を計3名により約17分」(316頁)。50分と17分なら17分を選ぶことが合理的である。なぜ、合理的な選択をしないのか。

BWRでディーゼル消防ポンプ使用のAM・アクシデントマネジメントは、計画段階から注水が途絶える炉圧帯があった。東電福島第一原発では1から0.69MPaの間のSBO条件での炉注水手段は、用意されていなかった。このディーゼル消防ポンプ使用AMは平成15年、2003年までに整備された。当時はSBO・全交流電源喪失は30分以上は続かないと、原子力保安院・安全委員会は評価していた。それが、こうした間抜けなAMを生んでいる。
 東電核災害後には反省して5分延ばしSBO時間は35分と評価して、審査するのは馬鹿げている。30分として間抜けたAMを黙認していた、原子力安全委員会・保安院の二の舞をするつもりなのか。全交流電源喪失・SBOの長期間した場合の対策が必要である。第3世代+の原子炉は、72時間はモーターなどの動力に頼ることなく、原子炉崩壊熱除去能力を保つ設計がされている。これに倣って、72時間のSBOでも原子炉崩壊熱除去能力を保つ対策を求める。常設ディーゼル消防ポンプの性能はBWRでの問題点を踏まえて吟味する。そして、このポンプ使用をSBO時の炉(1次冷却水)への冷却水注水などに使えるAMの整備を求める。

川内原発のECCSでは、駆動電力を必要しないSBOでも稼働する蓄圧注入系は炉圧の点では、蓄圧タンクの窒素ガスが炉(1次冷却系)に流入する圧力の1.2MPa、それに操作余裕を考慮した炉圧で停止操作する。九州電力は約1.7MPaとしている。だから、最低限その程度の圧力で注水できる性能が必要である。
総務省の動力消防ポンプの技術上の規格を定める省令では、高圧放水使用の圧力でこれを満たすのはA-1級、A-2級の1.4MPa(直列並列切換え型のポンプは、1.7MPa)、B-1級は1.4MPaである。A-1級は、高圧放水使用の水量は2.0㎥/分以上(直列並列切換え型のポンプは、1.4㎥/分以上)、規格放水使用の圧力は0.85MPaで2.8㎥/分以上である。この性能でLOCA時の原子炉冷却材圧力バウンダリ高圧時、低圧時の炉注水、格納容器内の冷却等のために使用に必要な性能を持っているか検討評価し、常設動力消防ポンプに必要な性能を求め、審査すべきである。

また、ESBWR(高経済性単純化沸騰水型原子炉)のGDCS(重力駆動冷却系)、約10メートルの高度差を利用して原子炉に注水するシステムに倣って、宮山池(淡水)から高度差、落差を生かした非能動的注水を炉や格納容器に可能にする整備を提案する。

審査書では、大破断LOCAとSBOによるECCSの高圧注水機能、低圧注水機能と格納容器スプレイ注水機能の喪失が重なった場合は約19分で炉心溶融、約1.5時間後に圧力容器破損、溶融貫通としている。溶融貫通時の格納容器圧力は0.166MPa。(174頁)採られ検討されている初期の対策は、代替格納容器スプレイによる格納容器内の冷却、減圧及び原子炉下部キャビティへの注水である。代替注水手段の電動注水ポンプ、ディーゼルポンプがともに使えない場合を想定して対応策を検討しておくべきである。
 溶融貫通時の格納容器圧力は0.166MPaであり、宮山池(淡水)との高度差、落差がうむ落水の圧力より小さい。宮山池との落差を生かした非能動的注水を炉や格納容器に行えるようにしておけば、電動注水ポンプ、ディーゼルポンプがともに使えない場合でも格納容器スプレイは可能である。


e-Gov(イーガブ)の意見提出では、入力できない文字

Ⅳ・・ローマ数字は入力できません。

㎥・・立方メートルはこの字では入力できません


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