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川内原発パブコメ(4) 津波対策、少なくとも保安規定や工事計画の3点がそろってから審査、意見公募をやり直せ [核のガバナンス・パブコメ]

Ⅲ-3 津波による損傷の防止について

意見の要旨 津波対策では基準津波がキーワードである。そして、審査書案(以下審査書)には47ヵ所出ている。しかし、具体的数値は何処にも出ていない。これでは、どれくらいの地表高まで遡上するかといった解析や審査の妥当性は、この審査書だけでは評価できない。
 また東電核災害では、想定されていた津波高、基準津波をはるかに超える津波が来襲している。そして、気象庁の大津波警報は、来襲の20分前には基準津波を超える津波の来襲、冷却用の海水を取り込む海水系ポンプが津波を被ること告げていた。この現在の科学の限界を重く受け止めるべきである。
 原子力利用における安全の確保に関する事務をつかさどる原子力規制委員会の任務であるのだから、単に基準津波の設定や設備が適合しているか否かの審査評価だけでなく、津波来襲前に発令される大津波警報に応じて採られる対応策が安全を確保する上で十分なのか評価、審査が欠かせない。
 少なくとも保安規定や工事計画の3点がそろってから、こうした点も含め審査、評価をやり直し、川内原発の危険性(安全性)に関し意見公募、パブリックをすべきである。

意見

津波では基準津波がキーワードで、審査書には47ヵ所出ている。しかし、具体的数値は何処にも出ていない。これでは、どれくらいの地表高まで遡上するかといった解析や審査の妥当性は、この審査書だけでは評価できない。

市井の者に一番身近な津波の予測は、気象庁の発する津波警報、注意報。0.2m≦予想波高≦1mで数値での発表は1mの津波注意報、1m<予想波高≦3mで数値での発表は3mの津波警報、3m<予想波高≦5mで数値での発表は5mの大津波警報、5m<予想波高≦10mで数値での発表は10mの大津波警報、10m<予想波高で数値での発表は10m超の大津波警報がある。

2011年3月11日、福島県に気象庁は14時49分に1.5≦予測波高≦6.0mで数値での発表は3.0mの大津波警報、15時14分に3.0≦予測波高≦12.0mで数値での発表は6.0mの、15時30分に5.0≦予測波高≦20.0m以上で数値での発表は10.0m以上の大津波警報を出している。そして15時37分頃に襲来した。

東電核災害の東京電力福島第一原発の諸設備の津波想定は、1966年の1号機設置許可申請時点でO.P.+3.122mであった。津波予想の科学的技術的の進歩に伴い1994年3月にO.P.+3.5mに見直され、2006年9月にO.P.+6.1mに見直されている。O.P.+6.1mが発災時点の津波想定である。敷地高はO.P.+10mであるから、敷地まで津波は基本的には届かないと考えられていた。

しかし、現実には周知の様に敷地の上に数メートルの深さで海水が来襲した。科学的技術的進歩により、津波の科学的土木学的想定は現実に近づいている。しかし、自然の振舞は人知を超える。そうであるから、原子力発電所の危険性の低減(安全性の向上)や防災は、津波の土木学的想定、審査書の基準津波を超える津波の来襲も考慮すべきであることを東電核災害は教えている。

そして、大津波警報は来襲までの時間は短いとはいえ、何らかの対応を講じる時間を与えている。襲来40分前の14時49分には津波警報から1966年、1994年想定を超えることが保守的に見れば予想された。15時14分、津波来襲の20分前には発災時点の津波想定O.P.+6.1mを超えることが保守的に見れば予想できた。津波来襲の20分前には①排熱用海水を取水する海水系ポンプは被水・冠水するだろうから使えなくなる、②建屋敷地上が津波で海水で覆われ建屋地下にある設備機器(非常用電源盤や非常用ディーゼル発電機など)の被水、冠水し使えなくなる可能性があると予想できた。従って、その20分間で①への対応、原子炉の崩壊熱を排熱するためのベントラインの構成を2、3号機では行う、1号機は非常用復水器をA系B系共に全開にするという運転操作が行えた。15時30分の10.0m以上の大津波警報から来襲までの約7分間には、全交流電源喪失SBOへの備えに着手できたろう。

審査書の基準津波を超える津波への備え、事前に行える対策は、既にある設備の運用というソフト面の対策が中心になると思います。気象庁の発令する津波警報や発電所独自の観測などをトリガーにした設備の運用法の整備です。3m<予想波高≦5mで数値での発表は5mの大津波警報が出された場合の対応、5m<予想波高≦10mで数値での発表は10mの大津波警報が出された時の対応、10m<予想波高で数値での発表は10m超の大津波警報が出された場合の対応策を準備しておく。

審査書では、竜巻への対処は日本国内での最大既往のFスケール3に余裕を持たせた設計竜巻の設定とそれを基にした設計方針ををとることを審査したとしている。それでは、「安全機能が影響を受ける場合であって、安全上支障のない期間に補修等が行うことができる場合は、修復等によって確実に復旧させる運用としている。」とある。設計方針が守られているかは工事計画書を見なければ判断できない。この運用は審査書にはない。保安規定を見なければならない。津波に関しても同様だから、この審査書、工事計画、保安規定の3点をセットにして検討しなければ、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全」が十全にはかられているか判断できない。

 川内原発の保安規定は提示されていない。そこで平成26年4月24日付の「新規制基準の審査状況を踏まえた保安規定改正に係る基本方針について」という北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力の文書にある記載例で検討する。文書(1)

それでは、気象庁の出す竜巻注意情報をトリガーとする防災行動が保安規定に記載されている。竜巻注意情報は大津波警報に比べ精度や確度はかなり劣る。しかし、それをトリガーとした防災行動が有益と考えられ規定されている。津波でも大津波警報をトリガーとして防災行動を予め検討して保安規定に記載できる。また保安規定を受けて、マニュアルなどで実施手段を定めるとある。
 

これを見れば津波を起因とする損傷防止策の詳細は「保安規定」、その下部規定「マニュアル」などに記載されることがわかる。審査書だけでは津波を起因とする損傷防止策の全容は判らない。その妥当性は評価できない。東電核災害から何らかの対応を講じる時間を与える大津波警報をトリガーとする対応策の有無や有効性を評価できない。したがって、少なくとも保安規定や工事計画の3点がそろわなければ、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全」が十全にはかられているか全容を審査できない。保安規定は現在審査中と聞く。工事計画は未提出と報道されている。それらがそろってから再度審査するべきである。その結果が出てから川内原発の危険性(安全性)に関し意見公募、パブリックコメントをやり直すべきである。

文書(1)http://www.hepco.co.jp/ato_env_ene/atomic/new_regulation/pdf/examination_meeting_108_14.pdf


新聞報道では基準津波の波高は約6mとあるが、パブコメの対象である審査書にはない。

a5d.jpg
西日本新聞
保安規定改正の竜巻例示部分
examination_meeting_108_14.jpg

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