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自然被曝、医療被曝、原爆被爆、そこに原発被曝 [被曝管理]

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ところで、先日、原子力規制委員会が発足しました。5人の委員で被曝影響の専門家は、中村佳代子委員ですが、彼女は、チェルノブイリ避難基準で強制的に避難させられる移住義務地域に相当する福島県内での居住を認めていますから、そこは「放射能の危険のない安全な教育環境」です。その理由を彼女は①「低線量被曝では子供と大人で発がんリスクに差がない」②福島のような低線量被曝では「子供の身体への影響よりも周囲の大人、保護者、親の心配からの影響、心のストレスが問題」と言っています。放射能より放射能を怖がる親ひとりひとりの心の持ち方が悪いのなら、処方箋は「放射能を怖がる精神を、怖がらないように悔い改めること。」になりますから中村委員は「不安は共有することで小さくできる。遠慮なく相談してほしい」と呼びかけました。
 委員長の田中俊一氏は「100mSvというのは健康に大きな影響がない」とし政府が決めた年間20ミリシーベルトの避難基準を越えた地域でも、放射能の自然減衰や除染で20ミリシーベルト20mSv未満になれば帰還する、避難基準をそのまま帰還基準としています。
①は一般市民の常識や「一般的に言って、子供の方が放射線の影響を受けやすいことが知られています。(放射線医学研究所)」という医学の主流の見解と余りにもかけ離れています。そして被爆から先ず子供・胎児を守るという規制には当然に彼女は反対するでしょう。
3.11前の2010年10月に東京大学放射線科の中川恵一准教授は「日本のがんの発生原因の3%以上は医療被曝が原因です。・・体に広く放射線を当てる診断用の検査をやり過ぎる面があります。例えば頭痛があるだけで頭のCTを日本人は本当にやるんですけれども、あれは考えたほうがいいという気がします。・・放射線の検査というのは常に被曝があるし、検査というのは広くやらなければいけないから、放射線治療よりも、ある意味、いろいろなところに作用し得るということを忘れてはいけない。」と宇都宮市で講演しています。講演の模様
群馬大学の遠藤啓吾教授らの2008年推計では、医療被曝のガン死は約6000人です。

「がんで年間30万人死亡するとして、3%というと9000人という非常に大きな数になります。交通事故より多いのです。このようなリスクに対する認識が日本ではほとんど議論されてきませんでした。その結果、日本はCTを含めて医療被ばく天国となっています。」「 長崎、広島のデータは、少なくとも、低線量率あるいは高線量率でも発がんのリスクがある一定の潜伏期をもって、そして線量依存性に、さらにいうと披ばく時の年齢依存性にがんリスクが高まるということが判明しています。
 主として20歳未満の人たちで、過剰な放射線を被ばくすると、10~100 mSV の間で発がんが起こりうるというリスクを否定できません。CT1回で10mSvと覚えると、年間被ばく線量を超えるということがわかります。子供が急性虫垂炎の手術だからと筒単にCTを撮る、頭部のトラウマで何回も撮るということが行われています。」と山下副学長は3.11前の2009年に日本臨床内科医会の学会で講演しています。

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医療被曝は日本が世界で最も多く世界平均の約3.7倍、国民1人あたりの平均被ばく量は年4mSv・ミリシーベルト程度と見込まれています。ラドンやカリウム40、宇宙線などの自然の避けられない被爆が年で約1.5mSvですから、かなり高い量です。世界平均の約3.7倍ですから減小は可能です。それで、医療被曝は被爆者にも治療というメリットはあるが、中川恵一准教授や山下副学長の講演のように3.11前は減らそうとしていました。自然放射能、宇宙線などによる避けられない被曝プラス原発等による人工的な被曝・法的上限は1mSvプラス医療被曝の合計を被曝していますが、発癌を少なくするために放射線や放射能を扱う専門医たちは医療被曝の減少に取り組んでいました。

東電福島核災害で福島県など広い地域地点で年4mSv・ミリシーベルトやCT1回の10mSv以上に被曝が増えましたから、その地にいる親・保護者が心配するのは、正常です。当然です。田中俊一委員長の20mSv未満になれば帰還という考えに戸惑い、不安を覚え、反発するのは当然です。そうした大人、保護者、親の心配が子供に悪影響を放射線被曝より及ぼすと中村佳代子委員は言い、「遠慮なく相談してほしい」としています。

相談すれば、一人で悩むより肩の荷が少しは軽くなるでしょう。しかし、相談しても中村委員・原子力規制委員会の答えは、3.11前に言われていたことの正反対・真逆の事を前提にしています。3.11前に専門医が懸命に取り組んでいた被曝の削減、国民1人あたりの医療被曝を平均被ばく量年4ミリシーベルト程度から削減に取り組んでいたのに、3.11後の福島では「100mSvというのは健康に大きな影響がない」から「20mSv未満なら今まで通りに暮らせます。」「余り心配するとお子さんに悪い影響を与えますよ。」とアドバイスされます。

3.11前には被爆にメリットがある医療被曝でさえ子供には10mSv以上は使わないようにしようと言っていた山下副学長は、3.11後に福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任してからは「影響があるのは100ミリシーベルト(CTスキャンを1度に10回受けたときの放射線量)以上の放射線量を1回で受けた時」と言い出します。平均で年4mSv程度の医療被曝を減らそうと呼びかけていた中川准教授も同様です。

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このような手のひら返しはチェルノブイリ事故の時もありました。当時のソ連保健省は事故から3週間も経たない1986年5月14日、原発による被ばく線量の基準をいきなり100倍ほど引き上げ、通達しました。
(1)、一般人は、年間500mSv
(2)、14歳以下の子どもと妊産婦は、年間100mSv
(3)、「それ以下の場合、住民の疎開など特別の措置は取らない。」
ウクライナ共和国政府が、5月9日に決定したキエフの子どもと母親52万人余りの学童疎開は行われましたが、この通達「それ以下の場合、住民の疎開など特別の措置は取らない。」で、5月14日以降は避難などは行われてません。この措置は、ソ連全土、今のロシア、ウクライナ、ベラルーシュなどに全土に出されました。

日本ではどうでしょうか?福島の外では、九州や関西、東京などでは3.11前のままです。中川准教授ら職業的に被爆する人の上限は20mSV/年(5年で100mSV)、それ以外の一般公衆は1mSv/年です。つまり東電によって放射能汚染された地域だけが、福島県内等の人々だけが20倍に実質引き上げられています。これは、何かの罰なのでしょうか?福島県内等の人々を原子力規制委員会の田中俊一委員長や中村佳代子委員らは、何の罪科で罰するのでしょうか?これは明白な差別です。

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