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9割の国民意見をどぶに捨てた? 2014年エネルギー基本計画のパブコメ 加筆5/25 [エネルギー基本計画]

 

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 朝日新聞、2014年5月25日より

安倍内閣が4月に閣議決定したエネルギー基本計画をつくる際、国民に意見を募った「パブリックコメント」で、脱原発を求める意見が9割を超えていた可能性があることがわかった。

 経産省が昨年12月6日に示した基本計画の原案に対し、対象の1カ月間にメールやファクスなどで約1万9千件の意見が集まった。経産省は2月に代表的な意見を発表したが、原発への賛否は集計しなかった。

 朝日新聞はすべての意見の公開を求め、経産省は、個人情報保護のために名前を消す作業が終わった2109件分のメール(2301ページ)を開示した。受け付け順で開示したとしており、残りの開示の可否は9月までに決めるという。

 以上5月25日加筆

虹屋のパブコメ 2014年1月3日

新しい「エネルギー基本計画」策定に向けたパブコメに、応募して提出しました。


ネット経由では2000字の制限があるので10回ほどに分けて送っています。提出すると受付番号が付きますので、それを利用して「1234の続き」を文頭に書き込んでいます。訂正も同様。

主文
原子力発電の扱いが錯誤した認識により過大である。一方、純国産エネルギーである再生可能エネルギーの過小である。錯誤した認識を改め、再議論、再検討すべきである。

意見

計画意見(案)は、「北米で始まったシェール革命」の時代と認識としており、エネルギー政策の基本的視点として「3E+S」をあげている。「エネルギー政策の要諦は、安全性(Safety)を前提とした上で、エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、最小の経済負担(Economic Efficiency)で実現することである。あわせて、エネルギー供給に伴って発生する環境負荷(Environment)を可能な限り抑制するよう、最大限の取組を行うことが重要である。」

シェール革命の影響

計画意見(案)は、「シェール革命は、天然ガスを始めとして国際的な地域間におけるエネルギー価格に大きな格差を生じさせはじめており」とシェール革命の影響として国際的な地域間におけるエネルギー価格差をあげているが、発電方式でも安価な天然ガスを使ったガス火力発電が優位性をもつようになっている。米国ではガス火力発電が急増し、原発電力が価格競争力を失ってきて2013年に原発5基の廃炉計画を発表している。アナリストによれば、米国では少なくとも38基と全体の3分の1に当たる原子炉が早期廃炉を迫られている。原子力発電だけでなく石炭火力発電も米国では閉鎖が相次いでいる。こうした電力原価格差に対する十分な検討なしに、計画意見(案)は「原子力発電所について再稼動」をすすめている。論議が不足している。

原子力発電の安全性と安全神話

原子力の発電の安全性について計画意見(案)は、これまでを「基準や条件を満たせば、リスクはゼロとなり、」(第3章、第9節)「我が国の原子力発電所では深刻なシビア・アクシデントは起こり得ないという『安全神話』」(第3章第1節、2、(2))という誤った安全性(Safety)認識は、「政府及び原子力事業者は、いわゆる『安全神話』に陥り十分なシビア・アクシデント対策を講じることができず、このような深刻な事態を防ぐことができなかった」(はじめに)と総括している。そして「世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼動を進める。」としている。

原子力規制委員会の田中委員長は、新規制基準は世界最高水準と自負しているが、安全基準ではないと再三再四言明している。現在行われているのは新基準に適合しているか、否かの審査である。この新基準に適合しているからシビア・アクシデントなどのリスクはゼロではないと田中委員長は再三再四言明している。

原子力規制委員会によって新基準に適合が確認されてもシビア・アクシデントなどのリスクはゼロではない原子力発電所は、エネルギー政策の前提の安全性(Safety)を満たしているとはいえない。

「新規制基準を満たせばリスクはゼロとなり、深刻なシビア・アクシデントは起こり得ない」というのは「新安全神話」である。「世界で最も厳しい水準の新規制基準の下で原子力規制委員会によって安全性が確認された原子力発電所について再稼動を進める。」という計画意見(案)の姿勢は「新安全神話」に陥ち入っている。事故リスクを前提に論議し直すべきである。

原子力発電の性質

計画意見(案)は「原子力発電は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持できる準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もない」として、そして「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源として引き続き活用していく。」としている。

ウラン燃料は準国産エネルギーという神話

計画意見(案)は「準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有し」としている。「ウラン燃料は準国産エネルギー」は神話である。

原子力発電・核燃料サイクの技術開発などに多大な公的資金や人材が投入されてきた。日本の「海外の資源に大きく依存することによるエネルギー供給体制の根本的な脆弱性」に対処するため、準国産エネルギーの開発として投入されてきた。

エネルギー白書2013年によれば「原子力発電の燃料となるウランは、エネルギー密度が高く備蓄が容易であること、使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できること等から、資源依存度が低い『準国産エネルギー』と位置づけ」られてきた。

この計画意見(案)でも「原子力発電は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持できる準国産エネルギー源」(第3章、第1節、1)「2010年において、エネルギー自給率は19.9%」(12/6版)「2010年において、原子力を含むエネルギー自給率は19.9%」(12/13版)(第1章、第1節、1)と、水力等国内の天然資源による純粋な自給率・約4.4%に原子力発電を加えた数値をエネルギー自給率としている。

この準国産エネルギー論を根拠に原子力発電・核燃料サイクの技術開発などに多大な公的資金や人材が投入されてきた。

準国産としている理由は主に(ア)エネルギー密度が高く備蓄が容易であり、国内保有燃料だけで数年にわたって供給が維持できるること、(イ)使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できるである。

国内保有燃料だけで数年にわたって供給は維持できない

文部科学省「わが国における保障措置に係る核燃料物質量一覧」の2010年のウランの量、天然ウラン、劣化ウラン、濃縮ウランの合計量では、加工工程(濃縮、再転換、成形加工)の保有量は13433トンで原子炉での使用量は20007トンである。

核燃料は約1年3ヵ月毎に原子炉の約1/4~1/3が交換されるので原子炉使用量の2万トンの約1/4の5~4千トンが1年間の核燃料供給に必要なウラン量と見られる。濃縮、再転換、成形加工の加工工程にある保有量・13433トンは約3倍であるから「数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持できる」ように見える。

しかしその国内保有13433トンの内訳を見ると、核分裂を起こすウラン235を抜き取った劣化ウランが11393トンと約85%である。これは核燃料原料には使えない。以前国産のウラン鉱石を採掘して、精錬、転換を試みた岡山県人形峠、その夢の跡の人形峠環境技術センターに約2千6百トン、日本原燃の青森六ヶ所濃縮工場で六フッ化ウランをウラン235の割合が3~5%に濃縮した残渣のウラン235が0.2%程度に減少した六フッ化ウランで約7千5百トン(劣化ウラン)などである。「将来の活用の方向を十分に検討」と備蓄扱いだが、実態は廃棄物。

それで、核分裂を起こすウラン235でみると原子炉に346トン、加工工程に58トンである。原子炉で使用中の約七分の1程度しかない。これでは「数年にわたって国内保有燃料だけで供給が維持」できない。「ウランは、エネルギー密度が高く備蓄が容易である」が、数年分は国内保有していない。

石油は「備蓄制度によって、需要の189日分(2013年9月末時点)の備蓄が確保されており、供給途絶に至る事態が発生した場合でも、輸入が再開されるまでの国内供給を支えることが一定程度可能」(第1章、第2節、2)とあるが、ウラン核燃料も同様ではないか。国内保有燃料では「供給途絶に至る事態が発生した場合でも、輸入が再開されるまでの国内供給を支えることが一定程度可能」が妥当な評価である。

核燃料は約1年3ヵ月毎に原子炉の約1/4~1/3が交換されるので、現在原子炉にある量を備蓄すれば数年分に相当する。それで、ウラン235で約340トン相当分を原料の酸化ウランや六フッ化ウランなどで備蓄したとしよう。この0.1%(計測誤差相当分)、ウラン235で300kg相当分を日本が人形峠などで培った核技術で90%以上に濃縮すると、広島で炸裂したウラン型核爆弾の弾頭を20~30発作れる。弾頭の運搬手段を日本は有しているから核武装ができる。

この可能性にウラン供給国、特に米国が懸念を持つであろう事は、京都大学の原子炉実験所(大阪府熊取町)の研究用原子炉KURの核燃料の扱いを見れば一目瞭然である。研究用原子炉KURには高濃縮ウラン(93%)燃料がアメリカから供給され、使用済み燃料はアメリカへ送り返されていた。アメリカは核拡散防止の観点から高濃縮ウラン(93%)の提供も中止し、京大原子炉KURは2006年2月23日、42年間の高濃縮ウランによる運転を終了して停止した。数年にわたって供給が可能な核燃料原料の酸化ウランや六フッ化ウランなどで備蓄は、核拡散防止の国際政治的に不可能である。

需要の189日分の備蓄があっても、石油を準国産エネルギーとは扱わない。国内保有燃料だけで数年にわたって供給が維持できる備蓄体制がない、できないウランを、備蓄の物理的容易性だけで準国産エネルギーとする計画意見(案)は誤認である。

再処理と高速増殖炉

もう一つ根拠は、(イ)使用済燃料を再処理することで資源燃料として再利用できることである。高速増殖炉が実用化すれば、核燃料の国内自給が可能だとする議論があります
この計画意見(案)でも、第3章・第1節・2.・(3)②核燃料サイクル政策の着実な推進で、同様の論議をしている。

再処理によって使用済核燃料は、プルトニウム、回収ウラン(減損ウラン)と高レベル放射性廃棄物に大別される。原子力委員会の資料によれば、天然ウラン9400kg(ウラン235、0.7%)から1000kgの天然ウラン核燃料(4.1%)ができ、これを原子炉で使用した1000kgの使用済核燃料を再処理すると、回収ウラン・940kgと高レベル放射性廃棄物・約50kgとプルトニウム・約10kgに分かれます。このうちプルトニウムと回収ウラン(減損ウラン)が核燃料の原料になる。プルトニウムを使ったMOX燃料が約130kg、回収ウラン燃料が130kg(4.1%)できることになっている。(第22回原子力委員会資料第1-2号)

つまり、核燃料の燃料価値としては、プルトニウム約10kgは130÷1000×9400で天然ウラン約1200kgに相当します。回収ウランは含まれるウラン236の中性子を吸収する性質から濃縮度を4.1%から1.16倍程度高める必要があります。できる量は約110kgの方が妥当です。それで換算すると回収ウラン940kgはで天然ウラン約1030kgに相当します。

(財)日本エネルギー経済研究所の村上 朋子氏によれば、使用済核燃料1トン当りの処理費は75万米ドル/tHMである。(IEEJ:2007 年5 月掲載、2030 年までの世界の原子燃料需給展望)得られるプルトニウム燃料・MOXと回収ウラン燃料は、国の試算では同量なのでその半分32万5千米ドル/トンUが回収ウラン940kgの取得原価と置ける。天然ウラン価格はここ10年は概ね105米ドル/kgU以下です。

回収ウラン940kgに相当する天然ウラン約1030kgでは約10万8千米ドルです。回収ウランは天然ウランの約3倍のお値段です。プルトニウム・約10kgは約12万8千米ドルで約2.5倍です。

また、製造費は回収ウラン燃料、MOX燃料で天然ウラン燃料より高くなります。東北電力の資料によれば、天然ウラン核燃料集合体の取得価格のうち3割が天然ウラン代で7割が製造費です。回収ウランでは含まれるウラン236によって濃縮経費が上昇しウラン232、234によって転換、再転換、成型加工工程での遮蔽・被爆低減のための経費が上昇します。

日本では、回収ウランが1980年ごろから2000年まで合計約335tUが国内で転換、濃縮、さらに燃料加工され実際に国内発電炉、これまでに東北電力、東京電力、中部電力、関西電力、四国電力、九州電力で使われている。しかし、その後は利用計画すらない。

プルトニウムは酸化プルトニウムという化学形で保管使用されますが、この形ではプルトニウムの崩壊で発生するα線で叩かれた酸素原子から中性子線が出で強い被爆をもたらします。それで「MOX燃料製造工場では、工程を自動化して中性子による外部被ばくを避ける方法をとっている。」製造費は高くなります。

MOX燃料の単体価格は、公表されていません。財務省貿易統計に輸送料や保険料なども入れた総額が記録されています。
それで見ると、天然ウラン核燃料の8~9倍です。佐賀新聞の取材では天然ウラン燃料は1トン当り2~3億円、MOXは約13億円で4~6.5倍です。

回収ウラン燃料、MOX燃料は、経済的には100年以上出番がない。

原子力委員会の資料によれば、再処理が経済的に優位になるウラン価格は、日本原燃の試算では206~390米ドル/kgU、カナダの試算では393米ドル/kgUです。つまり現在の4倍以上にまで天然ウランの価格が上昇しないと、再処理に拠って得られる回収ウランやプルトニウムのMOX利用は、大損を出すだけです。

1996年設立の改良型ガス冷却式原子炉(AGR)を保有し民営化されたブリティッシュ・エナジーBN社は2001年11月の英議会に対し「BEは、再処理によって生産された物質を何も再利用していない。そうすることは、経済的でないからだ・・・再処理は不必要で、高くつく作業で、BEには、そんなことをする経済的余裕はない。再処理は、現在経済的価値のない物質を生み出す」と証言しています。

天然ウランは現在の価格でも採掘は100年可能で、価格が上昇すれば低品位のウラン鉱も採算が合うようになり採掘が行われるから、もっと伸びる。回収ウラン燃料、MOX燃料は、経済的には100年以上出番がない。計画意見(案)は事実を誤認して論議している。

英国の経験

英国は1951年に高速炉開発を決定している。「ヨーロッパの縁に位置し、自国の天然資源に恵まれていない英国にとって、適正価格でのウランの安定供給を図る手段を確保することが問題となり得ることを早くから認識していたからである。」(イギリス 原子力公社、デレク プーリ総裁)このように日本と同様の事情と判断による。

高速炉発電所を建設する決定は1954年になされ、スコットランドの北部に熱出力60MW、電気出力14MWのドンレー高速炉(DFR)が建設され1959年に稼動した。DFRは濃縮ウラン金属燃料とナトリウム・カリウム合金冷却材を用いた実験炉として用いられていたが、約18年間稼動した後、1977年に閉鎖された。

1966年、原型高速炉(PFR)高速炉を建設が認められた。それは、この炉は高速炉技術の実用化のために必要となる設計により近いものであり、ナトリウムによる冷却、プルトニウムを炉心燃料として使用、炉心の周りにプルトニウム増殖領域を持ち、「もんじゅ」に類似するものである。PFRは1974年3月に初臨界を迎え、使用済燃料と増殖用燃料集合体は、再処理が行われ、分離されたプルトニウムで新しい燃料を作ることにより、完結した燃料サイクルの輪を作りました。1994年に閉鎖されています。

英国は「高速炉技術のすべてを現実的な規模で実証し」「原子炉での新燃料から超高燃焼度燃料そして再処理及びそのプルトニウムからの新燃料に至るまでのプルトニウムを用いた高速炉燃料サイクルの全体を実証した」「高速炉開発計画は成功したものである」

「英国或いは世界の他の国においても、高速炉は天然ウランを軽水炉より効率的に利用可能な手段であると見なしている。また、使った以上の核分裂性物質を生成する手段であることも認識している。それにより、高速炉所有者はウラン購入及びウラン235の濃縮のための支払いを節約することができる。しかし、今ではウランも濃縮費用も安価となり、これらの利点は、開発初期の数十年において期待されていた程重要なものではなくなった。」

「高速炉は実現性があり、効率良くウランを利用するものであるが、現在のウラン価格では軽水炉より経済性が悪い。英国政府は近い将来、外的環境により今の状況が変わる可能性は無いと認識し、高速炉を導入するかどうか、いつ導入するかを決めるのは電力会社であるとしている。現時点では、我々は英国がそれを最初に実施するとは考えていない。」(1997年、イギリス 原子力公社、デレク プーリ総裁、第4回高速増殖炉懇談会にて)


第4回高速増殖炉懇談会資料

そして2013年現在、英国で商用の高速炉、高速増殖炉はありません。

獲らぬタヌキの皮算用

日本では、原型炉段階です。原子炉は、理論の基礎的研究段階の実験炉(研究炉)、技術上の問題点洗い出し、経済性試算段階の原型炉、実用プラントの検証段階の実証炉と段階を踏んで実用段階の原子炉に至ります。日本の高速増殖炉は原型炉「もんじゅ」で冷却材のナトリウム漏れ、燃料交換に使用する機器の欠陥により破損機器の一部が炉内に残存している高い可能性、杜撰な管理運営体制が発覚し、杜撰な管理運営体制から試験運転再開の目処さえ立たない。問題点がボロボロ出て実証炉は何時になることやら五里霧中の状況。核燃料物質が設計どおり増殖するのか確かめようがない。いわば、問題点の洗い出し中です。この高速増殖炉の実用化の目処が全く立たない状況です。

プルトニウムを使い高速中性子で核分裂を起こし、かつ、ウラン238に中性子を吸収させてプルトニウムに転換して増殖をはかる高速増殖炉が実用化すれば、核燃料の日本国内自給が可能だとする議論は、獲らぬタヌキの皮算用です。

再処理は放射性廃棄物の減容化・有害度低減に役立たない

また、計画意見(案)は再処理を「放射性廃棄物の減容化・有害度低減」に資するとしている。

米ワシントン州のハンフォード核施設は、87年まで原子炉が稼働し核兵器用の再処理を行ってきた。再処理の化学処理の過程で生まれ、ストロンチウムやセシウム、プルトニウムなどの放射性物質を大量に含む泥状の汚染水(計約2・1億リットル、約21万立方メートル)が177個の地下タンクに保管されている。タンクの大半は当初想定の20年の保管期限を大幅に過ぎて、タンクで汚染水漏れが起きています。
「ハンフォードの浄化作業には89年以来、400億ドルもの税金がつぎ込まれたが、まだ1滴の汚染水も処理できていない。これが現実だ」(2013年12月20日、朝日新聞)


再処理は「放射性廃棄物の減容化・有害度低減」に実際は役立っていない。

「準国産エネルギー神話」を廃して論議を

このように再処理に拠った「ウラン燃料は準国産エネルギー」論は、獲らぬタヌキの皮算用といえる高速増殖炉利用か、エネルギー政策の最小の経済負担(Economic Efficiency)原則を無視した赤字垂れ流しの回収ウラン燃料やMOX燃料の使用でしか成り立たない論議です。「準国産エネルギー神話」です。

原子力の発電の安全性についての「基準や条件を満たせば、リスクはゼロとなり、我が国の原子力発電所では深刻なシビア・アクシデントは起こり得ない」という「安全神話」が、「十分なシビア・アクシデント対策を講じることができず、このような深刻な事態を防ぐことができなかった」。

ウラン燃料は「準国産エネルギー神話」は、最小の経済負担(Economic Efficiency)原則の無視や獲らぬタヌキの皮算用的妄想を、エネルギー政策に持ち込みます。それは「原子力発電は、準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有する」という誤認識です。その誤認識は「3E+S」によって冷徹に討議されるべきエネルギー政策の論議を歪めます。

この計画意見(案)は、「準国産エネルギー神話」を受け入れて論議しており、やり直すべきです。

日本の原発の稼働率の実績からは原発の電力供給性は不安定

また、日本の原発の稼働率の実績からは原発の電力供給性は「不安定」である。「1966年に商業用原子力発電所が運転を開始して以来、設備利用率は、1975年前後に初期トラブルや応力腐食割れ等のために総合平均で約40%まで低下した時期を除き、1983年度に70%台、1995年度には80%台を達成し、以後、2001年度まで80%台の高水準で推移した。」2001年以降では2002年に73.4%に下がり、その後は60~70%の間にある。炉型で見ると加圧型PWRは約80%あるが沸騰水型BWRは50%を割り込んでいる。電力会社別にみると、東北電力・66.5%、東京電力・54.0%、中部電力50.4%、北陸電力60.3%。

会社別、プラント別に稼動率が低下する理由を見てみると、老朽化を背景に
a)ひび割れや配管破断などの機器トラブルで停止、事故炉の点検や機器の交換で長期停止。それが他の原子炉での点検や予防的交換を招き、停止の長期化。
b)地震後の点検で機器トラブルが見つかり長期停止。
c)機器トラブルを隠蔽すると停止しませんからその時の稼動率は低下しないが、内部告発などで発覚して再点検などで長期停止。
こうした事で、発電が停止し長期化しています。稼動率実績で見ると原子力発電の供給性は不安定で、従って効率性が低い。

このように「3E+S」という基本的視点で、3Eのなかでも第一のエネルギーの安定供給(Energy Security)は、原子力発電の稼働率という実績の点からも「準国産エネルギー神話」という点でも、原子力発電を正しく評価していません。論議をやり直すべきです。

「運転コストが低廉」は、事故賠償や事故炉処理費用を無視した妄論

また「運転コストが低廉で変動も少なく」とあるが、老朽化により予測できない設備利用率の低下にみられるように、修繕費が高くなるから運転コストは高くなるし、単位電力量当りの変動も激しい。

この計画意見(案)でも25ページで原子力損害賠償制度の見直しについて触れているが、運転コストに含まれる事故時に対応する損害賠償や事故炉の対応・廃炉作業費の備えが現在不十分です。「常にリスクが存在することを明示し」(59ページ)てエネルギー政策を論議するなら、この部分の運転コストを検討せずに原子力発電は「運転コストが低廉」と断じるのは無責任、放言と言わざるを得ません。

原子力損害賠償制度では、周辺住民など発電所外で発生した損害に対する賠償金が1200億円しか準備されていません。東電核災害では2013年末で少なくとも10兆円が見込まれています。内閣府・原子力委員会の「原発・核燃料サイクル技術等検討小委員会」の試算法では、10兆円は1kWhあたり2.2円のコスト上昇になります。

同小委の参考資料には損害費用48兆円が提示されています。朴勝俊氏の「原子力発電所の過酷事故に伴う被害額の試算」(『國民経済雑誌』191巻3号、2005年)によれば、過酷事故の損害費用は平均で62兆円、最悪の場合には279兆円に上るとされている。一体どれ位のコスト上昇になるのでしょうか?

また福島第一原発1~4号機の事故炉の収束・廃炉作業費は、作業の期間を40年、費用を1兆円と試算されたことがあります。発災から約2年後の2013年5月には東電の二〇一三年三月期連結決算で9650億円が見積計上されています。壊れた原子炉や溶融した核燃料の詳細な状況はいまだ不明ですから、この東電の見積の約1兆円から収束・廃炉作業費は更に増えます。仮に1基当り10兆円とすれば1kWhあたり2.2円のコスト上昇になるのではないでしょうか?

東京新聞の取材に北陸電力の担当者は「(事故が起きたらという)仮定のことにはコメントできないが、福島の事故のようなことが起きないように安全対策に万全を尽くしたい」と、答えています。この計画意見(案)では万全を尽くしても「常にリスクが存在することを明示し」論議する必要を説いているのですから、リスクが顕在化した場合に備える発電所外で発生した損害に対する賠償コスト、発電所内の収束・廃炉作業費コストを入れて、原子力発電の「運転コスト」を検討すべきではないでしょうか。その結果、石炭火力発電やガス火力発電、太陽光発電、風力発電などより原子力発電「運転コストが低廉」というならともかく、そうした議論が計画意見(案)ではありません。論議をやり直すべきです。

ライフサイクルコスト(LCC Life cycle cost)、国際会計基準に拠った評価を

また仮に「運転コストが低廉で変動も少なく」とも、それが発電原価に直結するライフサイクルコスト(LCC Life cycle cost)の一部でしかありません。コスト・費用を調達・製造~使用~廃棄の段階をトータルにみて出されるライフサイクルコスト(LCC Life cycle cost)を総発電量で割ったものが原発の単位当りの発電原価になります。運転コストは、原理的に廃棄の段階の費用を含んでいません。

今、企業の活動や経営状態を現す鏡である会計制度の世界標準がIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)というやり方に変わりつつあります。120カ国以上で採用(強制適用や容認)されています。米国はUSGAAP(米国会計基準)の中身をIFRSに置き換え、最終的にIFRSに同一化すること方向です。日本も強制適用の目処を2017年頃をおいて、徐々に取り入れられています。

そのIFRS中に、工場やビルなど有形固定資産を取得・建設・開発した際に、将来その固定資産を除去する際にかかる除去や環境浄化の費用をあらかじめ債務・負債として計上し、可視化する考えがあります。例えば、原発を廃炉にする費用を、運転当初から債務・負債として計上しておこう、その負債を固定資産の耐用年数に基づき各年度に費用配分して、償却し積み立ておくという考えです。資産除去債務・AROという項目を新たに建てるのです。

これにより環境に無関心な設備投資は、多額の環境浄化の費用、資産除去債務の計上という形で数値化され可視化されることになります。これまでは除去コスト、環境に無関心な設備投資を行っても、自分が経営陣にとどまっている間に費用計上がなければ、直接その責任は投資家から問われなかったが、今後はそうはいかなくなります。設備投資の意思決定を、調達→維持→除去の過程で発生するトータルコストで考えることが要求されます。そのような経営者の意識を、経営の質を問うことがIFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の柱の一つです。

電力会社の会計基準も、2011年度から資産除去債務・AROを取り入れたことになっています。しかし、原子力発電は、資産除去債務・AROにはなっていなかった。設備利用率・76%で40年間運転するとして、1KWhあたりの解体・除去や環境浄化の費用をあらかじめ算定して原価に算入する原子力発電施設解体引当金制度を受け継いでいます。従来の引当金方式で計上した費用(90%分)を100%に変更し引き直した金額に換えただけです。

それで大きく2つの欠陥が生じています。一つは、火力発電や水力発電では、資産の耐用年数に基づき各年度に費用配分を用いていますが、原発では設備利用率・76%で40年間運転での発電電力量で行っている。一つは、除去費用見積額が過小です。

「原子力発電設備の主な設備については、耐用年数を15年とする定率法で減価償却が行われており、この減価償却費は料金原価項目に含めることとなっている。」ですから、原発の資産除去債務・AROである廃炉費用も15年で償却(積み立て)するべきです。火力発電や水力発電では資産の耐用年数を用いています。ところが原発は主な設備の耐用年数15年ではなく、40年を用いています。

15年を40年にすることで年間の配分費用、つまり運転開始から15年間の運転コストに含まれる金額は約37%に減ります。政策・制度によるダンピング・不当廉売の発電コスト・原価になっています。

過小な資産除去債務=廃炉費用の見積額

日本は54基廃炉の総費用を2兆7500億円ほどと見積もっています。廃炉費用の総見積額は、解体費用と解体放射性廃棄物処理処分費用とから成り立っています。総見積額の3分の2が解体費用で、3分の1が解体放射性廃棄物の処理処分費用になっています。

日本原子力発電は、国内初の商業炉の東海原発(炭酸ガス冷却炉GCR、出力16.6万キロワット、茨城県東海村)2017年まで20年間で廃炉処理完了の計画で1998年から廃炉を始めています。廃炉費用は850億円と見積もられています。中部電力は浜岡1号(54万キロワット、沸騰水型)、2号(84万キロワット、沸騰水型)の2基で841億円かかると想定し、約30年かけて36年度までに終える計画です。

日本原子力発電は2013年12月19日に来年度2014年度から始める予定だった原子炉の解体工事を5年間延期し、20年度の廃炉完了予定を25年度にすると発表。2度目の延期です。その理由は制御棒や減速材として使った黒鉛など計1600トンの「低レベル」放射性廃棄物の処分場、地下50~100メートルに埋める「余裕深度処分」の処分場が決まっていないためです。

法的には使用済核燃料など「高レベル」放射性廃棄物以外を低レベルに分類されるが、半減期(放射能が半分になる時間)が長い核種を含むため、“中レベル”とも呼ばれる原子炉中心部の燃料集合体の部品、被覆管、濃縮廃液など原発の運転や廃炉で生じる放射性廃棄物を処分する、「余裕深度処分」の処分場が決まっていないためです。技術は確立しておらず、処分事業の実施主体や場所も何ら決まっていない。

日本原燃が運営する核燃料サイクル施設(青森県六ケ所村)の敷地内で地盤などの原燃が電気事業連合会の要請を受けて調査に着手。二〇〇三年から長さ約一キロ、深さ約百メートルの試験坑道が掘られ、〇六年に完成。〇七年から経済産業省資源エネルギー庁から委託を受けた原子力環境整備・資金管理センター(原環センター、東京)が調査、研究を続けています。国・エネ庁の担当者は「放射性物質を安全に管理する技術の開発は国も考えなければいけないが、処分場を探すのは電気事業者の役割」としています。


中レベルの廃棄物は原発の運転に伴って発生する使用済制御棒などが1966年の商用原発運転開始から各原発サイトで保管されています。その処分方法の技術的研究を2007年に始めています。

東海原発の廃炉計画では2011年度に原子炉の解体工事開始=中レベル廃棄物発生ですが、その処分技術は廃炉計画の立案時や廃炉作業開始した1998年には研究すら始まっていなかったのです。廃炉費用は解体費用で約566億円、解体放射性廃棄物の処理処分費用が283億円で計850億円のと見積は、信憑性が低い。

放射性廃棄物の処理処分費用が過小

同じ炭酸ガス冷却炉の英国のトロースフィニッド原発(出力23.5万キロワット×2基)は1993年に廃炉作業開始し最終処理まで90年間を予定しています。このトロースフィニッド発電所は65年に運転を開始し、26年後の91年に停止。原子炉の使用済み核燃料(燃料棒)は95年に取り出され、「既に99%の放射性物質を除去した」(2013年8月・責任者談)。のこる約1%は、放射線量は依然高い圧力容器周辺や中間貯蔵施設内の「中レベル」放射性廃棄物。

英国には「中レベル」の処分場が現在ありません。英政府は2040年までに処分地を確保するとしています。このため2026年にいったん作業を中断します。処分場建設と放射能の崩壊により放射線量が下がるのを待つことにしています。これで、原子炉の解体などを遠隔装置を使わずにでき、作業員の被爆量が減り、廃止費用が割安になります。計画では73年に廃炉作業の最終段階に着手し2080年代後半に完了する計画です。

英国では炭酸ガス冷却炉GCRの11原発、26基(炉)の廃炉作業は、政府の責任で行われます。トロースフィニッド発電所の廃炉費用は05年度時点で約3億ポンドと見積もられていましたが、「想像以上に時間とコストのかかる作業」(作業責任者)でコストがかさみ12年度の見積もりでは約6億ポンドと7年間で2倍に膨らんでいます。

ブラッドウェル原発(GCR、出力12.9万キロワット×2基)は2.5倍になっています。26基の炭酸ガス冷却炉GCR全体の廃炉費用も、2011年末では80.6億ポンドとされていましたが、見直され2013年には130億ポンドに膨れ上がっています。「廃炉では廃棄物にかかる経費が最も高くつく」(ブラッドウェル原発担当者談、2013/12/24東京新聞)

フランスにも「中レベル」の処分場はありません。そのフランスの58基の加圧型PWR原発の廃炉費用はフランス経済財政省の見積で320億ユーロ(約4兆1800億円、1基当たりでは720億円)。1基当たりでは日本試算の1.4倍です。

日本の廃炉費用の総見積額は、解体費用の3分の2と解体放射性廃棄物の処理処分費用の3分の1とから成り立っています。「中レベル」などの処理処分費用が倍になると総見積額は1.3倍です。

使用済核燃料の廃棄処分段階の費用

もう一つの原子力発電での廃棄の段階の費用は、使用済核燃料の廃棄処分段階の費用です。米国では、使用済核燃料は国が引き取り処分することになっているので、引取りまでの期間の保管費が廃炉費用に計上されている。

再処理して高レベルのガラス固化体の形態であれ、使用済核燃料のままであれ、ここから放射能が環境中に漏れ出さないように地下三百メートル以深の地層に埋め、約三百年管理することになっている。しかし「最終処分制度を創設して以降、10年以上を経た現在も処分地選定調査に着手できていない」高レベル廃棄物の処分場選定はメドが立たない。

この高レベル処分場の経費は使用済核燃料再処理引当金の費目に2005年から計上されている。しかし、処分地選定調査にすら着手できていない状況では、その見積額の妥当性の検証すらできない。「中レベル」廃棄物の処分経費と同じである。膨れ上がることが必至である。

原子力発電のライフサイクルコスト(LCC Life cycle cost)、調達・製造~使用~廃棄の段階をトータルにみて出されるライフサイクルコスト(LCC Life cycle cost)は、廃棄の段階の費用が不明。少なくとも現在の見積額より膨れ上がると言えます。LCCを総発電量で割ったものが原発の単位当りの発電原価ですから、現在の発電原価よりも高くなります。


原子力発電のライフサイクルコスト・LCCの調達・製造~使用の部分の運転コストは、「常にリスクが存在することを明示し」論議するなら、稼働中の原子力発電のリスクが顕在化した場合に備える発電所外で発生した損害に対する賠償コスト、発電所内の収束・廃炉作業費コストが東電核災害後は現行の原子力損害賠償制度などの想定している規模の遥かに超えることが明らかになり、現在想定されている「低廉」な額より上昇します。廃棄の段階のコストも、「中レベル」「高レベル」廃棄物の処分地選定調査にすら着手できていない状況では現在、廃炉費用などで想定されている額よりも上昇するのは必至です。

このような原子力発電は最小の経済負担(Economic Efficiency)原則からみて、選択するエネルギー源なのでしょうか。IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)の趣旨からは、ライフサイクルコスト・LCCで検討すべきです。計画意見(案)は、この点を論議した形跡がありません。検討・論議をやり直すべきです。


 
原子力発電の環境負荷

計画意見(案)ではエネルギー政策の基本的視点として「3E+S」をあげて、3Eの一つは「エネルギー供給に伴って発生する環境負荷(Environment)を可能な限り抑制」である。

計画意見(案)では、原子力発電に伴って発生する環境負荷(Environment)である、生成放射能の環境汚染を論議していない。すなわち、稼働中の原発から放出されている希ガスや放射性ヨウ素などの放射能、事故時に放出される放射能、「低レベル」「中レベル」「高レベル」の放射性廃棄物による環境負荷・汚染について論議されていない。環境負荷(Environment)として取り上げられているのは、温室効果ガスつまり石炭や石油、天然ガスなど化石燃料利用による二酸化炭素である。片手落ちの論議である。

二酸化炭素は、二酸化炭素回収技術は実用化が目前であるし、回収した二酸化炭素は農業部門での炭酸ガス施肥などにも利用できる。大気中に排出されても、陸や海の緑化で対処できる。原子力発電で生成する放射能・放射性廃棄物はどうか?福島第一原発で今問題になっている海への放射能汚染水の流出のように、出てしまったものを始末する手段がない。「中レベル」「高レベル」の放射性廃棄物の最終処分場がない。

「エネルギー供給に伴って発生する環境負荷(Environment)を可能な限り抑制」なら、可能な限り原子力発電は抑制することがエネルギー政策的には妥当である。「中レベル」「高レベル」の放射性廃棄物の最終処分場がないのだから、これ以上は放射性廃棄物は増やさない、つまり再稼動はしないことが次世代への責任の一つの取り方である。

事実や実績、経験に鑑み「3E+S」の視点でエネルギー政策を論議すれば、原子力発電を「エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源として引き続き活用」というのはあり得ない。検討のやり直しを求める。

エネルギー自給率を上げるには

計画意見(案)は「海外の資源に大きく依存することによるエネルギー供給体制の根本的な脆弱性」を指摘している。これに対処するために国産エネルギーの増産・拡大が必要。
国産エネルギーには水力、風力、太陽光といった再生可能エネルギーと日本で採掘される石油・石炭・天然ガスの化石燃料などがあります。計画意見(案)では、新たな天然ガス源の調査を取り上げています。

再生可能エネルギー利用拡大の鍵の一つはビル・建築物の「照明や給湯、冷暖房や機器などでの一次エネルギー消費量を、省エネ性能の向上、エネルギーの面的地域的利用(融通)等により削減し、オンサイト(各ビル)での太陽光発電や太陽熱利用や風力、地中熱などの再生可能エネルギーの活用でエネルギーを生産し年間の一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる」、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)やその住宅版のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)です。(46ページ、第3章、第4節、3.(1)業務・家庭部門における省エネルギーの強化)


照明や給湯、冷暖房や機器などでの消費に見合う1次エネルギーを生産する手段は、太陽光発電や太陽熱利用や地中熱などの再生可能エネルギー利用です。これらは純国産エネルギーです。家庭部門と業務部門の2部門を合わせて民生部門といいますが、民生部門のエネルギー消費量は最終エネルギー消費全体の約33%(2011年度)を占めています。民生部門のネット・ゼロ・エネルギー化が進展すれば、エネルギー自給率が高まります。

それにはエネルギーの面的地域的利用(融通)を阻害している縦割型の分断されたエネルギー市場を水平的に統合された構造へと制度改革を進める。
ウランは準国産エネルギー論という誤った認識で不適切に原発や核燃料サイクルに投入されている膨大な資金や人材を民生部門のネット・ゼロ・エネルギー化に廻して投入する。

計画意見(案)では2030年までに新築の建築物ビルや住宅の平均でZEB、ZEHの実現を目指としています。それを加速して、新築だけでなく既存の建築物、住宅のZE化、ネット・ゼロ・エネルギー化を進める。目標は2030年までに民生部門のエネルギー消費量の約半分を建築物や住宅に分散設置された太陽光発電や太陽熱利用や地中熱などの再生可能エネルギー利用機器で生産に推進する。実現すれば、最終エネルギー消費全体の約15%、2010年に原子力発電で生産・供給していた量を再生可能エネルギーで賄えます。それを二酸化炭素の排出量で見れば、発電所などエネルギー転換部門の排出量の約2倍を削減する効果があります(2007年基準)

このように、原発よりも自給率向上、炭酸ガス削減に有効な手段、政策があるのですから、論議・検討のやり直しを求める。

以上
 

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