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原発事故は市民の生命、身体、安全な生活、財産が脅かされ、さらには家族、地域社会を破壊。 函館市の認識 大間原発訴訟訴状抜き書き [被曝管理・将来世代]

函館市の大間原発訴訟の情報公開ページ
http://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014031100330/

 福島第一原発の事故
・福島第一原発の事故が原因で、周辺自治体の市域は放射能によって汚染され、町民の散逸による家族の離散が生じ、公共機関も機能できなくなり、周辺自治体の崩壊が生じている。 
以上 第10章-第2-6
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 ・放射性物質が多く降り注いだ地区は浪江町のように、帰還困難な地区となり、長期にわたって住民は元の居住地に戻ることができず、その地域に住んでいた住民は仕事と住居を奪われるだろう。自治体は主要な機能を停止し、支援のための情報の発信と帰還の準備を続けるしかないこととなるだろう。

仮に放射性物質がそれほど降り注がなくとも、南相馬市の小高区のように、一定期間の避難を余儀なくされた地域は生活インフラが破壊され、人々が帰還して通常の市民生活に戻ることには深刻な困難が生ずるだろう。自治体は除染や町の機能の回復のため、長い闘いを強いられることとなるだろう。

原発事故は生きている町そのものを破壊してしまう。
 以上 第5章
 
 
 
過酷事故に至らなくても函館市の被害は甚大

1 放射性物質による被害

・大間原発において事故が発生すれば、そこで放出されるヨウ素131などの放射性物質は函館市周辺に生息するコンブ等の海草類に蓄積される。万が一日本全国に出荷されることになれば、函館のみならず日本全国に被害をもたらす可能性がある。

・さらに、放射性物質は、海藻類を主食とするウニ、アワビ等のほかプランクトンに取り込まれ、食物連鎖を通じて拡散し、その被害は数十年、数百年に及ぶ。

こうした被害は農産物においても同様であり、被害は一定期間の「風評被害」に留まらず、長期間に亘って函館市の水産業、農業に壊滅的な被害を与え続けることになる。

2 風評被害

・函館の産業は観光に支えられており、他の原発立地地域とはその規模も異なるのであって、さらに、函館市周辺海域は、豊富な海の幸に恵まれ、道南の海産物は観光客を引きつける一つの要素となっている。

・仮に、大間原発でトラブルが発生し、一定期間多くの観光客を失うことになれば、函館市及びその周辺の地域経済全体に回復しがたいダメージを与えることになることは容易に予想できる。

・また、海産物、農産物は「放射能汚染」のおそれが疑われるだけで、需要は激減し、価格が暴落するという事態に常に追い込まれる。

・道南の水産業は地域経済の柱とも言える産業であり、その品質・ブランド力に支えられているにもかかわらず、原発の事故による風評被害により打撃をうければ、その売上高は激減し、漁業経営体に与える被害の深刻さは計り知れないものとなる。農業においても、同様である。

・以上のとおり、道南の産業構造は、観光や漁業・農業に支えられており、風評被害に極めて弱い産業体質を持っているという特性があることを銘記すべきである。
 
以上 第10章-第3 
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大間から函館を望む 
 

 大間原発で過酷事故が発生した場合の函館市の被害

原発においては炉心溶融などの過酷事故が万が一にもあってはならないものであるが、福島第一原発の事故をみても明らかなように、過酷事故が発生しないと言う保証は全くない。とりわけ、世界で初めてのフルMOX燃料による実験的とも言うべき大間原発の操業は、函館市の住民にとって、常に「死の恐怖」を抱えての日常生活を余儀なくされることになる。

1 大間原発が抱える「死の灰」とその毒性の強さ

・100万キロワットの原発は、年間1000キログラムのウランを燃やすとされ、計算上は年間広島型原爆の1250倍の死の灰を発生させることになる。
・これを大間原発についてみると、同原発は138.3万キロワットであるから、同様に計算上は1年間で同原爆の1700倍の死の灰を抱えることになる。
・一方、計算上プルトニウムの毒性はウラン235の4万倍にも当たることになり、ウランとプルトニウムとの混合燃料を基本とする大間原発が抱える「死の灰」の毒性が如何に強いものであるかを先ず知る必要がある。

2 チェルノブイリ原発事故及び福島第一原発事故との比較

・仮に、大間原発においてチェルノブイリ原発事故級又は福島第一原発事故級の重大事故が発生したと仮定した場合、地元大間町・下北地域はもちろんのこと、毎秒10メートルの風速で、約30分前後に死の灰が道南地域に到達する危険がある。
その場合、27万余の函館市は短時間に壊滅的な被害に遭い、廃墟と化すであろうことは言うまでもない。

3 小出裕章氏による大間原発重大事故発生時のシミュレーション
・京都大学原子炉実験所研究員小出裕章氏が行った大間原発の事故の想定では、大間原発から函館市方向へ風速2メートルの風が吹き、約4時間後に放射能の雲が約30キロメートル先の函館市に到達した場合、函館市民の約8000人が急性死に至り、100%の人間が何らかの癌により死亡するとされた。

・風向きによって青森市はもちろんのこと、札幌市、仙台市、東京都、大阪府などの大都市圏にも「死の灰」が襲うとされ、この場合は上記を遥かに超えるガン死亡者が出ることになり、大間原発の重大事故による被害の大きさは、既設の原発の比ではないことを明らかにしている。
 
以上 第10章-第2
 
・大間原発で過酷事故が発生した場合、函館市の市域が汚染され、住民の土地は奪われることとなる。そして、函館市民の離散が生じ、公共機関も機能を果たすことができなくなり、函館市の有形固定資産は、無価値となる。函館市の地方自治体としての機能は、著しく損なわれることとなり、函館市は壊滅状態となる。
以上 第10章-第2-6
 
・フルMOXを採用する大間原発に事故が起きた場合には、炉心に大量のプルトニウムを内蔵することから、福島第一原発事故と比較にならないほど深刻に、函館市民の生命、身体、安全な生活、財産が脅かされ、さらには家族、地域社会(近隣住民同士のコミュニティのほかに、生産者と消費者との間の食の安全に裏付けられたコミュニティ)が破壊される。そして、自治体としての機能を喪失させられるなど、途方もなく甚大な被害を生ずることは明らかである。
 以上 第4章
 
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自治体の役割 
函館市が自治体の生存を賭けて、大間原発の建設差し止めを求めることは住民の生命と生活を守ることを任務とする地方自治体として当然のことであり、また正当な要求である。
以上 第5章 

このように、大間原発で過酷事故が発生した場合、函館市の地方自治体としての機能は、著しく損なわれることとなり、函館市は壊滅状態となる。大間原発の設置許可は無効であり、国は電源開発に対し、(函館市が同意するまでの間)大間原発の建設の停止を命じなければならない。また、原告函館市は被告電源開発に対して自らの所有権と自治体としての存立を守り、函館市民の生命と安全を守るため、大間原発の建設停止の判決を求めるものである。
以上 第11章 結論
 
・大間原発の建設工事を停止してほしいという声は、函館市だけでなく北海道南部の自治体と住民の総意となっているといえる。本件訴訟はこのような総意に基づいて提起されたものであり、裁判所は地方自治体と地域住民総体の意思を十分認識し、これを尊重しつつ慎重に審理に臨むべきである。
以上  第1章
 
 

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