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使用済核燃料は、幾ら(簿価)なのか? 核燃料サイクルの経済的検討-1 [使用済核燃料、再処理、廃棄]

東北電力、核燃料資産を1418億円/年から原子力低稼働により増えて1600億円/年とし、その3%・48億円/年を事業報酬(利益)と計上して発電総原価を出し、1231億円/年収入不足になるとし、電気料金の値上申請。

この1600億円/年に高レベル廃棄物の使用済核燃料は、幾ら(簿価)で入っているのか?

日本原燃の川井吉彦社長は、「国内に存在する約1万7千トンの使用済み核燃料を原発の燃料として再利用した場合、原油換算で約15兆円の資産価値がある」といっています。それでの試算される各電力会社の使用済核燃料の資産額と、有価証券報告書の財務諸表の核燃料資産額は違いすぎます。核燃料資産額は使用済だけでなく、原子炉に装荷中の使用中のものなども含まれますから、当然に前者より大きいはずですが、数分の一しかない。

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値上げの際の東電の説明では「電気事業会計規則に基づき使用済燃料一体あたり千円の備忘価額を計上」で、東電は対象本数約3.6万体、備忘価額約0.4億円

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東電の使用済核燃料は、2013年2月で燃料集合体で約4万9千3百体。東電は再処理を英国のセラフィールドTHORP工場、フランスのラアーグ工場、日本原子力研究開発機構の茨城東海工場、日本原燃の青森六ヶ所工場と契約して、搬出している。
六ヶ所工場は稼動していないので、これを除くと再処理済み、再処理中とみられる使用済核燃料は約1万1千4百体。また福島第一原発の1~4号機の使用済核燃料プールにある分は約2千7百体。これらを減算すると約3万5千2百体。これは東電の2012年6月の資料の「約3.6万体、」と合致する。さて1体1000円はどうか?



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その電気事業会計規則には、1体1000円とは書いてない。会計規則の下位規定の電気事業会計規則取扱要領にあった。 電気事業会計規則取扱要領

総則の第3で「金銭以外の資産を無償で取得した場合(工事費負担金、下流増負担金、補助金等として取得した場合を除く )は、千円を備忘価額として計上するものとする。」

第六章固定資産勘定雑則の「第四十九規則第二十五条第三項の「原子炉から取り出された使用済核燃料価額」は、千円を備忘価額として計上するものとし、『再処理に直接に要した金額』には、使用済核燃料を再処理するための貯蔵場所に受け入れるまでに要した金額を含まないものとする。」

だから、東電の「電気事業会計規則に基づき使用済燃料一体あたり千円の備忘価額を計上」は適法な会計処理である。
しかし「再処理関係の核燃料資産」の仕分けが変だ。
東電は3つの費目、使用済燃料、プルトニウム、日本原燃への前払金で仕分けしている。

電気事業会計規則では「第二十五条 3  前項の規定にかかわらず、使用済及び再処理中の核燃料の取得原価は、実用発電用原子炉から取り出された使用済燃料価額に、分離有用物質の取得価額を加算したものとする。」

電気事業会計規則取扱要領の第四十八で核燃料は「ウラン精鉱、天然六弗化ウラン、濃縮六弗化ウラン、濃縮二酸化ウラン、成型加工中核燃料、完成核燃料、装荷核燃料、一部照射済核燃料、使用済核燃料、再処理中核燃料及び再処理によって回収された減損ウラン及びプルトニウムをいうものとする。」

取得価格を加算される分離有用物質は「回収された減損ウラン及びプルトニウム」である。量的には減損ウラン(回収ウラン)はプルトニウムの30倍以上ある。その減損ウランの費目が無いぞ! 続く

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