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側方流動の南北方向を取り込めない東電表示。 KK原発の液状化対策 ㊲ [地盤、液状化&断層]

東電の側方流動の残留水平変位の表示システム、汀線に直交するラインを数直線とし、その地点を原点とし東・砂丘側をプラス、西・海側をマイナスとしている。そしてマイナス2mとかプラス0.5mと表示するシステムである。地盤の傾きに応じ高い方から低い方に向かって動き出すタイプ・流動の型では、側方流動の方向、変位する方向は様々になる。その方位は、東西の他に南北の要素が入る。東電の表示のやり方では、この南北の要素、側方流動の南北に寄る要素がうまく取り込めない。
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側方流動で西側(海側)に向かっていても、北に寄る流動なら32方位で西微北、西北西、北西微西、北西、北西微北、北北西、北微西と記される北に寄る流動があり、南寄りなら西微南、西南西、南西微西、南西、南西微南、南南西、南微西と記される南に寄る方位の流動がある。東電の波打ち際線・汀線に直交する断面図で、手奥の北に寄る流動、手前の南に寄る、。

荒浜北側の4号機断面では、基準地震動Ss-5でマイナス1m程度が護岸から20m付近まで検出されている。20m付近~45m付近までマイナス1m短、45m近辺~70m防潮堤東側までマイナス0.7mが検出されている。これの解釈の一つは、段々と護岸から離れるにつれて側方流動が小さくなった、残留水平変位の量が小さくなったとする素直な解釈。
いま一つは、流動方向が徐々に北寄りになった。20m付近までは海・西に流れる1mの流動、流れがやや北に偏り20m付近~45m付近までは西北西になった。東西で西向きで計る見掛けの大きさは、三角関数コサインの定義から小さくなる。、西北西ならコサイン22.5度は0.92だから西向きの見掛けの大きさは、マイナス92㎝と短くなる。45m近辺~70m防潮堤東側までの間は、もっと北に寄って45度の北西の側方流動で、コサイン45度で0.70だから見掛けはマイナス70㎝になる。

これと同じ理屈で、側方流動の方向が徐々に南に寄っても、同じことが起きる。西南西なら見掛けの大きさはマイナス92㎝、南西で見掛けはマイナス70㎝になる、表示される。北西と南西では90度・直角も向きが違うが、東電表示システムでは同じ値になる。

マイナス1mと表示してあっても、真西に向かってる流動1mなのか?北寄りで北西に向かっている1.4mの流動が東電表示でマイナス1mなのか?南に60度寄っている2mの流動のマイナス1m表示なのか?代表的な角度でみたが、寄る角度とコサイン値は限りない。寄る角度とコサイン値は無限にある。
結局、東電表示では側方流動の方向、方位角度は分からないし、その大きさも判らない。

新潟地震や日本海中部地震で発生したタイプ、高い方から低い方に向かって地盤が動き出すタイプ、勾配0.5~2.5%の暖傾斜地でも発生し、鉛直方向の変位、沈下や隆起は小さいが水平方向の横移動は大きいタイプの側方流動が、東電表示では流動の方向、方位角度、その大きさも判らない。


地盤の横移動によって、建物の基礎が引っ張られ上屋が傾いたり、基礎が破断したり土台から外れたりして上屋が大きく変形する。ガス・水道などの埋設管が横断されたり、押し潰し圧縮され変形する。中越沖地震の際の3号機変圧器の火災も、発見して直ちに消火に取り掛ったら消火設備間の配管破断により放水量が少なく、初期消火が進まなかった。それだから変圧器の絶縁油が燃え始めたと見られる。

このような被害形態を考えると、流動の始点と終点の間の距離、側方流動の大きさ、流動の方向がシミュレーションで判明しても、それがモタラスであろう被害が表示方法の問題で判らないのだから東電のやり方は問題だ

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僅か十数cmの地盤変動・変位でも、配管を破断し火災黒煙の3号機 KK原発の液状化対策 ㊱ [地盤、液状化&断層]

東京電力は柏崎刈羽原発敷地の液状化の問題を、それによる地盤沈下という形で取り扱い、量について「液状化後の排水による沈下と、地震時の液状化による側方流動による沈下という二つに分けて算定」している(第419回・2016平成28年11月29日の審査会合、議事録77頁)
側方流動による沈下の「解析の結果を続きまして21ページ以降にお示ししています」と第419回・2016平成28年11月29日の審査会合で資料2-3、平成28年11月付「柏崎刈羽原子力発電所 6号及び7号炉 液状化による地盤沈下及び斜面崩壊を考慮した津波評価条件について」をとり挙げている。
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そこではシミュレーションした結果を二つの量、地震が収まっても残留している垂直方向の変位量・残留鉛直変位(m)と横方向を残留水平変位(m)で示してある。液状化を、それによる地盤沈下で取り扱うのだから、垂直方向の変位量・残留鉛直変位(m)が出てくるのは当然だ。残留水平変位・mは不要だといえる。
ただ、理学的工学的には側方流動による地盤の水平方向移動で、横方向の残留水平変位で、建物基礎や橋の基礎杭などが引っ張られて傾いたり、基礎が土台から外れたり、破断して上屋が大きく変形したりしている。また、ガス・水道などの埋設管が多数被害を受けている。液状化を論ずのに、横方向の水平移動、変位を外すわけにいかない。
柏崎刈羽原発では、中越沖地震時に3号機タービン建屋の南東部の脇にある変圧器から火が出ている。2007年7月16日10時13分に地震。全号機停止。10時15分、パトロール中の発電所職員が、3号機タービン建屋外部の3台の変圧器の内の最も東側からの白煙の発煙を発見。
防火壁で区切られ延焼の可能性は小さいが、消火設備間の配管破断により放水量が少なく、初期消火活動は思うように進まなかった。10時30分頃、黒煙に変わる。変圧器の絶縁油が燃え始めたと見られ、区切る防火壁で燃え拡がる可能性は小さいが、しかしこのままの状態では変圧器が爆発する危険性があると職員らは判断し、対策本部に報告し安全な場所に退避。
変圧器火災は放置され、黒煙を上げ続けた。約1時間の11時32分、所管する消防署が化学消防車等で消火活動を開始、発煙から約2時間後の12時10分頃に鎮火した。
外部からの電力を受けて変圧し、建屋内の電動ポンプ等に送り出す設備。その電力接続線が通っているダクトが、外れた。火災時の写真画像でも連絡道路や芝生が脈打ってる様が見て取れ、現場は地盤変動があった。その変位は、鎮火後の調べで写真でみて上下、左右(南北)、前後(東西)あり、その内の上下変位が約20㎝と最も大きい。その変位をもたらした地盤変動で、消火配管が破断し、初期消火失敗。その変位で破損して、変圧器絶縁油が漏えいし、電力線が地絡アース・短絡ショートで火花アークが飛んで火災に至ったと考えられる。変位が左右(南北)でも、前後(東西)で絶縁油は漏洩し電気火花は飛んだろう。僅か十数センチの地盤変動・変位でも、配管を破断し火災黒煙を生じ得る実例である。
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中越沖地震時の敷地液状化の有様を、今回のシミュレーションで再現している?? KK原発の液状化対策 ㉟ [地盤、液状化&断層]

先回の液状化対策㉞で次の疑問が浮かび出た。東電想定の地下水位値・朔望平均満潮位T.P.+0.49に余裕を考慮したT.P.+1mで解析した液状化シミュレーションは、建屋から砂丘側は実際・実情より強靭に、より強くなる結果ではないかという疑問だ。柏崎刈羽原発敷地の液状化の様は、2007年の中越沖地震で露わになった。
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2007年の中越沖地震の際に噴砂や地盤の崩落、地表面での亀裂が見られ、東電が「液状化により発生」評価した2地域が大湊側にある。(図の紫点線囲み)一つは盛り土でT.P.12mの大湊側防潮堤の敷地から護岸提に繋がるT.P3mの海岸・砂質土埋戻しの海岸部であり、今一つは、7号機原子炉建屋と6,7号機コントロール建屋から道路を挟んだ砂丘側の地帯だ。この中越沖地震で露わになった敷地の液状化に有様を、地表面に「液状化により亀裂発生」した様子を、今回のシミュレーションが再現出来るのだろうか。
地下水位の想定・設定値の検討から、7号機原子炉建屋と6,7号機コントロール建屋から道路を挟んだ砂丘側の地帯に、地盤の「液状化により亀裂発生」を再現できるか、甚だ疑問だ。再現できていなかったら、東電のシミュレーションに大きな疑問、疑惑が湧く。数学的な計算モデルはわるいのかどうなのか、計算モデルに代入する想定条件の値はどうなのか論議しなければならなくなる。
東電は評価結果を示さなくても良くした。論議を避けた。添付第2‐1図で「津波評価において沈下を考慮する範囲」を図示している。考慮する範囲に、1~4号機のある荒浜側は海岸部(敷地高はT.P.3m)と1~4号機建屋付近の敷地(T.P.5m)が入っている。5~7号機の大湊側は、海岸部(T.P.3m)だけである。5~7号機建屋付近の敷地(T.P.12m)や建屋より砂丘側(T.P.12m)は、考慮する範囲外である。
東電は「sweep under the carpet(カーペットの下に掃き退ける)」した。
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実測の地下水位値で液状化シミュレーションしたら? KK原発の液状化対策 ㉞ [地盤、液状化&断層]

東電は、2007年の中越沖地震の際に柏崎刈羽原発敷地の地下水位を測定計測している。その実測値を見てみよう。
原子炉建屋、タービン建屋周囲の地下水位の低下を東電は建屋建設、敷地造成で計画、設計して設備を設けてある。地下水により建屋が受ける浮力の影響、地震時のロッキング(地震時の基礎浮上り)の予防を目的として、建屋直付設置のズサブドレイン井戸から電動ポンプで地下水を建屋基礎部の深さからくみ上げるものだ。2007年10~11月に測定計測して設計計画通りの「・建屋周辺はサブドレーンの効果により地下水位が低い・建屋から離れるにつれて地下水位は高くなる」との水位低下効果を東電は確認してしている。

g07122501-14d-s.jpg東電の大湊側解析モデル図の位置の実測値は、最も砂丘・上流側でT.P.+6~5m、原子炉建屋直付設置のズサブドレイン井戸からT.P.-24.5mで地下水汲み上げがあるから建屋付近ではグッと下がりT.P.+3~+5.15m、次いでタービン建屋サブドレイン井戸ではT.P.-4.4mで地下水位汲み上げをしているし、取水路の壁からの垂れ落ちがあるので下流・海側ではT.P.-0.71~‐0.24に下がり、井戸から離れても上がり方が少ない。
解析に用いる水位値を東電は「液状化による変形を保守的に考慮するために、朔望平均満潮位T.P.+0.49に余裕を考慮したT.P.+1m」としている。
私も余裕分0.5mをみて実測値から、建屋より下流・海側ではT.P.±0.0、上流・砂丘側はT.P.+6mを5号機敷地の実情に適合している解析設定と考える。東電に較べ上流・砂丘側で5m浅い、地表面から6m下に地下水がある想定だ。東電想定では11m下に地下水。
この審査会合は6号機と7号機の再稼働のための会合だから、7号機側のラインの地下水位の実測値を見てみよう。g07122501-14-7号機-1.jpg建屋より砂丘・上流側でT.P.+8~7m。タービン建屋中間から南側の道路2本挟んだら地点で11.6m、ここは敷地高12mの造成地だから、地面を40㎝掘り返せば地下水が出る。建屋直付設置のズサブドレイン井戸から汲み上げで建屋から海側・下流側はT.P.+0.85と+0.81が計測されている。
解析に用いる水位値は、余裕分0.5mをみて建屋より海側ではT.P.+1.3m、砂丘側はT.P.+8mが7号機敷地の想定水位値だ。砂丘側はT.P.12mの地表面を4m掘り返せば地下水が出てくる想定だ。
「地下水位が浅く(高く)、緩い砂層が地下の浅い部分に厚く堆積しているほど、表面地盤は液状化に対し脆弱と言えます。」(そこで液状化が起きる理由、若松 加寿江 著・東京大学出版会 の76頁)という理学的知見がある。この知見から、〈緩い砂層が地表面近くの浅い部分に厚く堆積していても、地下水位が低く・深くあるほど表面地盤は液状化に対し強靭となる〉と言える。だから、東電想定の地下水位値で解析した液状化シミュレーションは、建屋から砂丘側は実際・実情より強靭に、より強くなる結果ではないか。

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事実無視、妄想の東電の大湊側解析モデル図 KKの液状化対策 ㉝ [地盤、液状化&断層]

第419回・2016平成28年11月29日の審査会合での、東電の出した資料2-3中の大湊側解析モデル図、こりゃ事実無視、設計無視でダメだ。
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東電作成断面図の位置は、汀線(波打ち際線)と直角に交わる汀線直交であり、5号機と6号機の間を貫き5号機寄りのライン・線で描かれている。海が約100m、波打ち際・汀線・護岸から防潮堤まで約70m、防潮堤から建屋まで約100m、建屋、原子炉建屋とタービン建屋が約80m、建屋端から砂丘側は約60mを書いてある。
柏崎刈羽原発に限らず、日本の原発の原子炉建屋、タービン建屋はサブドレン井戸を設けて、電動ポンプで地下水を汲み上げて水位・地下水位を下げている。そのポンプでの水位低下、上流から水位高く流れてきて、建屋直近でポンプの力で大幅にダウンさせている。断面図では建屋端から砂丘側へ約60mが高く、建屋から防潮堤までの約100m、防潮堤から汀線・護岸まで約70mが低い。しかし東電謹製の断面図、モデル図はT.P.+1mの水位で、建屋端から砂丘側とその逆方向の汀線・護岸まで一定の水位で線引きしている。事実無視の妄想で書かれている。
柏崎刈羽7号機3f-01.jpgロッキング(地震時の基礎浮上り)予防の汲み上げ
地下水汲み上げは、地下水により建屋が受ける浮力の影響、地震時のロッキング(地震時の基礎浮上り)の予防を目的としている。建屋直付設置のズサブドレイン井戸から電動ポンプで地下水を建屋基礎部の深さからくみ上げている。地盤が液状化するとロッキングの力が大きくなる。
理学的工学的には「通常、地下水位以下の構造物は水の浮力をうけています。浮力は体積×液体の密度に比例しますが、地盤が液状化すると比重1.8程度(水の密度の1.8倍)の液体になるため、液状化前の1.8倍の浮力がかかることになります。マンホールを例に取ると、コンクリートの比重は2.3程度ですが、内部が空洞だと見かけの比重は半分以下になることがあります。このため、比重1.8程度の液状化地盤では浮き上がってしまうのです。」「マンホールが浮き上がると、地下の下水管がマンホールとの接続部で破断するため、下水は流せなくなります。」(そこで液状化が起きる理由、若松 加寿江 著・東京大学出版会 の83頁)
マンホールは下水が流せなくなる程度だが、原発では[?] 各種の機器を繋ぐ通信ケーブル、電力をやり取りするケーブル、蒸気配管、水配管、海水配管が、次々と接続部で破断したら??想像したくない。
原子炉建屋、タービン建屋の周囲の表面地盤は、砂質土の埋戻しで造営され出来ている。地下水で満たされた土壌、飽和した砂質地盤が振動に対する強さ(せん断強度)を失い、砂混じりの液体に一時的に変化する現象が液状化だから、土壌の質が砂質の点は液状化条件は満たされた。残るは地下水で飽和されるかの点だ。
どこから地下水で飽和・満たされるか?なるべく下げる設備・設計が、建屋直付にズサブドレイン井戸を設置し、そこから電動ポンプで地下水を建屋基礎部の深さからくみ上げることだ。周囲の地盤の水位が汲み上げ深さまでは下がらなくとも、非常に近い深度になる事が期待できる。ロッキング(地震時の基礎浮上り)の浮上がり力の最小化を期待できるからだ。
2007年の中越沖地震の際に地下水位を測定計測している。そして東電は「・建屋周辺はサブドレーンの効果により地下水位が低い・建屋から離れるにつれて地下水位は高くなる」と設計計画通りの水位低下効果を確認してしている。

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