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イスラエルの核兵器ー02 [核のガバナンス]

イスラエルは一貫して核兵器保有について否定も肯定もしない「曖昧(あいまい)政策」をとり続けている。2019 年 11 月にニューヨーク国連本部で開催された、中東では核兵器その他の大量破壊兵器も存在しない「中東非大量破壊兵器地帯」に向けた初の国際会議にも米国と並んで欠席した。参加そして反対もせず、欠席。2021 年 11 月~12 月の第 2 回会議、2022 年 11 月の第 3 回会合、いずれの会合にもイスラエルと米国は欠席した。

 そしてイスラエルは中東地域で唯一の核不拡散条約(NPT)非加盟国であり、核不拡散条約(NPT)体制の枠外で核兵器保有を続ける国である。
 イスラエルの核兵器計画は通常戦力で優位にあった近隣アラブ諸国への対抗策として 1950 年代半ばに始まったと考えられている。

 長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の推定では、2021 年末時点でイスラエルは約 320kgの高濃縮ウラン(HEU)と約 800kg の兵器級プルトニウムを保有している。25kg の HEU ・高濃縮ウランで核爆弾 1 発の製造が可能とされており、12.8発の核弾頭に相当する。プルトニウムは4–6kg 必要で、200から133発に相当する。
 イスラエルはソレク原子力研究センター(所在地:ヤフネ)とネゲブ原子力研究センター(所在地:ディモナ)に研究炉。フランスからの技術導入による再処理施設(ディモナ)、重水工場(レホポット)、燃料加工工場(ディモナ)などを持ち、それらにも高濃縮ウラン(HEU)と兵器級プルトニウムを保有している。
 このように保有する核分裂性物質のすべてが弾頭に使用されているわけではない。衛星写真による分析、核分裂性物質の生産量、核搭載可能な運搬手段に関する情報等を勘案し、2023 年 3 月現在の核弾頭総数は 90 発と見積もられている。

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