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電力会社らの「感知器追設は不要」論に規制庁は深層防護で諭す㈣ [防災‐指針・審議会]

10月30日の「第1回原子力発電所における火災感知器の設置要件に係る会合」の公開会合で、原子力事業者・電気事業連合会ら=北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、日本原子力発電、電源開発、日本原燃=は、「可燃物管理を実施しており、従来より設置されている火災感知器に加えて、異なる種類の感知器のさらなる追設までは不要」論を主張した。前回の㈢

これに対し原子力規制庁は次のように反論、諭した。


その規制庁の意見は要約すると
 「火災防護基準ですね、新規制基準がつくられたときに、深層防護ということで、火災の発生防止、それと検知・消火、あと影響軽減ですね、その三つを独立して求めていくというのが基準の根底の考え方になっております。」
「新規制基準の考え方の中では、まずは(火災から守る)対象機器を明確にした上で、火災区域、区画というのも明確にしていきますと。それに対して対策は講じていきますと。要は、対象機器を明確にした上で、火災ハザードが存在するエリア、それが火災区域、区画だということなんですね。それに対してエリアとして対策を求めていく、火災の発生防止、それと検知・消火、あと影響軽減ですね、その三つを独立して求めていく基準基本的な考え方になっております。」
可燃物管理というのは、火災の発生源をなくしますということですので、これは発生防止対策なんですね。これは何度も基準の説明のときに申し上げているとおり、発生防止と感知、消火、それから影響軽減はそれぞれ独立です」
ソフト面の可燃物管理を行うからといって、感知器、ハードの部分の感知器を免除するという考え方は採らない。

この考えは「前段否定」というが、各レベルの十分な対策を前提にして、あえてその効果が十分でなかった場合に備えて安全対策を多層にする。

深層).jpg

煙の多く出る無炎火災と煙がほとんどでない有炎火災、二つありますが、それぞれを早期に検知できるようにする、火災を早期に発見する」
「煙感知器があるからその両方の火災が早期に検知できるということでなくて、やはり火災の状況によって、熱感知器が先に作動する場合、検知もあるだろうと。そういう意味では、異なる感知器、2種類の感知器とも消防法の規定に基づいて設置をして、区域に設置をしていくことが必要じゃないかというふうには思っている


火災防護基準には「異なる二つの感知器を早期の火災検知のために設けてくださいということが書かれている」「基準で二つの種類を要求をしているというのは、どちらでも早く検知できるものがあるのであれば、二つつけておいていただいて、なるべく早く感知しましょうということ」

「現行の基準については、ただ二つの感知器を設けてくださいとしか書いていなくて、ということは、煙感知器も、もう一つのほうの熱感知器についても、どういう設置の方法をしなさいというのが実は書いていないんですね。」
事業者は、「消防法令へ適合しなきゃいけないので、煙感知器については消防法令に沿って設置をされた上で」熱感知器や炎感知器(炎の赤外線や紫外線を捉える)など「プラスアルファについては、何も書いてないから、こういうやり方をして」いて火災防護基準に適合していると説明。
 規制委、規制庁は、プラスアルファの二つ目についても「消防法令の設置の方法に合わせてやる必要があるんじゃないかということで今回議論」している。「今回の整理としましては、今まで審査基準に明確でなかった(プラスアルファの二つ目の)設置基準を新たに要求事項として求めていくということです。新たに基準を追加し改定するので、バックフィットを今回行うというような考え」


バックフィットとは、法的規制を既に設置許可された原発に対して遡って・さかのぼって適用する法の遡及適用のこと。この運用は平成27年11月13 日原子力規制委員会決定の「新たな規制基準のいわゆるバックフィットの運用に関する基本的考え方」に示されている。 http://www.nsr.go.jp/data/000129586.pdf
基本は「新たな規制基準を既存の施設等に適用する場合には、規制基準の決定後一定の期間を確保した施行日を定めるか、又は、当該規制基準の施行後の経過措置として当該規制基準に対応するために必要な期間を設定する」であり、即時適用は「安全上緊急の必要性がある場合」には「あり得る」。


それで規制庁は、「経過措置といいますか、例えば、熱感知器の取替か、もしくは追設になると思うんですけれども、そういうときの工事期間としては、どれぐらいの必要か?」と事業者に問うている。事業者・電気事業連合会ら=北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、日本原子力発電、電源開発、日本原燃=は「そこはちょっと中で検討させてもらって、いつに答えられるかということも含めて、一度またこういう場で御説明させていただきたい」と答えている。それで次回以降に経過措置の期間を議題とする事になった。

タグ:2018年改定
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