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東電のKK敷地地盤内の「古安田層は液状化が懸念される地盤ではない」主張は論拠が雑。 KK原発の液状化対策㊷ [地盤、液状化&断層]

東電は、「古安田層は液状化が懸念される地盤ではないと判断できる」と主張している。論拠の一つは、地盤液状化は粒径 0.1mm~1.0mmの砂地盤で起こりやすいが、古安田層・安田層下部層は粒度が小さく、粘土より大きいシルト(粒径が0.005~0.075mm)が主体の地層であること。もう一つは、古安田層・安田層下部層に分布する砂層も「深度20m以深の非常に密な地盤」であること。この二つを挙げている。(古安田層は東電が付けた仮称で、学術的には安田層下部層と称する)
しかし、千葉県東方沖地震(1987)では、0.074mm以下のシルト・細粒分を50%以上含む土壌でも液状化が起きている。
000171360資料2-3-P18-c3.jpg

図・第419回審査会合の資料2-3の添付第2-10図(1)からは、1から2号機の防潮堤の基礎杭は、防潮堤直下の改良土の土層、地下水をタップリ含んだ埋戻し層を通り、深度15m位から古安田層・安田層下部層の洪積砂層Ⅰ(A-1)と洪積砂層Ⅱ(A-1)を抜けて、深度25m位で洪積粘性土層Ⅰ、粘土層を通り、深度35m位で洪積砂層Ⅱ(A-2)、洪積粘性土層Ⅱ、そして深度45m位で西山層の泥岩岩盤に約2m打ち込まれている。護岸提の正面鋼矢板は地下水をタップリ含んだ埋戻し層を通り、古安田層・安田層下部層の洪積砂層Ⅰ(A-1)に約5m打ち込まれ、それを後ろから鋼棒・タイロッドを介して支える控え杭も洪積砂層Ⅰ(A-1)まで入っている。控え杭から20m下には、砂質土層と粘性土層が薄く交互に重なっている「互層」がある。このように東電資料では古安田層・安田層下部層の砂層は、深度20m以浅からある。

東電の主張は論拠が雑。KK敷地地盤内の安田層下部層「古安田層は液状化が懸念される地盤ではないと判断できる」との東電主張は、論拠が雑である。個々の地層・土層の性質を見極めて、液状化が懸念されるor懸念されるなどの評価を下す必要がある。

参考
粘性土(ねんせいど)

地盤工学の基準「地盤材料の工学的分類方法」では、土は観察による区分と粒径(粒の大きさ)による区分の大分類がある。この粒径(粒の大きさ)による土の区分では、粒径から細粒土と粗粒土に分けられる。細粒土は粒径0.075mm未満の粘土分やシルト分が構成比で50%より多く含まれる土。粗粒土は粒径0.075mm~2mmの砂や粒径2mm~75mの礫分が構成比で50%より多く含
まれる土。粒径75m以上は石とされ、50%以上・≧含まれると岩石質、50>から<0%なら石分混じり土質に分けられ、名が付く。
細粒土に属する土のうち、土質区分上、粘りけのある土を粘性土という。経験的には、粘性土を指先に付けた時、水で洗い流すと指先に土が残る。なお、粘性土は、さらに粘土とシルトに、中分類上区分される

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