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側方流動で破壊されるもの、 KK原発の液状化対策 ㊴ [地盤、液状化&断層]

地盤の液状化による被害は、大きく3つあると思う。「水混じりの固体(地盤)が、地震の揺れによって砂混じりの液体に一時的に変化する」現象が液状化。これを踏まえて
一つは、地盤が建物や橋などの構造物を支える力が一時的無くなることによる被害。砂混じりの液体に一時的に変化することで、見かけ比重が重い構造物が沈下する。

浮上がり1big.jpg一つは、見かけ比重が軽い構造物が浮上がる。地震で液状化発生し一時的に出来る砂混じりの液体は、比重1.8程度ある。水・地下水の密度の1.8倍程度あり、液状化前の1.8倍の浮力が発生する。マンホールなど地中構造物に1.8倍の浮力が掛かることになり「マンホールを例に取ると、コンクリートの比重は2.3程度ですが、内部が空洞だと見かけの比重は半分以下になることがあります。このため、比重1.8程度の液状化地盤では浮き上がってしまうのです。」「マンホールが浮き上がると、地下の下水管がマンホールとの接続部で破断するため、下水は流せなくなります。」(そこで液状化が起きる理由、若松 加寿江 著・東京大学出版会 の83頁)

一つは「緩やかに傾斜した土地が広範囲に液状化すると、液状化した地層とそれに載った表層が高い方から低い方に向かって動き出す現象」がおきる。建物の基礎が引っ張られて傾いたり、基礎が土台から外れたり、破断して上屋が大きく変形する。ガス・水道などの埋設管が破断・引っ張りや圧迫・押し合いで損傷する。

KK原発で採られている対策
KK原発の建築物、構造物は、直接基礎・ベタ基礎や杭基礎。原子炉建屋、タービン建屋の基礎・下部構造・底一面を西山層と呼ばれる泥岩岩盤を掘り込んだり、人造岩MMRマンメイドロックを介して設置してある。また基礎鋼管を西山層に達するまで打ち込んで杭基礎をしてある。この二つは、基礎構造が沈下対策になっている。それ以外の埋戻し層や安田層下部層の洪積砂質土層などに直接基礎・ベタ基礎を設置してある建築物、構造物は、危ない可能性がある。3号機変圧器火災は、変圧器本体は杭基礎だったが、接続母線部のダクトが直接基礎であった。


構造物の浮上がり対策は、大きく3つある。機冷却用取水路はブロックに分けて作られている。ブロックは水を通す中空、空洞構造だから、見かけ比重は軽い。改良土をブロック周囲と直上1mあまりに積み上げて、浮上り力を低めている。

浮上がり000177199-31.jpg

タービン建屋、原子炉建屋はサブドレイン井戸と電動水ポンプを設置し、建屋基礎の深度からの地下水汲み上げ策が採られている。サブドレイン井戸汲み上げ策は、地下水を抜くことで液状化地層を非飽和にし、非液状化する策である。汲み上げで建屋ベタ基礎近くまで地下水位高・水位深度まで下がると期待できる。下がった深度まで土壌を非飽和にして、液状化しないようにして浮上がり力を小さくする策だ。

中越沖地震時には、水平方向の地震動で上下動が励起されたが、その振動で建屋内機器・配管系に発生した応力は軽微で安全性を損なわれてないと東京電力は検証評価している。いる。


中越沖地震の地震振動で建屋内機器・配管系に安全性上問題はないと東電は評価しているが、消火系配管、消防水を送る配管は建屋壁との接続固定金具・ステーや接続継手が脱落し配管破損している。建屋の外では地下に埋設された消火用配管が地盤不等沈下で損傷して、野外消火栓などが使えなくなった。
3号機変圧器付近から地震から2分後に白煙発生が視認され、直ちに初期消火が試みられたが、消防水配管損傷で消火水不足で消火出来ない。そのうちに黒煙発煙になった。

地震後に従来の消火用配管の地中埋設を改め地上配管にするなどで、地震による配管破断を防止したとしている。地上に出し、地表に基礎を設け、接続固定金具・ステーなどでつなぐ。この地上化は、地盤不等沈下で損傷したことに十分な対策にはならない。地盤が沈下、東西南北に変位したら、金具・ステーの引き剥がし、破断・引っ張りや圧迫・押し合いがおこる。金具・ステーの損傷で変位が吸収され配管が守られることがあるとはいえ、やはり地盤の変位から配管損傷に至る。


側方流動で地盤の変位が起こる。この地上化の対応策の不十分さは、側方流動軽視を表している。
側方流動での破断・引っ張りや圧迫・押し合いで、機器間・コンピューター間の通信用途のケーブルとそれが通っている配管が損傷する。建屋内のタービンや原子炉を制御するために、6.7号機の間のC.Bコントロール建屋にある中央制御室の機器間・コンピューターとの間の通信用ケーブルと通っている配管がある。5号機建屋に設けられる緊急時対策室のそれらとの、地下に建設予定の緊急時対策所のそれらとの、テロに備えて建設予定の対策所のそれらとの通信用ケーブルとケーブルが通っている配管がある。これらへの側方流動に起因する損傷には、どう対応するのだろうか?

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