SSブログ

LSS14報は閾値なしで全線量域で直線の線量反応関係 めも原爆被曝者手帳㊻ [原爆被爆者援護法]

「原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14報、1950-2003:がんおよびがん以外の疾患の概要」
この正文は英語論文で、 http://www.rerf.jp/library/rr_e/rr1104.pdf
この14報のポイントは、3点あると考える。
⒜総固形がん死亡の、被曝している場合のリスクが何倍になっているかを表す過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示した。有意となる最低線量域は0-0.20 Gyであった。
⒝閾値は認められない。
⒞被爆時年齢が若いほど、健康リスク(がんだけでなく、がん以外の循環系、呼吸器系、消化器系の疾患)は増大する
これと、沢田昭二氏の「放影研の過剰相対リスクの過小評価は 2 分の1ないし 3 分の1程度」との見解は両立するのだろうか。別稿で改めて検討する。

日本語概要が、2012年7月末の時点で「改ざん」されていたと言う。放影研RERFは「内容は同じだが前の表現だと内容を誤解する一般の方が多かったので変更した」とのことなので、最初の日本語概要を下に記す。なお、2013年6月に図を添付して、再度改訂版を出している。改訂版はhttp://www.rerf.jp/library/rr/rr1104.pdf
日本語全文のあるページは、http://besobernow-yuima.blogspot.jp/2012/05/abcc-1950-radiation-research-14-1950.html

 
lss14第14報-04上_.jpg
改訂版の4頁の図版

【今回の調査で明らかになったこと】
1950年に追跡を開始した寿命調査(LSS)集団を2003年まで追跡して、死亡および死因に対する原爆放射線の影響を、DS02線量体系を用いて明らかにした。
総固形がん死亡の被曝していない場合に比べて、過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示し、閾値は認められず、リスクが有意となる最低線量域は0-0.20 Gyであった。

30歳で1 Gy被曝して70歳になった時の総固形がん死亡リスクは、被曝していない場合に比べて42%増加し、また、被爆時年齢が10歳若くなると29%増加した。がんの部位別には胃、肺、肝、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、卵巣で有意なリスクの増加が見られたが、直腸、膵、子宮、前立腺、腎(実質)では有意なリスク増加は見られなかった。がん以外の疾患では、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患でのリスクが増加したが、放射線との因果関係については更なる検討を要する。
【解説】
1) 本報告は、2003年のLSS第13報より追跡期間が6年間延長された。DS02に基づく個人線量を使用して死因別の放射線リスクを総括的に解析した初めての報告である。解析対象としたのは、寿命調査集団約12万人のうち直接被爆者で個人線量の推定されている86,611人である。追跡期間中に50,620人(58%)が死亡し、そのうち総固形がん死亡は10,929人であった。
2) 30歳被曝70歳時の過剰相対リスクは0.42/Gy(95%信頼区間: 0.32, 0.53)、過剰絶対リスクは1万人年当たり26.4人/Gyであった。
*過剰相対リスクとは、相対リスク(被曝していない場合に比べて、被曝している場合のリスクが何倍になっているかを表す)から 1 を差し引いた数値に等しく、被曝による相対的なリスクの増加分を表す。
*EAR = Excess Absolute Riskとは、ここでは、被曝した場合の死亡率から被曝していない場合の死亡率を差し引いた数値で、被曝による絶対的なリスクの増加分を表す。
3) 放射線被曝に関連して増加したと思われるがんは、2 Gy 以上の被曝では総固形がん死亡の約半数以上、0.5-1 Gy では約 1/4、0.1-0.2 Gy では約 1/20 と推定された。
4) 過剰相対リスクに関する線量反応関係は全線量域では直線であったが、2 Gy 未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した。これは、0.5 Gy 付近のリスク推定値が直線モデルより低いためであった。

「改ざん」部分

英語正文では次の部分である。
"The estimated lowest dose range with a significant ERR for all solid cancer was 0 to 0.20 Gy, and a formal dose-threshold analysis indicated no threshold; i.e.; zero dose was the best estimate of the threshold." 

ERR Excess Relative Risk 過剰相対リスク
これを「総固形がん死亡の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して直線の線量反応関係を示し、その最も適合するモデル直線の閾値はゼロであるが、リスクが有意となる線量域は0.20 Gy以上であった。」と訳し直している。こちらの方が判り難く「内容を誤解する』人が多いのではないか。


 

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0