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原爆による放射性微粒子の沈着による被曝線量の大きさ推定 めも原爆被曝者手帳㊹-Ⓓ [原爆被爆者援護法]

原爆によって生成した放射性微粒子の沈着(湿性沈着と乾性沈着)による被曝線量の大きさは、どれ位だろう。DS02の初期放射線による被曝線量に較べて、どれ位なのだろう。
床下土壌の調査結果等から今中哲二氏(元京都大学原子炉実験所)が推定している。「広島原爆の黒い雨にともなう沈着放射能からの空間放射線量の見積り」という論文で、http://www.hisof.jp/01publication/0301BlackRain2010.pdf で入手できる。推定の過程は「『恐竜の尻尾のホネの化石から、生きていたときの体重や顔つきを推定するような作業』という喩え」られていて要約は出来ないので、要点を記す。
「もっとも広汎に行われた調査は、1976 年の厚生省委託調査」でその調査結果から「、1945 年に黒い雨として降った最大平均値は『これ以上ではなかっただろう』という値を求めると、約2kBq/m²」
床下土壌データから「山間部での黒い雨にともなう初期セシウム137 沈着量の平均は1.2 kBq/m²」
1976 年土壌調査、1945 年原爆直後空間線量測定データ、床下データを考慮し、いわゆる“黒い雨地域”で、黒い雨にともなって地表に沈着した『セシウム137 初期沈着量の平均値は0.5~2 kBq/m2』の範囲であった。
核分裂生成物FPにはセシウム137のような揮発性(volatile)の物とストロンチウム91のような難融性(refractory)の物があり、沈着挙動が異なってくる。R/V(難融性が揮発性の物の何倍あるか)で表す。、長崎については、黒い雨が降った西山地区で、揮発性核種であるセシウム137 と難融性核種であるプルトニウムの測定データがあるので、そのデータからから広島黒い雨地域でのR/V 比は1.0~2.0 であったと仮定する。
セシウム 137 初期沈着量が1kBq/m² でR/V 比=1ときにγ線の空間線量率は、「8月6日12時ころ、つまり原爆から約4時間後の空間線量率は1.3 mGy/h で、1日後に0.12 mGy/h、1週間後に0.013 mGy/h と急速に減少する。積算線量は、1日後で 14 mGy、1週間で19 mGy、2週間で20 mGy、1カ月で22 mGy、1年で24 mGy である。」「R/V=2の場合では、4 時間後、1日後、1週間後の空間線量率は1.8、0.19、0.020 mGy/hとなり、1日、1週間、2週間、1カ月、1年の積算線量は、20、28、30、33、38 mGy となる。」
黒い雨とともに地表沈着した放射能による、地表1mでの2週間積算空間線量、平均的なγ線の外部被曝量は
「• 小さい側で、0.5[kBq/m2]×20[(mGy)/( kBq/m2)]=10 mGy
• 大きい側で、2.0[kBq/m2]×30[(mGy)/( kBq/m2)]=60mGy
すなわち、10~60mGy と見積もっておく。」

広島市の広島“黒い雨”-86上.jpg

今中氏は「人が2週間じっと地面の上にいるということは不自然」と自認しているので、8月7日の朝8時、1日後までのγ線積算空間線量は、同様に計算すると小さい側で、0.5×14=7mGy、 大きい側で、2.0×20=40mGy。
今中氏は「『人の被曝量』を求めるには、建物の遮蔽効果、屋外・屋内の滞在割合、人体そのものでの減衰効果などを考慮する必要がある。」また広島市街地は、建物、木造家屋が大破しており、黒い雨も避けれずにずぶ濡れになったろう。衣服や皮膚上に放射性微粒子の沈着、付着したろう。それが出すβ線による被曝には建物の遮蔽効果、屋外・屋内の滞在割合は無関係だ。線量は「Preliminary な結果によると、ベータ線による『皮膚線量』は、ガンマ線空気吸収線量より一桁程度大きくなりそうである。」プラスマイナスゼロとみて、人の被曝量を7~40mGy と見積もっておこう。

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