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KK原発の原子力防災/病院の避難先 [柏崎刈羽原発の防災計画]

東京電力の柏崎刈羽原発(㏍原発)、事故時の住民避難計画を評価してみる。

10㎞圏内のEPZ(Emergency PlanningZone)にある病床にいる約1260人、特養老健といった介護施設、障碍者施設に入所している約2010人、合わせて約3270人です。この人たちは自治体が行き先を手配する避難計画の外に、施設が独自に手配し計画することにになっています。内閣府において内閣府政策統括官(原子力防災担当)の元に設けられたワーキングチームが指針に基づき検討した結果方針です。
それでKK原発の10㎞圏内のEPZのうち避難場所が決まっている人は375人約11%だけです。EPZの内側の5㎞圏のPAZ内にある施設の入所者です。柏崎市広域避難計画(平成27年12月)に一覧表が添付されています。約2900人の避難先は未定です。

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 KK原発から5~10㎞帯には入院できる病床をもつ病院が柏崎市の7病院・医院が全てあります。病床は1265床、約2900人の約43%です。病床はUPZ内には6570床です。新潟県には総数で30843床(地域の医療提供体制の現状- 都道府県別・二次医療圏別データ集 - 2015 年度版)あるから、約21%です。10㎞圏内のEPZだけなら約4.1%。事故発生から遅くても1日、24時間以内に区域を特定され、長くても1週間程度内に転院することになっています。

治療の被曝、原発事故の被曝
 治療に入院しているのに無用な被曝をするはおかしい。ガンの放射線治療やレントゲン撮影などの被曝では被曝によって被曝しそのデメリットを被る本人に直接メリットがあります。KK原発事故による被曝ではデメリットだけです。このような被曝はゼロが望ましい。
 病院では退院、入院が日々繰り返されます。それにより病床の使用率(稼働率)95%、逆に見ると空き床率が5%なら柏崎市の7病院・医院の全ての入院患者を受け入れは数の上では可能です。UPZ全域となると使用率(稼働率)72%、空き室率28%ならば全ての入院患者を受け入れは数の上では可能です。

医療計画における原子力事故
 日本では医療計画で病院の配置や病床数が計画されます。都道府県が策定する計画で病院など医療機関の適正な配置や医師、看護師など医療資源の効率的な活用、病院の機能分化などを図るため、医療圏の設定や病床数、病院や救急体制の整備について将来の人口規模、医療需要予測や患者の流入及び患者の流出の実態などをもとに定期的に作られます。医療法に基づくプランです。規制というほどの強制力はありませんが、努力目標と云うほどヤワなものではありません。災害医療、災害拠点病院など災害時の医療提供・供給体制も計画されます。
 それは災害時に多発する多発外傷、圧挫(クラッシュ)症候群、、広範囲熱傷等の重篤救急患者の救命医療を対象にしています。災害拠点病院には、原則として病院敷地内にヘリコプターの離着陸場を有すること、患者の多数発生時に対応可能なスペース及び簡易ベッド等の備蓄スペースを有することなどを求め、傷病者等の受入れ及び搬出を行う広域搬送への対応機能、地域の医療機関への応急用資器材の貸出し機能などを整備するとしています。
 医療計画での災害には、原子力災害・原発事故は含まれていない。先の1週間程度の期間に大人数の転院者を受け入れる事は考えていない。医療法第三十条の四の病床数の算定は「全都道府県において統一的に実施しなければ実効を期しがたいから」「厚生労働省令で定める標準により実施する」。つまり、原発立地県で、UPZ内からの転院を考えた病床数の加算、厚生労働省令による標準の基準病床数にUPZ内の病床数を加えた病床数を医療計画での目標にはしていません。東日本大震災後に持たれた検討会でも議題になっていません。つまり、将来的にもUPZ内入院者の避難先は整備計画されていません。
 今でも救急車が空きベットなしで救急病院を盥回しされるように、ない袖は振れないといいますが、避難先なしで避難出来ないとか車に乗ったまま、ということになります。東日本大震災3.11では、全国からDMAT(災害派遣医療チーム)が約380チーム、約1800名が派遣されています。入院患者の救出と搬送などにあたったそうですが、直ぐには避難先病院が見つからず、高校の体育館になったりして、体調が悪化して亡くなっています。同じことを繰り返すのでしょうか。

費用負担は東京電力に
 仮にUPZ外の下越医療圏、新潟医療圏、県央医療圏、上越医療圏、魚沼医療圏に、標準の基準病床数よりも6570病床(UPZ内の病床数)を備えるとします。例えば簡易ベッド等を備蓄し、それを展開するスペースを調える。そしていつでも使えるよう整備する。その6570病床は、東京電力KK原発事故に備えて常に空けておかなければなりませんから、その施設建設整備費や維持管理費などの費用は、事業者である東電が負担すべきです。


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