KK原発の原子力防災/10km圏EPZ

東京電力の柏崎刈羽原発（㏍原発）、事故時の住民避難計画を評価してみる。

「重大事故の発生を仮定した場合、放出源からの距離が近い区域では、放出される放射性物質による影響は最も重大なものとなる一方で、その影響は放出源からの距離に応じて減少する。」（ＵＰＺ外の防護対策について　原子力規制委員会　H２７月３月４日）
「放射性物質は風向風速等の気象条件によって拡散する地域にばらつきがある」（柏崎市広域避難計画　H26年）とある。柏崎一般環境大気測定局(大気汚染防止法に基づき道府県知事が設置し常時監視）の1990 年4 月から2007 年12 月の風速、風向データの解析結果を福崎 紀夫、高木 諒氏が「柏崎大気測定局における汚染物質濃度の変動特性(平成21 年10 月)」で報告している。

風向風速の特徴
柏崎地域は海岸線が北東-南西方向に走っていることから、海陸風により昼は北西系（海風、海から陸に向かう）夜間は南東系(陸風、陸から海へ）が主風向を示す。また、冬季には北西～西系の季節風が卓越する。月別及び時間別風速変化を見ると4～9 月には、海風が進入する8時頃から風速は増加し、13～14 時頃にピークを示したのち19 時頃まで徐々に減少する。10 月及び3 月は同様な上昇傾向が見られるが上昇幅は小さい。1 月、2 月及び12 月は昼間の海風の増加が明確でなく、かつ風速が1 日を通して3m/秒 前後と大きい。5 月～9 月の夜間の風速は1.2～1.5m/秒 程度で安定している。

東電福島第一1号機のように18時頃に放射能が漏れ始めるとしよう。３～11月春、夏、秋なら夕凪の頃だ。海から陸に吹く弱い海風に乗りブルームが刈羽村柏崎市に拡がる。風速は秒速1.5～2ｍ（時速6.0～7.2km）とすると1時間半位で10㎞圏内のEPZ（Emergency PlanningZone）に放射能が拡散する。その時刻19時半の頃には、凪は終わり陸から海に吹く陸風になる。ブルームは海に向かう。と考えられる。その結果、「地上1m で計測した空間放射線量率で20μ㏜/h、年で表すと175.2mSv」以上が10㎞圏内のEPZ（Emergency PlanningZone）で観測され避難指示が出されたとする。

10㎞圏EPZ内の住民は、約7万6千人。畳一枚分の面積で3か月以上、避難所生活させる・する覚悟があるならば避難所は県内に確保されている。国際的標準の避難所面積（3.5㎡/人）を確保すると収容可能人数は4万7千人、子供らの学習権を保障して避難所面積を確保すると1万4千人。EPZだけが避難するケースだから、それ以外の県内地域を避難先したらどうなるか。子供らの学習権を保障して国際的標準の避難所面積を確保すると、UPZ外の全ての市町村で受入可能は約4万6千人（佐渡市を除く）、約3万人の逃げ場がない。EPZの外になるUPZの小千谷市や長岡市などの地帯、UPZ外になる長岡市の栃堀地区などの地域で、学習権を保障し国際的標準の避難所面積を確保すると、約3万人分の避難所があるだろうか。

　3.11当時は原子力安全委員会の定めた「原子力施設等の防災対策について」で緊急時計画区域としてEPZが設定され核燃料物質の放出や臨界事故にも対応する防災対策を、その重点的充実を定められていた。（この防災指針は平成24年10月31日に「原子力災害指針」と置き換えられている。）
　避難は重要な防護対策であり、当然に緊急時計画の重点的充実が法的責務であった。国と立地自治体の法的責務であった。それが国・中央政府によって蔑ろにされて来た。今になって泥ナワで指針を作り、避難計画を作らされたと感じる。それでは畳一枚分の面積で3か月以上、避難所生活させるものであり、学習権を保障し国際的標準の避難所面積を確保すると、約3万人分の逃げ場がない。

また指針に従えば、10㎞圏内のEPZ（Emergency PlanningZone）にある病床にいる約1260人、特養・老健といった介護施設、障害者施設に入所している約2010人、合わせて約3270人のうち避難場所が決まっている人は375人だけ。約1 2900人の避難先は未定です。

タグ：避難計画 KK原発 原子力防災

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by Austjeshy (2019-07-21 22:09)