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ヨウ素剤服用で残存する被曝発ガンリスク ヨウ素剤検討会『2001.11.13、第4回』メモ [防災‐指針・審議会]

原子力施設等防災専門部会 被ばく医療分科会 ヨウ素剤検討会|原子力安全委員会
http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/senmon/shidai/youso.htm
  議事次第/配布資料/速記録 の案内
7回全部 http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-05-27-8

 『2001.11.13、第4回』の議事録を手掛かりに

放射性ヨウ素とヨウ素剤の残存するリスク

安定ヨウ素剤服用で放射性ヨウ素の甲状腺侵入を防げるか?

想定される状況
安定ヨウ素剤を服用(経口摂取)。その後に放射性ヨウ素が大気に含まれるようになり吸入(経気摂取)。
血液中に取り込まれた放射性ヨウ素は、甲状腺に移行し(アップテークされ)、甲状腺で崩壊し放射線を出し被曝させる。


ヨウ素の挙動モデル
ICRPモデル

ヨウ素挙動モデル7201.jpg


ポイント①
摂取時点からの安定ヨウ素の胃腸から血液への移行、放射性ヨウ素の呼吸器からの血液への移行

ポイント② 血液のヨウ素の含有量・濃度に上限は?

ポイント③ 甲状腺のヨウ素含有量の上限、血液からの移行(アップテイク)、放射性と安定ヨウ素で差があるか


資料4-7-1、議事録より要約

ポイント①体外から血液への移行

安定ヨウ素剤の移行
ICRPの胃腸管モデル(成人)
平均滞留時間 胃(1時間)小腸(4時間)大腸上部(13時間)大腸下部(24時間)
ヨウ素は主に小腸で吸収される

日本・成人での実験データから

「安定ヨウ素を1回飲み込んだ」(議事録山口委員)
「腸溶錠ですね。・・ですから、非常にゆっくり溶けてくるわけです(議事録前川委員)」 
「ヨウ素剤を投与してから0.2時間以内に血液中のヨウ素量がマキシマムになりますけれども、甲状腺内のヨウ素量は1日以降です。1日から2日ぐらいでピークになるということです。これが安定ヨウ素なんです」(議事録山口委員)

ヨウ素剤血液06.jpg

ICRPの呼気気道モデル
元素状ヨウ素
ほとんどが気道に沈着、10分オーダーの半減期で血液へ移行
ヨウ化メチル
70%が気道に沈着、5秒オーダーの半減期で移行
粒子状 大きさで沈着率が違うがICRPは1ミクロン設定、10分オーダーの半減期で移行。

「24時間にわたって放射性ヨウ素131を吸入した場合、血液中のヨウ素は吸入開始から終了まで1日ありますので、ちょうど吸入が終わった時点で急激に減少していくというカーブになっています。吸入が終わってから約1日ぐらいで甲状腺内のヨウ素はピークに達している」議事録・山口

元素状ヨウ素7107.jpg

ポイント② 血液のヨウ素の含有量・濃度に上限は?
不明だが、あるにしてもmg単位の範囲ではなさそう。

放射性ヨウ素を血液中の安定ヨウ素によって希釈
安定ヨウ素剤服用、同時に放射性ヨウ素を吸入

血液へは、ほぼ同時、摂取後10分ほどで移行する。

ポイント②から、予め安定ヨウ素で血液を満タンにして放射性ヨウ素の移行を阻止することは出来ない。放射ヨウ素の比率を低く=安定ヨウ素の比率を高くする、研究者の云い方を真似れば「血液中に取り込まれた放射性ヨウ素を血液中の安定ヨウ素によって希釈」することができる。

 また、放射性ヨウ素は新たな吸入が無くなって気道に残留して移行継続も10分間オーダー位だとみられるから、安定ヨウ素剤は避難などによる吸入・摂取停止までのベターな回避措置。

ポイント③ 甲状腺のヨウ素含有量の上限、血液からの移行、アップテイク
「甲状腺には成人体内の総ヨウ素量10~20mgの約80%」つまり8~16mg
安全審査指針では成人の甲状腺中安定ヨウ素量について(ICRP)Publ.23のデータを援用して12mg、幼児(5歳児)は1/5.8(2.1mg)、乳児(3か月)は1/16(0.75mg)としている。

10歳以上の男女のヨウ素甲状腺到達率は約20%。安全審査指針では、安定ヨウ素投与の24時間後における甲状腺への取り込みについて述べており、1958~1966年にかけて発表された文献から、正常日本人では0.2、子供(就学後)についても成人ほとんど差はないとしている。

「安定ヨウ素剤の投与により、甲状腺へのヨウ素取り込みが抑制される」ただし「日本人のデータとして、甲状腺内のヨウ素量が変化した場合の血液中から甲状腺への移行率が明らかでない。」

安定ヨウ素と放射性ヨウ素の血液⇒甲状腺の移行率に差があるとする文献・証拠はない。

「血液中に取り込まれた放射性ヨウ素を血液中の安定ヨウ素によって希釈」することで血液から甲状腺への移行量を減らし被曝量を減らす策がベターな対策である。それでは、被曝をゼロにはできないからリスクが生じる。

損害、リスクを捕らえる理論的枠組み
鈴木元委員「防護措置をとらない場合に予測される被ばく線量をAmSv、防護措置をとった後に予測される被ばく線量をBmSvとした場合、回避線量は(A-B)mSvとして表すことができます。先ほど残存する線量ということを山口委員がおっしゃいましたが、この図で言いますと、破線で表されているBmSvという値が残存する予測線量ということになります。」

回避線量_303.jpg

「安定ヨウ素剤投与を決定する時間がおくれるに従って、現実的にはこの絵で予測線量が今140ぐらいに書いていると思うんです。これは、介入するタイミングがおくれていくと、回避線量する量がどんどん小さくなっていきます。極端な話、この100mSvを超したところで介入(投与、住民側からは服用)を開始したとします。そうしますと、回避できる線量は現実的には30か40mSvになってしまう」「安定ヨウ素剤投与という防護措置によって、防護措置を開始する時期により回避される線量は変わってきます。それが残存線量に当たるわけです。」

そして、検討したように早く安定ヨウ素剤投与を決定し、服用しても、回避線量を大きく極大にしても、放射性ヨウ素による内部被曝は起こる。残存線量はある。放射性ヨウ素の摂取がつづけば、「極端な話、この100mSvを超し」てしまう。

住民の立場では残存リスクが問題
被曝を強制される人々にとっては、防護策の有効性は残存リスクの大きさ(ゼロを含む)である。回避線量の大きさではない。


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Franbow

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