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自発核分裂で新たに生まれる短半減期核種、第9回原子力災害への事前対策等の検討、2014平成26年12月22日より  [防災‐指針・審議会]

原子力災害事前対策等に関する検討チーム | 原子力規制委員会  
http://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/pre_taisaku/index.html


 『平成26年12月22日』 第9回
出席規制委員

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田中知委員 更田豊志委員 中村佳代子委員

東京電力・福島第一原発の残存放射性ヨウ素量と生成する放射性ヨウ素量
    説明役
 酒井友宏〈技術基盤グループ主任技術研究調査官(システム安全)〉
 梶本光廣〈技術基盤グループ安全技術管理官(シビアアクシデント)〉

放射性ヨウ素は核分裂の結果発生するもの⇒(a)臨界、連鎖する核分裂と(b)自発核分裂

nuclear02.jpg

自発核分裂(spontaneous fission、SF)

質量数(中性子数+陽子数)が230(トリウム付近)以上の原子核で起こる。原子核は陽子同士でプラスとプラスの電荷の反発・排斥の影響を中性子が相殺して安定を保っているが、陽子が中性子に比べて多い核では原子核全体が不安定な状態にある。このような原子核が量子力学的な揺らぎによって自発的に核分裂を引き起こす過程が自発核分裂。

【事故発生以前の運転によって蓄積されたCm-242とCm-244等による自発核分裂で、わずかながらの放射性ヨウ素が発生しております。】(酒井)

Cm キュウリウム Curium 1944年にプルトニウム239にサイクロトロンで32MeVに加速したα粒子をぶつけることにより、Puと異なる化学的性質をもつα放射体を米国シカゴ大学冶金研究所に属するG.T.Seaborgらが作り出した。これがキュリウム242であり、21の同位体が存在する。殆どが35日未満の半減期で、年単位が7種ある。
Cm-242は約162.8日、Cm-244の約18.2年

発災から3年後の2014年4月時点では、Cm-242は半減期6.7回になるから1%程度が残るだけである。

使用済み核燃料 SFP spent fuel pool 使用済み燃料プールにある
燃料の中に使用中に生成した放射性ヨウ素とCm キュウリウムがある。

残存・・3.11前に生成した放射性ヨウ素の内の半減期が長い核種、I-129が残存している。
生成・・Cm キュウリウムの自発核核分裂で生成している。

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000085734_自発SPF2.jpg評価手法・・燃焼計算コードORIGEN-2.2に最新のORIGENライブラリであるところのORLIBJ40と、炉内及び使用済燃料プールに格納されている集合体のデータを入れまして、集合体当たりのヨウ素の放射線量とか、自発核分裂量を評価します。これを各号機の炉内、または各号機の使用済集合体に入っている燃料集合体全てについて繰り返しまして、積算することで、残存のヨウ素の放射線量ないしは自発核分裂量を評価

【これは毎秒何個発生するという単位ですけども、先ほどちょっと言いましたけども、I-129を除きまして、キリウムの半減期に比べてヨウ素の半減期は非常に短いので、発生量イコール放射平衡な状態になっておりますので、I-129を除いたものについては発生数量イコール崩壊量、つまりベクレルということで御理解いただきたいと思います。】(酒井)


放射均衡.jpg放射平衡(ほうしゃへいこう)、放射性同位体(親)が崩壊してできた次の核種(娘)との放射能の量的な関係、比率は、親と娘はそれぞれ一定値の半減期を持つため、親が生成されて以後ある程度時間が経過すれば、親と娘の放射能の比率は一定の比率で安定となり平衡状態となる。
親核種の半減期(Cm-244は約18.2年)が娘核種の半減期(I-131は8.02日)より圧倒的に永ければ、親核種の崩壊が娘核種の量を決めるために、親核種の放射能量と娘核種の放射能量は等しくなり、親核種の半減期カーブに沿って時間と共に減衰してゆく。(永続平衡えいぞくへいこう)

I-129の1㏃の原子の数=1×1570×10000×365×24×3600÷0.693≒7.13×10の12乗

原子炉・・発災までに生成した放射性ヨウ素が残存。事故後未臨界の状態が続いているので、臨界による生成はない
核燃料は【デブリ化しておりまして、当然事故時に放射性ヨウ素の一部は炉外に漏えいしているものと思います。ただ、この計算の評価上では、炉内に残存したままとして評価を行いました。】(酒井)

日々、自発核分裂で生成する量を算出、評価。

000085734_事故炉.jpg
000085734_自発核分裂・炉.jpg

被曝の試算
残存量に関しては最初に一度に出ちゃったという仮定
自発核分裂については、【1時間という放出を仮定している】(梶本)

【敷地境界で濃度を計算するときに、福島の設置境界申請で使われている相対濃度の値を使って計算します。その関係で、放出時間はそれと整合させるために1時間としてあります。】(梶本)

【特にその敷地境界までの拡散の計算ですが、1号炉から6号炉の中で一番厳しいχ/Q、相対濃度を使っていると、そういう形の保守的な評価になっているという形になります。】(梶本)

吸入線量による小児甲状腺等価線量は敷地境界で約28mSv/週でありまして、安定ヨウ素剤服用に関するIAEAの判断基準の50mSv/週を下回っているという結果になりました。】(酒井)

感想 24時間常時出ている量で被曝を評価すべき? 
 発災から4年余りたっても事故炉の1、2、3、4機の炉や格納容器、SFP(使用済み核燃料プール)から放射能が出ている。自発核分裂で生成する放射性ヨウ素も、化学的物理学的制約で制限されるだけで、自由に人のコントロールがないままに事故炉から建屋から出ている。この常時出続ける放射性ヨウ素での内部被曝量は何mSvと評価されるのだろう?

そのI-131(半減期8.02日)の汚染は、ホールボディ・カウンタ検査で判ることがあるだろう。I-133(半減期20.8時間)など短半減期核種による被曝の有無や量を、ホールボディ・カウンタ検査で把握できるだろうか。その水や食品汚染を厚生労働省等が実施している検査で分かるだろうか。

NRCP米国放射線防護・測定審議会のRep.No.80、(1985)では、甲状腺に入ったI-132(半減期 2.295時間)I-133(半減期 20.8時間)I-135(半減期6.58時間)は、I-131(8.02日)I-125(59.4日)の3倍の線量効果があるとして扱うとされてます。「これは、放射性物質が1崩壊したときの放出されるβ線エネルギー、γ線エネルギーがありますが、β線エネルギーの違いをここでは加味しているのではないかと思われます。つまり、ヨウ素125とか131に対して132、133、135の出すβ線エネルギーの方が大体2~3倍高いということになります。」(2001/11/13の原子力安全委員会・原子力施設等防災専門部会・被ばく医療分科会・ヨウ素剤検討会・第4回会合)

2011/3/11の発災当初に、この短半減期の放射性ヨウ素のもたらした内部被曝量、I-132(半減期 2.295時間)は何mSv、I-133(半減期 20.8時間)は何mSv、I-135(半減期6.58時間)は何mSvと評価されていない。I-131(8.02日)の被曝線量から推計されている。(環境省の「事故初期のヨウ素等短半減期による内部被ばく線量評価調査」http://clearinghouse.main.jp/web/env_0016.pdf

この環境省の丼勘定方式ではなく、それぞれの核種での内部被曝を求めているのだろうか。敷地境界地点の濃度は設置境界申請で使われているやり方を使った。それを基に核種毎の被曝その小児甲状腺等価線量を積み上げ積算したのだろうか。
 現状は24時間出ているのだから、その条件で評価すべきである。

自発核分裂内部被曝3.png




 

『平成26年12月22日』 第9回
 会議資料
議事次第【PDF:42KB】
http://www.nsr.go.jp/data/000085737.pdf

資料1 原子力災害事前対策等に関する検討チーム メンバーリスト【PDF:78KB】
http://www.nsr.go.jp/data/000085732.pdf

資料2 東京電力株式会社福島第一原子力発電所の現状について(東京電力株式会社)【PDF:4.3MB】
http://www.nsr.go.jp/data/000085733.pdf

資料3 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における放射性ヨウ素の残存量等について【PDF:330KB】
http://www.nsr.go.jp/data/000085735.pdf

資料3別添 東京電力株式会社福島第一原子力発電所における放射性ヨウ素の残存量等について【PDF:382KB】
http://www.nsr.go.jp/data/000085734.pdf

資料4 東京電力株式会社福島第一原子力発電所に係る原子力災害対策の在り方について(案)【PDF:672KB】
http://www.nsr.go.jp/data/000085736.pdf

 議事録【PDF:442KB】
http://www.nsr.go.jp/data/000095694.pdf

 会議映像
https://www.youtube.com/watch?v=kTLZnL_08uc



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