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お上目線 2015「子ども被災者支援法の基本方針の改定案」のパブコメ草案③ [防災ー中長期的避難、移住]

子ども被災者支援法の基本方針の改定案のパブコメが2015年平成27年8月8日締切で行われている。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=295150710&Mode=0

パブコメ草案③ ①はhttp://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-08-06
       ②はhttp://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2015-08-06-1
《4》本改定案には浜田昌良復興副大臣の田中俊一原子力規制委員会委員長宛の手紙と返信からなる平成27年6月24日、25日付け文書(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat8/sub-cat8-1/150625_kiseicho_kenkai.pdf
に基づく「支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない」旨の表記が含まれている(3ページ目26行目から31行目)。これは汚染の実態や科学的根拠に依らない内容である。この削除を求める。
6月24日付けので、浜田昌良復興副大臣から原子力規制委員会の田中俊一委員長宛の手紙では、浜田副大臣の「支援対象地域の縮小・廃止を検討すべき」との政治的意思が示されている。それで田中委員長に「自主避難者への科学的反論」となる「専門家から改めて、支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解」を「確認いただきたい」と要請している。
それに対して、翌25日に田中委員長は「専門的な判断によることなく、事実関係として明らかに避難する必要性のある状況ではないという判断ができる」として公開の原子力規制委員会の場に諮ることもせずに、単に事務局に過ぎない原子力規制庁に規制庁名での返事を返している。
二つ、空間線量率と個人線量の測定結果を検討している。
個人線量の測定結果 
市町村が公表した個人線量の測定結果を検討している。それで「一部の地域を除いて、支援対象地域の住民の大部分の年間個人追加被ばく線量(実効線量)は1mSvを下回っている」としている。田中委員長は「ただ、今回、事務方が調べていただいたのだけれども、その後、福島市とか伊達市とか、川俣とか二本松とか、いろいろなところで個人線量計で実際に計っていますが、ほとんど小・中学生の線量は、もう年間1mSvを超えるようなことはないのです。一部、大人で農家の人が畑作業などをした人で2~3mSvという人がいますけれども、それは何万人に数人という程度なのです。」(平成27年7月22日原子力規制委員会記者会見)
 この個人線量計のことは《1》で述べている。田中委員長は、福島県での個人線量計計測の実態を知らないし、事務方の規制庁も知らないままで各自治体が公表しているデータをあつめている。自治体の中には福島市や伊達市のように、年間個人線量の最大値を明らかにしていないところがある。だから、田中委員長の「何万人に数人という程度」は、客観的根拠を持たない。非科学的な個人の単なる印象見解である。
 個人計測の目的は「一人一人の行動によって全然被ばく線量が違うから、個人線量計を付けて、それをモニタリングしながら、それをウオッチして、生活指導とか、いろいろな対策を立てた方がいいということ」(田中委員長)であり、原子力規制庁も「個人線量計による被ばく量を避難・帰還の基準や除染の基準に使うことはない」としてきた。
空間線量
 一つは空間線量率で、航空機モニタリングの結果、「平成25年度東京電力(株)福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の長期的影響把握手法の確立事業成果報告書」、全国のモニタリングポストの10分毎の空間線量率の測定結果の3つデータが示されている。

 そして、「多くの避難指示解除準備区域においても、空間線量率から推算される実効線量は、避難指示解除の20mSvを大きく下回る状況である。」平成24年4月1日設定の避難指示解除準備区域は、設定時に年間積算線量が20mSvミリシーベルト以下になることが確実と確認された区域である。放射能の減衰・崩壊により下回るのは当然である。支援対象地域の縮小・廃止を検討するには、下がり幅が問題である。
 例えば日本の労働安全衛生法では「電離放射線障害防止規則」で、3か月間につき1.3mSvを超える実効線量の区域を放射線管理区域と名付け「必要のあるもの以外は立ち入らせてはらなない」としている。年間積算線量なら5.2mSvになる。そのレベルまで下がった地域から、縮小・廃止するといった、日本の被曝防護のこうした法体系で定められている防護基準などを踏まえた検討が必要となる。

 これは、2013年11月に帰還のための安心・安全検討チームが示したICRP・国際放射線防護委員会の現存被ばく状況の長期的目標1~20mSvの被曝レベルの地域を「支援対象地域」として、「放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないこと等のため」に生活や医療に関する支援を行うという法の趣旨・目的を踏まえた論議や検討が不可欠である。測定結果の数値から単純に事務的に縮小・判断は決められない。単に事務局に過ぎない原子力規制庁の任ではない。
 田中委員長は「それはできるだけ下げた方がいいのです。いいということになっています。だから、1と20の間は随分幅があるということもありますし、私自身は、ここに来る前ですけれども、前の政権時代に、子供やお母さん、お父さんが別々に生活するわけにもいかないので、子供の感受性というのを考えたりすれば、せいぜい5mSvぐらいではないですかということを申し上げたことがあります。」(記者会見)という考え、判断基準を持っている。しかし「支援対象地域の縮小・廃止」の基準は、田中委員長も云う様に、「今後の福島県民がどのように復興に取り組んでいくかという意味では、非常に重要な課題なので、どこがやるかは別として、国全体として検討すべきものだとは思います。」である。

「被ばくの問題ですから、放射線審議会とか、そういうところが国の機関としては中心にならなければいけないのかもしれませんが、どういう形で進めるのがいいかというのは、今、私が具体的に申し上げる段階ではないですけれども、福島の復興ということを考えたときには非常に重要です。」とも述べている。
「子ども・被災者支援法」第5条には、こうした変更をする際に、「東京電力原子力事故の影響を受けた地域の住民、当該地域から避難している者等の意見を反映させる」とある。
このように、支援対象地域縮小・廃止の検討は科学的知見無しではできないが、科学的な論議だけでは検討できない。
浜田昌良復興副大臣の田中委員長への要請は、「自主避難者への科学的反論」となる「専門家から改めて、支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない旨の見解」を要請は、「支援対象地域の縮小・廃止を検討すべき」との政治的意思を、専門家や科学の包装紙で装って飾り付けて下さいという要請だ。

原子力規制委員会の田中俊一委員長は、法が支援の対象に挙げている人に偏った見解を露わにしている。
「元々自主避難というのは、97~98%以上の人が、みんなそこに住んでいたときに、自分は嫌だからというので避難したわけです」「元々自主避難の方というのは、避難する必要はないという判断をしたところの方たちが避難しているということでしょう。」
「個人の判断、個人の責任で避難する分には、別にそれは自由」「そもそも論からいうと、やはりそういうものなのだと私は思っていまして」
「(自主避難の方は)避難してくださいということを言われた方たちが避難しているということとは、ちょっと状況が違うと思います。」「個人の責任で避難」
「国がどういうわけかそれを支援するということになってしまった」
 田中氏の見解には誰が、どの組織が「避難する必要はないという判断」や「避難してくださいということを言う」のか、その判断の主体が抜けている。国が国家が判断主体であるなら、単純に国・国家の判断に従わなかった人々に支援は不要という「お上にたて突くな!」というこである。チェルノブイリでソ連政府の命に従った人々の運命を、われわれは知っている。
国の自主避難者への支援、田中氏は不要と判断する支援を打ち切る好機である。浜田昌良復興副大臣からの手紙は絶好の機会である。
このように平成27年6月24日、25日付け文書は汚染の実態や科学的根拠に基づかない内容である。田中俊一委員長と浜田昌良復興副大臣の個人的願望に過ぎない。
それに基づく3ページ目26行目から31行目などの「支援対象地域の線量は、現在、既に避難するような状況ではない」旨の記載は、削除すべきである。
それは、しかも東京電力(株)の加害責任を免責し、被害の受忍を被災者に強制するもので極めて悪質である。本改定案をまとめた責任者とともに両委員長、復興副大臣の責任の所在についても明らかにすること。 以上
帰還002.jpg


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