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対象-原子力発電、「長期エネルギー需給見通し」へのパブコメ草案③、7/1締切 [エネルギー基本計画]

対象 原子力発電 「長期エネルギー需給見通し」へのパブコメ草案 
パブコメは⇒ http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620215004&Mode=0

(3)-1 熱効率、発電効率と原子力発電

見通し(案)は、省エネルギー対策を推進してエネルギー効率の向上をエネルギー消費全体に求めている。二次エネルギー生産である発電ではエネルギー効率、発電効率の向上を、とりわけ火力発電の熱効率つまり燃料の保有発熱量(kcal)が発生電力量(kW)に変換された割合の向上を求めている。然るに、原子力発電には発電効率、熱機関として熱効率の視点で評価していない。欠落している。きちんとした評価、検討をすべきであり、それを加えた見通し(案)の再提示を求める。

 1970年代に今は在来型LNG火力と呼ばれる方式で35%程度であった。その後ボイラ・タービン機器の耐圧材料の開発やコンバインドサイクル等が進み、1980年代初頭には1100℃級(約43%)、1990年代初頭には1350℃級(約50%)、後半には1500℃級(約52%)と開発された。それらの発電プラントが設置されるにしたがって、全体の熱効率も約45%になっている。今後も1600℃級(約54%)、1700℃級(約57%)と開発が見込まれており、そうした高効率発電プラントの設置、低効率プラントの廃止で全体の熱効率向上も期待できる。

 初期に運転を開始した原子力発電所は、熱機関としては亜臨界圧で蒸気温度が300℃以下と低温で、当時の火力発電所の二世代前の熱機関で熱効率は33~35%であった。約半世紀たっても最新のAPWRの設計熱効率で約39%。LNG火力が35%程度から約52%と上がって尚且つ実用されているのに、亀ならぬカタツムリで未だに姿が設計図の上にしかない。原子力発電は現在の軽水炉では熱効率が現行の30台後半の%割合が、限界と云われる。

 核燃料の中心は1850℃ある。温度的には2250℃で燃料ペレットが熔け出すから無理だが、1350℃は余裕でだせる、つくれる温度。しかし技術的に不可能だとされる。核燃料の被覆管にはジルコニウム合金でつくられている。中性子吸わないからである。この合金は温度が高いと、水から酸素剥がして結合する発熱反応を起こす。すると、水素ができる。水素がガスで溜まった箇所では、冷却水の循環が途絶える。PWRの蒸気発生器がそうなったら、その箇所から熱が出ていかなくなる。最悪メルトダウンする。何らかの要因で冷却水がなくなり、そうなるのがシビアアクシデントである。それがもたらす被害は3.11で経験した通り。

 その水から酸素を剥がしてジルコニウムが結合する発熱反応は1200℃では暴発する。だから1350℃は絶対に無理な温度。反応がほとんど起こさない温度が300℃台。だから、今の原子炉からは300℃台で熱を取り出している。その結果、熱効率、核燃料の保有発熱量・核エネルギーの35±数%が発生電力に変換され、残りの殆どの核エネルギーは廃熱にせざるを得ない。

 原発の熱効率を現代の一般的な火力発電所の45%程度にするといわれる超臨界圧軽水冷却炉(Supercritical Water-Cooled Reactor、SCWR)は、米国エネルギー省が提唱した2030年までに導入可能とみられる次世代原子炉(GEN-Ⅳ)に認定されている。被覆管材料など研究開発中である。

石油など化石燃料は「限りある資源」といわれ、それが省エネルギーや火力発電の熱効率向上をはかる理由の一つである。ウラン資源も「限りある資源」であり、浪費は許されない。約半世紀も熱効率、エネルギー効率で向上が見られない現行の原子力発電は、今やウラン資源の浪費である。現在、日本の原子力発電はゼロである。このままゼロのまま、保有するウラン資源の浪費を止め、熱効率、エネルギー効率の高い、50%を超える次世代、次々世代原子炉の出現を待つ選択ができる。その出現を待つ間に高レベル放射性廃棄物の最終処分方法及び処分地の選定、現有の原子炉の円滑な廃炉など懸案に取り組み進め得る。

 見通し(案)は、エネルギー効率の向上をエネルギー消費全体に求めている。然るに、原子力発電には発電効率、熱機関として熱効率つまり燃料の保有発熱量が発生電力量(kW)に変換された割合の視点で評価し検討していない。欠落している。きちんとした評価、検討をすべきであり、それを加えた見通し(案)の再提示を求める。

以上


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