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対象-火力発電、「長期エネルギー需給見通し」へのパブコメ草案②、7/1締切 [エネルギー基本計画]

対象 火力発電 「長期エネルギー需給見通し」へのパブコメ草案 
パブコメは⇒ http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620215004&Mode=0

(3)予備力と火力発電
火力発電は、系統の予備力 reserve margin 、予想される最大電力需要に対してもつ発電能力の余力の中核をなしている。予備力は需要変動への対応の時間的幅から対応時間が瞬時から秒単位の瞬動予備力 spinning reserve、分単位の運転予備力 hot reserve、時間単位の待機予備力 cold reserveに大別される。太陽光発電PV、風力発電は、風や陽光をためて置けず運転者が操作で出力を上げることができないから予備力にはならない。原子力発電も、予備力になりえない。

 瞬動予備力 spinning reserve は、おおむね10秒以内の極短期から数分程度の変動に対して即座に対応できる予備力であるが、原子炉はそのような短時間に出力≒核分裂連鎖量を増やそうとすると出力事故を起こす可能性がある。おおむね10分以内に起動から負荷接続までが可能な事や出力を指令所が自動制御するLFC(負荷周波数制御)ができる事が、運転予備力 hot reserve には求められるが、原子力発電プラントはできない。冷温停止した状態から、臨界、発電、負荷接続まで安全確認のため数日かかる。
 待機予備力 cold reserveには、出力をELDとかEDCと呼ばれる経済負荷配分制御ができる事、停止した冷えた cold な状態から起動し負荷接続まで数時間である事などが求められる。原子力発電所は、起動作業に日単位で時間がかかる。一旦停止すると核毒、 nucleotoxic effect をもった核分裂生成物で起動操作を始めるまでに数日はかかる。 原子力発電は待機予備力になりえない。
 
 設備容量の点からも発電方式の点からも、火力発電が予備力の中核をなしている。発電プラントの予備力は出力変化率が大きいこと、出力調整は幅が大きいこと(最低出力の低さ)、起動時間が短いことなどの点で評価される。出力変化率と最低出力の低さは運転予備力で重要だし、起動時間、なかでもDSS(日々停止:Daily Start and Stop)は待機予備力で重視される。

 原子力発電は、地震や事故等でシャットダウンすることが多い。日本の原発は1ヵ所に集中立地しているから、運転停止の規模が大きくなる。その為に大きな予備力が必要だ。一旦停止すると故障がなくとも数日間は再起動できないから、大きな待機予備力の確保が求められる。
 風力発電、太陽光発電PVは、瞬動予備力と運転予備力を求める。気象予報などを基に翌日の出力予測を立てるスケジュール運転の技法が発達してきているから、時間単位の待機予備力の重要性は薄れてきているが、自然条件の変化が出力の変動に直ちに結びつくから、瞬動予備力と運転予備力が求められる。

見通し(案)では、予備力について何も触れられていない。検討していない。
「③化石エネルギー 石炭火力発電及びLNG火力発電の高効率化を図り、環境負荷の低減と両立しながら、その有効活用を推進する。石油火力については緊急時のバックアップ利用も踏まえ、必要な最小限の量を確保する。
こうした観点から、石炭火力を始め非効率な火力発電の導入を抑制することが可能な仕組みを導入するとともに、電気事業者による自主的な枠組みの早期構築を促す等低炭素化に向けた取組等を推進する。」とあるだけだ。
 専ら発電効率の高低を問題にしているだけで、電力の安定性に係わる予備力の視点が欠けている。予備力は、原子力エネルギー、再生可能エネルギーの導入量やテンポを左右する。エネルギー需給の見通しを再検討して、新たな見通し(案)を求める。

以上


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