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なし崩しに石棺化?”転進”へ・・1号機のシェルアタックのNHK報道 [東電核災害の検証]

NHK報道の怪

2015年3月11日、東電核災害発災から4年後、「NHKが水で満たさず核燃料を取り出す 方法検討」と題するニュースを報じた。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150311/k10010011951000.html これには、水無月さんのツイートのまとめがある。http://togetter.com/li/794420

東電福島第一原発の格納容器内のデブリに関して1号機でシェルアタックが生じた可能性は2014年9月10日に公式に指摘されている。国際廃炉研究開発機構(IRID)の鈴木俊一開発計画部長が日本原子力学会の2014年秋に大会で発表・報告している。下の図のサンドクッションのドレン管からの汚染水の排出がシェルアタックの結果と推定されるとしている。それで、私は「1号機はデブリでPCV格納容器が損傷!?? 」http://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2014-11-11 を書いた。

0910_5鈴木05.jpg

NHKニュースは、この旧知の発表を採り上げたわけだが、すごく歪んでいる。

「水で満たさず核燃料を取り出す 方法検討」とあるが、取り出す前に水なしでデブリが冷却・除熱できるか検討する必要がある。水を無くす作業中に、デブリが集まって臨界になりました、核分裂が起こりましたと1999年のJCO事故の二の舞にならないだろうか。取り出し作業中にデブリが熔融して液状になりコンクリート反応が始まります、何処へか流れていきますでは燃料取り出し自体が無理な無謀な作業だ。検討が必要だ。

崩壊熱は、2013年秋には「運転中の時の原子炉の熱量を100%だとしますと、それの、ま、だいたい0.01%のオーダー。ま、0.01ないし0.05%のオーダーまで下がってきています。
ですから、ワット数で言うとですね、数100キロワット。少し大きなスポーツカーのエンジンとかですね、それが1台中に入っていると。」(佐藤暁氏 元GE原子コンサルタント)と下がってきている。

TV朝日2013091323s.jpg この熱量は格納容器から外気へ熱を出す(空冷)、建屋へ伝え建屋から地下へ熱を伝える(伝熱)と温まった格納容器からの輻射という3つの経路で、排熱できる量だと言われている。崩壊熱の環境への冷却用水を使わない放出は、熱の計算上は2013年秋、3.11から30か月後の頃には可能になっていた。東京電力も朝日テレビの「そもそも総研」からの問合せに、「だいたい今の(2013年9月)時点で、200キロワットの熱が出てる」「『空冷』の方式はあり得ると考えていますが、崩壊熱が下がった状態において、検討するものであると認識しています。現時点ではどのようにやるかまでは検討しておりません。」と答えている。

  デブリから格納容器への伝熱の効率や放射線の遮蔽、放射能の揮発を防ぐ事などが問題である。前出の佐藤氏は「私は自然対流で冷やすというのでは不十分だと思いますから、どうしてもやはり(周りを囲って)強制的にですね風を送る、あるいは吸い出すという方法が必要だと思うんですけれども、その換気系にですね、フィルターを付ければいいだけで。
 ま、そういったフィルターなんかはですね、0.1ミクロンぐらいのサイズのものに対して、99.9999%、もう100万分の1くらいまで捕獲してしまうような、そういうフィルターっていうのは、もう、市販されているんですよね。まぁですからそういうものを使って、十分に浄化できます。」
 「空冷の状態を確立させて安置状態を、しばらく安置状態をしておくという事です。その間にどんどん放射線レベルも低下するわけです。で、やりやすい環境になってから(取り出しに)取りかかる。(安置期間は)私はハッキリ言えば300年ぐらいがちょうどいいと思います。」
 鉛の持つ放射線遮蔽効果や熱伝導性の高さを活かし、鉛の粒を投入し、デブリを崩壊熱で溶ける鉛でコーチングして、原子炉格納容器自体を空冷式のラジエータ(放熱器)にしてしまう案を、山田廣成氏(立命館大学)は9月に発表している。小出裕章氏(元京都大学)は錫を提案している。

汚染水
 2013年秋頃から山田氏や小出氏の提案を検討して、2014年頃には冷却用の水の注入を止めていたら、どうなっていただろう。格納容器には注水した水だけが入っていくとすると、それがゼロになる。建屋内に地下水が染み込んで入り込むだけになる。入る水量が減るのだから、新たな汚染水は減ることになる。既に建屋内が放射能で汚染されているから、染み込む地下水がその既に建屋内にある放射能で汚染されるだろう。だから、地下水の放射能汚染がゼロにはならないだろう。しかし格納容器からデブリで汚染された水は新たに出てこない。だから、それで染み込む地下水を汚染することもなくなる。つまり汚染水の汚染程度が低くなるだろう。東京電力や原子力規制員会が2013年秋頃の「崩壊熱が下がった状態において、検討」出来たこと、すべきことを検討を怠ったから、いま、汚染水で四苦八苦していると言える。

「水で満たさず核燃料を取り出す 方法検討」と書くと、取り出す作業の時期まで水を入れ続けること暗黙の前提にしている。入れられるけれども、満たすことはできないことが暗黙の前提になっている。そこは既にデブリの冷却・除熱は、熱の力学的には水を使わなくても可能なのだからが、間違いである。「どのようにやるかまで」検討する、しておく時期なのだ。このニュース記事はそれには水冷≒汚染水生成を当然視するように認識を歪める働きをしている。様々な見解を伝え視聴者らの判断に役立つという報道の役割を放棄して、アンフェアな視聴者が知らないうちに無意識化に広告を行うサブリミナル広告記事となっている。

もう一つ、重要なサブリミナル広告が打たれている。NHK報道の下図のCGは、これまで東電や国が言ってきた1号機の発災経過と全く違う事を書いている。 つづく

NHK201503a.jpg

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