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7月29日吉田調書、(7)3号機、2号機のブローアウトパネル 爆発②加筆 13-14頁 [東電核災害検証、吉田調書]

 吉田 昌郎 2011年7月29日付 事故時の状況とその対応について  (PDF:7,170KB)
http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/hearing_koukai/051_koukai.pdf
 

ブローアウトパネルの開放やドリルなどによる穴あけ作業

ドリルなどによる穴あけ作業はドリルなど道具があれば壁に開けるのは可能であろう。「ウォータージェット」は、それ以外は穴開けにより火花が散り水素爆発を誘発する可能性高いから選ばれたのであって、水素ガスの濃度が低いこの時間帯では火花が散るような工法・工具を使える。ただ、軽い水素ガスは最上階の最上階の天井に集まるだろう。その高さでの作業には足場が必要だろう。

吉田調書に出てくる柏崎刈羽原発3号機のブローアウトパネルと福島第一2号機のものは構造が違う。

GE設計の福島第一2号機は壁の口にはめ込まれている構造である。上部と下部にパネルを固定する金物が付いている。格納容器外で主蒸気管破断が発生した場合に建屋内からの圧力で、この固定金物が塑性変形・破壊してパネルが外れて圧力を逃す。パネルは建屋の外側に落下する。

110830_3.jpgブローアウト02b.jpg


 これに対し東芝設計の柏崎刈羽のものは下部がヒンジ(ちょうつがい蝶番)で、壁と接続されている。従って、パネルを固定する金物は上部に付く構造になる。この金物が壊れて外れて、建屋の外にパネルが開く形になる。ドアのような構造である。福島第一の3号機は東芝設計である。
図は東芝の特許、出願2007年11月14日の【公開番号】特開2009-121917に添付してある図に加筆した。

1325692246-ce95d.jpgA,2009-121917_000006_.jpg

 柏崎刈羽3号のパネルの高さと幅は約4.2m×4.1m。福島第一の2号は約4.3m×6.0m。3号は約6.3m×5.9m。上部の固定金物を外す破壊するには、足場を組んだりかなり長い梯子を使うことになる。固定金物の数にもよるが、時間を要するであろう。

改良

柏崎刈羽原発3号機は中越沖地震の揺れで固定金具が塑性変形・破壊されてパネルが外れた。
対応策の一つは、耐震性の強化向上であろう。耐震性の強化はされただろうか。
「安全機能を担う機器に対して、耐震性を考慮して設計するのは当然であるが、原子炉建屋のブローアウト・パネルの設計はどうすればよいのか。二次格納容器のバウンダリを構成するブローアウト・パネルをこの要件に従って設計した場合には、それが頑強になり過ぎて、原子炉建屋内で蒸気配管破断が破断して加圧される事態が発生した場合、その本来の目的であるブローアウトができなくなってしまう。設計地震加速度が十分に小さい場合には問題ないが、我が国のように設計地震加速度が大きい場合には、このような矛盾が生じてしまう。その場合どちらを優先するべきか。」
(佐藤 暁、「発電用軽水型原子炉施設に係る新安全基準骨子案」の問題点 平成25年3月
http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000159/159434/26.mondai.pdf 19頁)

000002.png 採られた対策は原子力施設情報公開ライブラリーの公開情報によれば「地震によりブローアウトパネルが開放した場合の対策として、ブローアウトパネル近傍にチェーンブロックおよび治具の取り付け等の工事を実施し、地震時にブローアウトパネルが開放した場合でも早期復旧を可能とする。」
参照・・ http://www.nucia.jp/nucia/kn/KnTroubleView.do?troubleId=9261
 上の構造図の引用元の東芝の特許特開2009-121917は「開放動作した場合に速やかに閉止復旧することのできるブローアウト装置を提供することを目的とする」の発明の特許である。それは、落下防止のための鉄鎖の他に、新に起こし引っ張り用のワイヤをパネルに付け、そのワイヤを巻き取り機に接続する発明である。このような工事が行われていれば、起こし引っ張り用のワイヤを外す手間が増えるから「ちょっと開きづらく」なっている。
 はめ込み構造の2号機では、圧力で外れる本来の機能を損なわない対応策は??

爆風・爆圧で外れにくい構造

 この構造の差は、建屋外部から加わる爆風の圧力、爆圧では大きな違いを生む。柏崎刈羽3号機のようなドア構造では、外開きのドアを外側から押して開けるようなものだ。ヒンジが壊れたりパネルの下部が変形しないと上部が動かないので固定金具の破壊・塑性変形を起こさないだろう。パネルは開放されない。

 福島第一2号機のはめ込み構造なら、建屋の外からの爆圧にも同じように内側へ押し込まれるだろう。外からの爆圧だからパネルは建屋の内側に押し込まれて固形金具が破壊されるのだろう。だからその時にパネルが外れたなら建屋の内側へ押し込まれ倒れるのではないか。パネルが写真の様に建屋の外に落ちるだろうか。

 爆圧で固定金具に9割ほどまでひびが入ったが全壊はしなかったので、その時は外れませんでした。その後の余震で全壊状態になり外れ、揺れ方で建屋外に落ちました。爆圧でも1割程度しか壊れなかったので、その後の余震でも外れませんでした。こういった時差や個差がある経過をたどるのではないか。3号機もはめ込み構造でも、1号機から2号機よりも離れているから壊れ方に差が出たのではないか。

 また人為的にもパネルを外しやすくなると思う。はめ込み構造であれば下部の固定金具は足場なしで壊せる。上部の固定金具で止まっているパネル、ブランコ状態である。そして揺らしてやる。ブランコと同じで内側に戻ってきた時に外側にひと押しする。やがて塑性変形、ヒビ割れが大きくなって上部の固定金具が壊れる。パネルは引力で落下していく。

ブローアウトパネルの開放だけでは水素爆発は防げないだろう

吉田所長はブローアウトパネルを開放していれば、水素爆発は防げたということを暗黙の前提に話している。しかし、軽い水素ガスが溜まる最上階の天井の付近、最上階5階のオペフロと呼ばれる階の天井付近の高さにはパネルは付いていない。中国電力の島根原発は5階のそれも上部に付いているから、開放すれば水素ガスが建屋から出ていくだろう。2、3、4号機では水素ガスはパネルが外れた開口部から幾分かは出ていくと期待できる。しかし、しかし、最上部に溜まった水素ガスは出ていかない。

m_radiation2_h24_09.jpg

2.23-toude.jpg 事後のJNESの解析結果を見ても、ブローアウトパネルの開放だけでは、水素ガスの5階への蓄溜は抑制されるが、爆発や爆轟レベルの蓄溜はおこるのではないか。
 2号機は、ブローアウトパネルが外れている。3号機の爆発の後で屋上つまり5階天井に小さな3個の穴が開いて建屋の空気が出ていたことが確認されている。JNESの解析は5階天井にパネルの面積の開口部があると想定した解析だが、4階に約4.3m×6.0mの窓が開いていれば、5階天井の穴は小さくても効果的に水素ガスは出たのではないか。4階の海に向いた大窓から風が入り、天井から抜けていく。この穴は規則正しく空いている。人為的な穴にみえる。
 東電は19日に、5号機6号機の天井に念のため穴をあけているが、直径3~7.5センチを号機ごとに3か所である。
参照・・JNESの解析結果 http://www.nsr.go.jp/archive/nisa/shingikai/800/28/006/6-3.pdf

2号機の屋上の穴 http://togetter.com/li/129686

111222p-111水素ガス.jpg

従来の方針 ベントで水素を放出

 1号機の爆発以後、12日の本店と吉田所長のやり取りでは、ブローアウトパネルの開放は無効ではないが効果が少ないとなったのではないか。もともと東電は「ベントの実施により、水素を放出することでも対応できると考えていた。」。「格納容器から水素が原子炉建屋に漏えいし、原子炉建屋で水素爆発が発生するとの認識は持っていなかった。」それで、想定も研究もしてこなかった建屋の水素爆発が起きても急には思考の枠組みは変わらないので、従来の枠組み、ベントで対応することに立ち戻ったのではないか。

傍証
東京電力の事故報告書では「原子力発電所における水素爆発については、原子炉で発生した水素が格納容器に蓄積し爆発する危険性については認識しており、設計上も考慮していた。このため、格納容器内を不活性ガスである窒素雰囲気とすること、可燃性ガス濃度制御系を設置し水素と酸素を再結合させることで水素量を低減できる対策を講じていた。加えて、圧力抑制室ベントの実施により、水素を放出することでも対応できると考えていた。このため、格納容器から水素が原子炉建屋に漏えいし、原子炉建屋で水素爆発が発生するとの認識は持っていなかった。従って、3月12日に発生した1号機原子炉建屋での水素爆発は想定できていなかった。」東京電力、平成24 年6月20日、福島原子力事故調査報告書、268頁
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0303.pdf

吉田氏によれば「本店とも話をしている中で格納容器から漏れた水素ではないかと、 2 時間ぐらい経って、その可能性が高いというようなことになったかと思います。その時間感覚はあれですけれども、少なくともその日(12日)のうちには、一番可能性が高いのは、格納容器から出た水素による爆発だろうというのが大体見えてきた。」
 水素ガスは分子が最少で、物理的に封じ込めが非常に難しいガスである。鋼板などを透過してしまう。また格納容器内が高圧になれば漏れ出ていく。設計では最高使用気圧の0.9倍、約0.36MPaで格納容器の空間部の0.5%/日が漏れる設計である。
 1号機の格納容器の圧力は3月11日23時50分頃に0.6MPaが測定された以降、高い状態が継続した。12日2時30分頃に0.84MPaを計測した後、14時30分から14時50分頃まで0.7~0.8MPa程度の圧力になっている。その14時間に格納容器から”漏れた水素”が爆発した可能性が一番高いという見解を本店と吉田所長はともども持っている。
 この見解は後日、規制当局の原子力保安院も「JNESが行ったMELCORによる解析結果によると、実際に水素爆発に至った1号機においては、総量として約1000kgの水素が発生し、水素爆発直前までの約10時間~11時間の間に400kg~450kg程度の水素が原子炉建屋内へ漏えいした可能性が示唆される。」として取り入れている。
 この見解から、格納容器を長時間高圧状態にしないという方策を選んだとも言える。この策は、水素ガスだけが問題なら良い策である。

では、1号機爆発以後の、2号機3号機での作業を追ってみる。 続く


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MarquisApact

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by MarquisApact (2019-09-27 06:56) 

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