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memo 戦略爆撃 原爆へ至る道 精密爆撃(5) [原子力損害賠償制度]

 精密爆撃、その実態

 技術的には、「空の要塞」と呼ばれた B17の防御力とノルデン式爆撃照準器の開発が有った。これは爆撃態勢に入ると、機体のコントロールを操縦手は高度と速度を維持し、コースは爆撃手がノルデン照準器を操作して爆撃機を操縦する。風速・風向、機速や高度の補正コンピュータ機能あり自動調整して機を導く。投下終了後、操縦系統を操縦手が取り返して離脱する。目視照準なので、夜間爆撃時には全く使えない、もっぱら昼間爆撃になる。これで、理論上は高度10000mから投下で半数が目標の1m以内に着弾、「成層圏から漬け物樽に命中させられる」、20,000 feet (6,100 m)の高度から直径100foot(30m)以内の誤差で爆弾を命中させられるはずだった。
norudenn.jpg 1941年7、8月の航空戦計画部案では、58059機の航空機、179398人の航空士官で戦略爆撃をドイツに行うことになっていた。
 

結局、昼間は米軍のノルデン照準による精密拠点爆撃、夜間都市爆撃は英軍となり、ドイツの都市に昼夜を分かたぬ空爆を加えた。

現実には1943年1-11月の第8航空軍のB-17による実績では半径300m以内に着弾する爆弾比率は高度12000フィート(3657m)で44%、高度15000フィートで24%、21100フィート(6431m)で13%、27500フィート(8382m)で5%だった。“精密”には程遠く米軍もやはり“ばら撒き”だった

 ドイツ軍の高射砲 8.8 cm FlaK は有効射程は7620m、それ以上の高度をとれば目標から半径300m以内着弾は5%、的中はまずない。的中させるために高度を下げれば、回避行動を余儀なくさせる。「高射砲の炸裂を見る度に、操縦桿を倒して爆撃機を目標から逸らせてしまうのだ。」「目標上空での回避行動は、まるで標準作戦手続(SOP、standard operating procedure)だ。誰もが皆これをする。そして誰もが皆、爆弾をあらぬ方向へまき散らすのだ」(カーチス・ルメイ回想録)

 意図したものではないが、爆撃目標周辺の都市破壊と人的被害は凄まじくなる。それが繰り返される。「道義的制約は軍事的必要性と称するものにほとんど例外なく屈服」したそうである。

新装版 アメリカの日本空襲にモラルはあったか―戦略爆撃の道義的問題

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  • 作者: ロナルド シェイファー
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2007/06/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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