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SPEEDI無用論・・SBO時にSPEDDIを使えなくしている、規制委・電力会社 [AM-放射能拡散予測・SPEEDI]

10月24日に原子力規制委員会の田中委員長は「防護対策は実際には測定とSPEEDIのようなシミュレーションをあわせてやっていこうというのが今回の骨子」といっています。しかし、シビアアクシデント、核燃料の損傷がおきる事故では、SPEEDIを使えないように規制委員会はしています。これまでのシビアアクシデントの研究では、BWRではSBO全交流電源喪失がシビアアクシデント発生に関わる、9割以上で関与するとされています。そのSBOの際に、SPEDDIが必要なデータ、放射能の発生源情報が得られない状態を規制委員会は黙認しています。


SPEEDI(スピーディ・緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)が適切な汚染予測を出すためにはためには、ERSS(緊急時対策支援システム)が稼動し妥当な放射能の放出源情報をだしその手入力が必要です。ERSSの「プラント情報収集表示システム・ICS」が原発からオンラインで伝送されてくる原子炉や発電所の情報を国の広域の防災ネットワークから一括して収集してます。2006年10月以来、常時伝送される情報は、PWR(加圧型)で約70項目、BWR(沸騰水型)で約140項目です。その情報から「解析予測システム(APS)」が放射能の放出源情報、現状と予想を算出します。

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このERSSの原発から送られてくる原子炉の状態を示すプラント炉パラメータ情報は、全交流電源喪失SBOになるとパラメータを集約・管理しているコンピュータ、プロセス計算機の蓄電池電力が落とされ停止するために、沸騰水型BWRで約1時間後、加圧型PWR約30分後にERSSに伝送されなくなります。「解析予測システム(APS)」はダウンし、SPEEDIはERSSからの放出源情報が入力されなくなります。

3.11東電核災害では、集まったプラントパラメータ情報を送り出す装置が地震時にダメになり、また蓄電池や配電盤が津波を被ってダメになって完全電源喪失しプラント原子炉炉パラメータ情報の収集や防災ネットワークへの伝送が止まっています。それで、保安院がまとめた福島第一原子力発電所事故の技術的知見に関する30の安全対策では、27番目に「事故時における計装設備の信頼性確保」を上げています。具体的には電源の確保、計装専用蓄電池の確保、予備計測器の設置や予備品の確保です。

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加圧型PWRの関西電力は、①蓄電池を追加設置してプロセス計算機などの電力が落とさないで8時間の稼動を可能とする。8時間は「事態の正確な把握、冷静な判断、作業の準備・実施に必要な時間」として設定。
ただし「電源車や別途の非常用発電機など外部から給電に時間を要する事態を考慮」しプロセス計算機など負荷を切り離せば24時間稼動の蓄電池容量を確保。

②そうした場合は、監視上特に重要な原子炉パラメータを計測するために電源供給ができる予備の可搬型計測器などを配備する。

③増設しない場合、設計の容量では切り離さないとは約2時間で枯渇する。プロセス計算機などの電力が落とさないで8時間の稼動を可能とするように増設した容量では、蓄電池に切り替わって約30分後に切り離すとその後に23時間ほど稼動が可能になる。緊急対策ではSBO全交流電源喪失から5時間以内に電源供給を再開する予定ですが、それが予定通りにできるのか「時間を要する事態」かという見究め・判断は、30分後にしなければならない。保守的に考えれば非常用給水系が24時間稼動することが大切だから、30分以内に電源回復、給電回復がなければプロセス計算機など切り離す、つまり防災ネットワークから事故炉を切り離すことになる。

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加圧型PWRの北海道電力、中国電力、四国電力、九州電力はストレステスト資料では蓄電池の増設を計画していません。電源車の配備と繋ぎこみでの電源回復です。現有の蓄電池は約30分後にプロセス計算機や殆どの計測器の電力がカットされます。それから電源車などによる電源回復まで、特に重要な原子炉パラメータ情報は運転員が収集しますが、防災ネットワークへは自動的に伝達されません。この状態を約4時間30分だけ維持できる電力しかありません。SBOから約5時間後に蓄電池が枯渇します。
関西電力が蓄電池増設で蓄電池枯渇を5時間後から24時間後に伸ばしていますが、切り離しは実質的にSBOから30分後、北海道電力、中国電力、四国電力、九州電力は電源車頼みで、SBOから30分後に防災ネットワーク離脱です。

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沸騰型BWRの東北電力も同様です。事故炉情報の防災ネットワーク離脱になる電源切り離しが約1時間後、蓄電池枯渇は約8時間後です。切り離しをしない場合は約2~4時間後に枯渇します。
同じBWRでも、東京電力はちょっと違います。蓄電池の増設はないので、約1時間で事故炉の炉パラメータ情報は防災ネットワークに伝送されなくなります。その後に手順どおりに電源車などで電源回復がおこなわれても、その電力は計測系には送られません。計測のための電力は別に蓄電池を用意して供給、読み取りはデジタルレコーダを繋ぎます。

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監視するのは34項目です。ERSSへ伝送は140項目で、その内環境放射線管理の項目が約30ほどです。単純に数上では約三分の一です。デジタルレコーダ監視には、ERSS伝送には入っていない使用済み核燃料プールの水温が10項目あります。ですから、絞り込んだ監視項目です。そしてこの34項目は、発電所の共用構内LANを利用して、発電所の対策本部、免震重要棟の監視用パソコンで見ることが出来るようにします。これを津波=SBOから3時間以内に実施する計画です。

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事故炉の炉パラメータ情報は、SBOから1時間後から設計で設定されている重要な原子炉パラメータ情報(8項目?)以外は、得られなくなります。東電がデジタルレコーダを設置されると34項目に増えます。そのパラメータ情報は発電所内では共有されますが、国の防災ネットワークには伝送されません。これが東電の対策です。

なぜ、東電はSBOから1時間後からズーと、東北電力は1時間後から電源回復まで、関西電力、北海道電力、中国電力、四国電力、九州電力は30分後から電源回復まで国や国民をツンボ桟敷状態に置くのでしょうか?国つまり原子力規制委員会や規制庁は、そうした情報を出すよう是正をもとめないでしょうか? 例えば、SBO全交流電源喪失から5時間以内に電源供給を再開する緊急対策ですから、切り離しせずに6時間、切り離し後は18時間は枯渇しないように蓄電池を増設するといった対策を電力会社らに求めないのでしょうか?

つづく



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