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原発再稼動より節電発電所と高発電効率の発電所へ更新が効果的 [電気料金制度・稼働率]

東京電力は、保有する全ての原発17機が停止しても、昨年の最大供給力を上回る約5700万kwを確保でき、東北電力は1462万kW。
この夏の最大需要は、東北電力の予想で平年並みの暑さで約1360万kWで100万kw・6.8%の供給力余裕あり、2010年並の猛暑で1490万kWで超過します。超過する1490万kwは夏季の7‐8月の1440時間中の数時間の需要ピーク、時刻では昼~夕方ですから、その数時間だけ節電を強化すればしのげます。

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東京電力は平年並みの暑さで約5600万kWで100万kw・1.7%しか余裕がありません、2010年並の猛暑で6000万kWで超過します。過去5600万kWを超えたのは時刻的には夜ではなく昼の11-18時で、平年並みの2008年で42時間、2009年0時間、猛暑の2010年で165時間。仮に柏崎刈羽の2機が再稼動するとして5800万kWで線引きすると、2008年で42⇒23時間、2009年0時間、2010年で165⇒28時間。
再稼動よりも、その時間だけ節電を強化するのが効果的。天候・気温予想で超えると思われる「節電日」の11‐18時の間だけ、冷房の設定温度を1℃上げる、家庭でのエアコンは1台で163万kw、病院・福祉施設は実施せず、オフィス・小売店舗・ホテルなどの10%が1℃上げを実施するだけで172万kwで合わせて335万kw、20%が実施すれば344万kWで合わせて507万kw、30%実施なら合計で679万kwの需要を削減できます。(電力中央研究所の試算)

節電発電所

オフィス・小売店舗・ホテルなどの10%が冷房の設定温度を1℃上げるだけで柏崎刈羽の1号機・110万kW、7号機135.6万kWより大きな節電発電所が出現します。「節電日」の11‐18時の間だけでも30%実施の節電発電所を出現させれば、余裕を持って乗り切れます。夜は冷房が自由に使えるので寝苦しくありません。

しかし50Hzの西日本は厳しい。大飯原発3号4号が再稼動したとしても、関西電力は平年並みの暑さでも200万kW余り不足、2010年並の猛暑では450万kwあまり不足。関西電力だけでなく50Hzの電力は余り余裕がありません。野田首相が目の色を変えて取り組むのは原発再稼動ではなく、節電発電所の建設です。電力の需要予想の詳細を明らかに、どの時間帯にどれだけ不足するのか、必要な節電発電所の規模を明らかにし、どのようなやり方、メニューで実現するか論議を呼び起こし準備することです。

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東京電力は、上図のような仕組みで電気の消費者に節電発電所を作ろうとしています。

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時間はかかりますが、スマートメーターの設置が有効です。スマートメーターとは、通信機能を備えた電力メーター。電力会社とデータをやり取りしたり、家電製品とつながってそれを制御したり、消費者に現在の電力料金や使用量を伝えたりする装置です。電力会社から消費者に情報を流すことで消費者が自ら電力消費量を管理し、電力ピークを抑制する(デマンドレスポンス)ができます。
イタリアやスウェーデンでは、ほぼ全戸に設置が完了している。それに続き、フランスやイギリス、スペインでは2020年までに全戸導入する計画。EU指令では、2020年までに全体の80%の電力メーターをスマートメーター化することを各電力会社に要求しています。米国のスマートメーター設置台数は、2009年に1000万台を超えた。2013年には5000万台を超えて、全米の約30%に達する見通しで、2015年には50%、2020年には100%を目標に掲げています。。中国は2011年に5000万台を設置し、2015年までに総設置数を1億7000万台まで引き上げる。2020年には約4億台設置されている電力メーターをすべてスマートメーターに切り替える計画です。

 現在の日本のスマートメーターは数も少なく高価なつくりのため単価が3万円以上もするが、中国では既に5000円程度で販売されている。世界平均では1万円程度。寿命が約10年であるから単純に計算すると1年1000円で節電発電所ができます。

中期的には発電効率の良い設備に更新

東京電力は旧い石油とLNG・天然ガスの火力発電所8か所を都市ガスや石油元売り会社などに売却・賃貸するそうです。買い手は発電設備を2~3年で更新し、発電電力は自前で売ったり、東電に売却するのだそうです。

東電の火力発電備容量・約3800万kWのうち1850万kwで約半分の規模です。東京電力の火力発電所の発電効率の平均は42%。100のエネルギーを持つ燃料に対して、42しか電気を取り出していません。その中でも今回売却対象の発電所は、石油火力で38~39.5%、LNG(天然ガス)火力で36.9~39.2%と低い発電所です。

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 石油火力で残るのは、広野発電所。東電福島第一原発と第二の間にあり、買い手がないからと思います。最新式の石油火力発電(超臨界圧)は約42%ですから、これに更新すると発電効率向上分は約79万kwです。

東北電力が昨年11月30日に着工した新仙台火力発電所3号はLNGガスタービン・コンバインドサイクル方式(GTCC)で発電効率が約59%です。まずLNG燃焼ガスでガスタービンを回し、次にその排熱を利用して蒸気タービンも回す、いわば「一粒で二度おいしい」。発生した熱をなるべく逃がさずに利用するので、効率が良く、同じ発電量なら旧式に比べ、燃料費、二酸化炭素排出量ともに約3割を削減します。

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東電の売却LNG発電所も、この発電効率が59%のGTCC設備に置き換わると、同じLNG消費量で発電量は約550万kW増えます。これは東電フクイチの発電容量よりも多いのです。

 燃料費が約3割小さくなるので、かなり電気の原価は安くでき、販売価格を安く、利潤を多くできます。普通の企業の経営判断なら原発よりLNGのGTCC発電に投資します。
 ところが、独占企業で競争相手よりも安い価格で多く販売して利潤を増やすという競争原理が働きません。現在の国が定めた電気原価・売価を決める総括原価方式では、利潤(事業報酬)は資産の3%。100万kw原発は建設に7年位で建設費=設備(資産)は3000~5000億円。GTCCは2~5年位で500~700億円。原発は5000×3%の約150億円、GTCCは約21億円の利潤しか生まないのです。

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国の政策に従えば、利潤を増やすには原発なのです。競争原理が働く制度で今回売却するLNG発電所がGTCCになっていれば、フクイチ原発を高齢化で引退、廃炉にしていても電力の供給に支障はなかったのです。
 東北電力も人やお金を女川原発の再稼動よりも、新潟のLNG火力発電所の高効率のGTCC化に費やすと、発電効率向上で女川原発と同じ発電能力が得られます。原発は定格運転で、需要のない夜間も発電します。それで、夜間割引で赤字覚悟の投売りしていますが、それもせずにすみ、需要に合わせて発電できます。
石炭火力は、東電や東北電力は41~42%ですが最新の石炭ガス化複合発電(IGCC)では約54%です。

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長期的には総合熱効率を80%台に

こうした最新発電技術でも、化石燃料の持つエネルギーの60~40%は使われないまま廃熱で捨てられます。日本で消費される一次エネルギーの65%が200℃以下の廃熱になって廃棄されています。
ところが、エネルギーの最終的使用は熱が多い。家庭のエネルギー消費量で給湯30%、暖房25%で200℃以下の熱です。

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廃熱で給湯、暖房できます。排熱利用ガス吸収冷凍機で冷房も可能です。電気と熱を同時に供給・使用するシステムをコジェネレーションといいます。コジェネ普及で総合熱効率が向上し化石燃料を削減できます。

また、風力、太陽光など変動が大きくて使い難いといわれる自然エネルギーを、安定して必要な時に使えるように変身させられます。 それは、ドイツで始まっている合成ガス製造です。 続く

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