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20ミリSv基準、子供を護ろう [被曝影響、がん]

20ミリSv基準、子供を護ろう

19日、文部科学省は、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリSv(シーベルト)という基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知。この年20ミリSvは、屋外で3.8μSv(マイクロシーベルト/)時に相当すると政府は示しています。

 病院に行くと、レントゲン室などには無用な被爆を避けるため「許可なくして立ち入りを禁ず」と書かれている黄色い「放射線管理区域」の標識がついていますが、文科省の基準では、この立ち入り禁止区域の約6倍です。「放射線管理区域」は、労働基準法で18歳未満の就労は禁止している3月間につき1.3mSvを超えるおそれのある、つまり時間あたり0.6μSv(マイクロシーベルト/)の区域です。文科省の基準は3.8μSv。
 年に20ミリSvとは、柏崎・刈羽原発で働く人々が1年間に被曝してよい上限です。(福島第一原発では、事故収束作業のために250ミリSvに引き上げてます)

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 大人なら、親なら誰しも用もないのに子を「放射線管理区域」にやりたいとは思いません。ましてやその6倍のグランドや園庭でど遊ばせる、土いじりをする、春の運動会なんてとんでもない。子供を護らない大人、親に何の価値があるのか!原子力安全委員会の代谷誠治委員も学校における子供の被曝放射線量は「成人の半分に当たる年10ミリシーベルト以下の被ばくに抑えるべきだ」と13日に述べています。


 文部科学省は、原子力安全委に働きかけ14日には「子供らは成人の半分」という真っ当な見解を安全委に撤回させました。原子力安全委員会は正式な会議を開かずに、議事録もとらずに、子どもに年20ミリシーベルトを適用することを「差支えなし」との判断を下し、そのお墨付きを得て19日に文科省は20ミリSvの通達をだしました。

 この子どもに対する「年20ミリシーベルト」という基準を撤回するを求めて、福島の人々が21日に文科省と交渉しました。そこで、子どもに対する「20ミリシーベルト」という基準で安全とした専門家の氏名すら文科省は知らず、先ず、基準が先にあって、専門家のお墨付きが後付されたことがわかりました。

それについて、鳩山前総理ら国会議員の4月22日の勉強会での文科省、原子力安全委らの説明をネットの中継でみました。

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 安全委は、100ミリSv(シーベルト)以下での発ガンなど晩発性の障害が顕れことを示す、逆に無いことを示す科学的知見はない。原発作業員やレントゲン技師のような放射線を被曝する労働者を放射線から防護する時には、100ミリSv未満の被曝でも被ばく線量に比例して直線的に晩発性の障害が生じるという仮説、前提を置いて考える。学童、児童、生徒などの一般公衆では、100ミリSv未満の被曝では、それを避けるための疎開で生じる家庭崩壊といった負担・コストと科学的には顕れるか否か不明な晩発性の傷害(癌など)を天秤にかけて、20ミリSvでは、疎開といった特別な被曝回避手段をとる必要がないとしています。

 文科省は、子供が放射線に感受性が高いことは、吸い込んだ土ぼこりなどの内部被曝の評価に、線量を2~3倍に換算して反映させている。外部被曝ではICRP・国際放射線防護委員会は、子供が高感受性だからと特別扱いしていないので、大人の区別しないで実効線量を評価している。総被曝の(実効)で、内部被曝は2-3%程度。などと鳩山前総理らに説明していました。

続く

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α線被爆・・実効線量 放射能汚染の解読知識(4)-2 [被曝影響、がん]

α線被爆・・実効線量 放射能汚染の解読知識(4)-2


漂う放射能雲による被爆

今、東電福島第一原発からの放射性物質が漂っています。仮に、1メートル目の前にプルトニウム239で1g相当の酸化プルトニウムの微粉末の雲が流れてきたとします。

 

この雲の中では、1秒間に23億のα(アルファ)線がでていますが、α線は大気中を一ミリも飛べませんので、被爆することはありません。

そのプルトニウム雲が流れてきて0.1μg(マイクログラム、百万分の1g)の微粒子を1万個、千分の一グラムを呼吸で吸い込んだとします。そのプルトニウムの微粉末が肺に付着します。それで体内での内部被爆が起きます。0.1μg(マイクログラム、百万分の1g)の1個の微粒子から毎秒230本のα線が出ます。そのα線は組織中ではわずか45マイクロメートル(百万分の1m)しか飛びませんが、その飛程範囲の細胞のDNAを、X線の20倍の破壊力で壊します。

体内に摂取された放射性物質から、組織や臓器の受ける実効線量を算出することは容易ではありません。なぜなら体内の組織や臓器に沈着している放射性物質の量を測定する必要があり、しかも、その量や位置が刻々変化します。

  そこで、身体の臓器の大きさや感受性などから身体モデルをつくり、1g、1ベクレル摂取したら組織や臓器が受ける実効線量を導き出して、その係数を使って近似的に実効線量を算出しています。その係数を実効線量係数といい、呼吸摂取か経口摂取か、またどのような化合物の形かで、各種の実効線量係数が出されています。

例のプルトニウム・千分の一グラムを吸入では、その実効線量係数から19Sv・シーベルトの実効線量の被爆になります。実効線量1Svの被爆で発ガンの確率が5%上昇しますから、発ガンの確率が倍になることになります。


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著しい不均等被爆をおこすα線

さて、プルトニウムでは45マイクロメートルの飛程範囲内にある細胞だけ、約0.38~65マイクログラム(百万分の1g)の細胞が被爆します。その他の肺の細胞は被爆しません。実効線量という概念は、臓器や組織の細胞の性質に着目していますが、プルトニウムではさらに被爆が場所的に著しく不均等という特徴があります。

セシウム137を同様の微粒子で千分の一グラムを吸入した場合、セシウム137は、β(ベータ)線を放出して、さらにその94.4%はγ(ガンマ)線が放出してから、5.6%は直ぐにバリウム-137となり放射線を出さなくなります。β線、γ線の飛程距離は大きく、体の外の測定器で計れるくらいです。ですから、肺に入ったセシウム137で1kgの肺全体が均等的に被爆し、全体で21Svの実効線量になります。

ところが同様に吸入したプルトニウムでは、被爆していない細胞が999gと、被爆した1万ヶ所・約40~650ミリグラムの細胞が19Sv被爆した肺です。


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それでセシウムを吸入した場合に比べプルトニウムを吸入して場合の方が被爆した細胞は発ガンしやすいだろうと考えられてます。それは、10万倍とも100万倍ともいわれ定説がありませんが、他の放射性物質に比べはるかに微量で発がん毒性を顕すと見られます。この特質を、現在の放射線防護、放射能から人を守る学問や行政は上手に取り込めていません。

 実効線量係数は、1kgの肺全体が均等に被爆するという仮定で算出されています。セシウムでは妥当な仮定ですが、プルトニウムでは明らかに不適切です。プルトニウムの呼吸摂取の実効線量係数は、動物実験などから現行の11万倍が妥当という研究もあります。保守的に100倍と仮定すると、呼吸による年摂取限度はセシウムの百分の1位になります。

プルトニウムは重く、漂いにくく降下しやすいので安心という方がいます。確かにチェルノブイリ事故でも、日本に到達した量は、セシウムの1%以下でした。しかし、それくらい微量でも、吸入したらセシウムと同じ位の発ガン毒性があると思われるのです。その上、体内に入ったらα線は体外に出てきませんから、有無を検出できません。

さて、吸い込まれたプルトニウムは、異物を痰として食道に排出する肺の働きで約4分の3はやがて肺から出され、残りの4分の1のプルトニウムは、徐々に血液の中に入り、体内を巡ります。プルト君の体内旅行記は、「預託実効線量」で。


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発ガンへの影響を測る物差し・・実効線量 放射能汚染の解読知識(4)-1 [被曝影響、がん]

発ガンへの影響を測る物差し・・実効線量  放射能汚染の解読知識(4)

放射線は、その電子を弾き出す作用によってDNAを損傷することで身体に影響します。逆に、被爆する側からは、DNAの複製や分裂が盛んな細胞、細胞分裂を盛んに営んでいる臓器、組織のほうが影響を受けやすい。放射線に感受性が高いのです。

 それを数値化したものを、組織荷重(加重)係数・WTといいます。骨の表面に比べ内部の骨髄は血球を作る細胞分裂が盛んなので12倍も高い値に設定されています。


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 胸部レントゲンをとると、肺などは被爆しますが、足などは被爆しません。検査で腎臓のCTを受ければ、腹部以外は被爆しません。この両者の放射線被爆による影響はどう違うでしょうか?

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重さ当たり同じエネルギーの放射線(X線)を浴びていたら、吸収線量は同じ。DNAを壊す能力、放射線荷重係数も同じ「1」ですから、肺等価線量と腎臓等価線量はおなじになります。被爆25 Sv・シーベルトでは、腎臓では腎炎をおこしますが、肺では症状は起きません。30 Svを超えると、肺では浮腫による呼吸機能低下が顕れます。仮に肺等価線量と腎臓等価線量が1Sv(1000ミリSv)だとします。この等価線量では、肺にも腎臓にも急性の「だだち」に出てくる障害はおこりません。(このような大量の放射線は、癌の放射線治療などの場合です。)

しかし癌といった全身的影響、晩発性の確率的に起こるものは、被爆線量に比例して発生確率が高まります。全身で1Svの被爆で、発ガンの確率が5%上昇します。

全身で1Svの被爆では、体重60kgの人なら57.6カロリーのエネルギーを受けていますが、重さ1kgの肺の1Svの被爆では、0.24カロリーでしかありません。また肺と肝臓では放射線感受性が違いますから、どちらが被爆したかで影響が違います。

放射線被爆は、多くの場合ある特定の器官・組織が集中的に被爆します。特に放射性物質を呼吸や口からの経口摂取によって体内に取り込む内部被爆の場合はほとんどの場合が不均等に被爆します。被爆する線量のほかに放射線感受性の違いが問題になります。

それで、こうした違いを考慮した被爆線量を「実効線量」といいます。各臓器が受けるダメージを体全体のダメージの程度に換算し、統一的に扱うのです。それは各臓器の等価線量に組織荷重(加重)係数・WTをかけて算出します。

1Svの肺等価線量は、肺の組織荷重係数・WTの0.12をかけて、実効線量は0.12Sv。

1Svの腎臓等価線量は、組織荷重係数・0.025だから、0.025Svの実効線量。
ですから、肺の被爆のほうが、影響が大きい。全ての“組織荷重係数”を足すと1になるので、全身で1Svの等価線量は1Sv実効線量になります。


汚染水に足を漬けた作業員の実効線量

過日、福島第一原発で超高濃度の放射能汚染水に足を漬けてしまった被爆事件がありました。この方の被爆線量は、大気中から全身で被爆した実効線量に漬かった足の実効線量を加えたものになります。


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足の部分は、放射能汚染水中のγ(ガンマ)線、β(ベータ)線の吸収線量×放射線荷重係数「1」の等価線量、これに汚染水から足に付着したプルトニウムなどのα(アルファ)線核種によるα線で受けたエネルギー=吸収線量×放射線荷重係数「20」の等価線量を足した足の皮膚等価線量に皮膚の組織荷重係数の0.01をかけたものが超高濃度の放射能汚染水による被爆の実効線量。


大気中からの被爆は線量計に記録されています。この二つの合計が、この作業員の総実効線量になります。


漂う放射能雲による被爆

α線被爆・・実効線量 放射能汚染の解読知識(4)-2 へ続く


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出ている核種での違い 放射能汚染の解読知識(3) [被曝影響、がん]

2011/4/4に小針店で配布したものに加筆

出ている核種での違い 放射能汚染の解読知識(3)


被ばく量については、「吸収線量」「等価線量」「実効線量」の3つが大切です。

 「吸収線量」は、放射線から受けたエネルギー量です。1Gy(グレイ)=1kg当たり0.24カロリーです。体重が60kgの方が全身に4 Gy(グレイ)の放射線を浴びた場合は、60×4×0.24= 57.6カロリー、これは、60kgの水を「1,000分の1℃」暖める極微量なエネルギー量です。しかし、人間は全身に4 Gyを浴びると30日の間に約半数が亡くなります。エネルギーは極微量ですが、沢山のDNAを破壊してしまい生命を脅かすのです。

 それで、DNAを壊す能力を放射線別に数値化。それを線質係数、放射線荷重係数といいβ線(ベータ線)、γ線(ガンマ線)、X線は「1」、α線(アルファ線)は「20」。(線質係数)×(吸収線量)=「等価線量」と定義して統一して扱います。単位はシーベルトSv。β線(ベータ線)、γ線(ガンマ線)、X線なら0.25Gy×1=0.25Sv(シーベルト)を短時間に浴びると白血球減少が起こってきます。α線(アルファ線)なら、0.25/20=0.012Gyです。

また、α線は強い破壊力が大気中の様々なものと反応してしまうので飛翔距離が短い。紙一枚で遮断できます。逆に、β線の遮断には薄い金属板、γ線・X線遮断には鉛の板やコンクリートの壁が必要になります。
 原発作業員の方の防護服は、放射性物質の付着や吸入を防止し、α線を遮断しますがβ線やγ線で被爆します。
モニタリングポストや線量計ではかれるのも、β線やγ線です。


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 ですから、福島の原子炉からプルトニウムなどα線核種が出ているのかは重要な情報です。東京電力は、29日まで隠していました。28日にフリーの記者・上杉が追求するまで、大手のマスコミは東電に質しもしませんでした。年間1000億円の広告費の効果??


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「健康に悪影響ない」線量 放射能汚染の解読知識(2) [被曝影響、がん]

2011/3/29に小針店で発行したもの

「健康に悪影響ない」線量 放射能汚染の解読知識(2)

放射線が体や物に当たると、その原子・分子から電子を弾き出す作用が顕れます。水が放射線を浴びると、放射線の電子を弾き出す作用で過酸化水素など化学的反応性の高いものが生まれます。

細胞内では遺伝子のDNAと反応して代謝等に必要な情報を損ないます。地球には宇宙から放射線が降り注いでいます。また他の化学物質でもDNAの損傷は起こりますから、生物には修復する仕組みを進化の中で備わっています。

 しかし修復しきれないと、細胞が活動停止=細胞自死します。臓器や組織の細胞が減少して、直ぐに、遅くとも2~3ヵ月以内に様々な症状が現れてきます。これを急性障害といいます。これは、修復しきれない数の損傷をもたらす最低被爆量という境目、閾・しきいの値があります。目安は200~250ミリシーベルトです。

 これに対し、急性障害から回復した後、あるいは比較的低線量の一回、数回、長期間被爆した後、年単位の長期間の潜伏期、その間に化学物質などでのDNAの損傷を蓄積して、それとあいまって発現するもの、発ガンなど晩発障害があります。

 国際的な定説では、被ばく線量と発がんの確率は比例し、被曝1シーベルトごとにがん発生の確率が5%上がるとされてます。急性障害とは違い発ガンには、境目のしきい値はありません。同じ線量でもどちらに着目するかで安全、危険、その程度の評価が変わります。

 枝野官房長官は現在の放射能では「ただちに健康被害は起きない」といいます。それは現在の被爆線量は、急性障害を起こす閾値以下なので急性障害は起きないが、晩発障害はある発ガン確率の上昇はあるということです。しかし枝野長官は、そう説明しません。

 WHO世界保健機構などは、閾値なしです。ですから、日本政府だけが晩発障害にも閾値があるという学説に拠って、発ガン確率の上昇といった影響もないということで政策・規制を行うのなら、そういう世界的には非常識なルール、日本独自のローカル・ルールで行政するなら、枝野長官は説明すべきです。権力者は、権力の行使、行政には説明責任を持つのが、民主主義です。


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