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中国の核戦力一迫りくる核リスク 岩波新書 ③ [核のガバナンス]

複数の米国の研究グループが、2021 年中に、中国の中央内陸部の少なくとも 3 か所で、少なくとも300 個の ICBM サイロと思われる建設が行われていることを衛星写真の分析によって明らかにした(Korda, Matt & Kristensen, Hans M. 2021 および Kristensen, Hans M. & Korda, Matt 2021)。
本稿はクリステンセンらの評価に従い、運用準備状態にあるものも含めて数えて中国の弾頭数を昨年2021と同じ
350 発と見積った(Kristensen, Hans M. & Korda, Matt 2021 および Kristensen, Hans M., Korda,
Matt & Norris, Robert S. 2022)。
国防総省はすでに作戦配備されている弾頭のみを数えて,「低い 200 台」
2019 年 7 月、中国は 4 年ぶりに国防・軍事に関するいわゆる「白書」を発表した。それによって、従来の核兵器に関する宣言的政策が不変であることを表明した(State Council Information Office ofPRC 2019)。
無条件の先行不使用、非核保有国や非核兵器地帯に対しては無条件に核攻撃も核攻撃の威嚇もしないこと、他国との核軍備競争はしないこと、などである。
上記の米国防総省の 2021 年版報告は中国政府高官の言動にこの政策からの変化を示唆する兆候は見られないとしている。
中国は、通常は核弾頭と運搬手段を切り離して保管しており、即時発射の態勢を採用していないと考えられてきた。米国防総省の中国の軍事力に関する2021年次報告書では、「中国人民解放軍(PLA;People's Liberation Army)は、敵の先制攻撃が爆発い核戦力が壊滅する前に、ミサイル攻撃の警告が反撃につながる『早期警報反撃』と称されるLOW 態勢を実施している」との分析を明記した。こうした米国の主張に対して、中国は、警戒態勢を含む核態勢に変化はないことを繰り返し明言している。
nuclear_list_202206 (宿)中国.jpg
表の弾頭数(すべて概数)は、基本的に文献(Kristensen, Hans M. & Korda, Matt 2021)によっている。現在、米本土に届く長距離弾道ミサイルの弾頭数は、約 190 発と推定される
(東風ドンフォンの液体燃料サイロ型、単弾頭の DF-5A と多弾頭の DF-5B。
 東風ドンフォンの固体燃料、3 段式の道路移動型。単弾頭のDF-31A、改良型移動式起立型発射台のDF-31AG、     
  多弾頭のDF-41)。
 6 隻の晋(ジン)級戦略原子力潜水艦に搭載される潜水艦発射弾道ミサイル (SLBM)は、 巨浪ジュランJL-2、単弾頭。戦略原子力潜水艦は6 隻が就役しているが、4 隻が作戦配備。
2019 年 10 月に初登場した爆撃機 H-6N が、空中発射弾道ミサイル(ALBM;air-launched ballistic missile,)を搭載すると考えられている。空中で発射されて目標へ弾道飛行する弾道ミサイルの一種であるが、2019年現在ロシアがХ-47М2 キンジャール;NATO名はAS-24「キルジョイ」(Killjoy)が開発されている。ロシア国防省の発表によれば最大速度マッハ10、射程2000kmを発揮し、陸上目標および海上移動目標を攻撃できるとしている。

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