SSブログ

廃炉ー「敗北の現場」で働く誇り=稲泉 連 /著--読んでみた [東電核災害の検証]

表紙IMG_20210724_154346.jpg廃炉    「敗北の現場」で働く誇り

著者 稲泉 連 [イナイズミ レン]  

出版者 新潮社

出版年 2021.2

ページ数 253p

大きさ 20cm

ISBN 978-4-10-332092-0

新潟市立図書館収蔵 中央 2階技術 /543.5/イナ/


内容紹介

東日本大震災、福島第一原子力発電所事故(2011平成23年3月11日)から10年。福島第一原発では廃炉作業が今日も続く。最先端の技術と使命感を胸に、数多の困難を乗り越える技術者。彼らを支えるバックヤードの人々。福島を離れまいと異動を拒む官僚。「加害者」になることを厭わず、東電を選んだ新入社員たち…。「未曾有の現場」を支える人々の熱き想いを紡ぐ。


目次
プロローグ

第1章 福島に留まり続けるある官僚の決意・・・中央公論掲載

第2章 四号機を覆え・・・・・・・・・・・・・新潮45掲載

第3章 イチエフのバックヤードで働く人々・・・新潮45掲載

第4章 高線量瓦礫は夜運ばれる

第5章 廃炉創造ロボコンの若者たち・・・・・・中央公論掲載

第6章 東芝の二人

第7章 事故後入社の東電社員たち・・・・・・・新潮45掲載

エピローグ
あとがき

著者等紹介 

稲泉連[イナイズミ レン]

1979(昭和54)年、東京生れ。早稲田大学第二文学部卒。2005年『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死』(中公文庫)で第36回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞

(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

廃炉ーr1kiso-06-03-07_sp_03.png

詳しい目次
プロローグ
八年ぶりの帰郷 ものを壊し更地にする
第一章 福島に留まり続けるある官僚の決意
「一生、福島においてください」
核の平和利用に携わりたい
  現場で感じた国への不信感
 「普通」であることの難しさ
 
第二章 四号機を覆え
東京タワーと同量の鉄骨 四号機は最後の砦
 「キリン作戦」
 三社合同のプロジェクト 前を向いてやるしかない
 「国に貢献してみる気はないか」
  瓦礫運び出しの苦労
  重量物輸送のプロフェッショナル
  「71基無事故輸送完了」
 
第三章 イチエフのバックヤードで働く人々
イチエフを見守ってきた桜並木
 二〇一八年四月某日、四時―― 六時―― 九時―― 一二時〇〇分―― 一五時〇〇分、福島県立医科大学―― 一八時〇〇分――
 
第四章 高線量瓦礫は夜運ばれる
ローテクとハイテクを組み合わせる 
  集められた多様な技術者たち 
  世の中にこんな仕事をやった人はいない  
 一発アウトの仕事
 
第五章 廃炉創造ロボコンの若者たち
ペデスタルって何? 
  Jヴィレッジの再開  
 中学一年での被災震災を知らない世代
 
第六章 東芝の二人
重要調査を担う  
 「なんて不気味な場所なんだろう」 
 「サソリ」調査は成功だった 
  東芝の責任 
  あらゆる試みが「世界初」
 
第七章 事故後入社の東電社員たち
入社した以上は事故の当事者  
 いかに作業員の仕事を止めるか  
 現場を見ないと何も語れない 
  「運転員」という仕事 
  プロジェクト完遂型人材 
  「廃炉広報」
  人事部の秩序を壊してでも欲しい人材 
  「もっと自由闊達で、よい意味でのおせっかいを焼きあう組織や文化があるべきたった。廃炉を進めていくためには、部門を超えて課題に対して提案を行い、関係者を巻き込んで解決していく姿勢が必ず求められます。しがらみのない平成二十三年の入社の彼らは、その改革を担っていく象徴的な世代でした」 p238
 
  『はいろみち』
エピローグ
P246
 「廃炉」とはそもそも何か
国と東京電力は2011年12月に初めて「中長期ロードマップ」を公表した際、十年以内に溶け落ちた燃科の取り出しを開始し、三十年から四十年後を「原子炉施設解体」の終了の時期の目標とした。こうした表現から多くの人が思い浮かべるのは、事故を起こした福島第一原子力発電所の構内が更地となり、広大な「グリーンフィールド」となる未来ではないだろうか。実際に本書で取材をした人々も、そのようなイメージを以て「廃炉」を語っていた。
 「廃炉のゴール」について、国や東電が具体的な姿をはっきりと提示したことはない。日本原子力学会が2020年7月に「仝撤去」や「部分撤去」などのケースを検討する報告書を発表しているが、末だ全容か不明の「デブリ」の取り心しが実現可能なのかという問題も含め、この「廃炉という仕事」は今もなお、その最終的な目標が曖昧なまま堆められているわけである。
p247
福島第一原子力発電所の南側の沿岸に、福島県栽培漁業センターというアーチ形の屋根が特徴的な施設がある。
その一角にあるくすんだ黄色の建物のひび割れた壁に、赤いスプレーで次のような言葉が書かれている。
〈 TEPCO  WILL LAST FOR 1000 YEARS 〉
廃炉作業は千年経っても終わらないという意味なのか、それとも、廃炉作業によって東電は千年続く企業になったという意味なのか。それは皮肉以外の何物でもなかった。
あとがき
p247の謎を解いてみよう  続く
廃炉ー0923.jpg

タグ:廃炉
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント