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新潟県原子力災害時の避難方法検証委員会=第8回---その弐ノ① [東電核災害検証・避難県委員会]

第8回新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会が,2019令和元年11月12日あった。
議事(1)[事故情報等の伝達体制及び放射線モニタリングに係るこれまでの議論の整理について] に使った,関谷委員長が論点整理した資料N o .1を読む。赤色で私の関心箇所を示す


1.事故情報等の伝達体制における論点整理

新潟県原子力災害時の避難.法に関する検証委員会(以下、本委員会)では、事故情報等の伝達体制、特に初動期の 10条通報、15条通報など事故情報について、議論を積み重ねてきた。

原子力に関連する事故・トラブルについては、JCO臨界事故、新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所 3号機変圧器火災、東京電力福島第一原子力発電所事故をはじめ、過去、迅速・正確に初動期の事故情報が問題なく適切に伝達を行えた事例はない。初動情報、初動対応の重要性は自然然災害でも同様ではあるが、原子力事故においては、事業者からの通報およびモニタリングデータがあらゆる災害対応の契機となるものであり、初動期の事故情報は極めて重要である。


事故直後、初動期において、事態を把握し、事故情報の提供を行うのは.常に困難を伴うものである。また、東京電力が新潟県中越沖地震における柏崎刈羽原子力発電所 3号機変圧器火災や東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて、機材・体制などについて様々な改善をおこなってきたのは認められる。

しかしながら、未だ、下記の問題が残存していると判断される。


(1)東京電力側の問題:体制の問題
・事故対応の「力量向上」が何を指すのか、具体的にわからない。
・「訓練」によって、何が改善されているのか、不明である。これだけ初歩的な課題が頻発する以上、「訓練」そのものにも課題があると判断せざるをえない。
・「当番体制の強化」を謳っているが、事故対応に関する必要人員が不明であり、夜間、休日の宿直体制について、現在の人数で十分なのか、現段階で十分であると判断できない。
なお、洞道火災や委員会での委員からの指摘において、東京電力からは詳細な説明がないまま現況で十分であるとの説明を繰り返したにも関わらず、山形県沖地震における通報連絡用紙の誤記の改善策として「力量向上」「当番体制の強化」を謳っている。そして、事後に、力量確認項目の設定、訓練プロセスの具体化がようやく行われたようである。 とはいえ、このプロセスが繰り返されている段階において、これで十分であるとはとても納得しうるものではない。このことについて、強い懸念を表明する。

(2)東京電力側の問題:情報そのものの問題
事故情報の正確性をどのように担保するのか、十分な説明が得られていない。
プラントからの放射性物質の放出情報および可能性に関する情報、またその評価についてどう伝達するのかが課題である。
事故時には、東京電力はリエゾンを市町村に派遣するとの説明があったが、リエゾンにはどのような対応能力が必要とされるものであるのか、その対応能力をどのように担保するかが不明である。
・情報伝達において、東京電力からの情報の正確性、信頼性に疑念がある以上は、第三者の視点、カメラ等による監視など第三者の目を導入することが必要なのではないか、フランスにおける地域情報委員会(CLI)の取組みなども参考にすべきであると複数の委員から指摘された。これは、現状、事業者としての東京電力が信頼を得られていない状況で、小規模なトラブルや様々な課題が頻発している以上は、当然の指摘であろう。これらについて、現実的に困難なものだとするならば、県民、自治体が納得しうる理由の説明が必要である。


(3)市町村との連絡体制
・ハード面では十分な体制を整えてきているのは理解されるが、ソフト面を含めて、現在の通報体制で問題なく機能するのかについては、十分な説明が得られていない。

FAX(NTT回線、統合原子力防災ネットワーク、衛星 FAX)、電話、メールなど、制度的にはあらゆる手段を確保しているのは理解される。だが、洞道火災における報道機関への FAX情報伝達の不備などヒューマンエラーによる不具合が生じており、事故時に十分に機能するかについては不明である。
・市町村との定期的な情報連絡の訓練が十分に行われていない。
夜間、休日の受信の問題、首長までの確認体制は確保されているのか、不明である。
リエゾンを派遣するとはいえ、市町村側の専門的知識をふまえた受容能力(例えば、プラントパラメータの数字を聞いただけでは、それが何を意味するか、専門的知識を持ち合わせてはいないが防災対応を実施する行政官、首長では評価できない)については確認できていない(これは東京電力のみの問題ではないが、本委員会として現段階で十分に議論ができていない課題としてここで明記する)。


(4)住民への情報伝達

・住民が避難をするために、また避難途中や避難先で情報を受けとる住民の視点にたって、国・県・市町村による放射線や原子力事故に関する情報内容、情報伝達の方法、情報伝達体制などが適切かどうか、具体的な対応についてまだ十分に議論していない(本委員会として現段階で十分に議論ができていない課題としてここで明記する)。

・放送等を通じた住民への情報伝達の方法、避難中や避難先の住民への情報伝達の方法が明らかでない(これは東京電力のみの問題ではないが、本委員会として現段階で十分に議論ができていない課題としてここで明記する)。

わかりにくい原子力情報をどう県民や関係者に説明するかという直後のリスク・コミュニケーションの問題についてもトレーニングされた担当者が行うから大丈夫というのみで、具体的な方策(そもそも、わかりやすく説明するとは何か)までは明らかとなっていない。

ABWR鳥瞰図_02縮.jpg

続く

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