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第 5回健康分科会; その五、IARC勧告は新潟に適用される? [東電核災害検証・避難県委員会]

2019年7月8日に健康分科会、新潟県原子力発電所事故による健康と生活への影響に関する検証委員会の第5回健康分科会があった。秋葉澄伯 委員から国際がん研究機関・IARC が出した勧告=住民全員を対象には、甲状腺検査と引き続く臨床管理は行うべきではないとする勧告が出ている。「福島については、この勧告は適用しない、というような趣旨のことが書いてありますが、逆に言えば、それ以外の地域には適用すると、まあ、新潟には適用されるのかなという気もします」(議事録の四頁)と述べている。
勧告は「原子力事故後の甲状腺健康モニタリングの長期戦略:IARC専門家グループによる提言」
http://www.env.go.jp/chemi/chemi/rhm/thelancet%20_oncology_comment_Oct19_2018.pdf


IARC勧告は新潟に適用される?? これを考えてみよう。

勧告を要約する。【個々人の甲状腺線量評価にかかわらず、住民全員を対象に甲状腺検査と引き続く臨床管理】は【そういうような甲状腺の集団スクリーニングの害が集団レベルでの利益を上回る】というのが、第一の勧告。【子宮内で被曝、胎児期に被曝や青少年期の甲状腺被ばく線量が100-500 m グレイ以上に達した者に長期の甲状腺モニタリング】が第二の勧告。


 甲状腺線量評価がゼロ・0の人も対象に甲状腺検査と臨床管理を行うのは、集団レベルでの利益を害が上回ると考えます。しかし福島での発災では、実際には個々人の甲状腺線量評価の基礎となるスクリーニングに信頼性がありません。単純比例で推論すると、1歳児幼児で770mSvの甲状腺被ばく線量、年齢が上がれば感受性が低くなり線量値は下がりますが、甲状腺被ばく線量が100-500 m以上の多数の人々がいることになります。


原子炉・核分裂反応炉より飛散した放射性物質が大気に乗って煙のように流れていく放射性ブルームに曝された幼児が放射性ヨウ素131を呼吸によって体内に取り込むことで、甲状腺等価線量が当時の安定ヨウ素剤予防服用の指標であった100mSvに達する環境において、1歳の幼児、一番敏感な年齢児の体表面に沈着すると考えられる放射性ヨウ素131の表面汚染密度が40㏃/㎠と考えられていた。40㏃/㎠を福島県保有のサーベイメータ・放射線測定器では1秒間に13000回の放射線が測定される見られた。だから、その値13000cpmを福島県は個人に除染を行うなどの対応をする基準値に、スクリーニングレベルとしていました。


詳しくは第78回〈いのち・原発を考える新潟女性の会〉学習交流会、スクリーニングの問題の資料を扱ったプログ回を見てください。その①はhttps://hatake-eco-nuclear.blog.so-net.ne.jp/2019-07-01 です。


  しかし、発災後には約8倍の100000・10万cpmをスクリーニングレベルとしました。そして、厚労省の示した流れで、10万cpm未満なら保健師が説明後帰宅させました。

スクリーニングの問題、-008健康相談.jpg


一万3千cpmで100mSv被曝ですから、10万cpmなら単純比例で被爆線量769mSvです。年齢が上がれば感受性が低くなり線量値は下がりますが、甲状腺被ばく線量が100-500 m以上の人が保健師の説明後帰宅しています。
  また、10万cpmは、県保有のサーベイメータ・放射線測定器の測定限界値。これ以上では表示が振り切れる値です。10万cpm未満では、測定された値を記した証明書は、「サーベイ実施施設に過剰な負担をかける」ことを理由に発行していません。
 スクリーニング測定値が判っていれば、Aさんは9700cpmだから約70mSvとかBさんは26000cpmだから約200mSv被曝と推定、割り出せます。個々人の甲状腺線量評価の基礎となるスクリーニングの測定値が、判からないのだから、推定、割り出せません


IARC勧告の勧告を福島に生かそうとしても、個々人の甲状腺線量評価が不明なのですから、第一の勧告は生かせません。単純比例で被爆線量100mSv以上は33000cpm以上です。胎児期や青少年期の被曝者の甲状腺線量評価値も判りませんから、第二の勧告も生かせません。「福島については、この勧告は適用しない、というような趣旨のことが書いてあります」と秋葉委員は言っていますが、適用できないのです。


新潟で柏崎刈羽原発の核事故・災害発災があっても、その時のスクリーニングのあり様、個々人での甲状腺線量評価のあり様で勧告が生かせるか、福島のように無理なのか決まると思います。発災前に決めるのは、絵に描いた餅を食べるようなものです。


2012年2月には、原子力安全委員会は7日間合計で50mSvが判断基準に適当としました。ですから東電福島第一原発の後の核災害では、50mSvに達する環境であるかが判断基準となるでしょう。それは、1歳の幼児、一番敏感な年齢児の体表面に沈着すると考えられる放射性ヨウ素131の表面汚染密度では20㏃/㎠で、サーベイメータ・放射線測定器では1秒間に13000÷2=6500回の放射線が測定される6500pcmがスクリーニングレベルになるのでしょうか。
その値以上の人々に、除染や安定ヨウ素剤の投与・服用といった防護措置をするのでしょうか。

  次回、六回目は木村委員からの二つ目の提案、福島県の甲状腺検査評価部会の委員先生から、直接話を伺っては?を扱います。続く

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