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妄言『原発比率7ポイント低下でGDP最大2・7兆円減 平成42年度 再エネ補完で費用増 電中研試算』① [電気料金制度・稼働率]

『原発比率7ポイント低下でGDP最大2・7兆円減 平成42年度 再エネ補完で費用増 電中研試算』と題する記事が、2018年1月5日に産経新聞に掲載された。http://www.sankei.com/economy/news/180105/ecn1801050006-n1.html
これは電力中央研究所(電中研)が、原子力発電の占める比率が政府想定の平成42年度「20~22%程度」から15%になると、電気料金が上昇しそのため、実質国内総生産(GDP)が最大約2兆7千億円減るとする報告書「原子力発電比率の変化に伴う経済的影響の評価」をまとめ2017年11月に公表した研究を元にしている。 研究報告書 http://criepi.denken.or.jp/jp/serc/source/pdf/Y17502.pdf 
この研究は先ず、11月14日公表の経団連・日本経済団体連合会の「今後のエネルギー政策に関する提言 -豊かで活力ある経済社会の実現に向けて-」で 「参考:コラム1(p.46)」に掲載されている。http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/090.html
12月6日には業界紙・日本電気協会の電気新聞に「2030年度の原子力比率 未達でGDP2.7兆円減」とのお題で記事になっている。
二度ある事は三度・・で、2018年1月5日に産経に載った。http://www.sankei.com/economy/news/180105/ecn1801050006-n1.html

これは、妄言である。
[1] 大規模電力の需要の見通しが過大
[2] 発電技術の向上と普及、省エネ技術の向上と一般化を見落としている。


政府想定には、2015平成27年の長期エネルギー需給見通しを使っている。総合資源エネルギー調査会?長期エネルギー需給見通し小委員会(第11回会合)の資料1 http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/011/pdf/011_05.pdf
エネルギーの全体では、原油換算で2013年度の361百万Kl・実績から2030年度には489百万Kl程度・35%程度増えるが、《技術的にも可能で現実な省エネルギー対策として考えられ得るものを・・実施することによって》326百万Kl程度・10%程度減るとしている。2017年12月25日に修正版が公表された平成28年度(2016年度)エネルギー需給実績(速報)では、2016年度は約4.8%減っている。2030年度にはどれくらい減っているだろうか。10%では済むまい。まして35%も増えるというのは妄想でしかない。
http://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/stte_023.pdf
電力は、2013年度から2030年度には122%に増えるが、《徹底した省エネルギー(節電)の推進を行い、2030年度時点の電力需要を2013年度とほぼ同レベルまで抑え》られ101.4%と若干増になると政府は想定している。
需給実績(速報)の最終電力消費では、全体で2016年度は2013年度の99.2%と若干80億kWh減っている。需給実績(速報)では《電力は、3年ぶりの増加となる同1.5%増。》と記されているが、前年比で増化で2013年度比では、微減。
2030年度には2013年度比でどれくらい増減するだろうか。
設備投資すればするほど需要が減る時代
部門別に検討してみる。3割5分を占める製造業の部門は、99.2%で27億kWh減少。バブル期以来の空前の好景気となった2017年は好業績となった企業の多くが、工場に冷暖房・省電力空調機器を設置するなどの快適投資や生産設備の省電力機器での追加や更新投資を行った。《かつては設備が増えれば、電力需要も増えるのが当たり前でした。ところが、「設備の省エネ化が猛烈に進み、設備投資すればするほど需要が減る時代になった」(大手電力幹部)のです。》日経エネルギーNext2018/01/05 http://techon.nikkeibp.co.jp/atcl/feature/15/031400070/010400041/?P=2 2017年度はどれくらいに減っているだろう。企業の設備投資は、電力需要を減らす時代である。政策的にも《徹底した省エネルギー(節電)の推進》の時代である。

3割33%の業務・事業所部門は、102.9%88億kWhと唯一の増加部門。製造業からサービス業へのシフト、工場から事務事業所へのシフトといった産業構造そのものの変化による業務・事業所数・規模増が背景にある。経済単位あたりの電力消費が減ることになる。

3割弱28%を占める家計部門は、94.8%と146億kWh約5%減っている。省電力機器が空調等で普及したことや、断熱性能の高い家屋へのリフォームや建替えや人口・世帯数減少などによる需要減少と高齢人口の増加で電動車いすなど需要増加の結果が146億kWh約5%減小である。変化幅は大小するだろうが、減少傾向だろう。

残る2部門、運輸部門と農林水産鉱建設業は合わせて2.9%で、増減は±0%。このように業務・事業所部門の88億kWhの増加が、製造業部門の27億kWh減少と家計部門の146億kWh減を埋めれずに全体で80億kWh減、2016年度は2013年度の99.2%と規模減少したことがわかる。政策的に《徹底した省エネルギー(節電)の推進》が行われ、設備投資は電力需要を減らす時代であり、製造業部門と家計部門の減少は続くだろう。その減少分を産業構造の製造業からサービス業へのシフト、工場から省エネ型事務事業所へのシフトによる業務・事業所数・規模増による電力需要の増大分が埋め切れるだろうか?果たして、2013年度の規模が維持・持続するだろうか[?]まして再び増える時代は来るのだろうか。

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