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オークリッジレポート、黒い雨でβ線の高線量・内部被曝 めも原爆被曝者手帳⑧ [原爆被爆者援護法]

アメリカ原子力委員会AECには、ミラム研究やマンキューソ研究の結果は青天の霹靂だったのだろうか。
アメリカ原子力委員会AECは、いわゆる「黒い雨」を浴びた被爆者の状態の研究をORNLオークリッジ国立研究所に委託している。それは1972年12月に「放射線降雨に被曝した原爆生存者の考察と類似母集団との比較」(“An Examination of A-Bomb Survivors Exposed to Fallout Rain and a Comparison to a Similar Control Population”)という論文で完成した。執筆者は山田広明氏(ABCCから出向)とT. D. ジョーンズ(ORNL研究者)本文 http://www.survivalring.org/classics/ExaminationOfA-BombSurvivorsExposedToFalloutRainAndComparisonToSimilarControlPopulations-ORNL-TM-4017.pdf
report_image.jpgこの研究は通称でオークリッジレポート。本文は左の表紙をクリックしてください 

82冊製本され、うち29冊が原爆傷害調査委員会ABCCに配布された。
邦訳は下記にある。
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20120820/p1
http://d.hatena.ne.jp/sivad/20120820/p3

オークリッジレポート
そのアブストラクトで、次のように述べている。

 「1947年頃以来、広島・長崎の原爆生存者であって放射性降下物の雨(フォ-ルアウト-レイン))に遭遇しかつその人体組織の上皮凸面部に全くベータ線熱傷を見せなかったものは、恐らくは、放射性降下物から有意なレベルの放射線被曝を受けなかった、と考えられてきた。しかしながら、原爆傷害調査委員会(ABCC)の生存者プログラムで収集された証拠は、それと逆のこと(the contrary)を示唆する傾向がある。」

黒い雨に関する被曝者情報は、1万2千件・1万2千人分以上ある。その中から爆心地から1,600m以遠で被爆し、黒い雨を浴びた236名について、放射線の人体影響を分析している。黒い雨を浴びた群では発熱、下痢、脱毛などの急性症状が高率に認めている。

「上皮凸面部に全くベータ線熱傷を見せなかったもの」とあるから、身体の皮膚に付着した物ではなく、水や食物、呼気などを経由して摂取したフォ-ルアウト放射性降下物による内部被曝が主な被曝であろう。そして、発熱、下痢、脱毛などの急性症状を示しながらも、生き残った人々である。症状が重篤で死亡した人がいたであろう。

この「黒い雨」調査が急性症状に着目したものなら、ミラム研究やマンキューソ研究は、晩発性障害(確率的影響)を扱っている。急性症状が顕れているなら、晩発性障害のガンが顕れることは予期できる。だから、アメリカ原子力委員会AECにはミラム研究やマンキューソ研究の結果は、青天の霹靂ではなく予期できたものだろう。

β線の高線量・内部被曝
オークリッジレポートは「まとめ」で、《「黒い雨」生存者においては顕著な「見込み」ガンマ線被曝量に比べても、ベータ線被曝量がきわめて高かったことが示唆される、と結論づけられるだろう。》とある。黒い雨に関する被曝者情報は、1万2千件・1万2千人分以上ある。その分析や追跡調査をしていれば、福島第一原発核災害で役立ったと思う。

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