SSブログ

KK原発の原子力防災/モニタリング機器のアップデート [柏崎刈羽原発の防災計画]

東京電力の柏崎刈羽原発(㏍原発)、事故時の住民避難計画を評価してきた。
高感受者が避難した後、残留して安定ヨウ素剤を服用し屋内退避した成人の避難する番になる。それは、原子力規制委員会制定の指針(ガイドライン)によれば、空間線量率の実測値による。このやり方は「地上のモニタリングポストで放射線量を計測して避難を決める」と倒錯している。地上で危険な値が検知されれば、当然その地上にいる住民は被爆している。バカバカしいような錯誤がある。被曝量は少なくしたいから稼働しない事が最も良い。再稼働する以上事故は起こり得るのだから、事故時に可能な限り被曝量は少なくしたい。原子力規制委員会制定の指針(ガイドライン)の定めるOILを厳正に厳密に守られる事を求めるのは当然要求である。OIL1の500μSv/h(周辺線量当量率)やOIL2の20μSv/hなどの厳守されなければならない。その測定体制は極めて杜撰である。過酷事故シビアアクシデント時の放射線、放射能の計測、モニタリングの体制の検討の第1回目。
事故初期のモニタリングの目的は、どこがOILを超えてしまうか、そして該当する防護措置をどこでとられなければならないかを決定するための情報を得ることである。それに最も有効な計測は、プルーム・放射性雲からの核種毎のγ線量率測定と地面への放射性核種の堆積から生じる核種毎の空間γ線量率測定である。
 そのモニタリングの機器には次のようなものがある。放射線には、物質をイオン化させる電離作用、ある種の物質を発光させる蛍光作用、写真フイルムを感光させる写真作用などの性質があり、これらの性質を利用して放射線の量を測る。
その時の空間放射線量率を測定
ガンマ線があたったときだけ蛍光を出す作用を利用した「Nal・ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器」や予め電荷を充電した電離箱内に放射線が入射し、その放射線による電離作用によって放電する現象を利用する「電離箱式検出器」。シリコン、ゲルマニウム、その化合物(GaAs、CdTeなど)などの半導体検出器を使用した電子式線量計。
qa5.jpg qa6.jpg 
シンチレーション検出器(左)電離箱式検出器(右)
積算線量を測定する
ガラス線量計題.jpg 放射線を照射したガラスに紫外線を当てると蛍光を発生するいわゆるラジオフォトルミネッセンス(RPL)現象を利用した線量計が蛍光ガラス線量計(RPLD)、ガンマ線のエネルギーを蓄積し、加熱でそれを開放すると、その総量に比例する蛍光を出す硫酸カルシウム(CaSO4)やフッ化リチウム(LiF)の性質をつかう熱ルミネッセンス(蛍光)線量計(TLD)。
大気中の放射性物質の濃度測定
大気中の放射性物質を活性炭カートリッジ又は活性炭入りろ紙等を装備しサンプル・試料をとる集塵器(ヨウ素サンプラ、ダストサンプラ)を使い集め、大気中の放射性物質の濃度を計測する。
大気中放射性物質のモニタリングに関する技術参考資料-18小2.jpg

重要な放射性ヨウ素の測定が、この集塵器(ヨウ素サンプラ)で集めてる方法しか原子力災害対策指針(補足参考資料、平成27年8月26日)にはない。しかし、測定方法が進化した。
CZT常温半導体検出器を使う測定である。CZTはCd1-χZnχTe、Cd(カドミウム)1原子と数個のZn(亜鉛)Te(テルル)がついた化合物(略号 CZT)を素材とする半導体。これを使う常温で測定できる検出器である。

 放射能が崩壊の過程で放出するγ線はそのエネルギーが一定の値を示す。いわば放射能の指紋である。
nkk_technicalreport214_13-3小.jpg
 
この指紋ごとにγ線を分けて測定できれば、どんな放射能があるか、到来したかがわかる。 
下図は2011年3月12日にブルームを測定した結果。キセノンXe-133、 Xe-135、 テルルTe-132、 ヨウ素I-131、I- 132 、I- 133及びセシウムCs - 136がブルームにどれ位あるかわかる。
sennmonnkouennshiryou3-27小.jpg

 γ線をエネルギー毎に分ける能力をエネルギー分解能という。長さを3センチ・一寸単位で測れるか、1㎝単位で測れるか、1ミリ単位で測れるかという違いである。
 Geゲルマニウム半導体を液体窒素で-196℃位まで冷やすゲルマニウム半導体検出器が最もエネルギー分解能が高く、常温でも使えるNal・ヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器はこれに較べると低い。Ge検出器がミリ単位で測れるとすると、一寸単位で測るようなもの。例えば下図の土壌試料の測定では134Csと137Csのγ線全吸収ピークが重複し、核種毎のピークとして解析できない。
nkk_technicalreport214_13-4小.jpg

 CZT常温半導体検出器は、cm単位で測るようなもので、Ge半導体検出器ほど鋭いピークは描かないがNal検出器のように重複せず、核種毎に解析できる。3月12日にブルームを測定したような結果がでる。3.11後に放医研が作成した検出器は59.5keV・Am-241から1333keV・Co-60まで分析でき、95mSv/hの線量率まで計測が可能である。つまり、放射性雲・ブルームの核種毎のγ線量率をリアルタイムで測定できる。核種毎の放射性ヨウ素の量・濃度を実測でき、吸入量の確度が高い推定値を出せる。適切に防護できる。
使用機器のアップデート
この検出器は3.11後の事故炉周辺の計測し作業を安全に円滑に進めるために作られた。このような技術・機器の進化を原子力規制委員会制定の指針(ガイドライン)に取り入れ、周辺の住民が受ける無用の被曝を減らすことに努めることを望む。 続く

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0